いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した
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 第八十二話 これも商売だから…

 

 

 

 初めはこの一言から始まった。

 高層マンションの一室。まあ、自宅からなんですけどね。

 

 「ねー、お兄ちゃん。ひな祭りって暇?」

 

 高志は逃げ出した。

 しかし、それを遮る黄色い影。

 

 「チビ君、ゴー」

 

 「ぎー」

 

 「意外と俊敏?!」

 

 しかし、アリシアが操るちっこいガンレオンこと、チビレオンに回り込まれた。

 見た目に似合わない程高機動である。

 

 「なんで逃げるの!」

 

 「嫌な予感しかしないからだよ!」

 

 とは言っても俺は男の子ですから、女の子のイベントなんて知りませんよ!

 

 「ぎー」

 

 そう問答している間にチビレオンは高志を簀巻きにしてフローリング張りの床に押さえつけていた。

 

 「明後日、なのはちゃんとこのお店でひな祭りイベントするんだって。なんでも皆が可愛い着物を着てステージに立つんだよ」

 

 古風なAK○みたいなもの?

 それともファッションショーみたいなものか?お菓子を添えて?宣伝?

 

 「それでなのはちゃんのお父さんとお母さんからお兄ちゃんには裏方を頼みたいんだって」

 

 「…裏方。…ああ、ガンレオンね」

 

 チェインデカッターはノコギリ。

 スパナはスパナ。

 ガンレオン本体は重機。

 ((ギークガン|釘打ち銃))はチビレオン。…泣ける。なんで本体についていないの?

 ガンレオンは頑丈だから安全性もばっちりという訳ですな。

 工事に関しては滅茶苦茶役に立ちますね。

 

 「…俺も着物を着て参加すると思ったんだけどな」

 

 ちょ、ちょっとくらい期待してもいいじゃない。

 年末はもの凄く頑張ったからそのくらいの美味しい役は逢ってもいいと思うんだ。

 

 「フェイトやアリサ。すずかちゃん。なのはちゃんにはやてちゃん。ヴォルケンリッターの皆にユーノ君やクロノ君といったアースラスタッフも何人か着物を着てイベントに参加するんだって…」

 

 え?俺だけ着物きれないの?…苛め?

 

 「…なのはちゃんのお父さんとお母さん曰く、『これも商売だから…』って、言っていたよ」

 

 「ぎー」

 

 チビレオンが「まあ、あっちの都合もわかってやれよ」と言っているかのように俺の背中をポンと叩く。

 

 ………っ!!

 

 どーせ、俺は地味メンですよ!

 

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 「ガンガンレオンッ、ガンレオン♪ガンガンレオンッ、ガンレオン♪ザ・ヒィイイト、クラッシャァ〜♪」

 

 先日は腐っていた俺だが、先日の恭也の一件もあったのでお詫びも兼ねて喫茶翠屋が主催するひな祭りフェアの舞台。海鳴公園の一角を借りてステージを組み立てていると以外の他、楽しかったりする。

 高町家の皆はなのはから魔法の存在を知っているので俺がガンレオンの鎧を着ているところを見て驚きはしたもののすぐに受け入れてくれた。

 それどころか、『喫茶店碧屋主催!ひな祭りフェア!!』と書かれたの((襷|たすき))のような物と旗をガンレオンにくっつけて作業してくれとも頼まれた。

 …商魂たくましいですね。高町夫妻。

 本当にあの恭也さんの親?って、思うほどに若かった。プレシアみたいにピリオド・ブレイカ―受けていない?

 しかし、ガンレオンをマスコット代わりにするとは…。そして、それを平然と受け止める海鳴市の皆さん。やっててなんだけど、おおらかすぎやしないか?

 まあ、一見すると着ぐるみにも見えなくもない。近寄ってきた子ども達にはビラも配っています。

 

 手にはレンチではなくハンマー(グラーフ・アイゼンに非ず)を持って土台となる合板を組み立て終える。

 そして、デバイス任せではあるが、全体的にチェックをかけて強度が保てるかどうかを確認してガンレオンを人気のないところで解除する。と、そこになのはとユーノがやって来た。

 

 「お疲れ、高志くん。はいっ、差し入れ。お茶も飲む?」

 

 「もらう」

 

 「ごめんね、高志。僕も手伝えたらよかったんだけど…」

 

 「お前は明日大事なモデルさんだからな…。まあ、明日いろんな人にお前の半ズボンを見られるといいよ」

 

 「どうしてピンポイントなのかな!?」

 

 なのはは差し入れの入った紙包みを俺に渡しながら、俺はユーノにちくりと文句を言う。

 組み立て作業は楽しいけれど、やっぱり羨ましいんだよ、ちくしょう。

 

 「…にゃはは。あ、今日の差し入れはお母さんがサプライズで高志君のガンレオンを見て作ってみた試作品だって」

 

 へぇー。それは楽しみだ。どんなサプライズだろ?

 ガンレオンは全体的に黄色いから黄桃かチーズを使ったケーキだろうか?いや、黒もあるからチョコレートケーキ?それとも、ティラミス?

 少しわくわくしながら紙包みを開ける。

 

 

 

 「「「なんでマグナモード?!」」」

 

 

 

 しかもリアル!

 まるでチビレオンがそこでマグナモードになっているんじゃないかと錯覚するぐらいの出来だった。

 

 「リアルすぎてなんだか食べるのがもったいないの」

 

 「というか、怖いよ…。逆に食べられそう」

 

 「ううう。絶対今日夢に出てくる。…解体される」

 

 サプライズ過ぎて腰が抜けるかと思った。

 桃子さん(なのはの母)。あんた、やりすぎや…。

 そのマグナモードなケーキは((俺|スタッフ))と((なのは・ユーノ|その関係者))が美味しくいただきました。

 

 俺はその日、チビレオンと目を合わすことが出来なかった内緒だ。

 そして俺の忘れられない、ひな祭りが始まる。

 

説明
第八十二話 これも商売だから…
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コメント
マグナケーキ食ってみたいwwwwww  てか本体より優秀なチビレオンwwwww(孝(たか))
誤字修正しました。ありがとうございます。(たかB)
てっきり歌うのは負けな〜いぜ♪負けな〜いぜ♪負けな〜〜〜いぜ〜♪ガ〜〜〜ンレオ〜ン♪かと思ったのに…ってかチビのギーグガン作れたんだから高志のギーグガンも造れるでしょうよ、プレシアさん…。(神薙)
誤字発見です。 以外と俊敏→意外(神薙)
マグナモードのケーキ・・・略してマグナケーキだなwww(453145)
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