IS x 龍騎?鏡の戦士達 Vent 34: 外出と決別 |
一夏は現在、ある部屋のドアをノックしていた。
「一夏・・・・」
「よう、箒。しばらくぶりだな。少し良いか?」
「・・・・・ああ・・・・」
幸いルームメイトは留守にしており、一対一で話が出来た。
「あれから、色々と考えたんだろう?ライダーの事も、ISの事も。」
「・・・・・ああ・・・今まで、色々と迷惑をかけて本当にすまなかった。私は、もうISに乗ろうとは思わない。取り返しのつかない過ちを何度も犯してしまった・・・何度も警告してくれたと言うのに・・・」
「分かってくれたか?だが、本当にそれで良いのか?」
「え・・・」
「お前は、俺の初めての幼馴染みだ。六年振りに会って、お前は色々と成長した。綺麗にもなったし。だけど、もしISを捨てると言うのなら、もう俺に会う事は無くなる。お前はそれで良いのか?お前にそれを聞きたくてここに来た。さあ、どうしたい?」
「私、は・・・・・」
「まあ、お前がどうしようがお前の勝手だ。未来がどう転ぶかはお前次第だ。それだけ。後、遅れちまったけど、これ。誕生日おめでとう。」
小さなリボンで結んだ箱を取り出した。それをテーブルに置くと、箒の頭を撫でた。
「お前に、ライダーの道は辛過ぎる。下手をすればお前が死ぬぞ。お前には死んで欲しくない。だから、生き抜いてくれ。ISによって起こされた嵐の渦中を、強く生き抜け。」
笑みを浮かべて部屋を出ると、今度は別の部屋の扉をノックした。
「はーい・・・・・あれ?」
「よう、ティナ。あー、鈴今いるか?」
「((部活|ラクロス))終わったからもう帰ってる筈だけど・・・・もしかしたら自主練してるんじゃない?」
「どっちで?」
ISなのか部活の方なのかが分からない。
「それは分かんないな・・・・・」
「分かった。ありがとう。とりあえず居場所が絞れただけでもマシだ。ああ、それと、あいつが戻って来たらこれを渡して欲しい。見せれば分かる。」
白い封筒の左端に蝙蝠のシンボルが小さく描かれていた。
「分かったわ。」
再三廊下を往復すると、またまた別の扉をノックした。
「あ、一夏・・・・」
「よう。約束通り迎えに来たぞ?買い物、行くんだろ?」
「うん・・・・」
一夏に連れられて、二人は街に出た。
「で、買い物に付き合って欲しいって話だったけど、正確には何を買いに行くんだ?服とかか?」
「それもあるけど・・・・」
「仮面ライダーTHE FINALのライブイベント、だっけ?別に恥ずかしがる事は無いぞ?好きな物は好きだって通せば。俺は別にどうとも思わない。昔俺も良く見てた。レンタルもしたしな、昔の奴とか。THE FINALは見たが、俺はNEXTの方が好きだったな。ライダーマンのデザインが少しアレだった。」
「そうかな??」
レゾナンスに着くと、そこで買い物が開始された。
「まずは、一夏の新しいコートを買わないとね。」
「これ結構年季が入ってるから気に入ってるんだがな・・・・」
「でもいつも黒ばっかり着てるんだもん、味気無いよ?そんな野暮ったい鴉みたいな服装。もうちょっと色々組み合わせようよ。」
「けどなー・・・・これ一応オーダーメイドなんだよ。」
尚も渋る一夏。
「すいませーん!彼に合う服をコーディネートしたいんですけど・・・・」
「分かりました。少々お待ち下さい。」
元々の顔立ちが良い一夏を見て直ぐに納得したのか、店員は一夏の寸法を計ると、あっという間に色々と選び出した。試着室から出て来た所で、首を傾げる。一夏が着ているのはファーとフード付きの膝まであるライトアッシュのジャケット、その下は唐草模様の刺繍が入ったダークブルーのワイシャツ、緩く締めたネクタイ、そしてダメージジーンズとコンバースだった。
「へえ・・・・こんなにも印象が変わるもんなんだな、俺。良いと思うぜ。これください、お姉さん♪」
「は、はいぃ・・・・」
ワルそうな笑みを浮かべてウィンクを投げた。ボフンと音がしそうな位店員の顔が赤くなる。それを見た簪は面白く無さそうに顔を膨らませる。
「さてと、次は簪の番だな。」
「え・・・?」
「俺の服だけじゃちょっとな・・・・彼女の服も見立ててもらえますか?こう言う・・・・(ゴニョゴニョゴニョ)」
「は、はい・・・・・!」
十数分程してから簪が出て来た。フリルの付いたミニスカートにニーハイソックス、薄めの手編みセーターそしてベレー帽と言う、(意外に)可愛らしい姿だった。
「ほ、本当にこれで行くの・・・?」
「良いだろう?俺は似合ってると思うぞ。ねえ?」
「はい、とっても良くお似合いですよ。」
「じゃ、この服のセットお願いします。」
会計は一夏が無理を言って持ち、そのまま暫く練り歩いた。二人はやはり注目を引いた。どちらもモデル顔負けの出で立ちだから無理も無かったが。すると突然二人の周りにスーツを来たSPの様な男達が現れる。一夏はバッグを下ろし、立ち止まる。
「織斑一夏さん、ですね?」
「だったら何だ?」
「国際IS委員会会長の指示で、貴方、並びに御鏡司狼、そして御手洗数馬の三人の身柄を拘束させて頂きます。」
「やれるもんならやって見ろ!」
ポケットからスモークグレネードを引き抜いて地面に投げつけ、更に簪の腰を掴んで左袖に仕込んだワイヤーを天井の梁に巻き付けると、一気に三階に登った。携帯の緊急回線を開く。
「ラウラ、ちょっとマズい事になった。委員会が動き始めた。俺や司狼さん、ISを動かせる男の身柄を拘束しようとしている。簪が一緒にいるんだが、守りながらじゃ上手く逃げ切れない。直ぐに来てくれ。」
『了解した。五分以内でそちらに向かう。それまでどうにか頑張ってくれるか?』
「まあ、やれるだけはやる。頼むぞ。」
携帯を手早く操作し、簪の手を掴んで走り出した。
「どこいくの?!」
「安全な場所だ。俺のバイクで行く。」
「でも反対方向だよ!?」
頭がおかしくなったのかと言いた気な声音で簪が叫ぶ。
「俺のバイクは特別だ。直ぐに来てくれる。」
そしてエンジン音が・・・・・ガラスを突き破って黒い一台のバイクがショッピングモールに現れた。それに跨がり、簪にヘルメットをかぶせると、アクセルを吹かした。ショッピングモールを飛び出し、車道に入る。後ろから黒塗りの乗用車が何台か追って来ていた。だが、一夏のバイクのスピードには全く追い付けない。
「一気に突き放すぞ。振り落とされるなよ?」
「え?」
ドウゥン!
排気口から青い炎が迸り、バイクは弾丸の様に彼方へと消えて行った。ニトロによるブーストである。近くにファミレスがあったのでそこで停車した。
「簪、大丈夫か?」
彼女は弱々しく頷いた。白い肌は今やそれを通り越して蒼白になっている。自販機で缶コーヒーと麦茶を買うと、麦茶のボトルを彼女に渡した。しばらくすると落ち着いたので、そのファミレスで食事をする事にする。
「今の、なんなの・・・?」
「ニトロブースターだ。スピードはかなり出る代わりにエンジンがかなりヒートアップするから連続使用は出来ない。下手をすればエンジンが燃え尽きて使い物にならなくなる。驚かせてすまなかったな。」
「国際IS委員会の人だって言ってたけど・・・・」
「ああ。俺と司狼さんと数馬を捕まえようと本格的に動き出した。向こうも形振り構っていられなくなって焦り始めてるんだ。」
「これから、どうするの・・・?」
「恐らく学園の方にも手が回ってる。もしかしたら学園にいられなくなるかもな。世界各国の半分を敵に回してるんだ、お尋ね者になる事は必須だろう。」
「そんな・・・・」
携帯の着信音が再び鳴る。
「はい。」
『よう、一夏。生きてるみたいだな。』
「まあ、なんとか。買い物中にいきなりですからね。そっちは大丈夫ですか?」
『まあな。元ファントム・タスクの奴らも動かす事になる。束にも連絡を入れた。俺達に協力する気は満々らしい。敵さんのISが無力化されれば何も出来ないだろうしな。』
「分かりました。学園の方は・・・?」
『ああ、引き払う事になる。もう準備は出来てる。一度学園に戻れ。織斑千冬にも話は付けてある。手出しはされない。』
案の定の答えであった。その事実は一夏の心に重くのしかかる。その内、学友達とも刃を交える事になるかもしれない。当然姉とも・・・・・・・
「・・・・分かりました。」
一夏は電話を切ると、バイクを背にして地べたに座り込んだ。
「一夏・・・・・?」
「腹、減ってないか?」
そんな気持ちを隠す為に無理矢理笑い、食事をしながら取り留めの無い言葉を交わし、学園に戻った。
「簪、楽しかったぞ。楯無を、しっかり守ってやれ。」
それが一夏から聞いた最後の言葉だった。
説明 | ||
いよいよ世界との全面対決に向かいます。タイガの正体、気になりますでしょ?ちょっと意外な人物です。オリキャラではありません。 | ||
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コメント | ||
最後の言葉・・・一夏は生き残れるのか・・・戦わなければ生き残れない・・・!(デーモン赤ペン) はい、いよいよ開戦です。そして別の少佐の言葉を:『よろしい、ならばクリーグだ!』(i-pod男) ついにIS委員会が動いたか><龍騎ライダー対ISの戦いが本格的に始まるのか!某少佐の言葉「MSの性能の差が戦力の決定的な差ではないことを教えてやろう」(yosiaki) |
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