英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 388
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〜ル=ロックル訓練所〜

 

「うわ……話には聞いていたけどさすがにこれは驚かされるわね。」

「これが”異界”か…………」

次の”星層”へと続く転位陣の前まで仲間達と共に来たエステルとアドルは周囲の様子を見回して驚いていた。

「………で、こっちの魔法陣が次の”星層”への入口ってわけね。」

「はい………”第五星層”に相当するかと。”影の王”曰く『本格的な遊戯盤』との事です。」

「うーん、その言葉から聞く限りかなりハードな場所になりそうね。覚悟して行くとしますか。」

「そうだね。始めよう、”冒険”を。」

リースの言葉を聞いたエステルは考え込んだ後、気を取り直して呟き、アドルも頷いた後、興味深々な様子で転位陣を見つめていた。

「………ええ……………………」

「ん?リースさん、どうしたの?」

「………エステルさん、アドルさん。どうしてわざわざ同行を申し出たのですか?」

「えっ………」

「どういう意味なのかな?」

リースの疑問を聞いたエステルは驚き、アドルは不思議そうな表情で尋ねた。

「この状況で、あなた達があえて同行する理由は無い筈。なのにあなた達の瞳は決意と確信、そして希望に満ちています。理由を聞いてもよろしいでしょうか?」

「そ、そんな大層な理由があるわけじゃないんだけど………うーん、そうね………あえて言うならあたしは恩返しってところかな?」

「………恩返し?」

「聞いてるかもしれないけどあたし、ケビンさんにはずいぶんお世話になったんだ。色んなところで助けてもらったし、何よりもヨシュアの抱えていた問題を解決する手助けをしてくれたし。そのケビンさんが大変な今、出来る事って何かなって思って………それでリースさんの手伝いが出来たらなって思ったの。」

「ふふ、あんたらしいわね。」

エステルの答えを聞いたシェラザードは微笑んでエステルを見つめていた。

「で、ですが………どうしてケビンへの恩返しが私の手伝いに繋がるのでしょう?」

一方リースは戸惑った様子で尋ねた。

「え、だって………リースさんって、ケビンさんの大切な人なんでしょう?」

「……………え”。」

そしてエステルの推測を聞いたリースは呆けた後、普段は出さないような呆けた声を出した。

 

「あ、別に恋人とか言ってるわけじゃなくて…………話を聞いてて、家族なんだなって感じがしたんだけど………違った?」

「………勘違いだと思います。私とケビンは、5年近くもずっと会っていませんでした。今回の件で久しぶりに顔を合わせたくらいで………もう………縁が切れかけているのでしょう。」

エステルの疑問を聞いたリースは表情をわずかに暗くして答えた後、寂しげな笑みを浮かべた。

「あはは、それは無いって。」

「え……………」

「『縁は深まれば絆となり絆は決して切れることはない。遠く離れようと、立場を違えようと何らかの形で存在し続ける。』―――とある調子のいいオジサンの言葉なんだけどね。でも割と、真実をついた言葉じゃないかと思うんだ。」

「……いい言葉だね。」

「………………………………」

エステルの言葉を聞いたアドルは優しい微笑みを浮かべ、リースは黙って聞いていた。

「ケビンさん、何の迷いもなくリースさんに後を託してたじゃない?それにリースさんもケビンさんがどうするつもりなのかわかっているような口ぶりだったから。うん、それってやっぱり絆だと思うな。」

「………………………………よく、わかりません。ですが、エステルさんが同行する理由は納得しました。………ちなみにアドルさんはどのような理由なのですか?」

「うーん、僕の場合はこういう状況は今更だから慣れているし、それに何より…………未知なる土地の”冒険”…………それこそが”冒険家”たる僕の理由だよ。」

「なるほど………2人とも改めて………どうかよろしくお願いします。」

エステルとアドルの理由を聞いたリースは頷いた後、微笑んで2人を見つめた。

「ああ、よろしく。」

「あはは………うん、こちらこそ!………あ。そういえば、アドルさん。一つ聞きたかった事があるんだけど、いいかな?」

「ん?なんだい?」

「アドルさんの本命の女性って結局誰なの??」

「え”。…………………ど、どういう意味だい?」

エステルの疑問を聞いたアドルは表情を引き攣らせて呆けた声を出し、尋ねた。

「だって、アドルさん、冒険する土地ごとに色んな女の人達と親しくなっているじゃない。あたしはやっぱりフィーナかなと思っているけど、実際の所はどうなのかな?リリアやオルハ、ティアやリーザも考えられるし、もしかしてアドルさんの相棒―――ドギって人の幼馴染のエレナって人?」

「あ、あはは……さすがにそれはありえないよ。僕みたいな根無し草を慕う女性なんていないと思うし。(す、鋭い………!)」

エステルの推測を聞いたアドルは無意識に自分が装備している”フィーナの指輪”の手を盾の中に隠して、冷や汗をかきながら苦笑していた。

「フフ……………それともう一つ。エステルさん自身のことで少々、お聞きしたいことが。」

エステルとアドルの会話を微笑ましそうに見つめていたリースは静かな笑みでエステルを見つめた。

「あたしのこと?うん、良い機会だし何だって聞いて欲しいかな。」

「それでは………『お人好し』ってよく言われませんか?」

「へっ……」

「はは………僕もそんな風に言われた事あるよ。」

リースの疑問を聞いたエステルは呆けた声を出し、アドルは微笑んで頷き

「フフ………」

「まあ、そうだよね。」

「うむ。それでこそエステルだからな。」

シェラザードは微笑み、エヴリーヌとリフィアはそれぞれ頷いた。

「ちょ、ちょっと!なんでそこで笑ったり納得しているわけ!?」

一方エステルはジト目で仲間達を睨んだ。

「………なるほど。聞くまでもありませんでしたか。」

「も、もう………それで納得しないでよ。まあいいや、早く中に入って”第五星層”に行きましょ!」

「ええ、了解しました。」

そしてリース達は転位陣の中に入って、転位した。

 

〜第五星層・光迷宮〜

 

「これって………」

「やはり………異空間のようですね。」

第五星層に到着し、周囲の様子を見たエステルは驚き、リースは冷静な様子で判断した。

「大理石で作られた次元の狭間にある迷宮……そんな所でしょうか。」

「そうだね。それに見た所構造も複雑そうだ。」

「気合を入れて挑む必要がありそうね。」

リースの言葉にアドルとエステルはそれぞれ頷いた。

「ええ……………この気配は………!」

2人の言葉にリースが頷いたその時、何かの気配を察したリースは真剣な表情になった。

「え………」

「………どうやら早速来たみたいだね………」

リースの言葉にエステルは呆け、戦いの気配を感じ取ったアドルは剣と盾を構えた。するとリース達の目の前に妖しげな光陣が現れた!

「なっ………!?」

「来たわね………!

それを見たエステルは驚き、シェラザードは叫んだ。すると光陣からは今まで見た事のない悪魔が現れ

「!ほう………?」

「………雑魚の癖に考えているね。」

何かに気付いたリフィアとエヴリーヌが呟いたその時、蜘蛛のような姿をした魔物が空から降って来て、リース達を包囲した!

「夢魔と夢蜘蛛……………人の夢を喰い荒らし、悪夢を運んでくる者とも………!」

「これが”悪魔”とこの世界の”魔物”か………!」

「なんかいきなり手強いのが現れたみたいね………まあいいわ。遠慮なくぶっ飛ばしてあげる!」

リースの説明を聞いたアドルは警戒した様子で呟き、エステルは溜息を吐いた後、気を取り直した。そしてリース達は戦闘を開始した!

 

「戦意よ、芽生えよ!大いなる戦意の祝福!!」

戦闘開始早々シェラザードは魔術で味方全体の身体能力を上げた!

「「「「………………」」」」

一方蜘蛛の魔物達は一度に襲い掛かって来た!

「ハッ!そこっ!セイヤ――ッ!!」

しかしアドルがクラフト―――回転乱舞を放って敵達を怯ませ

「ハァァァァァ……………旋雷輪!!」

その隙をつくかのようにエステルがクラフトを放って、吹っ飛ばした!

「…………………」

一方夢魔の悪魔はリースに何かの煙を放った!

「行きます………!光弾!!」

しかしリースは魔術を放って、敵の攻撃を相殺し

「出でよ、ソロモンの魔槍!死愛の魔槍!!」

リフィアが魔術を放って、夢魔の悪魔を滅した!

「「「「………………」」」」

一方エステルによって吹っ飛ばされた敵達は再び襲い掛かろうとしたが

「轟け!轟雷!!」

「凍っちゃえばぁっ!氷垢螺の吹雪!!」

シェラザードとエヴリーヌが放った魔術によって麻痺や凍結になってしまい、動きが制限されてしまい

「浄化の焔よ!光焔!!」

そこにリースが聖なる焔で攻撃する魔術―――光焔を放って、重傷を負わせ

「そこっ!!」

「止めだ!ソニックスライド!!」

「ハァァァァ………せいっ!!」

シェラザード、アドル、エステルがクラフトを放って止めを刺した!

 

「………何とか、退けましたか。」

「はあ、さすがに一筋縄じゃいかなかったわね。」

「今のが話に出てた『悪魔』や『魔物』でいいのかな?」

戦闘が終了し、仲間達と共に武器を収めたリースとエステルは安堵の溜息を吐き、アドルは尋ねた。

「ええ、その亜種である『夢魔』という存在です。伝承通り、精神攻撃に長けた者達のようですね。」

「やっかりな連中ね………」

「フム。ティナ様もつれてくるべきだったかもしれんな………」

「ん。ティナはティア以上の治癒術師だしね。」

リースの説明を聞いたエステルとリフィアは考え込み、エヴリーヌはリフィアの言葉に頷いた。

「近くに石碑もあるようだし、道具や装備を確認してから行ったほうがいいみたいだね。」

「ええ。」

そしてアドルの意見にリースは頷いた。そしてリース達がしばらく探索を続けると封印石を見つけた。

 

「これは………」

「へえ………やたらと綺麗な宝石ね。七耀石か何かかしら。」

「僕も今まで見た事のない宝石だな………一体何なんだろう?」

封印石を手に入れたリースは驚き、エステルとアドルは興味ありげな様子で封印石を見つめていた。

「いえ………これは”封印石”です。エステルさんとアドルさんもこの石の中に封じ込められていました。」

「そ、そうなの?」

「ということはその中に誰かが入っているわけか………」

リースの説明を聞いたエステルは驚き、アドルは考え込んだ。

「ええ、間違いありません。どなたか心当たりは?」

「う、うーん………」

「まだ解放されていないリウイ達やセリカの可能性もあるが、やはり可能性が一番高いのはエクリアやイリーナ様だろうな。ヨシュア達の話では次の”星層”に最後の”使徒”や闇を照らす”聖なる妃”が解放されるという話だったそうだしな。」

「えー………イリーナはともかく、フェミリンスの力を強く受け継ぐあいつは大嫌いだからあんまり会いたくないんだけど。…………それよりレンやセオビットが早く出て来てほしいよ。あの2人といると楽しいし。」

リースに尋ねられたエステルは考え込み、リフィアの推測を聞いたエヴリーヌは嫌そうな表情をした。

「………………今までの話を聞いて感じましたがエリィさんの姉上は突然の出来事でありながらメンフィルの皆さんに慕われ、皇妃として受け入れられているようですね。」

「む?なぜ、お前がイリーナ様の妹君の事を…………?」

リースの言葉を聞いたリフィアは驚いた後、リースを見つめて尋ねた。

「エリィさんがアルテリアに留学していた時、共に学んでいた学友で、その時に教えてもらいましたので。」

「ほう。イリーナ様の本当の出身の事は基本関係者以外機密扱いにしていたが、その件を知っているという事はよほど信頼されているのだな。」

「ええ。………それにしてもエリィさん、リウイ陛下の事をどうお呼びすべきか随分悩んでいましたよ?」

「お兄ちゃんの?なんでまた。」

「そりゃ、あの”覇王”が義兄になるんだから、誰だって悩むに決まっていますよ………」

リースの話を聞いたエヴリーヌは首を傾げ、シェラザードは苦笑しながら答えた。

「あはは……まあ、あたしなんか呼び捨て扱いだけどね。」

「………いずれにしても一度”拠点”に戻った方がよさそうだね。」

一方エステルは苦笑し、そしてアドルは庭園に戻る事を提案した。

 

その後リース達は封印石を解放する為に庭園に戻った……………

 

 

 

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次回はいよいよ5章のキャラが解放されます♪………感想お待ちしております。

 

 

説明
第388話
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コメント
感想ありがとうございます。次回の仲間は驚くべきキャラです♪(sorano)
エステルはやっぱり相変わらずですねw アドル、感付かれるなよ(ニヤリ) さぁて次回のお仲間はw?(本郷 刃)
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