ソードアート・オンライン デュアルユニークスキル 第三十二話 タイムリミットと口付け |
デュオ視点
キリトとアスナが結婚してから、俺は前線に出なくなった。
2人が二十二層の家に住み始めてからは、俺もシリカと一緒に過ごしていた。
一緒に釣りをしてみたり、2人で草むらに寝転んで昼寝したり、キリトたちと一緒に食事したりした。
毎日が幸せだった。
一生このままでもいい、ただ単調な毎日しかなかった((現実|リアル))より
この充実した((仮想|バーチャル))で生きたほうが幸せだと、そう思える毎日だった。
だが、それもそう長くは続かなかった。
キリトたちの結婚から2週間経ったある日、突然ヒースクリフからメッセージが届いた。
どうやらボスが発見されてしまったようだ。
今までなら、素直に喜べたこの瞬間が、今は来てほしくなかった。
通常視点
キリト、アスナデュオの3人はヒースクリフに呼ばれて、血盟騎士団の本部に来た。
そこで、驚くべき真実を告げられることになる。
キリト「偵察隊が全滅・・・!?」
デュオ「どういうことだ・・・!?」
アスナは絶句し、キリトが驚きの声を上げる。
ヒースクリフ「ここからは、後衛の偵察隊の報告になる。扉は5分以上開かなかった。鍵開けスキルや直接の打撃攻撃・・・何をしても無駄だったらしい。」
ヒースクリフの落ち着いた言葉が、今回は重々しく感じられる。
ヒースクリフ「ようやく扉が開いた時、扉の中には、何もなかったそうだ。」
アスナ「なんでそんなことに・・・」
アスナが何とか絞り出したような声で呟くと、キリトの目が見開かれる。
キリト「まさか・・・!?」
デュオ「ああ、結晶無効空間だろう・・・おそらく、ここから上の層のボス部屋は全部が無効空間だろうな・・・」
ヒースクリフ「そうとしか考えられない。だからといって、攻略を諦めるわけにはいかない・・・了解してくれ。」
キリト「協力はさせてもらいますよ。だが、俺にとってはアスナの安全が最優先です。」
アスナ「私も、もしもの時はキリト君の安全を優先します。」
そう言う、キリトとアスナの瞳には強い決意が宿っている。
ヒースクリフは、真鍮色の目で2人を見据えると言った。
ヒースクリフ「何かを守ろうとする人間は強いものだ。君たちの勇戦を期待するよ。」
デュオ「時間と人数を教えてくれるか?」
ヒースクリフ「攻略開始は3時間後、人数は君たちを含めて41人。七十五層、コリアのゲートに集合だ。では解散。」
その言葉を合図に、血盟騎士団の幹部とヒースクリフは立ち上がると、部屋から出て行った。
デュオ「さて、俺も行くとするか。」
デュオも5人に続くようにして部屋から出て行った。
アスナ「3時間か・・・どうしよっか?」
キリト「アスナ!」
真剣な表情になるキリトに、アスナは落ち着いてはいるが不安の混じった声で答える。
アスナ「どうしたのよ?」
キリト「アスナ・・・」
アスナ「何・・・?」
キリトは言いにくそうに目を逸らしてから、もう一度アスナを見つめると言う。
キリト「怒らないで聞いてくれ。今日のボス戦・・・参加しないでここで待っててくれないか?」
アスナ「どうしてそんなこと言うの・・・」
キリトの言葉を聞いた途端、アスナの瞳が一気に暗くなる。
そんなアスナに、キリトは真剣な表情のままで続ける。
キリト「ヒースクリフにはああ言ったけど、結晶が使えない場所では何が起こるかわからない・・・怖いんだ・・・君の身に何かあったらって思うと・・・」
アスナ「そんな危険な場所に自分だけ行って、私には安全な場所で待ってろって言うの!?」
アスナの瞳に、怒りの感情が宿る。
アスナ「もしそれで、キリト君が帰ってこなかったら、私自殺するよ!もう生きてる意味ないし、ただ待ってた自分が許せないもの・・・!!」
キリト「ごめん!俺、逃げたいと思ってる・・・ゲームクリアなんてしなくてもいい!一生あの森の家で2人で暮らせたら、俺はそれで・・・」
キリトはそこで言葉を詰まらせる。
すると、アスナはこう答えた。
アスナ「私もそう思うよ。でも・・・キリト君考えたことある?私たちの本当の体がどうなってるか・・・」
アスナは言葉を切ると、一瞬だけキリトから目を離してから言った。
アスナ「キリトくん・・・前に一定時間だけ公式に電源を落とされたことがあったのを覚えてる?たぶんあの時、私達の体は病院や施設に移されたと思うの。」
キリト「言われてみれば、そうだな・・・」
アスナ「私たちの体は今、いろんなコードに繋がれて辛うじて生かされているとしても、そんなのいつまでも続くはずがない・・・!」
アスナはが言い終わると、キリトは目を見開き、アスナの言葉から導き出した答えを口にする。
キリト「つまり、ゲームをクリアする、しないに関わらず、タイムリミットは存在する・・・?」
キリトの言葉を聞いたアスナは、キリトにすがりつくようにして泣き始めた。
アスナ「私、一生キリト君の隣にいたい。ちゃんとお付き合いして、本当に結婚して、一緒に年をとっていきたい・・・」
キリト「そのためにも、今は戦わなくちゃいけない。」
キリトは半ば自分に向けてそう言った。
その後、2人はどちらからともなくキスをした。
キリト「ん・・・んむ・・・アスナ・・・」
アスナ「ん・・・んちゅ、んん・・・キリト、く・・ん・・・」
優しく、それでいて少し激しくお互いに求め合う。
キスは唇に留まらずに舌も絡ませ合う。
お互いの唾液を交換を行い、そのたび淫らな水音が部屋の中に響く。
キリト「んぅ…、ぴちゅ……んん、ふぅ…」
アスナ「んん、んむ……、んく…ん…ぷはぁ……」
十数秒に及ぶ長く激しいキスが終わり、唇が離れる。
アスナ「はぁ・・・はぁ・・・き、キリト君・・・」
キリト「アスナ・・・続きは帰ってきたらにしようか・・・」
アスナ「・・・うん・・・!」
デュオ視点
俺は家に戻って、ポーションや投擲用の剣を持てるだけかき集めてストレージに収納する。
続いて愛剣と防具の耐久値を確認。(リズに頼んでメンテは完了している)
それが終わると、集合時間まではすでに30分を切っていた。
俺は、ココアを作ると思い出を振り返りながらそれを啜る。
デュオ「ふう〜・・・これを飲むのも、今日で最後かもしれないな・・・」
不意にそんな言葉が漏れた。
今思えば、この世界ではいろいろなことがあった。
決して現実では手に入らなかったものをいくつも手に入れた。
何もない自分独りだけの冷たい世界が消滅し、
仲間や((恋人|シリカ))が傍らにいる暖かい世界が広がった。
俺はそんな世界を壊そうとしている。
だが、この世界を壊すことに躊躇いはない。
確かにこの世界がなくなれば、俺はまた独りになるだろう。
でも、それでキリトやアスナ、シリカやリズベットたちが恐怖から解放される。
ただ俺がまた独りに戻るだけだ。
そこまで考えると、ココアがカップからなくなった。
デュオ「よし。行くか。」
カチン、という音を立ててカップを置くと、いすから立ち上がり玄関に向かう。
扉に手をかけ、それを押し開けると、外に踏み出す。
?「・・・デュオさん!!」
後ろから声をかけられた俺が振り返ると、シリカが不安そうな目でこちらを見ていた。
シリカ「・・・行くんですか・・・?」
デュオ「ああ、俺も攻略組の1人だ。ボス戦に参加しないわけにはいかない。」
シリカ「あの、帰ってきてくださいね・・・」
デュオ「ふん・・・」
俺は頬に笑みを浮かべると、シリカに歩み寄った。
姿勢を低くして不安そうな表情をしているシリカの顔を真正面から見る。
そして、その小さな唇を自分の唇で塞ぐ。
デュオ「ん・・・んむ・・・」
シリカ「っ!?・・・んむ・・・ん、んん・・・」
シリカは一瞬身を硬くしたものの、
すぐに優しく触れ合う唇の感触を受け入れる。
唇だけでのキスに留まらずに舌も絡めていく。
お互いの唾液を交換する。
デュオ「んむ・・・んん、ふう・・・」
シリカ「んん、んむ・・・ぷはっ・・・」
キスを終えるとシリカはまだキスの余韻に浸るっているようで、唇の少し下に指を当てたまま、
トロンとした目で俺のことを見つめている。
デュオ「濃厚なキスだ。帰ってきたら続きをしような。」
俺は振り返ると、手を上げて言った。
この世界で最初で最後の言葉を。
デュオ「行ってきます。」
この言葉でシリカは酔いを醒ますと、満面の笑みを浮かべて言った。
シリカ「行ってらっしゃい!」
シリカの言葉で、やり気の充電が完了した俺は転移結晶を掲げて叫んだ。
この時、なぜ転移門に行かずに、結晶を使ったのかはわからなかった。
デュオ「転移!コリア!」
結晶が砕け散ると同時に、俺は戦士たちが集まる七十五層の主街区へ跳んだ。
説明 | ||
新婚生活は都合上飛ばします。 | ||
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コメント | ||
スターダストさんへ もちろんそうなってもらいますが、簡単になっては面白くありませんよね・・・(やぎすけ) この二人組みには現実でしっかりと愛し合って欲しいと願って止みません。(スターダスト) 魅沙祈さんへ たまにはこの2人も【少し深い領域】に踏み込んでもらっても良いんじゃないかと思いまして・・・(苦笑)(やぎすけ) 本郷 刃さんへ シリカはほとんど受身ですから。ただ、【第二十七話】でも書いていたようにシリカも、デュオに求めてもらいたいという欲求はあったので今回は積極的になってもらいました。(やぎすけ) なんかエヴァの「真○を君に」みたい…キリトとアスナはともかくシリカまで…(゜ロ゜)(魅沙祈) の、濃厚なんじゃよ、シリカまで・・・・・・(呆然)(本郷 刃) |
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