IS x 龍騎?鏡の戦士達 Vent 32: 争奪戦と助け合い |
ゴーレム出現の騒ぎから数日後、数馬が一年一組に入って来た。当然これは波乱を呼んだ。ISを使える男がまた一人増えた為、世界中の男達の希望が増えたのだ。だが、女性に取ってはこれはまたと無い凶報であり、自分達の立ち場を根底からひっくり返す可能性のある邪魔者が増えただけである。そして彼がAD・VeX7に保護されている事がよりいっそう『始末』をやり難くさせているのだ。そんなある日、当然ながら男子三人を独り占めにしていると言うクレームが一組に来たので、全員が講堂に集められた。
「嫌な予感がするのは俺だけだろうか・・・?」
「いや、気のせいではない筈だ。楯無の事だ、きっと何かを仕掛けて来る。間違い無い。」
全員が集まった所で、楯無が現れた。
「はーい、みんなおはよう。生徒会長の更識楯無よ。みんな知ってると思うけど、この学園には今で合計三人の男子がいます。一組だけに全員が集結していると言う不満の声も少なからずある事も分かっているわ。そこで、」
垂れ幕が下がって、大文字でこう書かれていた。
『IS学園男子争奪戦』
「今月の文化祭で、人気投票トップ3を勝ち取った部活には一人ずつ強制入部させまちゃいまーす!順位の高い方から好きに選ばせてあげるわよ!」
「予感的中だな、一夏。」
「数馬、出来るだけ直ぐに馴れとけ、ここはそう言う所だ。」
周りが活気づく中、一夏は左腰のホルスターからリボルバーを引き抜き、引き金を引いた。途端に、辺りは水を打った様に静まり返り、司狼を筆頭に一夏、マドカ、森次、数馬が海を割るモーゼの如く人込みの間に開いた道を歩いて行き、全員が楯無の周りに立った。
「流石にそれは黙認出来ないな。俺達は賞品扱いされたくはない。何の相談も無しにやるなら尚更だ。少しは他人の気持ちを考えたらどうだ?」
一夏はリボルバーを構えたまま淡々と言い放つ。右腕からは黄色のプラズマブレードが伸びている。
「生徒会長であり、ロシア代表であるとは言え、勝手にも程があるぞ。兄さんを賞品にする等・・・万死に値する。」
マドカも袖に仕込んである小型の銃を彼女に向けた。
「ロシアとは現在友好な関係を築いているんだ、お前一人の気紛れなお遊びの為にそれを潰されちゃ叶わない。今のは取り消してもらいたい。ボスは、誰にも従わないからな。」
森次もワイヤーを伸ばしていつでも攻撃出来る様に構える。その様子に全生徒が息を飲んだ。楯無もこれは旗色が悪いと見えるのか、冷や汗が一粒額から流れ落ちた。彼が本気で自分を生徒達の目の前であろうと殺す事も辞さないと悟ったのだ。探ろうとしたが全く何も掴めない、そして簡単に倒せる様な相手では無いと言う事も・・・・・
「俺の部下は互いの事となると我慢が利かなくてな。俺も一応は世界に喧嘩を売った当人だ。そんなお遊びにかまけている余裕も暇も無い。それに、文化祭の最中に何かが起こってみろ、余計に問題が増えて困るのはそっちだぞ?こっちは無理矢理参加させられたと委員会の定時報告に書き加えれば、其れこそ只じゃ済まない。責任を問われるのはお前だ。協力関係にあると言う事と、都合良く利用されると言う事は、全く違う。それを忘れるな。お前ら、武器をしまえ。コイツを殺したらそれこそ問題が悪化する。」
司狼の指示で皆は静かに得物を納めると、全員が下に降りた。
「って言うのは冗談で、まあ、別に部活に入る事自体は構わないけど、どこに入るかは俺達が決める。クレームがあろうと一切無視するから。やりたくもない事をやらされても、意味は無いしな。その条件を呑めると言う人達だけ、挙手して。」
先程の行動に有無を言わせぬ威圧感を感じたのか、殆どの生徒が手を挙げた。
「はい、ご協力ありがとう。代わりと言っちゃ何だけど、この企画書あげるから。俺達の計画してる事。これをやらせてくれたら、それなりのお礼はする。それじゃ、これにて失礼。」
そして放課後、部屋に戻ると、一夏、弾、数馬は先程の出来事について話していた。
「全く、散々な目に遭った。」
「確かにそれはちょっとやり過ぎだな。幾ら俺達と同じライダーとは言え、あれは頂けないぜ。」
キイィイィイイイィイイイイ・・・・・・
「お、丁度ミラーモンスターがいるみたいだから、あいつストレス発散しようぜ。」
「弾、お前はこの間エビルダイバーに食わせたろ?今回は俺達がやるよ。」
「ちぇっ・・・・分かったよ。気を付けろよ?」
「俺がいるから大丈夫だ。」
「「変身!」」
ハイヴとナイトはミラーワールドに入ると、そこでデッドリマーとゲルニュートが丁度捕食を終えた頃なのか、逃げようとしていた。
「逃がさないっての。」
『シュートベント』
スティンガーアローで足を撃ち抜き、機動力を奪った。
「数馬、お前のファイナルベント、見せてくれるか?」
「オッケー。」
『ファイナルベント』
バズスティンガー達が突如として現れ、ある物はニードル、ある物は剣で突き、切り裂き、他は全員矢を放った。スティングバイザーを連結させると、それを振り回しながら超高速で接近し、デッドリマーとゲルニュートをバラバラに切り裂いた。この容赦無きファイナルベントの名は、『レギオンズ・アサルト』。
「おお、カッコいい?♪」
一夏がおどけてみせる。だが、後ろに気配を感じて振り向いた。そこにいたのは、左手にはギガアーマーを持ち、右手にはマグナバイザーを構えてゼブラスカル・ブロンズと戦っているゾルダだった。
「ゾルダ・・・・!」
「ゾルダ?」
「あのライダーの名前だよ。そう言えば司狼さんオーディンにデッキを渡す様に言われたんだっけか?」
「オーディン?ああ、俺にデッキを渡したあいつか・・・?」
「((ゾルダ|あいつ))の正体は分からないが一応、助けてやるか?」
「うん。敢えて言葉を借りるなら、ライダーは、」
「「助け合いでしょ?」」
ゼブラスカル・ブロンズの刃がゾルダに襲いかかろうとした所で、
『アドベント』
ダークウィングがゼブラスカルに突撃し、柱に叩き付けた。
「どうも、どなたか知らないけど、一応助けに来た。」
『ソードベント』
「見た所ライダーになったばっかりらしいけど、大丈夫か?」
ウィングランサーを肩に担いでナイトはそう聞いた。
「は、はい・・・・・その声・・・・・まさか織斑君ですか?!」
「え・・・・や、山田先生!?」
一夏はまさかと思った。だが、言動、そしてその動き。間違い無く一年一組副担任の山田真耶だった。慌ただしくテンパる仮面ライダー。想像すると中々にシュールな光景だ。
「まあ、兎に角、ここは僕達がやりますから。そこから援護射撃お願いします。数馬、あいつぶっ倒して馬刺にするぞ。」
「絶対マズイからやめとけ。ぶっ倒すのは変わらないけどさ。」
『ソードベント』
ハイヴの右手に鋭く長大なレイピア、スティンガー・サーブルが現れ、左手に連結させたスティングバイザーを持ってナイトと並んで向かって行く。流石に三対一と言う多勢に無勢では叶わないと見たのか、全身のパーツを外して二人の攻撃を回避した。そのままどこかへ逃亡して消えようとしたが、
『シュートベント』
砲声が鳴り響き、ギガランチャーから放たれた砲弾がゼブラスカル・ブロンズの胴体を直撃し、絶命させた。
「ふう・・・・」
「山田先生、以外にパワフルですね。それ結構重いんですよ?」
「え、あ、それは、その・・・・・あははははは・・・・」
「話、聞かせてくれますよね?」
彼女が言うには、数日前にヴォルフと名乗るライダーが彼女にデッキを渡し、世界を元に戻す為に戦って欲しいと頼んで来たのを承諾して今に至るそうだ。だが、候補生止まりとは言え、モンスターを相手にするのは不慣れらしく、最近はやられっぱなしになっている。
「そうですか・・・・まあ、何はともあれ、無事で良かったです。先生が味方なら心強いですし。な、数馬?」
「ああ。先生ならISバトルとは違うとは言え、戦闘経験は俺よりは豊富だからな。これからもよろしく、山田先生。後、俺達以外にもライダーはかなりいるから、間違っても攻撃しない様に。幾ら先生が経験豊富とは言え、上には上がいますし。」
「は、はい!」
「しかし、まさかウチの先生がライダーとはな。予想外だったぜ。」
「まあ、あの人の強さは水準以上だぞ。代表候補生二人を量産機でぶっ倒したからな。」
「へー。そいつは凄いな。あ、俺そろそろまた戻らなきゃならない。香川さんに新しい武器組み込んでもらうんだ。」
「新しい武器?確かお前の専用機のヴェスパインって高機動の万能型だろ?」
「ああ。飛行速度は今のウィングナイトサバイブとほぼ同じ位だそうだ。今で一応、基本装備のスティングバイザー、弾道ミサイル『スティンガー』、ウィングバインダーの一部が変形するブーメランのゼブルウィング。それ以外は、ビームソードにもなるワスプグラディウス二本とスティンガーアローで・・・・今度は確かアタッチメントで用途が変わる銃器らしい。基本はハンドガンで、アサルトライフルからグレネードランチャーまで幅広く出来るとか。アドベントシステムも完全には組み込まれてないから、全面的に使用許可が降りるまでまだ時間が掛かるらしい。」
「へえ・・・・まあでも、これでお前も晴れて自由国籍持ちのテストパイロットの仲間入りだな。これからもよろしくな。」
「こちらこそ、先輩。」
二人は拳を軽く打ち合わせて笑った。
説明 | ||
更に飛ばして文化祭です。そしてゾルダの正体は・・・? | ||
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コメント | ||
タイガは・・・・そうですねえ・・・・・誰にしちゃいましょうか・・・・・・(i-pod男) 真耶・・・だと・・・!?オレはトンデモねぇ思い違いをしていたらしい・・・ん?じゃあタイガは誰の手に・・・・・・分からない・・・OTL(デーモン赤ペン) |
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