外史を駆ける鬼・IS編 第008話 後編 |
外史を駆ける鬼・IS編 第008話「驕り」 後編
合宿所より三〇キロ沖合上空。海上約二〇〇メートルの場所で、いくつもの爆音が鳴り響く。
そこで行われていたのは鬼姫対福音の戦闘だ。
福音の銀の鐘は、片翼ながらも、まだ18の砲口と、その圧倒的な速さが残っている。
鬼姫は専用武器の鉄扇・”桜吹雪”で舞を舞うかの如く、福音から縦横無尽に繰り出される突撃とエネルギー弾のコンボを華麗にかわす。
重昌「{福音の動きが鈍い。今だ脅威である事には変わりはないが、これならば私でも対応出来る。安全策を取り、学園から来る要請を待って、このまま時間稼ぎするか。それとも私が撃墜させるか――}」
彼は考える。
自身の力を過信しているわけではない。
恐れているのは福音のこれ以上の強化である。
今、福音から見て重昌は”現状の力で対応出来る相手”と捉えられていることであろう。
しかし相手は完全なる軍事用IS。
”現状の力では対応出来ない”と判断されれば、どんな風に強化されるかたまったものではない。
彼は軍師。
常に最悪のケースを考えながら戦闘に参加する者。
そして彼は迷っている中で答えを出す。
重昌「{・・・・・・撃墜させよう。一夏君は意識不明。万が一起き上がることが出来ても、作戦に参加するのは不可能だ。先程”あのような事”を言ってしまった手前、箒ちゃん達が戦闘に参加することも十分に考えられる。やるしかないな}」
福音に追いかけられながらも彼は桜吹雪を二回折りたたみする。
すると鉄扇は赤い光を放ち、それを彼が大きく振るうと、ピンク色の粒子が本物の桜吹雪の如く出てくる。
それに包まれる様に突っ込んでしまった福音がピンクの粒子に当たると、福音の半径三〇メートルで巨大な爆発が起きる。
だが、爆炎の中から福音は飛び出してき、重昌に突撃してくるが彼はこれをかすりながらもかわす。
重昌「やはりこの程度の攻撃では傷も付かないか。ならばこれはどうだ?」
彼は右手にある端末を弄ると、粒子が集まり。
刀身が二メートルはある剣の刃(やいば)が出現。
桜吹雪を閉じ、刀身を桜吹雪に装着する。
重昌「いくぞ、”花蛇(はなへび)”」
重昌は『花蛇』と呼んだ剣を掲げながら福音に突っ込む。
鋭い一閃を放つが福音に避けられ、彼は敵に背中を晒す形になる。福音は片翼を広げて18砲口よりエネルギー弾を放とうとするが――
重昌「俺の背中に立つんじゃねぇ」
後ろを向きながらも彼が剣をより大きく振るうと、剣は刀身が伸縮しており鞭状になびいた。
福音は花蛇に捕まると重昌に思いっきり振り回され、彼は福音を海に向かって叩きつける様に振るい、同時に刀身を切り離す。
福音が落下している最中に、重昌は新たな武器を出す。
重昌「出てこい”幸花(ゆきはな)”」
出てきた武器はセシリアの使っているスターライトmkVの形によく似ているスナイパーライフル。
このライフルは口径が普通のISライフルより大きく、チャージショットが可能である。
福音がそのまま海に着水すると、チャージを完了したライフルの引き金を重昌は引く。
重昌「爆ぜて混ざりな」
放たれたエネルギー波はそのまま落ちた福音を追うように海に激突し、下では爆発が起きる。
彼は下を眺め続けて、爆煙が収まるのを待っていると・・・・・・爆煙を切ってMAX二四五〇キロで福音が突っ込んで来る。
対応が追いつかずに福音の腕から出される剣で重昌の体は貫通される。
しかし次の瞬間、何処から現れたのか”もう一人の重昌”によって、福音の片翼の翼は・・・桜吹雪によって叩っ切られる。
重昌「悪いな。それは少しだが質量を持った残像だ。ISのエネルギーを大きく消費するのが難点だが・・・・・・無人機のお前に言ってもわからないか。残りの片翼はありがたく頂戴する」
銀の鐘を失った福音は、グラリと崩れ、重昌がとどめと言わんばかりに鉄扇を腹部に打ち込み、機体はそのまま海に落下した。
そして彼はプライベート・チャンネルを開き、千冬に繋ぐ。
重昌「こちら影村。織斑・篠ノ之との一戦で疲弊していた福音は、現状の力で対応しきれた為、福音を沈黙させるのに成功。すぐに回収部隊を寄越して下さい」
千冬【こちら織斑だ。了解、よくやった。ただちに回収部隊をそちらにやる。貴様は直ちに帰投せよ】
『了解』と言おうとした瞬間、海面が強烈な光の珠(たま)によって吹き飛ばされ、球状に凹んだ海面は熱源の影響だろうか、まるでそこだけ時間が止まっているかの様に固まっており、球状の中心には青い雷を纏った福音が自らを抱くようにして現れる。
重昌「おいおい嘘だろ――」
千冬【どうした、影村!一体何があった!?】
彼はひたいに汗を浮かべながら、苦しく答える。
重昌「まさかと思っていたが・・・・・・最悪の事態です先生。”第二形態移行(セカンドシフト)”のようですよ」
そして一夏と・・・先程重昌が切断した翼が、ゆっくりと頭部にかけてサナギから蝶に羽化するか如くエネルギーの翼が出てくる。
重昌「先生!当初の作戦通り、私がコイツの動きを止めます。エネルギーはギリギリ足りるでしょう。少しでもエネルギーの消費を抑える為にも、チャンネルの機能も全てOFFにします」
千冬【待て、影村!おi『プツン』】
重昌「やはりとは思ったが、この様な展開になるとは・・・・・・先程の残像のせいでエネルギーも半分切っている。それにこの”未完成”な機体が何処まで持つか――」
福音「キアアアアアアァァァッ!!」
悲鳴の様な砲口を上げながら、福音は重昌に突っ込んで来られ、彼は左足を掴まれる。
重昌「くっ、速い!」
すると次に重昌は福音によりエネルギーの翼に包まれた。
翼の中にはいくつもの砲口があり、このままではエネルギー弾のゼロ距離を喰らう。
重昌「{―ッツ!ま、まずい!左IS脚部強制解除!}」
鬼姫の左脚部は粒子へと消え、その間に重昌は翼に穴を開けて間一髪で脱出すると、福音の翼内部では爆発が起こる。
そして粒子に変えた脚部は、再び元に戻る。
重昌「まずい。・・・非情にまずい。今のでまた多くのエネルギーを使ってしまった。長時間は戦えないので、戦って勝てる見込みは少ない。肉弾戦でやるしかないか」
彼は今まで使っていた桜吹雪も鬼姫のエネルギーとする――
福音は容赦なく突っ込んで来て、相手も肉弾戦で殴りかかってくる。
重昌「くっ!{なんだこれは!?一撃一撃が速く重い。これが軍事用ISのなせる技か?}」
やがて両者、プロレスの力比べの様に互いのゴツゴツした機械の両手を掴み合う。
その間、福音はまた翼を広げ、重昌を包もうとする。
重昌「{しまった!またアレか!}」
彼は福音を両手で自分の方に引き寄せ、手をすぐに離し”空中ムーサルトキック”をお見舞いして一度距離を取る。
彼の息は上がり、鬼姫のエネルギーも本格的になくなってきたのでISに警告音が鳴り響く。
重昌「{マズイな。燃費が悪すぎる。こんな所で鬼の力は使いたくないのだが、ここまできてしまうと・・・・・・使わざるえないのかな?使えば一瞬で勝負は決めれるが、力がバレれば学園には居れなくなるな――}」
今ここで逃げれば、暴走機はもっとも近くのISがある場所・・・つまり今回の合宿所を狙う。彼の脳裏には、短いながらも学園で知り合った仲間の笑顔が浮かび上がる。
だがそんな事もお構いなしか、福音はエネルギー粒子で作ったブレード片手に重昌に突っ込んで来る。
しかし彼は再び桜吹雪を出してそれを防ぎ、ちょうど鍔迫り合いの様な状態になる。
重昌「{『守る』って・・・・・・約束したしな}」
彼の脳裏に最後に浮かんだのは・・・・・・いつも笑顔を絶やさないで、自分に着いて来てくれた1人の”彼女”の姿が浮かんだ。
覚悟を決めた彼は自らに気を集中して、力を開放しようとする・・・・・・がその時――
箒「重昌さんから離れろぉぉぉぉぉっ!」
空裂を両手に握り締め、”赤椿”を展開した箒が福音に斬りかかった。
重昌は福音を押しのけ、押しのけられた福音はブレードで空裂の一撃を食い止めるが、空裂とブレードが接触すると空裂の能力で爆発がおき、福音は爆風と共に再び海に叩きつけられる。
後から遅れて、セシリア、鈴、シャル、ラウラが自身の専用機を展開した姿で駆けつけて来た。
セシリア「重昌さん。大丈夫でございまして?」
鈴「怪我はありませんか?」
ラウラ「レーラァ。何処かに痛みは?」
4人は真っ先に彼の心配をして近寄る。
重昌「はぁ・・・・・・とりあえず、何故来たか聞こうか?」
セシリア「重昌さん。確かに私達は何も考えていませんでしたわ」
鈴「挙句の果て、一夏を傷つけられた怒りのままに動こうとしました」
ラウラ「それは・・・・・・誠に申し訳ありません」
シャル「でもね重昌さん。僕たちはまだ子供です。子供の特権はルールを破ることでしょ?」
セシリア「ですから、今回はルールを無視して福音を仕留めようって考えましたわ」
鈴「しかも、一番最初に言いだしたのは・・・・・・あそこにいる馬鹿なんです」
鈴指差す方向には、福音が昇って来ないか警戒している箒の姿――
ラウラ「お叱りは後でたっぷり受けますので・・・私たちも戦わせて下さい」
彼の目を見つめる4人の視線に重昌は根負けしたのか、フッっと笑う。
重昌「全く・・・・・・いつでも”悪ガキ”の相手は疲れる。結局は織斑先生の説教をくらうのは私なのに・・・・・・そこまで言うなら、帰れば私の熱い拳骨を受けてもらおうか」
彼の黒を通り越した”漆黒の笑”に4人は一気に血の気が引く――
箒「皆!来るぞ!」
重昌「{箒ちゃんには五発追加だな}いいだろう。この戦い、私は指示だけ与え傍観させて貰う。君達だけでこの戦い・・・・・・制してみせろ」
彼は福音の注意が自分に向かない場所まで後退し、以降はオープン・チャンネルで指示を与えることに集中する。
重昌【そちらの動きはハイパーセンサーで覗いている。フォーメーションは2・1・2。前衛は篠ノ之・凰(ファン)の接近戦。後衛はオルコット・デュノアの遠距離戦で挑め。ボーディッヒは中衛へと入り各組をカバーせよ】
彼女たちは聞いたその場ですぐに自らの持ち場にとりかかり、福音は海から飛翔してくると、まず自らを落とした箒に襲いかかってくる。
赤椿は雨月も出して二刀流で福音のブレードを受け止める。
重昌【気をつけろ、箒。そいつの新しい翼に包まれれば、もれなくゼロ距離エネルギー弾の射撃を喰らい、一発KOだぞ】
話している間に福音は翼を広げ始める。
それを聞くと赤椿はすぐに福音より離れ、そして一瞬止まった福音に、ブルー・ティアーズのスターライトmkVからの狙撃、ラファール・リヴァイヴ・カスタムUのヴァント・五五口径アサルトライフルからの弾幕が降り注ぐが、福音には傷一つ付かず。
福音はそれをあざ笑うかの様にセシリアとシャルに襲いかかろうとするが、ショートブレードを逆手に持ったラウラのシュヴァルツェア・レーゲンで防がれる。その間に鈴は福音の横脇腹にかかと落としを喰らわせる。
福音がぐらつきながらも体勢を立て直すが、上空より赤椿の空裂の斬撃がそのまま直撃。
振るえば周りから出される粒子によって爆発する刀は、直接当たれば直撃させた物を破壊する――
箒「やったか!?」
そう彼女は呟くが、爆煙より福音の腕が伸びてきて箒の首を掴む。見ると片翼を失っているので、福音は片翼を犠牲にして爆発を防いだ様だ。
ラウラ「箒!」
セシリア「箒さん!」
鈴「くそぉぉぉっ!」
シャル「!!」
皆、我を忘れて福音に突っ込む。
重昌はこれを静止するが、時既に遅し。
福音は箒を掴んだままでラウラのショートブレードの斬撃を軽く避けると、厚い壁をも貫通しそうな蹴りを彼女(ラウラ)の腹に放つ。
ラウラは崩れ去ってしまい、セシリアもあまり慣れていないブレードをかざして福音に突っ込んでしまうが、福音の片翼に包まれてしまう。
鈴も自身のIS” 甲龍 (シェンロン・こうりゅう)”の” 双天牙月(そうてんがげつ)”・・・両端に刃を備えた翼形の青龍刀による斬撃を喰らわすが、再び生えたもう片翼につかまり。
やがて両翼からのゼロ距離射撃を喰らうと・・・2人とも崩れ落ちていく。
重昌の静止命令を唯一聞いていたシャルは、崩れ落ちる3人を回収するが、今だ箒は福音に捕まったまま。
シャルはなんとかして箒を助ける策を重昌に懇願するが・・・彼は答えれない。
重昌「{・・・・・・どうする?シャルロット君だけでは箒ちゃんを助けるのは到底無理だ。かと行ってエネルギーがそこを尽きかけている私が行っても、加えられるのは一撃のみ。助けられたとして、後の戦いを全て箒ちゃん一人で任せるのは・・・・・・ッ!?この熱源帯反応、それにこの気は!・・・・・・ホントに、だから悪ガキは嫌いじゃない}」
彼は一気に瞬間加速で福音との差を詰めて、福音の蹴りをかわしながら桜吹雪から出す爆発で一撃を与えて箒を救出し、彼女をお姫様抱っこで担ぐ。
箒はもうだめかと思った意識の中で、自分を担ぐ師匠の姿と・・・・・・心の中で呼び続けた男の姿の二つがあった。
重昌「これで悪ガキどもは全員集合か」
重昌と意識が完全に戻った箒の目の前には、白式第弐形態・雪羅を纏った一夏の姿があった。
重昌「遅いぞ、馬鹿が」
一夏「すみません。でもヒーローは遅れてやってくるものでしょ?」
重昌「ほう。無駄口を叩ける程元気ならば、まだまだ元気だな。帰ればたっぷり折檻してやろう」
漆黒の笑に一夏はひたいに汗をかき苦笑いする。
箒「一夏っ、一夏なのだな!?」
一夏「おう。待たせたな」
箒「よかっ・・・・・・よかった・・・・・・本当に・・・・・・」
一夏「なんだよ、泣いているのか?」
箒「な、泣いてなどいないっ!」
性格上つい意地を張ってしまう箒だが、ここで重昌の悪知恵が働く。
重昌「いや、箒ちゃん。ここは『泣いてる』と言っておけ。そうすれば私は後で女を泣かす屑を、容赦なく折檻出来る」
箒「・・・・・・そうですね。師匠!私は一夏に泣かされました」
箒は煽られた彼の胸にうずくまりわざとらしい演技をする。
一夏「ま、待て箒!そ、そうだっ、渡すものがあるんだ」
すると一夏は懐より一本の布を取り出す。
箒「り、リボン・・・・・・?」
一夏「誕生日、おめでとうな」
箒「あっ・・・・・・」
今日は7月7日で箒の誕生日。
一夏「それ、せっかくだし使えよ」
箒「あ、ああ・・・・・・」
最初の福音戦で焼けた箒の髪を束ねていたリボンの代わりに、一夏より貰った新しいリボンを付ける。
重昌「それじゃあ一夏君。先に行ってあいつの相手をしてくれないか?」
一夏「了解」
一夏一人で福音に戦いを仕掛けに行く――
重昌「さて、それでは君の番だ。箒ちゃん。一夏君はこうやって駆けつけてくれた。君は一体何がしたい?」
箒「私は・・・・・・一夏・・・・・・あの背中を守りたい。一夏は・・・・・・私が守る!!」
すると赤椿の展開装甲から赤い光に混じって黄金の粒子が発生する。その瞬間重昌は箒を担ぐのをやめて開放させる。
箒「こ、これは・・・・・・?」
重昌「これぞ赤椿のワンオフ・アビリティー”絢爛舞踏 (けんらんぶとう)”。 最小のエネルギーをほぼ無制限に増大させるという性質を持ち、本来なら困難なIS同士のエネルギー譲渡も接触だけで行うことができるようになる。つまりだ――」
重昌は手を出して赤椿に触ると――
重昌「私のISのエネルギーも回復されるというわけだ。行くぞ!箒よ!」
箒は重昌に連れられ再び福音に立ち向かう。
・・・・・・・・・
一夏「ぜらああああっ!!」
一夏は零落白夜の光刃の一撃で片翼の一つを落とす。しかしエネルギーの諸費が激しい零落白夜のおかげで、IS起動時間は残り3分となってしまった。
一夏「{くっ!早く仕留めないと、こっちがやられてしまう}」
重昌「交代だ、一夏」
一夏がそんな事を考えていれば、横より鬼姫が通り過ぎ福音と戦闘になる。
箒「一夏!」
一夏「箒。ダメージは――」
箒「そんなことよりこれを受け取れ!」
赤椿の手が白式に触れると、白式はどんどんとエネルギーを取り戻していく。
一夏「こ、これは!?」
箒「今は考えるな。行くぞ!一夏!」
一夏「おう!」
・・・・・・・・・
重昌「箒ちゃんが一夏君と接触したか・・・・・・これは使いたく無かったが、仕方がない」
鬼姫の全身がから大きな光が放たれる。
重昌「ワンオフ・アビリティー”桜花繚乱”」
そして光の粒子は鉄扇・桜吹雪に集まり。
彼が振るえば先ほどとは尋常では無い桜色の粒子が福音を襲う。
しかし先ほどとは違い爆発ではなく福音の体の至るところにへばりつく。
福音は逃げ回るが、粒子は福音を追いかけ続け、やがては絡みつき、敵の動きは動きは徐々に鈍くなり、やがて完全に静止させられた。
重昌「今だ!一夏止めを!」
一夏は全ブースターを最大出力まで引き上げ突っ込み、零落白夜の刃が福音の胴体に突き刺り、敵は完全に静止して今回の事件は幕を閉じた。
・・・・・・・・・
帰れば独自行動を犯した専用機持ちを待っていたのは、千冬の熱い時間をも忘れる説教。
重昌も監督不行き届けで説教を食らう羽目に。
学園に帰れば反省文と懲罰用のトレーニングが待っているとのこと――
千冬「最後に影村・・・・・・皆に言うことはあるか?」
彼はすくりと立ち上がる。
6人は彼と約束した拳骨を思い出し、身構える。
重昌「さて、今回は私の監督不行届けだが。警告したにも関わらず戦闘に参加した罰は覚えているな?‥‥‥歯を食いしばれ」
皆、肩が上がってしまい歯を食いしばるが、重昌は女子5人には拳で軽く叩き、一夏には大きく振りかぶって拳骨を喰らわされ、一夏の頭は畳にめり込む。
重昌「織斑先生。女の子を泣かせた者への制裁はこんなものでしょうか?」
千冬「少し足りないが・・・・・・それでいいだろう」
激しい一日が終わりを告げた。
後に一夏は『福音の攻撃より、重昌さんの生身の一撃の方が痛い』と語り継ぎ、女子5人は彼(重昌)だけは怒らせてはならないと固く誓った。
・・・・・・・・・
合宿所近くの岬で重昌は一人うろついていた。
ある人物に呼び出されたからだ。
そしてそのある人物に遭遇。
束「重ッチーーーーーっ!」
彼女は待ち合わせの相手を見つけるなり、その胸に飛び込んだ。
束「もふもふぅ、クンカクンカ。あぁ〜やっぱり大きな胸板だねぇ、重ッチ」
重昌「判った。判ったから。束、”戦鬼”の様子はどうだ?」
束「それならモチ終わらせたよん!」
重昌「ありがとうな・・・・・・それからこれは白式と赤椿、一夏君の観察データだ」
束は戦鬼の待機形態にある数珠を渡すと、重昌は小さなメモリーを渡す。
重昌「鬼姫はワンオフ・アビリティーを発動した後、展開を解除した瞬間にやはり壊れた。一応コアはここにあるが?」
束「そのコアは重ッチにあげるよ。好きに使って」
重昌「そうか・・・・・・白式の生体再生能力。また面倒臭い能力付けたものだな。あれは白騎士の能力か?」
束「その通り。さすが重ッチ、察しがいいね」
白騎士とは一番最初に作られたISであり、この変わった世界の原点の一つである。
重昌「・・・・・・どうだ、久しぶりの妹たちの再開は?」
束「うむむむ。箒ちゃんが私を嫌ってそうで・・・・・・もう生きていけないよ――」
彼女はわざとらしく『よよよ』と崩れ去る。
重昌「そんなことないさ。あれでもあの子は喜んでいるだろう。今は怒りと喜びが混じって、上手く自分を表現だけさ――」
その後、2人でしばらく談笑して――
重昌「・・・・・・もうすぐ就寝の時間だな。私は行かなければ」
束「えぇ〜まだいいじゃない?」
重昌「そうもいかない。一応これでも今はただの”学生”だからな。夏休みには一度そっちに戻るし、お前がこっちにも来ればいい。その時は美味い料理を振舞ってやる」
束「・・・・・・判った。じゃあ、ばはは〜い」
そして彼もそこから立ち去ろうとすると――
重昌「あとそれから・・・・・・って、もういないし」
彼は自分の自室に戻ると、何故か部屋の真ん中で正座している千雨がいた。
俯いている彼女は――
重昌「・・・・・・なんでここに千雨が?」
顔を上げた千雨は眉間をピクピクさせながら笑顔で答えた――
千雨「これはこれは重昌さん。遅いお帰りですが、一体何処に?」
重昌「えぇっと。千雨さn「なんでしょうか?」怒ってr「当たり前です!」」
彼女は怒っていた。
千雨「・・・・・・織斑君たちは・・・・・・自室に帰ったと聞いて。重昌さんだけ・・・・・・も、戻っで、ぎ、ぎでな゛、い゛・・・・・・・・・ど、どでだ、げ・・・・・・じんば、い゛じだ・・・ど(どれだけ心配したと)・・・・・・」
すると千雨は急に泣き出して、重昌は必死にあやす。
重昌「済まなかったな、心配かけて。私はそう簡単にやられる人間(たま)じゃないさ。そんな事より」
重昌は寝転がり、千雨の膝に頭を乗せる。
千雨「し、重昌さん――!?」
重昌「悪い。頭と体を限界まで使いすぎてもう限界なんだ」
彼はそのまま寝息をたてて寝てしまう。それに千雨はキョトンとしてしまうが――
千雨「――ホントにこの人は・・・・・・お疲れ様でした。重昌さん」
寝ている彼の頭を撫でて、千雨の一日は終わった。
説明 | ||
バイトと大学の講義で体力と時間を吸い取られていくぅ〜(^^; 書く暇も無くて苦戦中。しかも機械の戦闘ってどうやって書けばいのかww それでは( ^ω^)_凵 どうぞ |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1176 | 1089 | 3 |
タグ | ||
IS 鬼姫 新機出現 福音カッコイイよぉ福音 赤椿 | ||
キマグレの駄文製作者『IFZ』さんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |