IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode91 本当に自分が望む事
そして隼人は地下通路を移動してアリーナのピットに入り、それからアリーナ内に入る。
(移動しただけでも馴染んできたな)
隼人は腕を動かして調子を整える。
『はっくん。準備はいいかな?」
そしてピットに到着した束が通信を入れた。
「いつでも」
『じゃぁ今からこの束さん特製の仮想標的を出すよ。従来の仮想標的より強力だからね』
「・・・・」
すると前方に五体ほど立体映像の仮想標的が現れたが、その姿が変わっていた。
(そう来たか)
隼人は内心で呟いた。
五体とも同じ形状をしており、胸には円形の半透明の紫のパーツが搭載されており、頭部の額には半透明のパーツがあって、顔面には四つの目があった。全身装甲で色は白をメインに赤で構成されたカラーリングで、右手にはランス状の武器を持っていた。
(ジンクスVか・・・。確かにあの時ISのコアの設計図と交換してバンシィのデータと一緒に入れていたが、まさかモデルとしてこの形で来るとはな)
『結構強く設定しているからね。本気で行ったほうがいいよ』
「・・・・」
『じゃぁ、テスト開始!』
そして束の合図と共に仮想標的の四つ目が発光して、各方向に飛び散った。
仮想標的はランスを前方に向けてビームを放ってきた。
「!」
隼人は背中と非固定ユニットのウイングスラスターを展開して一気に飛び出してかわした。
直後に左腕のフォートレスを前方に向けて先端を展開してバレルの間にビームを発生させて放った。
仮想標的はビームをかわしてランスのビームを放っていく。
隼人は次々と飛んでくるビームをかわしていき、フォートレスのビームを放って照射するが、仮想標的はビームをかわしていく。
(確かにコンピュータにしては動きがいい。誰かのデータを参考にしてデータ構成されているのか)
そしてフォートレスを閉じて右手に持つグラディエーターを振るって仮想標的に向かっていく。
仮想標的はランスからビームを放っていくが、隼人は左腕のフォートレスの腹部を展開してフィールドを張ってビームを弾いていく。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
そしてウイングスラスターを一気に噴射して飛び出すと、グラディエーターを振るうが、仮想標的は攻撃をかわすと背後に一機が接近してきて左手にビームサーベルを抜き放って振り下ろして来た。
「くっ!」
隼人はとっさにフォートレスを後ろにやって刃で受け止める。
その直後に仮想標的を押し返して更に後方から仮想標的が攻撃してきて隼人は宙返りするようにしてかわした。
そしてグラディエーターのカバーが前方にスライドしてカートリッジがリロードされてカバーが後ろに下がって閉じた。
すると刀身にエネルギー刃が纏って、隼人は勢いよく振るって光波を放った。
しかし仮想標的は光波をかわしてランスを突き出して来たが、隼人はとっさにグラディエーターを前に出してランスを横に受け流す。
(色んな動きが混じっている。どこでISパイロットのデータを入手したんだよ!)
そして仮想標的を押し返すと、すぐにグラディエーターを振り上げて仮想標的を縦に切り裂いて撃破した。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
隼人はフォートレスを振るって背後に居る仮想標的を切り裂こうとしたが、仮想標的は上に飛んでかわした。
その直後に仮想標的がランスからビームを放ってきたが、隼人はとっさにフォートレスを展開してフィールドで弾いて行った。
「やっぱり凄いね、はっくんは。初めて使っているはずなのにもう使いこなしているね!」
ピットから束と千冬、一夏が戦闘の様子を見ていた。
「すげぇ。初めてなのにあんなに動けるものなのか・・・?」
「正直のところ私も驚いている。バンシィ以外でもあそこまで使いこなせるとはな」
千冬と一夏もあれだけ動ける隼人に驚いていた。
「これはいいデータが取れそうだね♪」
「・・・・」
しかし千冬は警戒した目で束を見ていた。
隼人はグラディエーターを振るってビームを切り裂くと、ウイングスラスターを全開にして飛び出した。
そして仮想標的の間の前に来るとフォートレスの後部を展開して中央の棒を出した。
「でぇぇぇぇぇぇい!!」
そして勢いよくフォートレスを突き出して仮想標的の胸部に突き刺すと、後ろの棒を押し込んで衝撃を放って仮想標的を粉砕した。
その直後にフォートレスが展開して排熱がされた。
「っ!」
隼人はビームをかわしながらフォートレスを収納してグラディエーターを振るってウイングスラスターを噴射して飛び出した。
仮想標的は後ろに下がって距離を稼ぐとビームを隼人に向けて放ってきた。
隼人はグラディエーターを振るってビームを弾き、瞬間加速を掛けて飛び出すと同時にグラディエーターを振るい、仮想標的の一体を切り裂いた。
しかし直後に残った二体がランスを突き出して隼人に襲い掛かる。
「くっ!」
隼人はとっさに後ろに飛んでかわす。
(バンシィと違ってエネルギーの減りが多い!次で一気に決めるか!)
そして仮想標的がビームで攻撃してきて、隼人はビームをかわしながらグラディエーターの鍔と柄の間を上げて左手に展開したカートリッジを装填して戻すと、そのまま三回カートリッジをリロードした。
その直後に仮想標的が左手にビームサーベルを抜き放って飛んできたが、隼人は仮想標的をギリギリ引き寄せて、一気に飛び出してかわした。
そして仮想標的は二体ともぶつかり合うと、動きを止めて、隼人はとっさに振り向くと同時に既にエネルギー刃を纏ったグラディエーターを振るって光波を放った。
そして光波は二体の仮想標的を切り裂いて撃破した。
しかし直後に黒騎士のエネルギーが尽きて、補助エネルギーに切り替わった。
(扱いづらいな・・・やはり慣れてないと)
『いやぁよかったよ、はっくん!予想以上にいいデータが取れたよ!』
「どうも」
『じゃぁ戻ってきて。色々と見るから』
「了解」
そして隼人はピットに戻っていく。
「で、どうだった?黒騎士を扱って模擬戦を行った感想は?」
隼人は黒騎士を解除してピットの床に降りると、真っ先に束より聞かれた。
「確かに俺の動きについてこれていますね。動きも中々。しかしエネルギーの消費量が多いと思いますが?」
「そうだね。今回はちょっと未調整な所が多かったから、今後の調整の参考になるよ」
「そうですか」
そして隼人は千冬の方に近づく。
(織斑先生)
(なんだ?)
(少し頼みたいことがあるんですが)
(なに?)
その頃
「・・・・」
IS学園の地下深くの独房で、マドカはベッドに座っていた。
(なぜだ・・・なぜ私はまだ生きている・・・)
マドカは未だに生きている自分を不思議に思っていた。
(監視用のナノマシンがなぜ働かない。やつらとて不要となった私をそのまま野放しにしておくはずが無い)
そして手錠が掛けられている自分の手を見る。
(何が起きているんだ・・・)
「で、ずっと飲まず食わずで黙秘を続けているということですか」
それから束が色々とやってから黒騎士を持って帰って、その後に隼人は着替えて千冬に頼んで共にマドカの様子をモニターから見ていた。
「あぁ。まぁこれも想定内だがな。だが大人しくしているのは少し予想外だ。てっきり少し暴れるかと思っていたが」
「・・・・」
「だが、あのままでは恐らく長くは持たんな」
「でしょうね」
隼人はマドカのやせ方で勘付いていた。
「あのままでは何も得ることなく、死んでしまいますね」
「・・・・」
「織斑先生」
「なんだ?」
「俺に少し時間をくれますか?」
「なぜだ?」
「少しばかり話しをしてみたいと思います」
「無駄と思うが」
「無駄と分かっても、話してみる価値はあると思います」
「・・・・」
「うまくいけば分かることもあるというものですよ」
「・・・・」
千冬は少し考えて――――
「いいだろう。だが、それほど長くはやらんぞ」
「構いません」
そして隼人は千冬より独房のカードキーを受け取って独房に向かった。
「・・・・?」
すると独房の扉が開いて隼人が入ってきた。
「ずっとその状態でいるつもりか」
「・・・・」
「まぁ、当然か」
隼人はマドカの向かい側の壁にもたれかかって腕を組む。
「・・・・」
「不思議に思っているだろう。なぜいつまでも生き続ける自分に」
「・・・・!」
マドカは考えが見抜かれてピクッと反応する。
「お前の体内にある監視用ナノマシンは抹殺用に使えるだろうな。情報漏洩を防ぐためのな」
「・・・・」
「お前は何も言わないだろうが、貴重な情報源だ。だから、ナノマシンはあの時俺がすべて止めた」
「・・・なに?」
マドカは驚いたように顔を上げる。
「バンシィはISのコントロールを奪うだけではなく、その他のコンピューターそのものを掌握することが出来る。ナノマシンも例外じゃない」
「・・・・」
「いずれナノマシンはお前の体内で溶けて跡形も無くなるだろう」
「・・・・」
「まぁ向こうも驚いているだろうな。入れたはずのナノマシンが起動しないことに。下手をすれば情報が漏れる可能性も否定できない」
「・・・・」
「って、言っても、お前がその状態では生かしても意味が無いがな」
「・・・なぜだ」
「・・・・?」
「なぜ・・・私を生かした。意味など・・・」
「聞いてなかったのか?貴重な情報源だから、生かしたんだとな」
「それを抜きにしてだ。敵である私を生かしたところで、何が起こるのか分からないのだぞ」
「・・・・」
「理由なんぞ、ねぇよ」
「なに?」
「助けるのに理由が要るのか?」
「助けるだと?私を?」
「あぁ。呪縛と言う名のな」
「・・・・」
「まぁ、言っても無駄だろうな」
「・・・・」
「何にせよ、あの時颯が救って欲しいって言ったからな。それだけのことだ」
「やつが?」
「あぁ。颯も言っていたよ。囚われていると、呪縛に縛られていると」
「・・・・」
「そこまでして千冬さんと決着を付ける理由があるのか」
「・・・・」
「所詮千冬さんは千冬さん。お前はお前だ」
「意味が分からないな」
「・・・人は同じではない。お前はお前と言う個がある。千冬さんには千冬さんという個がある。誰にも変えられない、ましても決めることなど出来ない。それが人と言うもんだ」
「・・・・」
「まぁ、何も言わないのなら、それでも良いだろう」
「・・・・」
「だが、これだけは言っておくぞ」
「・・・・」
「・・・・生きろ」
「何?」
「生きて・・・自分が何をすべきか、本当は何を望んでいるのか。それを見出せ」
「・・・・」
「まぁ、別に俺が決めるわけじゃない。お前自身で決めろ。このまま死ぬか、生き続けるかを」
「・・・・」
そして隼人は手に持っていたミネラルウォーターのペットボトルを横にあるに置く。
「せめて水だけでも飲め。栄養失調も懸念されるが、脱水症状ほど恐ろしい物は無い。いいな」
「・・・・」
そして隼人は独房を出ようと扉を開けたが――――
「待て」
するとマドカが呼び止めて、隼人は立ち止まる。
「お前は・・・私に何を望むんだ」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・さぁな。お前が決めろ」
「・・・・?」
「お前自身が自分に何を望むか・・・それを決めろ」
「・・・・」
そしては隼人は独房から出て扉が閉まった。
(何が言いたかったのだ・・・やつは・・・)
マドカは隼人の言い分が理解できなかった。
(だが――――)
マドカはそのまま顔を下げて俯く。
(何だ・・・この・・・胸の温かい感じは・・・)
マドカは今までに感じたことにない感覚があった。
(今までこんなことなど・・・)
『お前自身が自分に何を望むか・・・それを決めろ』
そして脳裏に隼人の言葉が過ぎる。
「本当に・・・望むこと・・・」
マドカはぼそっと呟いた。
(不思議な物だ。今まで一言も喋らなかったやつが、やつの前で話すとはな)
千冬は隼人とマドカの会話を聞いて息を静かに吐く。
(だが――――)
しかし千冬はあることを疑問に思っていた。
(なぜ監視用のナノマシンのことを知っていた・・・。まるで前から知っていたかのような口ぶりだな)
そして俯いているマドカを見る。
(隼人。お前は一体・・・何者なんだ)
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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