武装神姫「tw×in」 第十七話
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「やぁ宗哉、何日ぶりだろうか」

「3日ぶりくらいかな」

神姫センターでの大会を明日に控えた今日、昨日電話のあったミルートの研究室を訪れていた。

「それにしても、電話で言ってたのは本当なのか? もう次が出来たって」

「まぁね、一人目が出来てからはそれの応用が効くから作業効率は上がるのさ」

「へー、それで、そのテストバトルをするんだね」

「そういうこと。早速始めよう……と、言いたいところなんだけど…」

ミルートはパソコンにつながったピンマイクを持ち、画面を見た。

「ルーフェ、まだ来てないのか?」

画面には一階の受付にいるルーフェが写っている。さっき会った時に話してたのはこれだったのか。

『まだだよー』

どうやらもう1人誰か呼んだみたいだ。

「そうか、付いたらここへ連れてきてくれ」

ピンマイクを置き、改めて向き直った。

「呼んだもう1人がまだ来てなくては、始める訳にもいかないのでね」

「じゃあ少しのんびりするか」

オレは四人を鞄の中から机の上へと動かした。

「おぉ、コレがあのアルトレーネ型か」

コナユキを見て、ミルートは顔を近づけた。

「初めましてなのです、コナユキといいます、なのです」

「うんうん、やはりアルトレーネ型だね。ボクの名前は冥王ミルート。ミルートで構わないよ」

「分かりましたなのです、ミルートさん」

「もうバトルはしたのかな?」

「うん、昨日天野とやって負けたけど、その後のは全部勝てたよ」

「マスター! ここはいったいなんなのです?」

コナユキは興味深げに研究室の中を見回している。

「ボクの研究室だよ。神姫の新たなる可能性を見つけ、いずれ神姫を創る人となるべく日夜研究に励んでいるボクのね」

自慢気に自らを語ったミルートの言葉を聞き、

「ふわぁ……とってもカッコイイのです!」

コナユキは目を輝かせていた。

「はっはっはっ、もっと褒めてくれていいよ」

「日夜って、平日は学校に行ってるでしょ」

スレイニのツッコミは2人には届かなかった。

「しかし、こうヒマだと何をしていいか……あ、そうだ、忘れていたよ」

何か思い出したミルートは、ぴっと指を立て、

「スレイニくん」

スレイニを指さした。

「へ? アタシですか?」

「この間に、キミに手伝ってもらいたいんだが」

「はぁ……変な事じゃなければいいですけど」

「決まりだね。その前に、キミ達に会わせたいものがいるんだ…………ミルル、いるかー」

ミルートが声をかけると、

「はいはーい、ここにいるよー」

研究室の奥から一人の神姫が現れた。

丸みを帯びたショートカットの青い髪に、赤い瞳。ボディはライダースーツを模したような彩りがされている。エストリル型の神姫だ。

神姫はミルートが拡げた手の上に乗っかった。

「紹介しよう、彼女はエストリル型のミルル。ボクの二人目の神姫だ」

「あー、この人が昨日ハカセの言ってた人だね」

ミルート、やっぱりハカセって呼ばせてるのか。

「へぇ……神姫を四人も、珍しい人だね」

ミルルはミルートの手から机に降りて、オレ達は自己紹介をした。

オレ、エンル、ルミア、コナユキの順で行き、

「アタシはスレイニ、よろしくね」

スレイニの順番になった時、

「え……、スレイニ?」

ミルルの目が丸くなった。

「そうだけど?」

スレイニが訊き返した。

瞬間、

「うわーーー! スレイニさん! 本物のスレイニさんだ!」

ミルルは目を輝かせてスレイニに見た。

「へ? えぇ?」

「スレイニさん、お知り合いだったのですか?」

「いや知らないわよ、エンルちゃんみたいに今自己紹介したじゃない」

確かに、エンルよりもスレイニと長く一緒にいるオレも初めて会うから、知ってる訳がないと思うけど。

どういう理由か訊ねるようにミルートの方を見ると、ミルートはパソコンを動かしながら呟いた。

「ミルルを起動したのは宗哉が前に来た次の日なんだけど、その日は今まで貯めたバトル映像を整理がてら見てたんだ。そんな時、ミルルはディスプレイに写る一人の神姫に目が行ってね」

「それが、スレイニ?」

「そうなんですよ!」

答えたのはミルル。

「あの速さ、スッゴい痺れました! やっぱバトルで重要なのはスピードっしょ!」

エストリル型には、速さに拘るという基本性格設定がされていて、ミルルも例に漏れずそうらしい。

スレイニはアーク型、ハイスピードトライク型だけあって速さは中々のもの、それに感激したんだな。

「スピードか……まぁ必要ではあるね、回避と共に相手の懐に飛び込むには、スピードと判断力が必要になるから」

「そうですよね! やっぱスピードがなくちゃ! バトルの勝敗なんかより、どっちが速いかですよ!」

「いや、勝敗は必要だけど」

「名前にハイスピードと入ってるスレイニさんは、まさにスピードのようです!」

「スピードのようって……褒められてるか微妙なところね」

ミルルのハイテンションにも、スレイニは変わらずクールに接している。

「で、ミルルを紹介した理由は?」

「さっきも言ったけど、ミルルはまだ起動して間もなくてね、バトル経験が少ないんだ。だから憧れのスレイニくんと勝負させてあげたいんだよね」

「なるほど、そういうことらしいけど、どうする? スレイニ」

「別に良いですよ。コナユキの勉強にもなるでしょうし」

「決まりだね。ミルル、バトルの準備するよ」

「ちょ、ハカセマジ!? スレイニさんとバトル出来んの!?」

スレイニの近くにいたミルルはミルートの肩の上へ飛び乗った。

その間、僅か数秒。

「ミルルさん速いですね……」

「さすがはスピードを重視してるだけあるわね」

「わたし達も負けてませんよ!」

「わたしもなのです!」

ミルルに対抗してルミアとコナユキもオレの肩の上に飛び乗ろうと駆け出した。

「とうっ!」

ルミアはかけ声と共に飛び乗ったが、

「はわわ!?」

コナユキはすっ転……びそうになって立て直していた。

「はいはーい、三人は静かに見学しててねー」

全てスルーし、スレイニは三人に指示を出しつつ、鞄の中へ自らの武装を取りに入っていった。

 

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Ride on!

 

 

フィールドはコロシアム。その名の通り神姫バトルにおいて最もポピュラーなフィールドだ。

特徴を言えば、円状の場所に、中心に大きな像が上から吊るされているところだろう。

ミルートのところにある筐体は様々なフィールドに設定出来るらしく、必ず神姫実験場になるとは限らないらしい。

「で、どうしますかマスター? 相手は新米も良いところですけど、本気でやっても?」

『うん、ミルートも手加減はいらないって言ってたからね』

その為にスレイニの武器も主力で固めてある。

小剣:フォールディングナイフ

ハンドガン:OS―35 Aライフル

ランチャー:スーパーシルバーストーン

「お、相手が見えましたよ」

少し先に、ミルルを見つけた。

『あの姿は……』

「知ってるんですかマスター、あのウサギっぽいの」

『うん、スレイニ、どうやらあっちも完全武装みたいだよ』

「あのウサギがですか?」

ミルルはエストリル型の武装を身に付けていた。

ヘッド、ボディ、レッグと、リアパーツ、アクセサリーまでついている。

スレイニがウサギと言っているのは、そのヘッド:EVFラヴィ・ツインカム ウサギ耳のようなヘルメットだ。

「ひょっとして、条件が揃ってるんですか?」

『多分ね、エストリル型は武器も必要だから断定は出来ないよ』

「へぇ、アタシと似てるんですね」

スレイニも固有レールアクションを使う為に、武装とアクセサリーの他、武器のスーパーシルバーストーンが必要になる。

ミルートのことだから、それ一つだけ持ってないということはないだろう。

「くーーーっ! あのスレイニさんとバトル! 感激ですよ!」

「な、なんか、あそこまで言われると……」

『照れる?』

「あ、そうだ今マスターとライドオンしてるから……い、いや違いますからね? べ、別に照れてなんていませんからね!?」

『うん、分かってるよ』

「でもぶっちゃけバトルよりスピードで勝負したいですけどね!」

ミルルはかなりエストリル型の基本性格設定に忠実みたいだ。

「さぁハカセ! 速く始めましょう!」

ミルルが言うと、開始のアナウンスが流れ始めた。

 

 

Ready………Go!

 

 

「先手必勝!」

開始早々、ミルルが仕掛けた。

放ったのは、ミサイル:ピーハイヴ

ミサイルの中でも数が多い多段頭ミサイルがスレイニへ向け飛んできた。

「甘い!」

スレイニは前へと走り、ミサイルがぶつかる寸前に前へターン、ミサイルは後ろに着弾した。

「まだまだ!」

ミルルはレールアクションの構えを取った。移動した先でミサイルを放ち、また移動した先で再びミサイルを放つ。『ATK:ミサイル』だ。

先ほどの倍のミサイルがスレイニに迫る。

「やっぱり初心者だね、こんな見え見えの攻撃!」

スレイニはターンを使わず、ステップを器用に使って全てのミサイルを避けてしまった。

「今度はこっちから攻めるよ、行くよマスター!」

 

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「tw×in」 BattleMasters 武装神姫 

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