いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した |
第八十三話 かぐや姫が出たぞぉおおおおおお!!
「八神はやて。と言います。皆さん、このクラスでは一カ月間だけですがよろしくお願いします」
三月三日。
今日は私こと、八神はやてが復学する日。
教室に入って私達と目があったなのはちゃん達は手を振って答える。
シグナム達に連れられて私が学校に来た時、登校してきた私をなのはちゃん達も笑顔で迎え入れてくれた。
(またの名をマジカル☆ヤガミン。みんなよろしくね♪)
高志君からの念話が飛んで来る。この時までは…。
「「…ぶふっ」」
どうやらオープンチャンネルで念話を飛ばしているようやな、高志君…。
その証拠になのはちゃんとフェイトちゃんが吹いていた。
危うく私も吹きそうになったけど、なんとか堪えた。
「八神さんはとある事情で(豪・病弱少女として)入院していたので…」
私達の担任の先生が軽く事情を説明してくれるが、その途中で高志君がいらんことを念話で話しかける。
やめて!高志君!
つっこんでまう!
豪・病弱少女ってなんや!強いのか弱いのか分からへん!
(高志君!うちの転校イベントを潰さんといて!)
(むしろ起こしている!)
(騒ぎをな!)
そんなことをしながらも高志君は更に先生の言葉に蛇足をしてくる。
「皆さん。(表向きは)仲良くしてあげてくださいね」
うち、なにされるん?!
(…タカシ、駄目だよ。…この世界の人達には魔法は秘密なんだから)
吹きそうになりながらもフェイトちゃんが高志君を止めに入る。
「「「「「「はーいっ」」」」」」
(かしこまりました、フェイト様。)
て、何でフェイトちゃんを様付け?
(と、とにかく。第一印象を悪くしないためにもこれ以上変な念話飛ばさいでなっ)
(((真剣|ガチ))こまりました。征夷大将軍様)
「ガチッ…。これから皆さんよろしくお願いします」
思わず声を張り上げてツッコミかけそうになった!
(困っているのは私や!)
(すみません。噛んでみた)
(…そうか。…噛んだならって、噛んでみた?!反省の色なしかい!)
きっと私の頬はプルプルになっているやろうな…。
周りの人にばれていなければいいけど。
高志君と念話をかわしながら私は先生が指定した席へと移動する。私の席は高志君の真ん前。
(…駄目、だよ。…高志君、はやてちゃんをいじったら…。ぷはっ)
(申し訳ありません。なのは二等軍曹)
なのはちゃんも私の援護をしてくれているが既に((笑う一歩手前|撃沈寸前))やった。
(つっこまん!絶対にツッコミはしないからな!)
(((申し訳|もう血が))ありません。ドクターヤガミ)
静まれぇええ。静まれっ、私の((ツッコミ|右手))ぇえええっ。
ここで暴走したら高志君の思うつぼや!
(うちは緊急オペを執刀しているドクターやない!というか、うちに謝らへんのかい!)
(((申し訳|もう血は))いりません、八神助手)
(今まで血をどこかで供給していたんか?!)
しかも助手に格下げ?!
(((申し訳ありません|もう血は恐れません)))
(変な念話飛ばすの禁止や!)
(((真剣|ガチ))こまりました)
(〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!)
ここまで大声でツッコミをしなかった私は偉い!
私は私を褒めてあげたいで!
今日の事業は午前中だけで、お昼過ぎになると俺達は喫茶店翠屋に向かいながら談笑をしていたんだけど…。
「なあ、家康。俺が悪かったって…」
「…知らん」
今朝、はやてをからかいすぎた所為ではやてがふてくされていた。
「昨日狩ってきた猪もどきの肉をやるから…」
「…いや、『もどき』て、ついている時点で貰う気が失せるわよ」
「それにイントネーションが違っていたような…」
無人管理世界で訓練と同時に食料調達をしていますが何か?
許可はちゃんとリンディさんから貰っているよ。
この時だけは俺、『傷だらけの獅子』として頑張っている気がするんだ。
模擬戦では負け続きだからな〜。
「…まったく。変な子やと思われたらどうしてくれるんや」
「念話っていうのはよく分からないけど、謝った方がいいよ高志君」
「げへへへ、すいやせん」
「今度の高志君の模擬戦は、なのはちゃんとペアで申請や」
「まっことに申し訳ございませんでしたぁああああああっっ!」
俺は全身全霊ではやてに頭を下げる。
真剣と書いて、マジで。そして、ガチで。
混じりっけなしの誠意をこめて!
「高志君!それってどういう意味なの?!」
俺の真剣な謝罪になのはが憤るがそれを冷静に返す。
「どういう意味って…。前にも説明しただろ?俺とお前。あと、家康は相性が最悪なんだよ。…ぶっちゃけた話。俺はお前達の誰ひとりにも勝てないのが現状だよ」
ほぼ一方的に。というか、絶対負ける!
そもそもガンレオンには遠距離武装がついていない。その為、相手に近付いてぶん殴るといった原始的な戦い方しか出来ない。
俺が近づいてくる前にディバインバスターのような収束砲を打ち込めばいい。
ガンレオンは鈍重な装甲を纏っている。
その為、まともなダメージを与えることは出来なくてもぶっ飛ばすことが出来れば距離は取れる。
近づく。バスターでぶっ飛ばし。近づく。バスターでぶっ飛ばし。の繰り返しをすればダメージは蓄積していき、そのうち勝てる。
ヒット&アウェイ。
まさかリアルで体験するとは思ってもみなかった。
プレシア曰く、俺は射撃に対する能力がとことん低いらしくスフィアの力を借りないと魔力弾一つも練れない。
ギークガンが無いのもガンレオン自身が俺に合わないと判断して取っ払ったのかもしれない。そんな魔力弾を練るよりはスパナを十本強化したほうが効率はいい。
ペイン・シャウターはスフィアとガンレオンの二つがあって初めて成立する。
この間、すずか達を助けた時はブラスタ(デバイス)の処理能力の高さでどうにかなったんだと。
…もしやとは思うがもう一個のスフィア。『揺れる天秤』が関係しているのかもしれないが、スフィアに関しては俺もよく知らない。プレシアとよく相談はしているが未だに解析が進まないのが現状。
「なにより『空を飛べない』ってのが最大のネックなんだよ」
重力があるので下に((物体|ガンレオン))は落ちる。空が飛べる彼女達。
飛べない俺に対して上空。更に頭上から攻撃されると対処のしようがない。
それでも俺はシグナムやヴィータと言った近接戦闘行う相手に対しては、ガンレオンの防御力で相手のすきをうかがい、相手を捕まえ、その圧倒的な力で相手を抑え込み相手を制する。
いわば、近接カウンターが俺の戦い方だ。
初見の相手には強襲かパワーでごり押しで何とかなる。
「で、でもタカシ。それならどうして私達と模擬戦をするの?」
「アサキム対策」
管理局には陸海空の部隊があり、それぞれにあった戦い方があるらしく、アースラに駐屯する武装局員の多くは空戦が多い。
なのは達はおもいっきり空戦。俺は陸戦。
アサキムは思いっきり空戦。だからこそ空戦対策をするために対空中戦の模擬戦は欠かさず行っている。
「でも、高志は空飛んでいなかったけ?」
「…あの時は特別だったから飛べた」
(アリシアがいたからな。それにスフィアの事もある)
アリサの質問に答えながらも俺は正直に。だけど本当の事も話さない。
それを感じ取ったのか、すずかとアリサは質問攻めから引き下がった。
「…ふーん」「…そっか」
(まだ私には話してくれないんだ)
そんなことを話しながら翠屋にたどり着く。
中ではすでに守護騎士にアースラメンバー。恭也さんに忍さん達が煌びやかな着物を着ていた。
…ちくしょう、恭也さんはカッコいい。ザフィーラは渋い。さぞ、女性受けしそうだ。
い、いいもんね。俺はガンレオンで子供受けしているから!
でも、時々忍さんが怖いんだ。なんかガンレオンを「バラバラにしてもいい?」って言ってきた時は本気でビビった。もちろん思いっきり拒否したよ!
俺の周りにはマッドな科学者しかいない。
思わずブラスタだけを提供しそうになったし…。あれが夜の一族のプレッシャーか!?
「ただいま。お母さん」
「あら、なのは。みんなもよく来てくれたわね」
「お兄ちゃーんっ♪」
ぼふっ。
準備中の札がかかっている翠屋の玄関をなのはを先頭にしてくぐると白と空色の着物を着たアリシアが飛びついてきた。
「おー、おー。アリシア似合っているぞ」
さすが美幼女。微幼女ともいうべきか?
俺はアリシアの頭を撫でながらアリシアを褒めると喉を鳴らしながらアリシアは体全体を押し付け始める。
「にゅふふ。もっと愛でてもいいんだよ」
「おお、よしよし。ほーら、いい子いい子」
「にゃー♪」
愛犬家が犬を愛でるように俺はアリシアの顔をムニムニと揉みながらも頭を撫でる。と、
「あ、主はやて。それに『傷だらけの獅子』も」
リインフォースが奥の部屋から出てきて…。
「ん〜♪にゃ?」
「………」
「高志君。…どうしたんや?」
「高志?」
「…か」
「か?」
「かぐや姫が出たぞぉおおおおおお!!」
都の男達を魅了し、様々な無茶難題の突きつけ、無様に転がる男達をしり目に月に帰っていくという、傍若無人を働いても美人だから許されたかぐや姫が出たぞぉおおおお!!
要するにそれだけの美人が現れたという事だ。
「まったくこの子は…」
バチィッ。
「ぎゃん!?」
((春日局|かすがのつぼね))が、もとい、プレシアがスタンガンで興奮する俺を抑え込んだ。
スタンガンをナチュラルに。そして、躊躇なく押しつけないでください。
プレシアもまた着物を着て、綺麗に着飾っていた。
プレシアだけじゃない。
シグナムさんやリンディさん。シャマルさんに忍さんといった年上美人が大好きな俺にとってはまるで天国のような空間が目の前に広がっていた。
「少しは落ち着いた?」
「美人がいっぱい過ぎて、テンションが上がりっぱなしです!」
これでテンションを上げずにいつ上げろと!
「…落ち着きなさい。二度は言わないわ」
「イエスマム」
落ち着いた。
今の俺はザ・ヒートならぬザ・クールだ。
日に日に俺はプレシアに調教されていっていないか?
だんだん逆らおうという気が減ってきている気がするんだ。
「…むぅ」
「…あんた騒ぎ過ぎよ」
「…お兄ちゃん」
「…タカシ」
上からすずか。アリサ。アリシア。フェイトの順で俺の頬を抓ってくる。
…かなり痛いんだけど。
「らんら。らりろりら?」(なんだ。やきもちか?)
「…そんなんじゃないもん」(お姉ちゃんは確かに美人だけどさ)
「そんなわけないでしょ!」(なんで私達と同い年なのにそんなに年上好きなの!)
「そうだよ!」
「…ちがうよ」(お母さんに見惚れるのはわからないでもないけどさ。…まさか!前に娘にするって言っていたけど、お母さんと、さ、再婚するつもりじゃないよね?!私、タカシの事、お父さんって呼ばなきゃいけなくなっちゃうの?!)
正直に自分の意見を表すアリシアを除く三人はそっぽを向く。が、四人がそんな動作をしたため、抓られている俺の頬は四方向に引っ張られる。
今でも俺の頬は限界まで伸ばしきっている。それなのにさらに力を加えるとどうなるか?答えは…。
((頬の筋肉が断裂|ばちぃいいんっ))。
俺の頬筋がぁあああああ!
それからなのは達が着物に着替えるまでの間。
俺はまともに喋ることが出来なくなってしまった。
(シャマルさん。お願いします。治してください)
「はやてちゃん。高志君がほっぺたを治してほしいみたいですけど…」
「駄目や。高志君はもう少し私達に気を遣わないといかん」
高志君は先程のことでほっぺたを痛めたようだった。
だけど、四人の気持ちが分からんでもないからこうやってじらしているのも確かだ。
「ほほほはんほふぁ」(そこをなんとか)
「いやや。それに私が着物に着替えた後、なんもコメントなしやったし」
「はっふぇ、ひはははひはふぉ。ほほひん、ひへはんははふぁ」(だって、仕方ないだろう。頬筋、切れたんだから)
「ふーん。私は今朝の事も許していないんやからな」
「…ひへふぁふ。ふぁふふぁっはへ」(…家康。悪かったって)
…それや。
「高志君が私の事を『家康』じゃなくて『はやて』と呼ぶならシャマルに治させてもいいで…」
私かて女の子やもん。
さっきまで頭を撫でられて宥められたアリシアちゃんを見て少し羨ましかったところもある。高志君は初めてできた男の友達やもん。
「…ふ」(…く)
表情をそこまで苦しそうにするぐらいに嫌なん!?
「…無理にとは言わんけど」
(…。別に嫌なわけじゃない。ただ、はやてとは対等に付き合いたいだけだ)
ほえ?
(なのはやフェイトはその、しがらみみたいのがあって気安く話せないし、アリサやすずかも今では普通に話せるけど彼女達は魔法とは関係ない一般人だ。その点、はやては違う)
高志君はうまく喋れない口を動かさず、念話で話しかけてくる。
(俺にとってはやてはその…。似た者同士みたいだったから…)
「どういうことや?」
(スフィア。『悲しみの乙女』のリインフォースもそうだけど、アリシアも『傷だらけの獅子』で助かっている。そして、俺達はそのリアクターみたいなことをやってのけている。だからはやては気軽に話せるんだよ)
それは…。そうやけど…。
(だから、はやてが嫌ならもう家康って呼ぶことは止める)
…。
そうやったんか…。
そう言われると家康。って、呼ばれるのも悪くないような気もしないでもない。
やけど…。
「はやて。って、呼んでほしいわ。うちやって女の子やもん。でも、これまで通り気軽に話しかけてきてもええよ」
(…わかった。はやて)
「うむ。よろしい♪じゃあ、シャマル。高志君を治してあげて」
「(これは、これは…。面白くなってきましたねー)わかりましたー♪」
ムニムニと高志君の頬をもみながらシャマルは高志君を治していく。
やけど、シャマル。
どうしてそんなに嬉しそうなんや?
それから綺麗な着物を着飾った皆で、海鳴市の商店街を練り歩きながら翠屋の宣伝をし終えた私達はなのはちゃんのお父さんとお母さんが作ってくれたケーキに舌鼓を打ちながらひな祭りを過ごした。
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第八十三話 かぐや姫が出たぞぉおおおおおお!! | ||
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コメント | ||
孝(たか) さん。誤字申請ありがとうございます。訂正しました。(たかB) 脱字発見。 ヒット&ウェイじゃない。ヒット&アウェイ。(孝(たか)) かぐや姫はリインフォースの事だったのか!? そりゃぁ美人揃いなら男ならテンションあがりっぱなしですよねぇw(孝(たか)) |
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