チートでチートな三国志・そして恋姫†無双 |
第20話 ”食糧自給” 〜農業革命と四大家魚〜
「あとは農政の状況を確認して今回の会議は終わり……でしょうか。」
と諸葛亮が言った。
北郷はかつて、『有機無農薬』栽培のジャガイモを食する機会があった。そのジャガイモは、見た目こそ普通にスーパーで売っている物とかわりはないが、味は”似て非なる物”である……と実感するほどに美味しいものであった。その作り方を色々と調べた結果、『有機無農薬』の野菜はこうやって作られている……と知ったのだ。
肝になるのは『肥料』である。この『有機無農薬』の作物を作るのに必要な肥料は大きく次の3つに分かれる。
その3つとは、
1つ目は、落ち葉や木くずなど、植物質のもの”だけ”で作った『堆肥』
2つ目は、牛糞や鶏糞、あるいは油かすなどをまぜて作った『ボカシ』
そして3つ目は牛糞や鶏糞など、動物質のものをそれぞれ分けた『((厩肥|きゅうひ))』
である。
これらの肥料のうち、『堆肥』は元肥として、追肥には『ボカシ』を使い、厩肥は荒れ果てた地を開墾するときに使った。
なぜこういった使い方をするかというと、いかに肥料が有用だとしても、大量に使いすぎると逆に植物に悪影響を与えてしまう。つまり、”栄養過多”になってしまう……ということである。
さて、この『肥料』を作るときに最も重要なものは何か……というと、『米ぬか』である。ところが、この時代に『米ぬか』は存在しなかった。なぜなら、全て『玄米』だったからである。そこで、北郷はそれを『精米』して『米ぬか』を手に入れることに成功した。なお、『米』は『白米』になったため、”米が美味しい”という評判がたつほどであった。
なぜ『米ぬか』が重要か……というと、これらの肥料はそれぞれ”完熟”と言えるまで発酵させなければいけないからだ。その”発酵を促進させるもの”が『米ぬか』である。
これらの作り方は単純で、それぞれの材料を『フォーク』という農機具で毎日”切り返す”(まぜる)だけである。この世界に『フォーク』は存在しなかったが、北郷が概要を教え、農機具の店で売ることにした。(※1)
北郷が『肥料』と共に考案した物はもう一つ存在する。
それは『草木灰』である。
野菜にせよ果物にせよ、それぞれが好む土壌がある。それは、”酸性の土壌を好むもの”、”中性の土壌を好むもの”、”アルカリ性の土壌を好むもの”という3つに大きく分けられる。
一般に、作物を栽培すると土壌は酸性に傾いていく、しかし、野菜や果物の大半は酸性の土壌を好まない。アルカリ性の方向に持っていく肥料が必要になる。北郷の世界では主に『消石灰』や『苦土石灰』を使うのだが、この土地でそれをどうやってつくるのかはよく分からなかった。そのため、『草木灰』を使うことにしたのだ。これはアルカリ分が多く、しかも草木を燃やすだけで手に入るため、非常に有用なものであった。
ちなみに、土の状態を知る方法はとても単純である。土を片手で握り、それを指で軽く突いてみるだけなのだ。このときに簡単にほぐれるような土ならば、それは良い土だということを示している。ちなみに、これを専門的に言うと『団粒構造』を持った土……だということになる。この『団粒構造』をもった土は排水性と保水性を兼ね備え、耕しやすく根が貼りやすく、養分の保持力がある。その上、作物は根から栄養を吸収しやすく、日照りや多雨にも強くなる……という、良いこと尽くめの土なのだ。
北郷は、人口が増えたときに何が問題になるのか……ということを知っていた。
それは『食糧』と『エネルギー』である。しかし、『エネルギー』問題はこの世界に存在しない。食糧をいかに増やすか……ということが課題である。
つまり、耕地面積を広げることに加えて面積当たりの収穫量を増やす策が必要であった。その”面積当たりの収穫量を増やす策”がこの『堆肥』と『ボカシ』、そして『厩肥』である。
「農政……といっても、特に問題は起こっていませんね。ご主人様が仰っていた『堆肥』と『ボカシ』、『厩肥』を使ったら大麻の収穫量がかなり増えた……ということくらいでしょうか。といっても、米は来年の作付けになりますから、真価はその時にわかるかと。”四大家魚”のほうも上手くいっていますし、何問題はありません。こちらはご主人様が驚かれていらっしゃいましたね。”大した知恵だ……”と。」
そう田豊が言った。
”四大家魚”とは、食物連鎖を巧みに利用した養魚の機構、あるいはこの養魚に使われる鯉科の野生魚である「青魚」・「草魚」・「黒連」・「白連」の四種をまとめた呼び方のことである。
これは、
雑草を刈り取り、池に入れる→「草魚」が食べる→草魚の排泄物をタニシなどの小動物が食べる→それら小動物を「青魚」が食べる→食べ残しや糞などで植物プランクトンや動物プランクトンが発生する→それを「黒連」・「白連」が食べる・・・・
というものである。餌は雑草が主であるため、これらの魚を容易に繁殖することができるのだ。北郷が”食糧を増やす策”として悩んでいたときにこの”四大家魚”のことを知ったのである。無論、即決であった。
この二つは、後に劉備たちの食糧自給能力を飛躍的に高めることになる。
「じゃあ、もう少し様子を見てからまた集まって徐州をどうするか決めることにしよう。」
と劉備が言い、二度目の会議は終了した。
解説
※1:フォーク・・・農機具。食べる時に使うフォークをかなり大きくしたもの・・・・と捉えて頂ければ良いかと思います。
説明 | ||
第2章 劉備たちの動向 安住の地を求めて 〜神の視点から〜 | ||
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コメント | ||
>h995様 ごめんなさい。抜けてました・・・。修正致しました。(山縣 理明) ……”中性の土壌を好むもの”、”の土壌を好むもの”という……。この部分ですが「アルカリ性」の表記が抜けていると思われます。(h995) |
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