魏エンドアフター〜桜吹雪〜
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そろそろ一人一回戦くらいやったころだろうか、闘技場がわりと大変な事になっている

そりゃあれだけ暴れられたらそうなるだろうよ……

というかまだ形が残ってる事自体褒めるべきではないだろうか。

その後の試合では孫策対魏延で孫策の勝利、呂蒙対厳顔で呂蒙の勝利

……え?あの人武官なの?

 

「それでは第12回戦を行いたいと思います!」

 

今魏で勝ち残っているのは──霞、春蘭、凪、で俺か。結構残ってるな

 

「張遼将軍対甘寧将軍です!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「次は霞か、頑張ってな!」

 

凪「相手はあの甘寧殿です、気をつけてください」

 

霞「あたりまえやろ、一刀と闘えるかもしれんのにこんなところで負けてたまるかい」

 

一刀「俺としては是非とも遠慮したいけど……」

 

霞「そないなこと言うなや、一刀は強い、それはウチが認めたる」

 

真桜「せやで、そこらの武将なんて相手にならんほど強うなっとるよ」

 

沙和「もう沙和達じゃ勝てないかもなの〜」

 

一刀「はは、ありがとう。絶対勝ってこいよ!Σd」

 

霞「あいよ!Σd」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮華「頑張ってね、思春。応援してるわ」

 

冥琳「相手は張遼か。手ごわい相手だな」

 

雪蓮「手ごわいのはこっちも同じよ、伊達に鈴の甘寧なんて呼ばれて無いわ」

 

祭「しかし相手はあの紺碧の張旗で恐れられている張遼。一筋縄ではいかんじゃろうな」

 

明命「頑張ってください!思春様!!」

 

穏「思春ちゃんなら大丈夫ですよ〜」

 

小蓮「あったりまえでしょ!思春に勝てる奴なんてそうそういないわ!」

 

亞莎「が、頑張ってください!」

 

思春「では行ってまいります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両者が壇上へ上がり、対峙する

 

霞「悪いけど、ここは勝たせてもらうで!」

 

思春「ふん、吼えていろ」

 

 

 

 

 

「それでは始めていただきましょう、れでぃ……ふぁい!!!!」

 

 

 

霞、思春「「ハァッ!!!!!」」

 

試合開始と同時に両者がそれぞれの得物を振るった

霞は飛龍偃月刀を全力で振り下ろし、思春は鈴音を全力で振り上げた

鼓膜が痛くなるほど震える音を出し、得物が重なった

そして霞が柄で刀身を弾き、刃でなぎ払う

思春も負けず、それをステップで避ける

 

霞「まだまだいくでぇ!!!」

 

霞の高速の突き、足払い、頭上で振り回し思い切り叩きつける

 

思春「ふんッ!!!」

 

思春はそれを全てを受け流し、攻撃の態勢へと移る

 

思春「せあッ!!!」

 

縦に切り裂かれる空間、食らえばひとたまりも無い一撃

 

霞「なめんなやぁ!!」

 

上下から粗同時のタイミングで放たれた斬撃による応戦

どちらも引く気はない、その場から動かず斬撃を浴びせていく

相手の攻撃を見切り、隙を見つけ、攻撃を放ち、防がれる

お互いの力は五分といったところだろう、ならばあとは根性のみ

 

霞「だらぁ!!!!」

 

思春「ハァァ!!!!」

 

凄まじい勢いで得物がぶつかり合い、両者が後退した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「あの、いきなりものすごい闘いになってるんですけど……」

 

凪「霞さまはどうやら本気で隊長と戦いたいみたいですね」

 

え?俺にあれと闘えと?あの某戦闘民族のようなオーラを放っている人と?

 

秋蘭「しかし今回の霞は勢いがまるで違うな」

 

春蘭「あぁ、前回とは比べ物にならないほどの気迫を感じる」

 

風「お兄さんのおかげでしょうかー」

 

一刀「え?俺なんかしたっけ?」

 

稟「あなたのそういうところ、もはや尊敬に値しますよ」

 

……褒められてる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「なかなかやるやないか!」

 

思春「ふん!これしきで私の本気を見たと思わないでほしいものだ!」

 

霞「あたりまえや!ウチかて小手調べや!今のが本気やったらがっかりしすぎて卒倒してまうわ!」

 

思春「ぬかせ!!!」  

 

得物を逆手に持ち、突進してくる

霞が頭上で飛龍偃月刀を回転させ勢いをつける、そして間合いに入ったところへ渾身の一撃

 

地面が抉れるほどの衝撃、しかし思春はそれを避け

 

思春「甘いな!!!」

 

霞の死角へと回り込み、完璧な一撃を食らわせ──

 

ガギィィン!!

 

ようとしたが霞も先程の一撃を避けられることがわかっていたのか、完全な死角にもかかわらず

得物を突き立てそれを防御

 

霞「どっちがやっちゅーねん!!!」

 

一瞬止まった相手の得物をつかみ、動きを封じ、引き寄せ、偃月刀の柄を腹部へ突き立てる  

 

鈍い音を立て、身体が軋んだ

 

思春「がッ……!ぐッ!」

 

が、それも一瞬、すぐに霞の首目掛け上段蹴り。

体を反らし、回避しようとしたが間に合わず、頭部にもらった

 

霞「はっ!おもろいなぁ!!こんなおもろい闘い久しぶりや!!!」

 

思春「この……戦闘狂が!!!」

 

霞、思春「「ハァァァァァァ!!!!!」」

 

どちらも自分の全力での猛攻、引かず劣らず相手の攻撃を流し、自分の一撃を乗せ

まるで相手が何をしてくるのかを知っているかのように完璧な体捌き

その勇猛さに会場の誰もが息を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮華「……」

 

冥琳「言葉が見つからんな……」

 

明命「あ、圧巻ですね……」

 

祭「どちらも譲らぬ、一瞬の気の緩みが勝敗をわけるじゃろう」

 

雪蓮「瞬きするのも惜しいわね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ……」

 

力を抑えている余裕など無い、この先の試合を考えている余裕など無い

今、目の前にいるこの強敵に全力で向かわなければ一瞬でやられるであろう

二人の体力も限界が近かった、しかし隙を見せるわけにはいかない

 

霞「ば、ばけもんかい……」

 

思春「はっ、はっ……き、貴様に言われたくは無い」

 

同時に地面を蹴り、得物を重ねた

 

霞「くはッ……!」

 

思春「ぐぅ……!」

 

腕の筋肉が痙攣している、握力が麻痺し得物をきちんと握れているのかもわからない

 

霞「そ、そろそろ限界や……これがウチの最後の一撃や」

 

思春「いいだろう。ならばこちらも全力で貴様を討つ」

 

両者が精神を集中させ、最後の一撃を放つ

 

霞、思春「ああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

霞は吹き飛ばされ、思春は武器が場外へと吹き飛んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝者!!張遼将軍!!!!!!!」

 

一刀「かっっっっったどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお           お!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

二人を包む大歓声、お互いが中央へ近づき

 

霞「あぶないところやったわぁ、もう少しで負けてたかもしれん」

 

思春「敗者に慰めなど無用だ」

 

踵を返し、壇上を降りていこうとする背中に

 

霞「今度はもっと鍛えときぃ!!!次ウチに負けんようにな!!」

 

笑顔で手を振った

 

思春「……ふん。私の真名は思春だ、好きに呼べ」

 

霞「ぉぉ……ウチの真名は霞や!!あんたに預けたるで!思春!」

 

再び笑顔で手を振ると、ふん、と鼻を鳴らして控え席へ戻った

 

 

 

 

 

 

 

霞「やったで一刀ぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

一刀「ああ!ちゃんと見てたぞ!!すごかった!!!」

 

霞「せやろせやろ!?これで決勝まで行ったら一刀と闘えるかもしれんで!!!」

 

一刀「それはごめん被りたいけどとにかくよくやったぞ!」

 

ぐりぐりと頭を撫でた

 

霞「へへぇ〜……ありがとうな、一刀」

 

華琳「見事だったわ、霞。あなたがあれほどの武を持っているなんてね」

 

霞「ウチ自身もびっくりやわ、おかげでちょっとシンドくなってもうてん」

 

稟「あれほど激しい闘いをしたのです、無理もありませんよ」

 

秋蘭「次の試合までまだ時間がある、休んでおけ」

 

春蘭「私も負けてはおれん!えぇい私はまだか!!」

 

桂花「あんたはさっき終わったばかりでしょうが」

 

 

 

 

 

 

 

見事に霞が勝利を治め、最高の気分だった。えぇそれはもう有頂天ですよ、エクスタシーですとも

 

「続きまして第13回戦──」

 

そう、この言葉を聞くまでは

 

 

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「孫策将軍対北郷一刀将軍です!!!」

 

……是非聞き間違いだと思いたい。

 

華琳「あら一刀、2戦目から雪蓮となんてついてるわね」

 

俺の希望は2秒で砕かれた

 

一刀「はい死んだー俺死んだよー!!」

 

風「お兄さん、本格的なお墓の大きさを……」

 

稟「まぁ死ぬ事は無いにしても骨の一本や二本は覚悟したほうがいいですね」

 

秋蘭「頑張れよ、北郷」

 

そんな哀れみの目で見送らないでいただけませんか。

 

霞「一刀!ウチと闘うまで負けたらあかんで!!」

 

春蘭「曲がりなりにも一度私に勝っているのだ、無様な負けは許さんぞ」

 

流琉「兄さまなら大丈夫です!!……多分」

 

最後のは言わないでほしかったなぁ……

 

凪「隊長、そんなに弱気になる必要はありません、

  私が見る限りでは隊長の武も負けてはいませんから」

 

沙和「そうなの!隊長だって強いの!」

 

真桜「それにウチ特製の武器があるんや、あとは気の持ちようやで」

 

あぁ……今ほどお前らをいい奴だと思った事はないよ。

 

一刀「はぁ……とりあえず行って来るよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「やったー!!!御使い君とだわ!!」

 

冥琳「ずいぶん嬉しそうじゃないか」

 

雪蓮「そりゃそうよ!明命を負かしたあの剣術は見た事ないし♪」

 

明命「でも一刀様はとてもお優しい方ですから……」

 

思春「確かに、明命の体を殴打する機会はいくらでもあったというのに、

   わざわざ得物を狙っていたからな」

 

亞莎「それほどお強い方が……もったいないですね」

 

穏「何いってるんですか〜、お優しいんですよ〜」

 

祭「逆に言えば武人に対する侮辱でもあるがのぅ、あやつがそんなことを考えているとも思えん」

 

冥琳「天然のたらしということだな、これでは本気で打ち合ってくれそうにはないが?」

 

雪蓮「大丈夫よ、開場前に華琳にあの子を本気にさせる方法を聞いたから」

 

冥琳「ほう、気になるな、どうするのだ?」

 

雪蓮「それはねぇ──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「両者、壇上へおあがりください!!!」

 

あぁ……俺にはこれが13階段にしか思えない、むしろそっちのほうがいいのかもしれない

 

雪蓮「よろしくね、御使い君」

 

一刀「北郷です」

 

雪蓮「明命の時みたいに手を抜いちゃ嫌よ?」

 

一刀「手を抜いた覚えなんてありません、俺は常に全力ですよ」

 

雪蓮「そう、まぁいいわ」

 

……何か気に障ったのだろうか、眉を顰め、離れていく

 

雪蓮「貴方が本気でやらないなら、出歩けなくなるくらい痛めつけてあげる」

 

すんげぇ怖い事言われたんですけど

 

「それでは始めていただきましょう、れでぃ……ふぁい!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華琳「さて、見物ね」

 

凪「そうですね、隊長の試合ですし」

 

華琳「そうじゃないわ、この試合で一刀が私たちをどれくらい──」

 

凪「どうかしたのですか?」

 

華琳「いいえ、まぁ見ていなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合開始と同時に雪蓮が間合いを詰め、南海覇王を振り下ろす。

ギリギリまで引き寄せ状態を反らし、避け、相手の体勢を崩す。

とりあえずは相手の軌道と動きの癖を──と考えていると

 

雪蓮「ふッ!!!」  

 

崩れた体勢にもかかわらず切り上げてきた。

 

一刀「くッ……ぉあ!」

 

予想外の攻撃によろけるがなんとか避ける。

考える時間もないのか……!

 

雪蓮「勝負の最中に考え事なんて、ずいぶん余裕じゃない?」

 

こちとらそんな余裕がないから弱点を探してるわけで

 

雪蓮「まだ剣も抜いていないし、人をなめるのも──大概にしなさい!!」

 

一瞬で間合いを詰め切り上げ、振り下ろし、なぎ払う

体を反らし、横へ飛び、屈み、全てを避ける

そして連続での攻撃のせいか、一瞬の隙を見つけた

楼蘭に手を伸ばし

 

一刀「ハッ!!!」   

 

思い切り南海覇王を弾いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明命「やっぱり速いです」

 

冥琳「しかし、今の雪連の隙はおそらくわざとだろう」

 

祭「うむ、今のは体に叩き込めたはずじゃからのぅ」

 

思春「それでも剣を弾いた……甘いな」

 

穏「だからお優しいんですってば〜」

 

冥琳「その優しさに雪連は大層ご立腹のようだがな」

 

蓮華「そうね、武人にとってその優しさは侮辱以外のなにものでもないわ」

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「ハァッ!!!」

 

くッ……!速度上がってるんじゃないか!?これ!

 

一刀「ぉ、らぁッ!!」

 

全力で振るったはずの一撃が軽く弾かれてしまう。

おいおいまじかよ!!

 

雪蓮「貴方、ふざけてるの?こんなもので私を負かすなんて思わないでほしいわね」

 

連続の突き、そして首を目掛けた上段蹴り

 

一刀「ぐぁッ!」

 

首は免れたものの、剣を弾かれ胸部にくらってしまった

しかしすぐにそのまま足払い、掌低へと繋げる

しかしどちらも弾かれてしまう。

後ろへ飛び間合いを抜けた。

本当に人間か?反応速度が尋常じゃないんですけど、まぁこの世界はなんでもありだからな……!

楼蘭を鞘に収め腰を低くし、相手を見据える。

そして体勢を低く保ったまま相手に突進、自分の間合いギリギリに入ったところで──

 

居合い、そのまま回転しなぎ払い、中段への回し蹴り、相手が攻撃を仕掛けてくる前に離れる

しかし、後ろへ飛んだ直後、南海覇王が視界の隅に見えた

 

一刀「ッ!?」

 

それを完全に視界に捉えたと思った瞬間、呼吸が止まるほどの衝撃を受け吹き飛んだ。

 

くあぁ……いってぇ〜……何だ今の……?

 

雪蓮「どこまでもなめてくれるわね、本気で来ないと本当に全身の骨を砕くわよ?」

 

こっちは最初から本気だっつーに……!

 

雪蓮「全く、とんだ腑抜けね」

 

放っておいてくれ

 

雪蓮「こんな男の何がいいのかしら、魏の子達ももう少し男を見る目を養ったほうがいいわね」

 

一刀「あ?」

 

雪蓮「あの曹操がかなり入れ込むからどれほどの者かと思っていたのだけど、あの子の目も節穴ね」

 

…………

 

雪蓮「加えて魏の子達全員だめだわ、かわいそうになってくるわ」

 

…………

 

雪蓮「隊長隊長って慕っているあの子達の神経をうたが──」

 

一刀「取り消してください」

 

……我慢できない

 

雪蓮「何を取り消すって?」

 

一刀「今言った事、全てを取り消してください」

 

ミシッっと刀の柄から音が聞こえるほど強く握り締める

 

雪蓮「私は事実を言ったまで、取り消す必要なんて──」

 

一刀「取り消せ!!!」

 

雪蓮「!!!」    

 

抜刀状態での居合い抜き、常識から考えれば不可能な技。

それを雪蓮は大きく後ろへ飛んで避けた。

 

雪蓮「あら、やればできるじゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明命「一刀さま、どうしたのでしょう……?」

 

祭「先ほどの小僧とは思えんな、あの剣幕は」

 

冥琳「大方、雪蓮が例の”本気にさせる方法”とやらを実行したのでしょう」

 

亞莎「それであんなに……」

 

穏「やっぱりお優しい方なんですね〜」

 

思春「穏は先程からそれしか言っていないではないか」

 

蓮華「しかし、それほど大事に思っているのだろう」

 

小蓮「いいなぁ〜シャオも大事に思われたい」

 

蓮華「……無理だな」

 

小蓮「ちょ!なんでよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じいちゃんは言った、自分の感情を制御できるようになれ、と

激情すればその勝負は負けたも同然、相手に付け入る隙を与えるだけだ、と

……できるわけがない、俺の大切な……何よりも大切なあの子達を侮辱された

あの子達の為ならこの命もいらない、それほどの大恩を受けている

3年も勝手に消えた俺のために泣いていてくれた、待っていてくれたんだ

だから……自分の愛した、大切な女の子を莫迦にしたこの人は許せない……!

 

両脇に構えた刀を同時に居合い、氣を溜めた蹴り

 

一刀「ぉぁああ!!!!!」

 

回転し、遠心力をのせた二刀での逆胴

 

防御されるがそれを無視し、

逆回転しそのまま振り子のように胴、足払い、上段からの振り下ろし。

一切の規則もない、只激情に身を任せ二刀を振り、踊り狂っているかのようだった

 

雪蓮(まさかここまで……!でもこれがこの子の本気ってわけ)

 

一刀「俺の事を莫迦にしたければ好きなだけすればいい」

 

ゴギィィン!!!

 

一刀「俺の事を卑下したいのなら好きなだけすればいい」

 

バギィィン!!!

 

雪蓮「くッ……!」

 

一刀「俺の事を侮辱したいのなら好きなだけすればいい……だけど!!」

 

ガギィィン!!!!

 

一刀「俺の大切な人達を悪く言うことだけは絶対に許さない!!!」

 

爆発音のような物が起きたと同時に、大気を真っ二つに切り裂いた「氣」が、雪連を襲う

 

雪蓮「ぐッ……ぁあ!」   

 

雪蓮が思い切り地面を蹴り後退。

間合いを抜けた雪蓮に刀を突き付け、

 

一刀「さっきの言葉、取り消してください」

 

雪蓮「(なるほどね、あの子達が虜になるわけだわ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凪「あ、あの華琳さま、隊長の様子が……」

 

沙和「隊長のあんな顔初めて見るの〜……」

 

風「あの優しいお兄さんがあんな顔するなんて、一体何をしたのでしょうかー」

 

真桜「いつもの隊長からは考えられへんな……ちょっと怖いわ」

 

秋蘭「確かに……今の北郷は恐怖を抱かせるな」

 

桂花「あのヘラヘラした顔からは想像もつかないわね……」

 

霞「それにあの動き、一回戦とは段違いやで?」

 

誰もが驚愕していた、いつものあの優しい彼からは想像も付かないほどの憤怒の表情

 

しかし、華琳だけはその理由を知っていた

 

華琳「ふふっ──」

 

(あそこまで怒るなんて予想外だけど……)

 

華琳はどうしても顔がニヤけてしまうのを止められなかった、なぜならば

開場前、雪蓮がどうしても彼とあたった場合、本気で闘ってほしいと言われ

 

「なら私たちを莫迦にしてみるといいわ、魏の子達なら誰のことでもいいから」

 

と耳打ちをした、そして雪連はそれを実行したのだろう。

その結果が今の彼だ。

嬉しくないわけが無い。

 

華琳「貴女達も幸せ者ね」

 

(そういう私も幸せなのかもしれないわね)

 

そう言いながら、試合に目をもどした

 

一同「?????」

 

誰も彼女の言葉を理解できる者はいなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「取り消させたいのなら、私を負かしてみせなさい!!」

 

一気に間合いを詰め、突きの猛襲

 

一刀「!!!」  

 

一歩後ろへ飛び二刀で突きを返し全てを叩き落す、そして下段への蹴り

 

雪蓮「ふッ──!」

 

その場で跳躍しかわされ、落ちてくると同時に南海覇王を振り下ろす

地面にめり込むほどの衝撃、しかしそれを回避しすぐに反撃。

着地直後に二刀を逆手に持ち換え、飛びかかり、刀の峰部分を脚に氣を溜め雪蓮へ蹴りつける。

 

雪蓮「くぁあ!!」

 

一刀「ぜぇ、ぜぇ……」

 

怒りに任せ、体力を考えずに只突進していた、故に体力の消耗も激しい

 

雪蓮「はぁ、はぁ……」

 

しかしそれは雪蓮も同様、全力の彼の攻撃を受け続けたのだ、かなりの体力を消耗している

 

雪蓮「でやぁぁ!!」

 

間合いを詰め、先程の速度を遥かに上回った斬撃の嵐

 

一刀「くッ……!」

 

縦横無尽の斬撃に対応しきれず一撃もらってしまう。

 

一刀「ぐぁッ……らあッ!!!」

 

が、怯まずに二刀を上段から斜めに振り下ろし、そのまま横へなぎ払う

 

雪蓮「くぅッ……あああ!!!」

 

腹部になぎ払いを受けるも、全力で踏みとどまり暴風のごとく斬撃をあびせる

 

一刀「ハァァ!!!!」

 

お互い一歩も引かず、相手の一撃を受け、与え、その二人を包む空間だけが異質のように思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗「なんという出鱈目な闘い方だ……」

 

星「うむ、あれが真剣ならばどちらとも怪我ではすまないな」

 

紫苑「でもあの子、いきなりどうしたんでしょうね」

 

朱里「すごく怒ってます……」

 

桔梗「何か譲れぬものを貶された、といったところか」

 

雛里「大切な人を……とか言ってました」

 

翠「よく聞こえたな雛里、あたしはもうあの轟音で何も聞こえなかったよ」

 

桃香「ふふっ、私はお兄さんが怒った理由知ってるよ〜?」

 

桃香はその場にいたため華琳の耳打ちの内容を聞いていた

 

星「ふむ、雛里の言葉から察するに……ふふっ、なるほど。なかなか良い男ではないか」

 

愛紗「なんだ、わかったのか?星」

 

星「いやなに……魏の女子(おなご)達は幸せだということだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どちらも体力は限界に近い、次の一撃で決着がつく。

誰もがそう思っているだろう

 

雪蓮「はぁ、はぁ……ここまでやるとは思わなかったわ」

 

一刀「……」

 

雪蓮「もう体力も限界なの、貴方もでしょう?次で決着をつけましょう」

 

一刀「わかりました」

 

確かに俺ももう体力が持たない、必然的に次が最後だ。

だが負けるわけにはいかない

雪蓮が間合いを詰め、南海覇王を大きく振りかぶり

 

雪蓮「ハァァァァ!!!!!」

 

渾身の力で振り下ろしてきた

 

一刀「ぉあああ!!!!!」

 

思い切り体をひねり、全力で二刀を叩きつける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那、桜が吹雪いた──

いや、楼蘭、桜炎の纏っていた「氣」が飛び散り、そう見えたのだ。

誰もが一瞬、その狂い咲きのような美しさに目を奪われる中

 

ガラン……ガラン……

 

鈍い音が、闘技場に響いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、勝者!!北郷一刀将軍!!!!!!」

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」

 

「ほあぁぁぁぁああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!!!!!!!!」

 

霞「ぃよっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!一刀が勝ったで!!!!」

 

凪「すごい……すごいです隊長!!!」

 

沙和「最後のあれはなに!?綺麗だったの〜!!」

 

秋蘭「あれは氣のように見えたが……北郷のものか?」

 

春蘭「勝ったぞ秋蘭!!北郷が勝ったぞ!!」

 

真桜「さすがや隊長!!!!やったで〜!!!!」

 

風「あれは本当にお兄さんなのでしょうかー」

 

稟「何を言っているのですか、風。一刀殿が勝ったのですよ?」

 

桂花「な、なによあれ……あんなの種馬じゃないわ!!」

 

華琳「ふふっ」

 

内心では飛んで喜びたい華琳だが、皆の手前それはできなかった

 

(まさか雪蓮に勝つなんて、ね……よくやったわ、一刀)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「あ〜ぁ、負けちゃった」

 

一刀「……さっきの言葉、取り消してください。貴女を嫌いになりたくありません」

 

雪蓮「もう、そんな怖い顔しないでよ、そもそもあれは君に本気で闘ってもらうためのものなの」

 

一刀「……え?」

 

雪蓮「華琳にね、開場前に聞いてみたの、君と本気で戦うためにはどうしたらいいかって」

 

……あの、華琳さん?

 

雪蓮「そうしたら「魏の誰かを莫迦にしたらいいわ」なんて言うからね、最初は何の冗談かと思ったけど」

 

華琳さん?華琳さん!?

 

雪蓮「効果は絶大だったわね♪負けちゃったけどまぁ──良いものが見れたし良しとしましょう」

 

一刀「ちょっと華琳さぁぁぁぁん!!??いってぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

あれだけの攻撃を受け叫んだ結果、全身に激痛が走った

俺の一世一代の怒りを返して!っていうかおもくそ女の子ぶん殴っちゃったよ!

ぉぉぉ!!北郷一刀!!貴様はなんという大罪を!!天国のお母さんが泣いてるよ!!

生きてるけどさぁ!!っつーかいてぇよ!!!

人間、怒っているとアドレナリンのおかげで痛みを感じないというのは本当らしい

ってそんなことはどうでもいい!

ぬぉぉ……と頭を抱えていると

 

雪蓮「それに、余程あの子達を大事に思っているのでしょう?」

 

一刀「そ、それは……もちろんです、何にも代えがたい俺の大切な人たちです」

 

雪蓮の目をまっすぐ見て、答えた。

 

雪蓮「そ──ふふっ。君、やっぱりかっこいいね♪」

 

そういって腕に抱きついてきた

 

一刀「ちょ、あの!?孫策さん!?」

 

雪蓮「雪蓮でいいわよ♪あとそんな硬い喋りかたしないで」

 

一刀「い、いやでも──」

 

雪蓮「呼んでくれないと離さないわよ?」

 

さらに身体を密着させてくる

そして魏の控え席からいくつもの殺気が感じられる

ひぃ!?戻れない!このままじゃ戻れないわ!?たすけてぇ!

 

一刀「わ、わかった!雪蓮!!これでいいだろ!?頼むから離れてくれ!!」

 

雪蓮「え〜、そんなに私にくっつかれるのが嫌?」

 

一刀「い、いや……そういう訳じゃないけど」

 

だってほらみてごらん?あの飢えた狼のような眼差しを

 

雪蓮「ふふっ。まぁいいわ、じゃあね、一刀♪」

 

一刀「あ、ああ……嵐のような人だな」

 

というか初めて名前呼ばれた気がする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮華「だ、大丈夫ですか!?お姉さま!」

 

祭「まさか策殿が負けるとはのぅ」

 

穏「御使いさますごいですね〜」

 

思春「雪蓮様を負かすとは……」

 

雪蓮「いたたた……ふふ♪あんなに燃えたのは久しぶりよ」

 

冥琳「余程彼を気に入ったようだな、雪蓮」

 

雪蓮「ええ♪呉に来てくれないかなぁ……」

 

小蓮「あ!それシャオも賛成!!」

 

冥琳「おいおい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凪「そういえば隊長はなぜあんなに怒っていたのですか?」

 

真桜「お、確かにそれは気になるなぁ、なんでなん?」

 

華琳「ああ、それはね、私たちを悪く言われたからでしょう」

 

霞「え?どういうこと?」

 

華琳「雪蓮に一刀の本気が見たいなら私たちを悪くいいなさいと言ったのよ」

 

秋蘭「なるほど、それであの怒りか……ふふっ。嬉しいことじゃないか」

 

春蘭「ふ、ふん、ばかものめ」

 

凪、真桜、沙和「「「隊長……」」」

 

季衣「兄ちゃん……」

 

流琉「兄様……」

 

稟「くすぐったいものですね」

 

風「おやおや稟ちゃん、素直に嬉しいと言ったらどうなのですかー?」

 

稟「あなたもでしょう、風」

 

風「ぐぅー……」

 

稟「寝るなっ!」

 

風「ぉお!?」

 

桂花「……ふん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うう、せっかく勝ったのになぜ恐怖を抱きながら戻らなければならないのだろう

 

凪「隊長!!!」

 

ひぃ!?

 

凪、沙和、真桜「たいちょ〜!!!!!」

 

一刀「へぶあっ!!!」

 

もろに腹部へタックルされた、そして激痛。

今の試合見てなかったんですかねぇ!?

 

凪「隊長!!嬉しいです!!私たちをそこまで大事に思っていてくれたなんて!!」

 

真桜「せやで!!!もう大好きやわぁ〜!!!」

 

沙和「たいちょ〜、ありがとうなの〜!!」

 

あれ?何か想像してたのと反応が……

 

霞「かずとぉぉ!!!めっちゃうれしいで!!」

 

ドゴォ!!!

 

一刀「おぶっ!?」

 

頭に抱きついてきた、そしてまたしても激痛。

 

だ、だから……俺の身体が悲鳴を……!

 

一刀「ちょ、皆いきなりどうしたんだ!?」

 

華琳「よくやったわ、一刀。お疲れ様」

 

一刀「華琳……っていうかお前!雪蓮に何言ってるんだよ!

   おかげでこっちは怒り損なんですけど!?」

 

おかげでこの先の試合が厳しくなったよ!

 

風「しかしそのおかげでお兄さんが風達を大切に思ってくれているということがわかりましたー」

 

華琳「ということだけど?」

 

一刀「いや……そうだけどさぁ」

 

釈然としないなぁ。

 

華琳「……ふふっ」

 

いやいやしかしですね華琳様、いくら真剣な闘いと言いましても、

女の子を思い切り殴り飛ばすという行為はとても紳士な俺にとっては精神に多大なるダメージを与えるわけで

 

華琳「なら、皆の笑顔が絶えないようにしなくてはね」

 

一刀「……あぁ、そうだな」

 

そんなの──当たり前だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

-3ページ-

さてと、次の試合は──っと?

 

風「よいしょっ……と、ふぅ」

 

なぜか俺のひざの上を陣取り、さも当然かのように息をつく風

そして両脇の席にはものすごい速度で霞と凪が座った

 

一刀「お、おいどうしたんだ?」

 

風「いえいえー、お兄さんはお気になさらずー」

 

いや、気にするなっていうかそこ俺の膝だし……

 

霞「はよ座らんと席とられてまうやん」

 

凪「席取りは速さが重要ですから」

 

一刀「いや、あのへんとかも空いてるぞ?そんなに急がなくても──」

 

稟「朴念仁」

 

なんで!?

 

華琳「ずいぶんいいご身分ねぇ、両脇に女を侍らせて、膝の上にも乗せているなんて」

 

……分かってはいたけどさぁ……怒ってますねぇ。

 

秋蘭「華琳様、北郷にはそのような言い方では何も伝わりません」

 

桂花「ほんと、ゴミのくせに頭まで悪いなんて救いようが無いわ」

 

グッサーそれ結構くるぜ桂花さん。

 

華琳「ま、今回だけは見逃してあげるわ、今は気分がいいの」

 

ありがとう!神様!前回では否定してたけど神様やっぱりありがとう!

 

「さぁ続いて参りましょう、第14回戦は──」

 

おっと、もう次か、せっかちなもんただぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「関羽将軍対呂蒙将軍です!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ピク

 

愛紗「呂蒙、だと?」

 

星「ぉぉぉ……愛紗が修羅へと変化したぞ、鈴々」

 

鈴々「にゃ?愛紗は亞莎が嫌いなのか?」

 

愛紗「い、いやそんな事は無いが何かこう……モヤモヤがだな」

 

翠「はぁ?何言ってるんだよ?」

 

紫苑「それではよくわからないわ愛紗ちゃん、何かされたの?」

 

愛紗「いや、そういうわけではない。むしろ彼女の態度には好感すら持てる」

 

星「では何が気に入らないというのだ?」

 

愛紗「……わからん」

 

星「おぬしが一番わからんぞ、愛紗」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

亞莎「ひっ!?」

 

冥琳「ん?どうした?」

 

亞莎「い、いえ……なにやら身に覚えの無い罪悪感と殺意を向けられたような……」

 

雪蓮「さすがにここで殺気を出す子なんていないでしょう、気のせいじゃない?」

 

亞莎「そ、そうですよね、そうに違いありませ──」

 

明命「亞莎?どうしたのですか?」

 

亞莎「か、かかか関羽さんがものすごい形相でこちらを……!」

 

祭「……亞莎よ、お主何をしたのだ?」

 

亞莎「ぇえ!?な、何もしていませんよ!?」

 

小蓮「でもあの顔は……尋常じゃないよ?」

 

そこにいたのはまさに鬼、悪鬼羅刹をも斬り伏せそうな顔をした関羽

 

亞莎「ど、どどどどうしましょう蓮華さま!?」

 

蓮華「……(合掌)チーン」

 

亞莎「そ、そんな!?蓮華さまぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは壇上へお上がりください!!」

 

両者が壇上へ上がり対峙する

 

亞莎「よ、よろしくお願いします……」

 

愛紗「ああ……よろしく頼む」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

 

亞莎「ひぃぃっ!!?」

 

お、怒ってる!?やっぱり怒っていますよね!?

でもなぜだろう、非常に罪悪感があって真っ向から否定できません!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「な、なぁ。関羽さんと呂蒙ちゃんて仲悪いのか?」

 

風「そんなことは無いと思いますよー?亞莎ちゃんもとても丁寧な方ですしー」

 

いや……でもあれは嫌ってない人にできる顔じゃないぞ?……というかすっげぇ怖い

 

霞「どないしたんやろな?あの二人」

 

秋蘭「ふむ、亞莎の人柄から考えて恨まれるようなことはしていないと思うが……」

 

春蘭「しかしあの顔は相当の恨みを持っているぞ」

 

………………

…………

 

 

一刀「わかったかも、関羽さんが呂蒙ちゃんになんであんな態度なのか」

 

稟「なぜですか?」

 

一刀「俺の世界の三国志の話では確か関羽は呂蒙の策にハメられて討ち取られるんだ。

   で、なぜかこっちの世界のあの二人にも身に覚えは無いけど何か引っかかるものがあるんじゃないかな」

 

桂花「そんなことあるわけ──」

 

「あら、そうゆうことだったの」

 

ヒョコっと後ろから顔を出したのは

 

一刀「し、雪蓮?」

 

雪蓮「やっほ♪かーずと♪」

 

一刀「こんなところで何してるんですか……」

 

雪蓮「いやね、あたし負けちゃったじゃない?

   だからやる事無くて暇なのよね〜、というわけで……遊びにきちゃった♪」

 

いや、来ちゃった♪って……あの今にも卒倒しそうな子の応援をしてあげようよ

 

一刀「じゃなくて!応援しなくていいんですか?」

 

雪蓮「あら、応援はするわよ?でも別に魏の控え席からでもできるじゃない?」

 

一刀「い、いやそうなんでしょうけど──」

 

雪蓮「それと!」

 

また雪蓮が腕に絡み付いてくる

 

雪蓮「そんな硬いしゃべり方しないでって言ったでしょう?」

 

ムニッ

 

おほう!?ろ、浪漫が……男の浪漫がここにぃぃぃぃぃ!

 

華琳「……」

 

風「……」

 

ハッ!?

く、空気が……空気が重いぞ……

 

一刀「わかった!わかったよ雪蓮!?わかったから離れてみようか!!」

 

華琳「雪蓮、ねぇ。真名まで預けてもらうなんて、余程仲が睦まじいようね」

 

ガンッ!!  

 

あいたぁ!?  

あの、風さん、その位置で頭突きはキツいっす……

ていうかまた若干宝慧潰れてますけど……

 

凪「隊長……」

 

真桜「……見損なったで隊長」

 

沙和「む〜、手を出すのが速すぎなの〜」

 

何もしてないよね?俺何もしてないよね?

 

「それでは初めていただきましょう、れでぃ……ふぁい!!!」

 

一刀「ほ、ほら!!試合!始まったから見よう!」

 

ナイスタイミングだ!司会者!

まだ至る所からとても痛い視線を感じるがそこはスルー

 

 

 

愛紗「おらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

亞莎「ひぃぃ!?」

 

……なんか関羽さんヤンキーっぽくなってますけど

 

愛紗「避けるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

亞莎「避けるに決まってるじゃないですかぁぁぁぁ!!!!」

 

うん、君が正しい、食らったら骨砕けるもんね、あれ。

……ご愁傷様です。

 

でも──

 

霞「亞莎の動き、全く無駄が無いで」

 

そう、一見ふざけた闘いにしか思えないが呂蒙ちゃんの動きはかなりの武を感じさせる

 

愛紗「ぬっ、くっ……ハァァ!!!」

 

関羽さんの連撃を尽くかわしている、もしかして地味にすごい?

 

愛紗「なかなかやるようだな、ここからは本気でいかせてもらおう」

 

いい加減正気を取り戻したのか、ちゃんとした武人の顔になった

うん、あのまま般若とかに進化しなくてよかった

 

愛紗「いくぞ!!」

 

亞莎の体目掛けて青龍偃月刀を振り下ろす

 

亞莎「ハッ!」

 

あの長い袖が引っかかったと思いきや、なんと愛紗の得物を弾いた

 

愛紗「な!?なんだそれは!?」

 

さすがにびっくりしたのだろう、驚愕の色を隠せないでいる

 

 

 

 

 

 

 

一刀「な、なぁ、あの子の袖、鉄か何かでできてるのか?」

 

風「そんなわけないじゃないですかー、あれはですねー」

 

雪蓮「亞莎はね、あの袖の中に暗器と呼ばれる武器を持っているの」

 

風「むー」

 

なんだそのちょっと男の浪漫を擽る武器は。

てか何でまた不機嫌なんだよ、風は……

 

 

 

 

 

 

 

亞莎「ふっ!」

 

おお、何かクナイみたいなものを投げたぞ

 

亞莎「でやぁ!!!」   

 

両腕の袖から長刀くらいはあろうかと思えるほどの直刀が現れた

 

一刀「か──」

 

凪「か?」

 

一刀「かっっこえええええ!!!」

 

霞「うわぁ!?いきなり大声出すなや!!」

 

え、うわやべぇ何アレかっこいい!

どこにあんなものしまっていたのかわからないけど男心刺激しまくりだぜ!

 

風「お兄さん息が荒いのですー、妙な性癖に目覚めてしまったのですかー?」

 

一刀「俺の感動をそんな変態みたいに扱わないで!」

 

 

 

 

 

愛紗「くっ……!」

 

だが真面目にあの長い袖は厄介だ、何の武器を隠し持っているかもわからない上に

目の前の視界を遮られ、相手を一瞬見失ってしまう

 

亞莎「ハッ!せい!やぁ!」

 

直刀、小刀、鎖鎌など、想像の遥か上を行く武器の数

 

愛紗「おのれちょこまかと──!でぇぇぇい!!!!」

 

痺れを切らした愛紗が力技にでた

 

亞莎「なっ!?」

 

いくつもの武器を一斉になぎ払い、亞莎との距離を詰めてきた

 

愛紗「おわりだぁぁぁ!!!!」

 

全力で得物を振り上げ、全力で殺(と)りにいく。

大会なのに。

 

亞莎「くあぁ!!」

 

なんとか防ぐが愛紗の一撃に耐え切れず、吹き飛んだ

 

愛紗「しぶといやつめ……!」

 

亞莎の着地地点まで一気に走り、青龍偃月刀を叩き付けた、が

 

亞莎「ハァァァ!!!」

 

確実に受身を取ることはできない体勢だった、しかし彼女はそれをやってのけ

青龍偃月刀を弾いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「びっくりしたでしょう?あの子うちでは文官をやっていたけどもともとは武官だったのよ」

 

まじっすか……ジャパニーズ忍者も立つ瀬がないくらいの動きしてますけど……

 

 

 

 

 

 

 

亞莎「ハッ!!やっ!!せい!!!」

 

まるで忍者のような素早い攻撃、さほど重さはないものの速さが尋常ではない

まるで曲に合わせて乱舞しているかのようだ。

しかしそこには規則正しいリズムは無く、相手に攻撃の隙を与えまいと不規則極まりない斬撃の嵐。

 

愛紗「くっ……!なんという猛襲……!」

 

しかしこの速度の攻撃を全て防御している彼女の動体視力も尋常ではない

さらに徐々に速さに慣れていき

 

愛紗「調子に──乗るなぁ!!!!!」

 

直刀以外の武器を全て叩き落した

 

亞莎「くっ!?」

 

予想外の攻撃に一瞬怯み、後ろへ下がったが

 

愛紗「逃がすかぁぁぁぁ!!!!!」

 

亞莎が下がったと同時に懐へ踏み込み

 

愛紗「はぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

一閃    

 

 

 

 

 

 

 

亞莎の武器は折られ、亞莎自身も場外へと吹き飛ばされた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝者!!関羽将軍!!!!!!」

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

おお、史実を塗り替えたぞ。

さすがなんでもあり、パラレルワールド

 

雪蓮「あちゃ〜、負けちゃったか〜。ま、でも愛紗相手にあそこまでやったんだもの、十分でしょ♪」

 

 

 

 

 

 

 

壇上中央

 

亞莎「あ、あの、その……ああありがとうございました!」

 

愛紗「…………」

 

ひぃぃ……やっぱり怒ってる……

 

愛紗「うむ、実に良い闘いだった、おぬしがあそこまでやるとは思わなかったぞ」

 

……あれ?

 

愛紗「どうやら私は身に覚えの無い恨みを貴女に持っていたようだ、すまない」

 

そういって頭を下げた

 

亞莎「え!?あ、い、いいんです!!あの!お顔を上げてください!」

 

愛紗「詫びの印に私の真名を貴女に預ける、愛紗だ、好きに呼んでくれ」

 

亞莎「え……?あ!亞莎です!亞莎と呼んでください!」

 

 

 

 

 

うむ、よきかな闘いの後の友情、すばらしい。

うんうんと腕を組み頷いていると

 

雪蓮「あ、そういえば〜!天の世界では愛紗を亞莎が罠に嵌めて討ち取ったんですって〜!!!」

 

……は?

 

亞莎「……え?」

 

あれ?この人もしかしてわざと場をかき混ぜたりする人?

つかそれ以外考えられないけど……

 

愛紗「…………」

 

亞莎「あ、あの……愛紗さん?」

 

愛紗「貴様ぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!!やはり私を陥れていたのかぁぁぁぁぁ!!」

 

亞莎「ひぃぃぃ!?し、知りませんよぉぉぉぉ!!」

 

青龍偃月刀を振り回し、亞莎の後を追っていく愛紗

あまりにもかわいそうだったので全力で追いかけてなんとか説得し納得してもらえた

 

雪蓮「あっはっはっはっはっは」

 

この人鬼だ……華琳とは別の種類の鬼だ

 

華琳「あら、誰が鬼ですって?」

 

一刀「砂漠にさく一輪の花のようだ!」

 

だから心を読むのはやめてください

 

雪蓮「あ、そうだ華琳」

 

華琳「……なによ」

 

ちょっと機嫌悪くなってるし……

 

雪蓮「一刀、呉に頂戴?」

 

魏一同『……は?』

 

……え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この一言で大暴風雨が吹き荒れたのは忘れたい俺の青春の1ページ

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(゜д゜)
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9736 7114 41
コメント
一刀カッコエエ!しかしホンマバカ猫耳ウゼェわw魏の中で唯一大嫌いやわw(ポンチキ)
濱口www ・・・・・・・やっぱりこういう展開になったか・・・・予想はしてたけども・・・・は??(スターダスト)
大切な女の子を侮辱されて怒らない一刀がいたら、それは最早一刀ではないと思います!(本郷 刃)
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