魔法先生ネギま 〜疾風物語〜 第十三話 |
「疾風?傷は大丈夫かの?」
「お前のおかげで全部治ったよ。ありがと、クラマ」
俺を覗き込んで心配してくるクラマにお礼の言葉を掛けると、クラマは朗らかに笑った
此処は麻帆良の町市場。今日はクラマへ贈り物をするために来たのだが…
「疾風、あれ!あれ買ってくれ!」
クラマは食べ物にしか興味が無いため、何を贈れば良いのかわからない
今も店頭で焼かれている饅頭に興味深々だ
「お前…今日は買うものがあるから無駄遣いは出来ないって言ったろ?」
そう言うと、クラマは頬を膨らませて抗議する
しかし如何せん、涙目にそれは可愛いだけなので怖くもなんとも無い
未だ涙目で抗議を続けるクラマの頭をくしゃりと撫でて先を急ぐ
「ほら、手繋ごうか?」
言いながら手を出すと、クラマは無言でその手を握って歩き出した
「は、疾風。此処、は?」
「見ての通り。さ、行くよ」
俺が連れてきたのは、現代で言うアクセサリー屋だ。簪や櫛などが所狭しと並んでいる
クラマは此処に連れてきた途端絶句し『わ、ワシには似合わん!』と逃げそうになったので、腕を絡めて捕獲している
そのときに頬を赤らめていたのはご愛嬌だ
だが、逃げようとしたのは入る事に抵抗があったからなのか、今は店内を楽しそうに物色している
そのうちクラマの視線が、一本の簪の前で止まった
その簪は、べっこうに小さな向日葵をあしらい上品にまとめた物だった
しかし見た目に比例して値段も高く、どう考えても安い買い物ではない
結局クラマはその簪を諦めたのか、少し安価な蒔絵の描かれた櫛を持ってきた
描かれているのは、狐が丸まって眠っている絵である
それを買って、クラマに『買い忘れたものがある。店の前で待っててくれ』という名目で店に戻り、さっきの向日葵をあしらった簪を買う
財布に大ダメージだったが、俺を治療するために寝込むまで医療忍術を使わせてしまったんだから、多少は我慢しよう
幸い陰陽師としての仕事で金は入るし、俺は物欲が強い方ではないので何とかなる
店を出てクラマを探すと、ガラの悪い男二人に絡まれていた
しかも、内一人はクラマの腕を強引に掴んでいる
…どうやら、何時の時代も馬鹿な男と言うものは居るらしい
クラマと馬鹿の間に割って入り、掴んでいる腕を捩じ上げる
折れないように力加減をして、だ
「痛ぇッ!何しやがんだこの野郎!?」
「それはこっちの台詞だ。人の連れに、なに手を出してんのかな?」
もう一人の男が話しかけてくる
その間も捩じ上げる力は緩めない
「ちょっとお前さん。俺らはこっちの別嬪さんと遊びに行くんだよ。邪魔しないでくんないかなぁ?」
「だから、お前が言う『別嬪さん』っていうのは俺の女なんだ。だから手ぇ出すなって言ってんだよ」
『俺の女』という部分を強調する。ぶっちゃけこれは嘘だ。確かに俺はクラマのことを憎からず思っちゃいる
クラマはの方はどうか分からないが、少なくとも嫌われてはいないと思う。嫌いな相手を倒れるまで治療しようとは普通思わないからな
その証拠…となるかは不明だが、クラマは頬どころか耳まで朱に染めている
「それで?お前の女なのかどうかは関係ねえんだよ。俺らぁそいつとイイコトしたいだけなんだからさあ」
腕を捩じ上げられている男は汚い欲望をぶちまけながらヒヒヒと下品な笑い声を上げる
クラマの朱に染まった顔が、一瞬にして侮蔑の色に変わる
少し、腕に力を入れる。それだけでその男は笑い声を悲鳴に変じさせた
「ウグゥッ!!」
「とりあえず、失せろ。俺が少し力を入れれば、お前の腕なんか簡単にへし折れるんだぞ?」
「わ、分かった!分かったから離してくれ!」
パッと腕を放して男をもう一人に投げつける
まあ、大抵こういうパターンだと…
「舐めた真似してくれたじゃね〜か。お前、覚悟しろよ?ブッ刺してやるからよォ」
と言いながら、二人ともが懐から匕首を取り出す。何と言うワンパターンなんだ。完全に予想通り
仕方なくクラマを下がらせて、庇うようにして構える
「かあっこいいね〜!姫さんを護る英雄ってかぁ!?」
言いながら男が匕首を腰に構えて突進してくる
そして、男が匕首を突き刺した
「は、ははは!馬鹿な奴だ!さっさと女を渡しときゃあ、死ぬ事はなかったの、に!?」
匕首を刺した男も、もう一人も同時に驚愕した。何故なら、男が刺したのは
「何だこりゃあ!木片か!?」
そう、俺ではなく単なる木片だったからだ。刺さる直前に『変わり身の術』を使って、木片と自分の位置を入れ替えたからな
無言で男の後ろに回り、肩を叩く
男がこっちを振り向き、驚愕したと同時に匕首の柄を叩き、手から掏り抜けさせるようにして匕首を奪う
奪った匕首をもう一人の男の方へ投げつける。匕首は首を掠めて後ろの壁に突き刺さり、男は顔を蒼白にしていた
「で、まだ何かやるの?やるんだったら、もう手加減しないが?」
殺気を放ちながら問うと、男は二人共に腰を抜かしながら逃げていった
「はあ、クラマ?お前だったらあのくらい、簡単に撃退出来たろ?」
大きな溜息をしながら問う
「だって、疾風が助けてくれるんじゃろ?」
してやったり、と言うような顔でクラマは答えてきた
そりゃ助けるけども、そう正面から言われると恥ずかしいんだがな…
「まあいいや。あ、そうだクラマ、これ。治療してくれたからな、そのお礼。ありがとうな」
そうぶっきらぼうに、先ほど買った簪を渡して歩き出す
中身を確認するとクラマは驚いた表情を浮かべ、その後満面の笑顔で俺を追いかけて抱きついてきた
そのときの笑顔は、まるで簪についた向日葵のように明るく、柔らかい笑顔だった
いかがだったでしょうか?
今回は、クラマをヒロインに据えた話しです。ありふれた展開ですがwww
さて、次回の更新は遅れるかと思います。申し訳ありません。
理由といたしましては、二週間後に期末試験を控えており、今回はガチでやらんと非常に拙い事になるためです。
主に、数学と英語が。あと若干家庭科。
では次回の更新まで、しばしのお別れを。
説明 | ||
第十三話です。お楽しみいただければ幸いです | ||
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コメント | ||
いや、すんません。 妖孤状態しか知らなかったので・・・・・・・・カオスだけはマジで勘弁しtください。←もう遅い(クライシス) ふむ…クラマは人間VerではCV.ゆかなさんで。尾獣状態での声は原作どおりです。…クライシスさん、うちのクラマが『クライシスがワシの声と姿で吐きかけた?…あちらのコメント欄を混沌に陥れてしまおうかの…?幸い、妖怪が見える御仁も居るようじゃのう』と言ってるんですがwww(ディアーリーズ) だけど、原作のクラマの声と姿を思い出したら・・・・・・うえっ。(クライシス) クライシスさんコメントありがとうございます。クラマは見た目キャス狐ですからね。それに、『可愛いクラマ』を意識して書きましたからwww(ディアーリーズ) クラマが可愛くて堪らないッス!! (クライシス) |
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