緋弾のアリア〜一般校の転校生〜
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21弾

 

 

あの後、すぐに乗客と俺たちは病院に連れて行かれ、そこで検査を受けた。乗客たちに異常はなく、すぐに帰してもらえたみたいだが、俺たちは念のために入院することになった。といっても一晩だけだが。

体中の痛みは明日になったらなくなってないかな〜?と思っていたのだが、起きたら筋肉痛にもなっていた。そのため、体を起こすのにも一苦労な状態である。

ちなみに防衛省の方から司法取引に関する資料が送られてきた。

内容は防衛省に対する侮辱などの行為を不問にする代わりに誘導機に戦闘機を使ったことを黙っていること。

…こんなことやんなくても言ったりしないっての。

 

「はあ。予想はしてたけど、まさかここまできつくなるとは」

 

俺は昔から傷の回復が遅い。あいつに仕込まれたせいで、大抵の攻撃をよけることができるから、なかなか攻撃を受けることがない。そのため、回復という作業を体があまりしないからだ。しかも今回はいつもより動いたから、さらに辛い。

 

「おはようございます」

 

「ん〜?ああレキ。おはよ」

 

「だいぶ辛そうですね」

 

「うん。かなり痛い。そうだ、忘れるとこだった。」

 

注意しとかないといけないことがあるんだった。

 

「レキ。あの時…俺が風速聞いた時、レキさ外にいたでしょ」

 

「はい」

 

ぺし

 

軽くレキの頭にチョップした。

何でされたのか分からないような顔でこっちを見てくる。

 

やばいなんか可愛い。

 

「風邪ひいてない?駄目だからね、あんな大雨の中外に出たら」

 

風邪ひいて、それをこじらせでもしたら大変だったよな確か。

 

「すみません」

 

「でも、ありがと。おかげで助かった」

 

「いえ、でもあなたの方こそ大丈夫ですか?今日は事情聴取があるのでは」

 

「そうなんだけどね…さすがに辛いからキンジに任せた」

 

キンジに強制的に任せたのは内緒だ。

 

 

 

 

 

ほんとに体が痛い。いつになったら治るのかな。

 

レキに話し相手になってもらいながら暇をつぶしたりして、退院の許可が出たのは夜になってからだった。比較的俺よりもけがが軽いキンジ達はもう退院している。

 

「……ひっく……ひっく……えぐっ……うぅ」

 

家に帰る途中泣き声が聞こえた。

 

アリア?何で泣いてるんだ?

 

疑問に思い出て行こうと思ったが、アリアの次の言葉で思いとどまった。

 

「やだよ……嫌だよキンジ…いないよ……あんたみたいなヤツ…絶対いない。

もう見つかりっこない……ひっく…うぅ」

 

ああ。パートナーの話か、キンジ…断ったのか。

 

アリアが完全にいなくなり、ようやく俺は部屋に帰った。

 

 

「ただいまー」

 

………返事がない、ただの屍のようだ。

 

いやいやおかしいだろ。

 

中に入ると、ものすごくうっとおしい空気を出すキンジがいた。

そんなに思い悩むくらいならチーム組めばよかったのに。

 

「キンジ!」

 

パンッ

 

キンジの目の前に行っても気付かなかったので、目の前で手を打ってみた。

 

「ああ。瑞樹帰ってたのか」

 

「うん。誰かさんは気付かなかったみたいだけど」

 

「悪い」

 

「いいよ、謝らなくて。ひとこと言わせてもらうから」

 

ほんとこっちのキンジはうっとおしいな。

 

「このセリフは俺の親友が言ってたんだけどね。迷うくらいなら行動するな。

だって。意味分かる?迷いながら行動してもすべてが裏目に出るだけだからだよ」

 

「…そうか」

 

「あともう一つ。迷いをふっ切る方法教えてあげる。想像してみて、どっちの方が後悔しないか。どっちの方が自分に誇りを持てるか」

 

さて、どっちを選ぶのかな。ここから先はお前次第だよ。

 

 

 

そして、少しの時間が経った。

 

「くっそ。甘いな俺は、甘すぎだ!でも、こっちのほうが…」

 

びりびりっ

 

決断したらしく、紙を引き裂く音、そして…走り出す音の二つがした。

 

「さて、キンジが動いたことだし…俺も動くか」

 

相手の策を読み、その上を行くことそれが勝つための必須条件。だったよね。

 

 

 

 

 

布や糸などいろんなものを使い、即席のクッションを作る。ちょっと小さい気がするが時間もないのでこのくらいでいいだろ。それでも普通のソファぐらいはあるが。

 

「筋肉痛にこれは結構きついな」

 

女子寮に来て、クッションを運ぶ。途中に女子と会ったが女っぽい見た目のおかげでスル―してもらえた。

 

「よいしょっと。はあ疲れた」

 

女子寮の下の温室に即席クッションを置いた。いろいろ邪魔なものがあったが、全部どかした。

 

「何しよう?」

 

やることが全部終わり、やることがないなと思っていたら、上の方から声が聞こえた。

 

「俺がBGMぐらいにはなってやる!」

 

そんな叫び声が聞こえた後…

 

ビリッどさっ

 

と、音がした。まあどうせビニールの屋根がクッションになるとでも思ったんだろうけど…馬鹿だろとしか言えないよ。

 

「ってぇ…何でクッションがこんなとこに」

 

「まったくキンジ俺に感謝しろよ。さすがに無茶すぎる」

 

「瑞樹か…ああ。ほんとに無茶だったな」

 

「バカキンジ…!今のあんたはバカキンジモードなのね」

 

あっ!キンジ頬がひきつってる。図星みたいだ。

 

「あんたは何かをスイッチに急激に高まる不思議な力がある。それが何なのかは分からない。あんたもそれを制御できない。そうよね?それに瑞樹!」

 

「なっ何?」

 

突然名指しされ思わずつっかえてしまう。

 

「あんたは、ほんとはものすごく高い力がある。でもその力にはむらがある。

何か条件があるのか…それともまだ自分の力を分かってないだけなのかは知らないけど、私いいこと考えたの」

 

断言しよう。アリアのいいことは俺にとって絶対に悪いことだと。

 

「それなら普段からその力を出せるように鍛えてやればいいのよ」

 

ほら見ろ。俺にとって悪いことだ。

 

「まっ待て!それは物理的……には可能かもしれないが倫理的に無理だ!」

 

「うっさい!男が二言するんじゃないわよ!」

 

「一言もしてねえよ!」

 

「俺はパスだからな」

 

「うるさいうるさい!あんたたちには拒否権はなし!あんたたちをパートナーにして曾おじい様みたいな立派なHになるの!そう決めたんだから!」

 

「だから何なんだよそのHってのは」

 

「あんたまだわかってなかったの!?瑞樹は分かってるわよね!?」

 

「まあ一応、多分だけど。ホームズ。シャーロックホームズだろ?」

 

「そう正解。まったくバカキンジは…。私は神崎・ホームズ・アリア!シャーロック・ホームズ4世よ!」

 

はあ、結構ヒントあったのに気付かないとか…ほんとにこっちのキンジは。

 

「あんたたちは私のパートナーJ・H・ワトソンに決定したの!」

 

ワトソンが二人いることになるけど俺は絶対つっこまない。

 

「ちなみに拒否権は?」

 

「無い!逃げようとしたら…風穴開けるわよ!覚悟しなさい!」

 

 

 

 

あの後、アリアはキンジのモードを切り替えるための鍵を探すという名目で、部屋に戻ってきてしまった。キンジは同居は勘弁してくれと抗議したが、武偵殺しの件はまだ解決してないと、屁理屈を言い結局、居座ってしまった。

 

 

 

ピリリリ

 

キンジとアリアが、ももまんとウナギまんはどっちがうまいかで言い合っていたらキンジの携帯が鳴った。

 

「ア、 アリア、に、に、にに、逃げろ!」

 

メールを読んだせいか急にがくがく震えだすキンジ。結構キモい。

 

「どしたのキンジ?」

 

「そうよ。急にがくがく震えだして」

 

「ぶ、ぶ、武装巫女が……っ!まずい。来た……」

 

どどどどどどどどどど………!!

 

「何この音?牛でも来てるみたいな感じなんだけど……」

 

しゃきん!!

 

軽い金属音がした後、玄関のドアに斬れ込みが入り、そのまま吹き飛ばされた。

 

「うっわ何あれ」

 

そこにいたのは 、巫女装束にたすき掛けをした服。キンジのセリフからおそらく戦装束だろう。そんな女の子だった。

 

「白雪!」

 

さっきの音から分かるように、ここまで走ってきたのだろう。ぜーぜー息を切らせている。

 

「やっぱりいた!!神崎!H!アリア!!」

 

「ま、待て!白雪!落ち着け!」

 

「キンちゃんは悪くない!悪いのはアリア!キンちゃんは騙されたに決まってる!」

 

なんかすごい暴走してるな〜。

 

「この泥棒猫!キンちゃんをたぶらかして汚した罪…死んで償えー!!」

 

キンちゃんをたぶらかして?汚した?どっちかといえばキンジの方が汚してるような気が。

 

「やめろ白雪!俺はどこも汚れてない!」

 

だよね。汚してる方だもん。

 

「キンちゃんどいて!どいてくれないとそいつ殺せない!」

 

「き、キンジ!何とかしなさい!なんなのよこれ!」

 

やっべぇすっげー楽しいこれ。入ってひっかきまわすのもいいけど、見てるのも楽しそうだよな〜。どっちにしようかな〜。

 

武偵殺し編完

説明
〜武偵殺し編〜
一般校から武偵校に転校してきた瑞樹。
初心者なのにSランクになったり、事件に巻き込まれてしまう。
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