中に切り込めば粘り強く凌がれ、その間に”地合”を広げられてしまった　この局は　私の負けか・・・

「ん・・・完敗だな　この局は」

「通算１勝２敗か　冥琳相手に一勝出来たのは大きいかな」

「おいおい　謙遜しなくていい　こちらは２勝できてはいるが、薄氷の勝利だし戦略も申し分ない

　我らの知らない手跡を打たれるからな　新たな発見にこちらも勉強になる」

「そう言ってもらえると光栄だよ　紅さんや穏、琥珀とはしないの？」

「ん？よくやるぞ？　軍略の手筋や癖を見るには碁や象棋は楽なのでな

　まぁ穏は防御はいいんだが・・・攻撃に難がありすぎる」

「琥珀は北郷と同じように時折面白い手を打つな」

「紅は手の読み合いで疲れる・・・」

「王林・・・張昭殿なんだが、打ち筋は正統派なんで楽しいんだが・・・

　張昭殿自身の性格に癖がありすぎて・・・疲れるのだよ　これがまた」

「今は蓮華様（孫権）付きだから会うこともないがな　そのうち嫌というほど会うことになるさ」

つぎつぎと冥琳の愚痴が炸裂して止まらなくなっていた

「紅さんのお姉さんですか・・・興味はありますが・・・

　（なんだろうこのゾクッとする感じは・・・知ってはいけないものを知ってしまった感が・・・）」

「ﾊｯ　ｸﾁｭﾝ　」

「あら？子布　風邪？」

「はっはっは〜　この妾が風邪？　お嬢ご冗談を」

「そっ　そうよね・・・」

「ささっ　それより気合入れて仕事に励みますぞぉ〜　冥琳には負けてられないさね！」　

「・・・そっ　そうね・・・続けましょう・・・」

と張昭こと王林さんの迫力に、終始押され気味の蓮華さんでありました

「・・・ちなみに雪蓮は？」

「慣れだな」

と((鰾膠無|にべな))く切り捨てる冥琳さんですた・・・・

将棋のルール・駒の配置・動かし方を解説しつつ試し打ち数回が終わった頃

「そういえば北郷　先程私と会った時探していたと言ったが、用とはなんだったのだ？」

「ん？　用という程のものでもないんだけどさ　最近冥琳　あんまり休んでないだろ？

　休んでるところあんまり見かけないし・・・」

「んっ？　まぁな　今は休んでいる暇などないからな」

冥琳は割りと素っ気なく、サラリと流してみせる

「それでね　今日冥琳が珍しく休みだって聞いたものだからさ・・・俺もちょうど休みだしいい機会だからさ・・・」

「マッサージしてあげようかと思ってさ・・・それでさっき探してたわけ」

・・・上着の袖をまくり上げ、近づいてくる一刀に、「ほっ　ほ北郷　なっ何をするつもりだ？」

と一刀を避け少し警戒をする冥琳

「ままっさ〜じ？　それはどういったものだ？」

知的欲求の方が勝ったのか冥琳が一刀の接近してくるのを避けるのを止め聞き返す

「こっちじゃ((推拿|すいな))だったかな　確か　未来の俺の国では按摩やマッサージって言葉の方が有名かな

　まぁ正確にはそれぞれ違うらしいんだけどね　未来じゃ　爺ちゃんや母さんにも大好評なんだよ

　こっちじゃ緋蓮さんや雪蓮にもね」

「ん？　そうなのか？　緋蓮様や雪蓮にもなのか？」

と興味が湧いたのか聞いてくる冥琳

「緋蓮さんには身体機能の回復　雪蓮は訓練の後の身体の調整を兼ねてだね」

「ほう・・・」

と関心する冥琳

＝【((推拿|すいな))補足説明】＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

中国大陸明代以後、医療行為としての按摩は推拿（すいな）と呼称されるようになった。

これは日本では中国整体と呼称されるものであり、現在の中国政府も公式な中医学の医療用語として「推拿」を採用している。

現在、日本国内の按摩と中国大陸の推拿は、技法は近似でも用法が全く違うので要注意である。　　　　　　　　　　　WIKIより転載

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「うん　じゃ〜そこの長椅子に座ってね」

とニコやかに誘導する一刀

「う　うむ　よろしく頼む」

と少し困惑気味の冥琳

「長時間集中して事務的な仕事をしていたりすると、肩に悪い血が溜まって血の通りが悪くなる”肩こり”に悩まされてるんだよ

　そのコリを解して癒す行為が、マッサージって呼ばれる方法な訳」

説明しながら警戒している冥琳の心身共に解していく一刀

「さっきも説明したけれど、緋蓮さんに対しての代替医療や雪蓮の修行の後の筋肉緊張をほぐす療法として使用している」

と冥琳の肩を解しながら簡単に説明していく

「人の代わりに椅子に機械を仕込んで、開始を押しただけで自動で座りながらコリを解してくれる

”マッサージ・チェア”と呼ばれるモノまであるけどね」

と付け加える一刀

「ほぅ　そんな便利な物まであるとはな・・・興味深い・・・」

とそちらの話の方にも興味がある冥琳

「うっ　うまいな北郷　みんなが褒めるだけある　これは・・・本当に癖になりそうだ・・・はぁ〜んっ」

「これ・・・はどうかな？」

と力を強めに込めて解す一刀

「ん　んっ〜〜　あっ　そこーー　くっ　いいな　そこ　はぁ〜〜〜〜〜〜　あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」

と艶のある声を響かせ、さも気持ち良さげな声を出す冥琳に気を良くした一刀は

さらに本格的にコリを解すべく冥琳に長椅子にうつ伏せになってもらう

「んっ？　これでいいか？北郷」

とすでに警戒感はなくなっており、指示通りうつ伏せの状態になる冥琳

「冥琳　ちょっと失礼するね」

と一刀は全身の体重を乗せて、今度は肩から背中、徐々に腰・腰周りへと最後に足周りと集中して解す

「ここ　どう？」

「そこもい・い・・わ・・・」

「じゃ　ここは？」

「ん　んっ〜〜　あっ　あんーー　ﾊｯ　くっ　はぁ〜〜〜〜〜〜　あっ　あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜」

とさらに艶のある声を辺りへ響かせる冥琳に・・・

「二人して昼間から何してるのよぉーーーーーー」

「二人して昼間から何しとるんじゃーーーーーー」

と何時から聞いていて我慢できなくなったのか・・・茂みから颯爽と出てきて、ツッコミを入れる雪蓮と祭の二人・・・

「な・・・なにって・・・”マッサージ”・・・だ・・け・ど？」

と突然のツッコミに状況把握できていない一刀が辿たどしく答えつつも解す手は緩めていない

「まっ　まっさぁ〜じぃ？」

「まっ　まっさぁ〜じぃ・・・じゃと？」

と呆気にとられて首を傾げている祭さんにまっさーじの説明をする雪蓮

「・・・はぁ　全く貴女達ときたら一体　何と勘違いしたのかしら？」

と溜息をつき、二人をさらに問い詰めるべくメガネをキラリと光らせｸｲｯｸｲｯとかけ直す冥琳

「そ・れ・と二人共　手に持ったお酒、蔵から無断拝借してきたんでしょ　ホントにもう手がかかるんだから・・・」

「・・・北郷有難う　言うだけあって素晴らしく気持ちよかったよ」

と傍から聞けば勘違いする危ない言葉だったりするのだが・・・ズレた服装を直しつつ冥琳は長椅子に座りなおす

「ｱﾊﾊ　冥琳　ｺﾚﾊﾈ？」

「これは・・・じゃな・・・そう！　試飲？じゃよ」

と必死に誤魔化す二人

「”エール酒”の方はまだいいけれど・・・　”ラガー酒”は絶対ダメよ？　今、作れる本数がかなり少ないんだから・・・」

エール酒は常温でしかも短時間の発酵で醸造できる為、琥珀の商家を通じて広く流通させて資金調達していた

一方のラガー酒は、低温長時間発酵での醸造の為、大陸でも南の方に位置しているここ寿春では、製造しにくいお酒なのである

そうした理由もあり、間借りしている袁術領で、一年間ほぼ低温である天然の貯蔵庫の洞窟を、数多く所有できる訳もないので

自然と製造できる数も限られてくるという絡繰である

「”ラガー酒”と”ワイン”は帝にだけ献上しているお酒なんだから・・

　”((燒酒|しょうちゅう))”も”医薬品”としても使用するんだから・・・　あんまり忍び込んで飲みすぎないでよ？」

「うっ・・・はぁい・・・」

「ぐっ・・・なんと・・・」

と声を揃えて((項垂|うなだ))れる雪蓮と祭の二人・・・

今ここにいる二人、雪蓮と祭さん＋緋蓮さんの3人は、この後、ラガー酒・ワイン・((燒酒|しょうちゅう))の試飲をしようと盗み入る予定だったのを

先んじて冥琳に釘を刺されたのである

「はぁ〜〜　”ワイン””((燒酒|しょうちゅう))”もだけど、試飲する時はちゃんと呼んであげるから・・・それまで我慢なさい　いいわね？雪蓮　祭殿」

「おぉ〜さすが冥琳」

「やった〜さすが冥琳　愛してるわ〜」

と雪蓮は冥琳に抱きつき、一刀も来なさいと強引に巻き込み、長椅子の上で3人戯れる　

「コラッ！　雪蓮いい加減になさい！」

「やぁ〜よ　一刀も冥琳とこのままの方がいいわよね〜？」

・・・と３人くんずほぐれつ状態になっており　

「そ・そうだな　いっ　い・いや〜ハハ」

と顔を真っ赤にし本音がダダ漏れ・・・してるのを誤魔化し曖昧な答えを返す一刀

３人の組んず解れつを絶景　絶景と・・・ニヤニヤしながら眺める祭の姿があった・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・

コン・コンと扉をノックする音がしたので、どうぞ〜と気楽に答える緋蓮の顔は、入ってきたその者の迫力に直ぐ青ざめることになる

「ひ・れ・ん・さ・ま　私に何か弁明することはありませんか？」

とメガネをｸｲｸｲｯと掛け直しつつ、三倍のスピード？で緋蓮に迫り来る冥界の王こと冥琳さん

「あはは　や〜ね〜冥琳　なんて怖い顔してるのよぉ〜美人が台無しよ？」

と問い返しながら思い当たる事象を必死に推考する緋蓮

可笑しいわね・・・雪蓮と違って最近ちゃんと仕事してるしね・・・何かしら？

とお酒の事はすっかり念頭になかった緋蓮さんが思い当たる筈もなく・・・

「問題を解く手掛かりを差し上げましょう　一に雪蓮と祭殿からすでにお話を伺っております　二にその際に物品も押収されております」

「（雪蓮や祭から何をかしら？・・・物品？・・・しまった！）・・・え〜えっと〜そぅねぇ〜」

と娘と同年の冥琳に追い詰められ、誤魔化す大人の緋蓮に”江東の虎”と畏怖される威厳は何処へやら・・・

「思い当たりませんか？　しょうがありませんねぇ〜　三にお・さ・け」

とﾆﾔﾘと冷笑しつつトドメを刺す冥王・冥琳

「どうも・・・しゅみ・・・ましぇん」

と即、頭を下げ平謝りする”SD子虎化緋蓮さん”の首根っこをつまみ上げて、そのまま何処かへと連れ去っていく・・・

着いた中庭には・・・冥琳に逃亡しないよう監視を頼まれていた一刀と・・・

首謀者一味の”SD猫化雪蓮さん””SD幼児化祭さん”が、すでに土下座してスタンバッていたのだった

そんな”SD猫化雪蓮さん”と”SD幼児化祭さん”の間に、冥琳の手により土下座配置される”SD子虎化緋蓮さん”

「あれ程気をつけなさいと言ったのに・・・なんでバレてるのよ〜バカモノッ」

と両者へ視線を向けて”SD猫化雪蓮さん””祭”の二人に愚痴る不満タラタラの”SD子虎化緋蓮さん”

「・・・これが世に有名な・・・巧妙に仕組まれた策士・周公瑾の罠じゃもん！」

という胸を張って呆れ果てた言い訳をする”SD幼児化祭さん”と同意し高速でﾌﾞﾝﾌﾞﾝ頷くSD猫化雪蓮さんと

それを言うなら”孔明の罠”でしょうに・・・と心の中でツッコミを入れる困り果てた一刀であった

そんな困り果てた３人に溜息をつき、それから昏昏と数時間・・・お説教タイムという名の”躾”をする冥琳さんと・・・

”躾”に巻き込まれた一刀さんは、これが冥琳の休日とはね・・・と苦労の絶えない冥琳を、今後も折を見て解してあげようと考えていた

■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

　○孫堅　文台　真名は緋蓮（ヒレン）　

　　　春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し

　　　「江東の虎」の異名で各地の豪族を震撼させた

　　　優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた

　○張紘　子綱　真名は紅（コウ）　

　　呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程�c（風）の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう

　　 『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出　雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる

　　張昭と共に『江東の二張』と称される賢人

　　※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。　

　　　　呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です

　○魯粛　子敬　真名は琥珀（コハク）

　　　普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う

　　　発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂？状態、言葉遣いは関西弁？風の暑苦しい人に変化する

　　　このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される

　　　※穏（陸遜）は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀（魯粛）は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです

　○張昭　子布　真名は王林（オウリン）　

　　呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である

　　 『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出　雪蓮直々に出向き、妹の紅（張紘）と共に臣に迎え入れられる

　　張紘と共に『江東の二張』と称される賢人

　　　妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政（まつりごと）の機微を捉える」という感じでしょうか

　○程普　徳謀　真名は楓（カエデ）

　　　緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人　「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名

　　　祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする

　　　部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている

　　　真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・

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