語られし者たちとIS 世界樹大戦 第21話 臨海学校初日 千冬の想い |
「海が見えてきた!」
バスの中にいた女子がテンションを上げてはしゃぐ
臨海学校初日、快晴で風が気持ちいい
テンションが上がるのも当然だろう
一夏は、自分の席に座って景色を眺めていた。隣に座っているシャルロットも同じように眺めていた
「久しぶりに海に来たけど、やっぱり楽しみだな」
「そうだね、海はきれいだし楽しみだよ」
この二人もご機嫌らしい
しばらくすると泊まる旅館に到着した。生徒たちがバスから降りると泊まる旅館の従業員が出迎えてくれる
生徒たちは全員挨拶をする
旅館に入った後、一夏は自分の部屋がどこになっているのかを聞くことにした。臨海学校のしおりに乗っていなかったのだ
(なんとなく理由の想像がつくわ)
(お察しの通りよ、ジュディス。一夏君、真耶の後についていって)
アンジュの言葉を聞いた真耶はすぐに一夏の所に行き、彼の部屋を案内した
そこは教員たちの部屋だ
「私とお前の二人だ。一人の部屋にしようとしたが、そうしては時間を無視した連中が来るかもしれないと思ったからな」
一夏は千冬の説明に納得した。確かに千冬という厳しい……いや恐ろしい門を抜けてまで俺に会いに来るやつはいないと思う
部屋に入り、荷物を置く。初日は自由に遊んでよいことになっている
一夏は着替えを持って海に向かう。せっかく来たのだから泳ぎたいのだろう
ジュディスも荷物を持って一緒についていく
(私も泳ごうかしら? 水着があるし)
こちらの世界で泳ごうと考えていたらしいが、真耶とアンジュに止められた。結局異世界で泳ぐらしい
「さすがに暑いな……」
(でも、風が気持ちいいわね)
着替えて浜辺に出た一夏とジュディスは準備体操を始める
それなりに体操をやったから泳ぎに行こうとしたら近くのパラソルの下に簪がいた
緑のワンピースの水着の上にパーカーを着ている。泳ぐ気がないのかシートの上には何冊か本が置いてある
一夏は挨拶をしておこうと思い近づく
「こんにちは、簪さん。泳がないの?」
「あんまり……好きじゃないの……泳ぐのは」
(こうやってパラソルの下で本を読むのも僕としてはいい楽しみ方だと思いますけどね)
そんな考えもあるんだなと思いながらも泳ぐことにする一夏
ついでに周りの女の子たちからは後でビーチバレーをやる約束をする
しばらくのんびり漂っていると鈴が背中に乗っかってきた
「なーにのんびり泳いでんのよ? それよりもあたしと競争しない? 何か賭けて」
「そうだな……じゃあ、あそこのカギ氷な。じゃあ、ジュディスさんとマオが審判でいいか?」
「上等よ、マオ! 頼んだわよ」
(りょうかーい、その代り後でなんか奢ってネ)
(そうね……あそこの赤いブイがあるところまででいいかしら? じゃあ……スタート)
ジュディスの合図で二人は泳ぎ始める
大体五十メートル、普通の競争と違って他の生徒をよけながら進まないといけない
それを考えると、一夏は若干不利になる。なぜなら彼の場合、女子とぶつかっては色々とよくない
一方、鈴はそんなことお構いなしという感じで進んでいく
そのままゴールすると思った瞬間、鈴が止まった。どうしたのかと思った瞬間、そのまま溺れている
慌てて一夏は鈴の下に行き、背負う
「大丈夫か!?」
「大丈夫……じゃないかも、ちょっと足つった……悪いんだけど……」
「運んでやるって、しっかり休んどけよ」
すぐに砂浜に戻ってパラソルの下に運ぶ
ちょうどそこにセシリアがいたため、看病を任せることにする
「わかりましたわ、ところで一夏さん……もしよろしかったらオイルを……」
「一夏、どうしたの?」
セシリアがオイルを塗ってもらおうと頼もうとした時、シャルロットとタオルでぐるぐるにまかれた女子がやってきた
「……えっと、そのタオルは誰? 多分……」
「うん、予想通り。ほら、タオルを取ったら? 恥ずかしがることなんてないのに」
「わ、私が決める」
タオルにぐるぐる巻かれている人物はラウラであった
(何というか恥ずかしいそうですよ)
ジェイの解説に何となく納得したような微妙な感じない一夏
そうしていると先ほどビーチバレーに誘ってくれた女子たちがこちらにやってくる
一夏は参加しようと考えた時、シャルロットがあること思いついた
「ねえ、僕も入れてくれない? ラウラはどうするの? そんな格好だと遊べないし」
「……ええい、取ればいいのだろう!」
そう言って勢いよくラウラはタオルを取った
黒のレースがふんだんに使われた水着だ。本人は恥ずかしそうにしていたが、一夏はもちろん、周りの女の子達から可愛いと言われ、余計に恥ずかしくなってしまい倒れてしまった
「皆さんで楽しんできてください、私は鈴さんとラウラさんの看病をしていますわね」
「悪いわね、セシリア。あたしがオイル塗ってあげる」
「いえ、遠慮しておきますわ」
やっぱりねという表情をする鈴だった
楽しい時間はすぐに過ぎ、そろそろ就寝時間
食事は豪華で皆は大変満足していた
シャルロットがわさびをそのまま食べてしまうというハプニングがあったが……
今、部屋には一夏と千冬だけ
「……しかし久しぶりだな。こうやって二人でいるのも」
「そうですね。織斑先生」
「……今は名前で呼んでいい。一夏」
しかし何というか態度が固い、そう千冬は感じていた
(一夏、そろそろ特訓の時間よ)
ジュディスの言葉に頷き、部屋から出ようとする
「千冬姉、少し散歩に行ってくる」
「……分かった、あまり遅くなるなよ」
そのまま一夏は部屋から出て行った。数分するとノックの音が聞こえた
「篠ノ之です、いいですか?」
「ああ、はいれ」
部屋に箒が入ってくる
「一夏は?」
「散歩らしい、数分もすれば戻ってくるだろう。ところでお前だけか? いつものメンバーはどうした?」
千冬の疑問に箒は答える
「もう少ししたらセシリアとラウラが来ると思います。ただ、鈴とシャルロットは来ないみたいです。部屋のものに確認したのですが……」
「そうか」
話していると、セシリアとラウラが入ってくる。もちろんノックをした後に
「あら? 鈴さんがいないのですね」
「シャルロットもいないな……それに嫁もいない」
とりあえず四人は座る
そして千冬はあることを聞くことにした
最近の一夏と鈴の変化についてだ
「何か気になることはないか?」
「そうですね……私は一夏の奴が変な剣術を身に着けていたことが一番気になっていますね」
「私は一夏さんの成長速度が気になりますわね。まだ動かして間もないはずなのにあれほどの成長率……侮れませんわね」
「私は鈴についてだな。一度セシリアと戦った時だがあの耐久は異常だったな。あれで死ななかったあいつに驚いたな」
三人の意見を聞いて千冬も考える
確かに彼らは強い、そして二人だけではない。他に何名か気になる人物がいる
しかし情報が少なすぎる
「もしかしたら何か隠しているのかもしれない。もしわかったら私にも教えてくれ」
その言葉に三人は頷き、解散しようとした
だが千冬は箒だけを呼び止める
「……明日はお前の誕生日だ、恐らくあいつが来る」
「そうですね……」
その言葉を最後に箒は部屋から出て行った
一夏が部屋から出て十分くらい経った頃、彼が帰ってきた
千冬が彼に何か聞こうとしたが、眠そうにしていてすぐに布団を用意して眠ってしまったため何も聞けなかった
「一夏……何を隠しているんだ? なぜ話してくれない? 私とお前は唯一の家族なんだ。困ったことがあったら相談してほしいのに……」
少しさびしそうに彼の寝顔を見た
(……一夏からあなたに話すことはきっとないわね。彼がどんなふうにあなたを見ているのか知らない……自分が彼の全てを守っていると思い込んでいるあなたにはね)
そんな千冬をジュディスは少し厳しい表情で見ていた
スキット
それぞれの勧誘
「ねえ、リオ君。一緒に行こうよ」
「断る! 大体、僕はこっちの世界にいる気はないんだ。おとなしく異世界で本でも読んでいる」
本音は一緒に遊びたいだけなのだが、リオンはそれを拒絶している
「アンジュはどうしますか? 確かいい水着を持っていましたよね?」
「ええ、でも……最近、ちょっと食べ過ぎて……」
その言葉に真耶は納得する。そんな彼女の表情にアンジュはちょっと困り顔になる。分かられても困るらしい
「ジェイはどうするの?」
「いえ、僕は情報収集を……」
「駄目、今日くらいはゆっくりしないと」
反論しようとしたが、それもそうかと思い浜辺でのんびりすることを提案していた
「色々とパートナーによって違うのね」
そんなやり取りを遠くからジュディスは微笑ましそうに見ていた
何だか最近うまく書けずに更新スピードが落ちています
申し訳ありません
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