マンスリー・ヒーロー誌上飲み会「オヤジブームについて」
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 久しぶりにオヤジだらけの飲み会です。雑誌から得た知識を鵜呑みにした編集長が暴走しています。身内の恥を晒すようで大変心苦しいですが、どうぞお付き合いくださいませ。

 

 

 

 

 

編集長ウラジーミル・バラノフスキー(以下「長」):「なんか最近、オヤジが流行ってるらしいぞ」

ロックバイソン(以下「B」):「また変なこと言い出したな」

ワイルドタイガー(以下「T」):「どこの世界で流行ってんだよ。バラさんの脳内だけでしょ?」

長:「ちっげーよ。最近の若い娘はオヤジってステキって思ってるらしいぜ」

T:「なんか信憑性ない話だな」

長:「だって、an●nに載ってたもん!」

B:「なんでan●nとか読んでんだよ?」

長:「特集がファイアーエンブレムだったから買ったんだよ。俺、はじめてan●n読んだんだけど、アレすげえな! どうやってモテるかって話と、どういう男がいいかって話と占いの話しか載ってなかったよ! 意外と男も女も考えてること一緒だな!」

T:「それにオヤジがいいって書いてあったの?」

長:「そうだぞ! 天下のan●n様がおっしゃってるんだから、間違いはないよ! それにほら! 最近は年の差婚とかも多いじゃん!」

T:「あーゆうのは、芸能人だからできるんであって、俺たち一般人には関係のないハナシだよ」

編集部新人シモン・ソシュール(以下「新」):「え、タイガーさん、自分は一般人だと思ってるんですか?w」

T:「……? まあ確かにテレビとかには出てるけどさあ、ヒーローはスーツを脱いだら一般人だよ」

新:「編集長! ここに天使がおる! じゃあお前の相方は年中顔さらしてテレビ出てるけどどうなの? とか突っ込んだらいけない気分になるような清い天使がいます!」

長:「いまさら何を騒いでるんだ。いいか、このヒーローは天使だ。ついでにそっちのヒーローも天使だ。まあこの街にいる、ヒーロー的なものは全て天使だな。顔出ししてる男以外」

新:「さすがマンスリー・ヒーローの編集長ともなると、世界が違って見えるんですね!」

T:「なあ、さらっとうちのバディけなすの、もうやめてくんない?」

長:「ともかくだな、オヤジは流行ってんだよ。若い娘にモテんだよ」

T:「いや、モテねーよ。ていうか、今さら若い娘にモテてどうすんの?」

長:「なに訳の分からないこと言ってんだ! 若い娘にモテたらうれしいだろうが!」

T:「いや、訳が分からないのはバラさんでしょ。若い娘にモテたってどうしようもないじゃん。付き合えるわけじゃないし」

長:「付き合えんだよ! そういう意味で若い娘はオヤジが好きなんだよ!」

T:「だってバラさん、結婚してんじゃん。俺も嫁さんいるし」

長:「タイガーの奥さん、もう亡くなってるだろ」

T:「でも奥さんのこと好きだもん」

新:「天使だ! ここに天使がおる!」

B:「もう分かったから」

長:「付き合えなくても、付き合える可能性があるってだけで、それはすごいことなんだよ! 分かる?」

T:「分からん」

長:「ちっ」

T:「舌打ち? 今舌打ちした?」

B:「まあまあ、落ち着けよ、お前ら」

長:「そうだ、ロックバイソンは独身だし、若い娘とも付き合えるじゃん!」

T:「おー、そうだな」

B:「えっ?」

長:「バイソン今がチャンスだぞ! オヤジブームに乗っかって年の差婚だ!」

T:「おおっ! いいじゃねーか。お前もそろそろ身を固めろよ」

B:「そんな簡単に言うなよ。そんな相手いないし」

長:「勇気を出して、若い娘にアタックしてみろ! いけるから!」

B:「いけるわけねーだろ!」

長:「えー。だってオヤジが流行ってんだぞ? お前ら、最近若い女の子のファン増えたりしてるでしょ?」

B:「……全然増えてないな」

長:「そんな馬鹿な! タイガーは!?」

T:「んー。うちはほら、バニーちゃん効果があるからなー」

長:「女の子のファン、増えてんだろ?」

T:「そだなー。昔よりはいるかなー」

長:「それ、絶対BBJ効果じゃないって! オヤジ効果だって!」

T:「なんかヤだな。オヤジ効果って」

長:「そもそもバーナビーって、人気あんの?」

T:「またそれかよ……。もうやめたげて! ていうか人気あるに決まってるだろ!」

長:「あんなんハイプだよ、ハイプ」

新:「ハイプだとして、それをやってるのはうちの雑誌とHERO TV なんじゃ…」

長:「こまけーことはいいんだよ!」

T:「バラさんを見てるとさ、オヤジがモテるわけがないなって思えてくるよ」

長:「どういう意味だよ」

B:「ていうか、オヤジだったら誰でもモテるってわけじゃないんだよ。選ばれしオヤジだけがモテるんだよ」

長:「そんな! 俺は選ばれないで、タイガーだけが選ばれるって言うの?」

新:「いや、そりゃそうでしょう」

長:「そんなの納得いかない! 俺だってモテたい!」

T:「10代の男子か!」

長:「お前だってモテたいだろ? バイソン!」

B:「俺を巻き込むなよ!」

新:「バイソンさんはモテるでしょう?」

B:「ははっ、そんな訳ないだろう……」

長:「なんという力のない笑い方!」

新:「バイソンさん、かっこいいし、優しいじゃないですか。絶対モテるでしょう!」

B:「ないよ…。全然モテたことないよ」

T:「だってお前ヘタレだもんな!」

B:「……」

T:「コイツ、好きな女の前だとこの歳にして未だにすごい緊張するんだもん! そりゃモテねーよ!」

新:「……僕もタイガーさんのデリカシーのなさを目の当たりにして、オヤジがモテるわけないって確信しました」

T:「なんだよう、さっき俺のこと天使だって言ってたくせによー」

新:「一見天使のように見えても、オヤジはオヤジです!」

長:「じゃあ、どうやったら女の子にモテるんだよ!」

T:「いや、だから……モテてどうすんの?」

長:「むしろモテないでどーすんだよ? なあ、バイソン!」

B:「だから俺を巻き込むなと……」

T:「そだなー。バイソンはモテないとなあ!」

B:「いや、モテたってしょうがないよ」

T:「なんでだよ! やっぱりいいもんだぞー。愛する人と家庭を持つってことは」

B:「だからだよ。愛する人に愛されなければ、他の人間にモテたってしょうがないだろ。モテなくったっていいんだ。ただ一人の人と心を通わせあえれば、それが一番幸せなことじゃないか」

新:「ちょっと! なんなんですか、バイソンさん! かっこよすぎでしょ! もうそんなん言う人絶対モテるでしょ? ていうかやっぱりヒーローって全員天使なんだ!! ここに天使がおる!!」

T:「いや、だからホントにバイソンはモテねーって!」

B:「お前もなんでそんな俺のモテを全力で否定すんだよ! もういいだろ! さすがにちょっと傷ついてるんだからな!」

長:「お前ら全員間違ってる! モテのない人生なんて、ヒーローのいないシュテルンビルトみたいなものだ!」

新・T・B:「……」

長:「なんか言えよ!」

新:「いや、そんな『俺良いこと言っただろドヤア』って顔されても」

T:「つーか、たとえがよく分からない!」

B:「シュテルンビルト以外の都市はヒーローがいないわけだから、むしろモテのない人生が普通ということに」

長:「だからあ、俺にとってモテとヒーローが生きがいっていうか、むしろそれがないと生きていけないっていうか」

新:「思うんですけど、なんでオヤジがモテるかっていうと渋くてがっついてないからじゃないんですか。でも編集長はヒーロー好きでガキっぽいし、がっついてるから、絶対モテないでしょう。少なくともモテが生きがいとかいう人は、若くてもオヤジでもモテないと思います」

長:「なん…だと……」

新:「つまり、編集長は若かろうがオヤジだろうがモテないということです」

長:「……」

T:「おい、黙っちゃったぞ。どうする?」

新:「大丈夫です、編集長。あなたにはもう一つ生きがいがあるじゃないですか! ヒーローのいるシュテルンビルトで生きるという生きがいが!」

長:「そうか! 女はダメでも、俺にはヒーローがいる! ヒーロー! この街を守ってくれてありがとう!」

T:「ありがとうと言われて、こんな微妙な気持ちになったのは初めてだよ」

長:「なんでだ! つまりだな、俺にとってヒーローと共に生きるってことは、百万人の女に告白されるのと同じくらいすごいことだって意味だよ! 愛してるぜ! 俺のヒーロー!」

T:「……なんか怖いから近づかないでくれる?」

新:「編集長…、もう一つの生きがいにまで拒否されてかわいそう…」

T:「え? 今の俺が悪いの?ねえ?」

長:「いいんだ! たとえ拒否されても、ヒーローが戦う限り、俺も戦うことをやめない! ともに戦おう! シモン!」

新:「はい!」

T:「なんかよくわかんねえけど、がんばれー!」

 

 

 

 

 無責任なタイガーさんの声に支えられ、モテない編集長とモテない新人は百万人の女性より魅力的なヒーロー(と書いて天使)たちの魅力をみなさんにお届けしていくことを、改めて誓いました! そう、僕たち非モテのヒーローヲタには、マンスリー・ヒーローしかないのです!!!……いつかモテたい(シモン・ソシュール)

説明
この作品はMH誌のカルチャーコーナーの記事で、編集長はアンチBBJ(もはやネタとして)です。
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ロック・バイソン 鏑木・T・虎徹 TIGER&BUNNY 

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