IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode88 帰還
「結局奪われたのは、最も重要だった物資だけで、残りは手付かずか」
「あぁ」
そして隼人達はIS学園に戻っていて、千冬と輝春が外で話していた。
「上層部にはどう説明する?」
「まぁ、うまく言いくるめるさ」
「そうか」
「けが人は隼人意外居ないことだからな」
「しかし、隼人も何かと怪我をする回数は多いな」
「確かに、そうだな」
「しかし、隼人のやつ・・・よかったな」
「そうだな。何とか颯を助け出せたんだからな」
「あぁ。そういや、颯はどうだったんだ?」
「特にこれと言った問題は無かった。体内に監視用のナノマシンは確認されなかった」
「そうか。なら、いいけどな。後、お前が捕まえた捕虜はどうなっている?」
「あぁ。ISを強制解除した後連行して今は学園の地下の特別区画の独房の中だ」
「そうか。サイレント・ゼフィルスはイギリスに返還するのか」
「当然だ。オルコットにそうさせるさ。元々はやつの国の問題だからな」
「まぁ、オルコットはどう思うだろうな」
「・・・・」
「自分でやっていないのに、自分の手柄になる。これほど気まずいものはないぞ」
「確かにそうだが・・・」
「まぁ、これでオルコットは国から相応の感謝が送られるんだろうな」
「・・・・」
「ところで、どう思う?」
「・・・あのままでは何も言わないだろうな。やつからは監視用ナノマシンが検出されたが、体内にあるすべてのナノマシンが機能を停止させている」
「どういうことだ?そのナノマシンは同時に抹殺用でもあるんだろう?情報漏洩を防ぐための」
「あぁ」
「・・・分からんな。やつらの意図が」
「そうだな」
(・・・だが――――)
そして輝春はあの時コンテナの隙間から見えたものを思い出す。
(俺の見間違いじゃなければ・・・あれは生体ポッドだな・・・。となるとあの中にはやはり・・・・人間が入っていたのか)
(だとすれば・・・上層部のやつらは何を企んでいるんだ・・・)
「どうした?そんな険しい顔をして」
そんな様子に千冬は気付いていた。
「・・・いや、なんでもない」
「・・・・」
「さてと、そろそろ話そうか」
と、輝春と千冬が向いた先には、アーロンとフェイ、フィアがいた。
「こんな形でお前と対面とはな」
「俺も思ってなかったさ」
「・・・・」
「色々と聞きたい事があるだろうが、互いに名前ぐらい言い合おうじゃないか」
「いいのか?」
「俺はもうバシリスタじゃないからな」
「・・・・」
「・・・・」
「俺の名は『アーロン・グランツ』だ」
「フェイ・シルバーと申します」
「フィア・シルバーと申します」
「・・・織斑輝春だ」
「織斑千冬だ」
「噂には聞いている。ブリュンヒルデ」
「・・・・」
その名を言われて千冬は少しむっとする。千冬自身その名を好んでいない。
「気になるものだな。なぜもうバシリスタではない。そう言うんだ?」
「・・・・」
「何かあったのか」
「まぁ、そうだな」
「・・・・」
「それに、新型を二体投入していたな。一体何所で手に入れた」
「・・・・」
アーロンはしばらく考えて――――
「・・・篠ノ之束からだ」
「何・・・?」
「束からだと」
二人は予想外の人物の名前を聞かされて驚く。
「俺にとっては束は命の恩人なのでな」
「やつがお前の?」
「それに、バシリスタの創設は彼女の助力があってこそ成し得たことだ」
「束のやつが絡んでいたのか」
「それなら海賊がISを所有してもおかしくは無いな。開発者が支援していたのなら」
「・・・・」
「今回の介入はどういう風の吹き回しなんだ」
「俺達はあくまでやつらの介入があると情報捜査員より知ってから介入を行ったのだ。IS学園の支援のためではない」
「少なくともそちらには凄腕の情報捜査員が居るのだな」
「あぁ」
「そちらで知っている情報と言うのはあるのか?」
「どうだろうな。だが、それなりには分かっている」
「・・・・」
「亡国機業には二つの組織を持っている」
「二つだと?」
「あぁ。一つは組織の中核を担う所。二つ目はISによる攻撃実行隊。先の戦いではその一員によるものだ」
「・・・・」
「そしてその組織を担う者と言うのが・・・ドクターアルベルトだ」
「ドクターアルベルト・・・」
「人道を外れなければ恐らく束のような天才科学者に成り得た男だ」
「・・・その男の噂は聞いていたが・・・まさかやつらのところに居たとはな」
「確かそいつは・・・遺伝子工学に関する科学者だったはず」
「そうだ。やつらの実行隊のほとんどはやつによって生み出された遺伝子強化素体・・・それを素材とした戦闘機人と分かっている」
「戦闘機人・・・」
「サイボーグか」
「あぁ。颯も・・・その一人だ」
「・・・・」
「・・・・」
「戦闘機人はISを使うこと前提でその力は未知数だ。どんな能力を秘めているか分からん」
「あれでもまだ本気じゃねぇのか」
「それに、どれだけいるのかも分からんからな。戦力の把握は無理だな」
「・・・・」
「俺の知っていることはこれだけだ」
「そうか。だが十分だ」
「・・・・」
「ところで、お前達はこれからどうするんだ」
「そこは、俺達が決める」
「・・・・」
そうしてアーロン達はISを展開して飛び去って行った。
「・・・この度は・・・みなさんにご迷惑をお掛けして・・・申し訳ございませんでした!」
と、颯は頭を大きく下げた。
隼人と颯はみんなを集めて話をしていた。
「別にいいわよ。颯のせいじゃないんだし」
と、鈴は言う。
「そうだよ。僕も気にしてないから」
と、シャルロットが言う。
「颯は利用されていただけだ。何も悪くは無い」
と、ラウラが言う。
「うん。私も・・・別に気にしていないから」
と、簪が言う。
「あぁ。颯が気にすることはないな」
「そうだな」
と、一夏と箒が言う。
「えぇ。颯さんは悪くありませんわ」
と、セシリアが言う。
「みんなはそう言っているんだ。良かったな」
と、隼人が言う。
頭には包帯が巻かれて左腕は火傷を負ったので包帯が巻かれていた。
「うん」
「・・・あの・・・兄さん」
そして颯は少し戸惑いながらも隼人に言う。
「なんだ?」
「こんな時に言うべきじゃないと思うけど・・・」
「・・・・」
「兄さんはたぶん反対すると思う・・・。でも、私はそれでも・・・頼みたい」
「・・・・」
「私も・・・兄さんと一緒に・・・戦いたい!」
「戦う・・・だと?」
「・・・・」
「・・・何を言っているのか分かっているのか?」
「うん」
「・・・どうしてそんなことを」
「兄さんの気持ちは分かるよ。救ったのにまた危険に晒される・・・私も分かっているよ」
「なら・・・なぜ・・・」
「・・・私・・・兄さんに守ってもらえるのは嬉しい。でも、守られてばかりで、兄さんだけが傷つくのは・・・いやだから」
「・・・・」
「だから、今度は私が・・・兄さんを守りたい。兄さんだけじゃない。兄さんが大事にする仲間を・・・みんなを・・・守りたい!」
颯は心を込めて、真剣な眼差しで、隼人を見て、言い放った。
「颯・・・」
「颯は本気のようね」
と、鈴がタイミングを見て言った。
「鈴・・・」
「気持ちに応えてやるべきね。ここまで言われると」
「・・・・」
「兄さん・・・」
「・・・・」
隼人はしばらく考えた。
「・・・いいんだな」
「うん」
「・・・・」
「・・・分かった。お前がそう言うのなら、もう反対はしない」
「兄さん・・・」
「よかったじゃないの、颯!」
と、鈴が颯と肩を組んだ。
「鈴さん」
「・・・でも、戦うたって、ISあんの?」
「それは―――」
「颯は師匠とほぼ同じ能力を有するなら、従来のISでは反応が追いつききれないだろうな」
「そうなると、専用機が必要になるけど、今の時勢じゃそんなISなんか無いよね」
と、ラウラ、シャルロットの順で言う。
「・・・・」
「颯・・・気持ちだけって言うのは―――」
「いいや。あるさ」
「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」
と、隼人意外は疑問の声を漏らす。
「颯なら・・・あれを使いこなせるさ」
「私なら?」
「隼人?一体何のことなの?」
「この後第二格納庫に来い。見せたいものがある」
「・・・・」
そして全員第二格納庫に移動した。
格納庫では基本ISスーツ着用なので、全員ISスーツに着替えており、颯も学園の物を着用していた。
「待たせたな」
そして隼人が第二格納庫に入ってきた。
「隼人。見せたいものって?それに颯なら使いこなせるって・・・まさか」
「いい読みだ、鈴」
そして隼人は颯の前に立つと、右手に持っていた青いペンダントを見せた。
「これが・・・」
「お前の新しい力だ」
隼人はペンダントを颯に渡した。
「イメージしてみろ。ISを展開するイメージを」
「うん」
そして颯はみんなから少し離れてペンダントを握り締める。
「・・・・」
颯は目を閉じて、念じた・・・。ISを呼んで―――
するとペンダントが光り輝くと、光は颯に纏い、一体のISが展開された。
「これは・・・」
そして隼人を除いてみんなが驚いた。
全身装甲のISで、白をメインに青や黄色と赤を除いたトリコロールカラーであった。頭部にはV型アンテナを持ちヘッドギアのようなアーマーを額辺りに持って、緑色のツインアイをしていた。腹部には『A』を模したようなクリアパーツが搭載されておりほぼ全身にスラスターを搭載していた。最も特徴的なのが機体各所に装備されている半透明の黄緑のパーツを搭載しており、長い物と短い物があった。
「これが颯の新たな力・・・『ガンダムAGE-FX』だ」
「ガンダム―――」
「AGE-FX・・・」
「この形状って・・・隼人が前使っていた」
簪はFXの形状にどこか見覚えがあった。
「あぁ。FXは俺が以前バンシィの修理の間使っていたAGE-3をベースに強化改装を施したISだ。俺が考案した新技術を多く取り入れて、性能も大幅に上げて第三世代から第四世代のISにグレードアップしたものだ」
「第四世代に?」
箒は少し驚き気味で言う。
「まぁ、展開装甲は無いけどな。あくまで性能が第四世代に匹敵するだけだからな」
「でも、何時の間にこんな機体を?」
「・・・少々言いづらいが、束さんに頼んで改装を依頼したんだ」
「姉さんに?」
「何時の間に束さんと・・・」
「俺も最初は戸惑ったさ。だが、FXを完成させれるのは束さんしか居ないからな」
「・・・・」
「私に・・・このISを?」
「あぁ。元々は代用機としてだったが、あんまりそんな状況が無いから、颯に託す」
「・・・・」
「俺が使うこと前提だから、ある程度は颯も扱えるものさ。まぁ、ちょっとばかり調整は必要だけどな」
「兄さん」
「ん?」
「・・・ありがとう」
「いいってことさ」
そして隼人は投影型キーボードを出して調整に入る。
「そういや、このFXって第四世代って言うけど、どんくらいあるの?」
「さぁな。性能はあくまで目安でしかないからな。本当に性能を引き出せるかは颯次第さ」
「ふーん」
「まぁ、生半可のパイロットじゃ使いこなせないぐらい超ピーキーな機体だからな。俺と颯ぐらいしか使えないんだ」
「まさに専用機ね」
「そういや、隼人。これって何だ?」
と、一夏はFXに搭載されている黄緑の半透明のパーツを指差す。
「これがFX最大の武器『Cファンネル』だ。射撃機能は無いが、防御と近接戦闘では絶大な性能を誇る遠隔操作武装だ」
「つまりは・・・ブルー・ティアーズと同じビットと言うことですね。射撃機能の無い」
「そういうことだ。颯はビット適正があるから、使いこなせるさ」
「うん。頑張るよ」
「これ以外に武装とかあるのですか?」
と、ラウラが聞いてきた。
「あぁ。両腕に搭載されているビームサーベル。後は高出力ビームライフル『スタングルライフル』を持ってる。Cファンネルは大小合わせて14枚あるな」
「Cファンネル以外は少ないんですね」
「そんなにごちゃごちゃと武装があっても仕方が無いだろ」
「それはそうですが・・・」
「まぁ、どれも高火力を持つ武装ばかりだ。使いこなせれば相当なもんだな」
「・・・・」
「あと、セシリア」
「は、はい」
「今日はさすがに無理だろうだから、明日の夕方テストを兼ねて颯と模擬戦を交えてくれるか」
「は、颯さんとですか?」
「あぁ。それもGモードでな」
「Gモードで?」
「それはさすがにいきなりなのでは?」
「そもそも、何でセシリアなの?」
「本当なら俺がやりたかったが、こんな状態だからな」
と、包帯で巻かれた左腕を見せる。
「だとしても、セシリアに限定する理由は?」
「模擬戦の時になれば分かるさ」
「・・・・」
「だから、颯もいいな」
「う、うん」
「よし。じゃぁ明日の夕方第三アリーナで模擬戦だ。千冬さんには俺から言っておく」
「分かりましたわ」
「そういうことだ。俺と颯はまだ残って調整をしているよ。残りはもう戻ってもいいぞ」
「で、では、お先に失礼します」
そしてラウラの挨拶を気にみんなは格納庫を出た・・・
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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