インターセンター(下) |
レポート6
ある日、少年がモンスターに襲われているのを見た。
どうやら異常現象でモンスターがホモ化したらしい。
このままだと危ないため、少年を救助した。
襲われた恐怖とそこから解放されたという安心感からか、少年は眠ってしまった。
恐らく、トラウマとなってしまったのだろう。
身元が分からなかった為、とりあえず、我々の拠点に連れて行くことにした。
目が覚めた少年は、しばらく他の男性を警戒していた。(助け出した私でさえもだ)
安心と分かってからは、普通に接する事が出来るようになった。(律義にお礼と謝罪をしてくれた)
ただトラウマ自体が消える事はなかったようだ。
私の仲間の一人が、からかおうとして少年の後ろで「ヤらないか」とささやいたら、すかさず裏拳をお見舞いされたらしい。その後少年は、彼をしばらく警戒していた。
どうやらホモに関わることに過剰反応するようだ。(ちなみにオカマでも駄目だった)
レポート7
少年は元々、明るい性格ではないようだ。
両親が市民団体で、その為警備員に逮捕されたらしく、そのまま病死したらしい。
その後、孤児院で暮らすようになったらしいが、院長にこう言われたそうだ。
「貴方の御両親は、貴方の為に、女神様の元で働いています。」と。
最近両親が忙しそうだった様子を見ていた少年は、その言葉で納得した。
少年が何も知らずに孤児院に入って1年たとうとしたある日、院長と教祖の話を偶然聞いた。
否、聞いてしまったと言った方がよいのだろうか。
話の内容は、両親が市民団体の一員だった事、牢屋にて病死した事、過労で患った事、
そして、市民団体に入った理由は、私が行動を起こした理由と同じだった事等々、
少年にとっては寝耳に水な事ばかりだった。
そして、教祖から院長へと両親が書いた手紙を手渡ししようとした時だった。
少年は思わずその手紙を奪い、孤児院から出て行った。
ホモ化したモンスターに襲われたのは、その直後らしい。
手紙の内容は、少年に充てた手紙だった。
少年には、最近かまってやれなくて悪かった言う謝罪と、自分達が死んでも、生きて幸せになってほしいという願いが書かれていた親の手紙だった。
その少年に充てた手紙の裏には、「息子を頼む」の一言が書かれていた。
レポート8
私は少年を預る事にした。
預けながら、街づくりに励んでいた。
ようやく街らしいものが出来上がった。しかしモンスターが問題だ。
ある時、少年がモンスターと接触しているのを見かけた。
危ないから近づくなと言ったが、少年は平気と言っていた。
どうやら少年にはモンスターと親しくなりやすい体質のようだ。
そしてしばらくモンスターと話していた後、少年は私に「条件をのんだら手伝う」とモンスターが言ってた事を伝えた。どうやら私が人手や費用で行き詰っていた事を知ったらしく、それでモンスターに手伝って欲しいと頼んだようだ。(一言も言ってないのに一体どこから知ったんだか・・・)
とりあえず、条件の内容を聞く事にした。
条件は一つ。「人間のように暮らしたい」との事。
モンスターにも人間の生活に憧れる者はいるらしく、最近はペットを飼う者もいるらしい。
皆にもそれを伝えた。戸惑うものもいたが、賛同してくれた。
レポート9
どうやら私もモンスターと親しくなりやすい体質のようだ。
初めは戸惑ったが、次第に打ち解け合う事が出来た。
モンスター達の協力を経て、所々に街が出来た。通信手段も出来た。もう出来たづくしである。
人とモンスターの共存、思いもよらなかった事により、目的に、夢に、近付いて行った。
しかし少年も明るくなったものだ。まさか街づくりで笑顔が増えるようになったとは・・・
思わぬ報酬が手に入ったものだ。しかし、良い事だけではなかった。
とうとう四大国が動き出したのだ。軍や女神による襲撃が相次いだ。
無理もない。インターセンターの街とそこに移住する人々が増えてきたからだ。
シェアは女神の生命線。これ以上減らすわけにはいかなくなったのだろう。
我々は、世界の危機となったわけだ。
私は闘う事にした。少年にはこれが終わったら必ず帰るからと言っておいた。
負けるわけにも、退くわけにも行かなくなった。
私一人でも止めるつもりだったが、仲間たちが同行してくれた。
人も獣も関係ない。私の夢に付き合ってくれた同士達だ。
この戦いは、希望を紡ぐものとなるだろう。
レポート10
どうやら私はここまでのようだ。善戦空しく同士が一人、また一人と散って行った。
大将であり、建国者でもある私がいる限り、四大国は襲撃を止めないだろう。
私一人の命で、大勢を救えるのなら、差し出すほかあるまい。
だが、私を失った悲しみは、国の衰退を招くだろう。
しかし、私が死のうとも、私を継ぐ者は必ず現れる。
どんなに刈られようと、雑草のように生えてくるだろう。
インターセンターは不滅だ。(結局、名前はこれになってしまったな)
だがしかし、心残りはある。少年に約束したのだ。「帰ったら、どこか遊びに行こう」と。
もし私が死んでしまったら、少年はまた「あの時」のようになってしまうのかもしれない。
それでも行かねば。少年には生きて欲しい。生きていれば、また幸せになる機会がいつか来る。
だから・・・すまないユウザ。約束を守れなかった。
けど、私が死んでも、生きて幸せになってほしい。