恋姫外史終章・いつまでも一刀第17話 |
「久しぶりだな、詠」
詠の部屋の扉を開けて現れた華雄。
「あ、あんた・・・・・・」
平然と入ってきた来訪者に詠は一瞬呆けに取られたが、すぐさま怒りの形相になり、
「いままで何やってたあああああ!!」
机をドン!と叩きながら華雄に向かって吠えた。
振動で机の上に置いてあった物がバラバラと落ちる。
「まあ落ち着け詠。私だって遊んでいた訳じゃないんだ」
「なら言ってみなさいよ!僕達が死ぬほど忙しかったこの一ヶ月、いったい何をやっていたのかを!!」
「分かった分かった。実はな・・・・・・」
詠をなだめながら、華雄は嘘混じりの説明をはじめたのだった・・・・・・
「へ〜〜・・・・・・そんな事があったんだ。それは大変だったわね〜〜・・・・・・」
台詞とは裏腹に、詠の顔には青筋がいくつも浮かんでいた。
「納得してくれたか?」
「ええ、勿論・・・・・・なんて、言うと思った?」
ぶちっと、青筋の一つが切れた。
「ふざけてんじゃないわよ!妖術使いに連れ去られて、訳の分からない場所に閉じ込められたあげくに抜け出すのに一ヶ月もかかっただあ!?」
全て嘘で塗り固めるよりは、いくらか真実を交えたほうがよいのではないかと思い、華雄はそう説明したのだった。
「別にふざけてる訳ではないのだが・・・・・・」
「そんなアホな話を信じるとでも思ってんの!?」
「事実なのだから仕方ないだろう」
腕を組み、憮然と言う華雄。
「ぜえ、ぜえ・・・・・・」
大声で叫び続けたため、息を弾ませる詠。
「も、もういい。あんたが何をしてたかについては後回しにするわ。それで、あんた以外の人間はどうしたの?」
「私以外?」
「袁術、それと北郷一刀とかいう奴の事よ。袁紹陣営と袁術陣営から捜索願いが出されてるんだけど・・・・・・」
「ふむ・・・・・・」
華雄はあごに手を当てて考えた。
このまま一刀たちがここにいる事を言ってもいいものかと。
「いや、残念だが知らないな」
華雄は一刀たちがいる事を隠す事にした。
今ここに一刀たちを呼んだとして、打ち合わせもしていないのに詠と会話をしてはボロを出す可能性が高い。
ましてや、美羽が起きたとしたら更に厄介な事になる。
ここは誰にも知られず脱出してもらうのがいいだろうと、華雄は結論づけた。
「そう・・・・・・とにかく、帰ってきた以上はきっちり働いてもらうからね!!」
「了解だ。だが、今日の所は休ませてもらっていいか?」
「ん・・・・・・仕方ないわね。だったら明日から頑張ってちょうだい」
「ああ・・・・・・」
そう言って華雄は詠に背中を向けて歩き出すが、ふと足を止める。
「その前に詠、この一ヶ月で、私達はどんな状況になっているんだ?」
「・・・・・・明日話すわ。今日は早く休みなさい」
「・・・・・・分かった」
本当はちゃんと聞きたかった華雄だったが、どうもそう言い出せる雰囲気ではないので、そのまま退室したのだった・・・・・・
「つまり、現状は分からずじまいって事か?」
戻ってきた華雄と、一刀はかがんで話し合っていた。
「すまん。朝になれば聞き出せると思うんだが・・・・・・」
「いい。とりあえず何かめんどくさい事になってるっぽいのは分かったから。とにかく、一刻も早く麗羽んとこ戻ったほうが良さそうだ」
「だが、どうやってここを出る?」
「簡単だ。お前に協力してもらえばな」
一刀はそう言うと、脱出方法を華雄に耳打ちするのだった・・・・・・
「よし!準備OKだ!やっていいぞ」
一刀はそう言うと、華雄に向かって左手を伸ばした。
一刀はマントを身に着けており、靴は脱いで裸足。また、美羽は一刀の後ろではなく、一刀と向かい合うように前のほうに縛り付けられていた。
「ZZZ・・・・・・」
随分動かされているにも関わらず、美羽はいまだに寝ていた。
「本当に上手くいくのか?」
「大丈夫だ、何とかなる。そんじゃ華雄。こっちで何かあったらすぐに教えてくれよ。いつでも駆けつけるからな」
「あ、ああ。それじゃあ行くぞ」
華雄はそう言って一刀の左手を両手でつかむと、
ブン!・・・・・・ブン!・・・・・・
高速で回転し始めた。
「んん・・・・・・何じゃあ?」
音と揺れ、身体に感じる風の冷たさにさすがの美羽も目を覚ましたようだ。
そして
ブンブンブン!
「はああ!!」
華雄は遠心力を利用して、空高く一刀たちを投げ飛ばしたのだった・・・・・・
「ひええええ!何がどうなっておるのじゃあ!?」
状況が分からずじたばたする美羽。
その間にも投げ飛ばされた一刀たちはグングン上昇していく。
「美羽!死にたくなかったらじたばたすんな!!」
「ぴいっ!」
一刀の怒声に硬直する美羽。
そして上昇も止まりそうになってきた時、
「今だ!」
一刀はマントを外し両手、そして両足の指に挟んだ。
マントが風を受けてバッと限界まで開く。
「秘技!マントマリオ飛行術!!」
一刀は風に乗り、そのまま滑空し始めたのだった・・・・・・
「ふう・・・・・・何とか成功したな」
一刀は地上を見下ろしながらそう言った。
「と、飛んでおるのか?」
美羽も信じられないといった様子で地上を見下ろしている。
「ああ・・・・・・っと、悪い美羽。怒鳴っちまって・・・・・・」
「う、うむ。まあ、おぬしには色々助けてもらった訳じゃし、今回は許してやってもよい・・・・・・のじゃが、のう?」
「ん?」
「そちの名前は何と言ったかのう?」
「北郷一刀だけど?」
「では一刀。どうしてわらわの真名を知っておるのじゃ?」
「・・・・・・あ」
どうやら飛ぶ事に無我夢中になっており、気づかないうちに美羽を普通の名前で呼ぶのを忘れていたようだ。
「ええと、つまりその・・・・・・すまん」
「いや、真名を呼ぶ事自体は良いのじゃ。さっきも言ったとおりさんざん助けてもらった訳じゃし、何というか、おぬしとは初めて会った気がしないしのう。ただ、どうして知っていたのかが知りたいのじゃが・・・・・・」
「・・・・・・」
まさか前の外史の話などする訳にもいかず、一刀はこう答えた。
「・・・・・・麗羽から聞いた」
ピシッ!
瞬間、美羽の表情が凍りついた。
「か、一刀。おぬし、姉さまの何なのじゃ・・・・・・?」
「・・・・・・男・・・・・・かなあ?」
実際は麗羽が一刀の女の一人なのだが。
「いや、それは嘘じゃろ?麗羽姉さまは男に興味はなかったはず・・・・・・」
「そう言われても、事実なんだから仕方ない」
「・・・・・・本当なのかえ?」
「おう」
・・・・・・
「と、言う事は、おぬしが今向かっておるのは・・・・・・」
「麗羽のところだな」
サーーーーー・・・・・・
美羽の顔から血の気が引いていった。
「お、降ろすのじゃ!わらわは姉さまに会いとうない!!」
「こ、こら!暴れるな!落ちるぞ!!」
「嫌じゃああああああ!!」
暴れる美羽に、落ちないよう必死でバランスを取る一刀。
こうして
二人はヨタヨタと
夜空を飛んでいったのだった・・・・・・
どうも、アキナスです。
洛陽脱出に成功した一刀君ですが、帰ったら帰ったで衝撃の事実が待ち受けてるわけです。
まあ、他にも色々ありそうな予感がしますがね・・・・・・
とりあえず次回に・・・・・・
「魔性!般若パワー!!」
・・・・・・知らないよな。魔肖○ロなんて・・・・・・
説明 | ||
話は戻って、詠の部屋へ入って行った華雄ですが・・・・・・ | ||
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コメント | ||
きまおさん:おお、そっちつながりですか・・・・・・(アキナス) きたさん:今日は、ハンバーガーが飛びます・・・・・・飛びませんね(アキナス) 福音の魔弾さん:飛んでます。着地に成功するかどうかは分かりませんが・・・・・・(アキナス) 欠陥製品さん:マントマリオは強すぎだと思います・・・・・・(アキナス) 本郷 刃さん:魔女の宅急便とか、マクロスプラスみたいな飛び方もしてみたいですね・・・・・・(アキナス) じゃあドラキュロスを知っている俺はなんなんだろう・・・w(きまお) とびます・とびます! ジローさん! ふ、ふるい?(きたさん) 飛んじゃったよww(福音の魔弾) まさかの飛行術ww(欠陥製品) いや〜男の夢の一つですよね〜、空中飛行ってwww(本郷 刃) |
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