手紙 |
こんにちは。元気ですか?私は元気です。
今夜は十五夜ですね。
真丸な金色の月が夜空に浮かんでいます。
私も、町も、月の光に照らされています。
貴方も月を見て、月光に照らされているのでしょうか?
終戦からもう、60年も経つのですね。
時が経つのは早いものです。
次の満月の晩までには帰ってくる。と、意気込んで出掛けていった貴方。
戦いへ駆り出るその後姿は、とても勇ましかったです。
なのに、出掛けてから、まだ帰ってこない貴方。
いつも貴方は遅刻ばっかりでしたね。
その度に私は心配して不安になったものです。
けれど、私は貴方の遅刻を怒ることなどしません。
貴方が帰ってくれば、『おかえり』 と、笑顔で迎えてあげます。
だから、貴方も、『ただいま』 と、笑顔で私を抱きしめてください。
早くしなきゃ、忘れてしまいますよ?
なんて、そんなこと有るわけないですが。
いつまでだって、待ってます。
だから、次の満月の晩までには帰ってきてくださいね?
彼女は手紙を書き続け、
帰ることのない恋人を待ち続ける。
end.
説明 | ||
月に照らされながら、彼女は毎晩手紙を書く。 愛しい人へなのか、いつもその表情は柔らかい。 十五夜には、部屋の明かりは一晩中点き、彼女の楽しそうな歌声が聞こえる。 しかし、その歌声は狂ったように、音程を保ってはいない。 |
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コメント | ||
華詩さま>彼を愛するが故に、狂ってしまうそんな彼女の気持ちを分かっていただけ嬉しいです。純愛・・・その言葉、彼女にしっくりきます。(xx凛) 認めたくない理不尽な別れ。そうであって欲しいと言う強い気持ち。これは純愛なんでしょうね。(華詩) |
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タグ | ||
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