魔法戦記リリカルなのはmemories 最終章 新たなる聖王の歴史(メモリー) 序幕【決戦前日】 第八十八話
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 その頃なのはは、ディメルニア内にある自室にて天井を見ていた。

 先ほどの放送が終わった後、フィルノから――

 

『今日はこれ以上する事はないから、ディメルニア内に居るのならば自由にしてていい』

 

 と、言われたものだからのんびりと部屋で過ごすことにしていた。

 これと言ってする事もないし、明日に対する準備も特にない為に、とりあえず部屋の中でのんびりしていようと考えただけで部屋に居た。要するに単なる暇だという事だ。

 

「……少し、明日の対策を考えようかな?」

 

 ベッドの上に座っているなのはは明日、自分に対して戦ってくるだろうと思う人物を挙げていくことにしていた。

 今のなのはの姿はオリヴィエ・ゼーゲブレヒドを模した姿でもない誰もが見た事がある昔ながらの姿であり、口調も高町なのはが使っていたような口調で言っていた。

 放送の時はフィルノに言われていつも通りの姿をしていろと言われたので、高町なのはとしての姿に戻り、そのまま姿を変えずにいた。めんどくさいからが理由ではなく、明日ミッドチルダに現れる時は高町なのはの姿として現れるつもりだったからだった。

 

「フェイトちゃんは多分私じゃなくてアリシアちゃんの方に向かうかもしれないけど、もし私の方に来たとしても何とかなる。それと上空で戦うと仮定すると、シグナムさん、ヴィータちゃん、トーマ君辺りが来そうだけど、その辺りは多数でも勝てると思う。やっぱり問題は――」

 

 すると突然表情を一変させ、そしてある人物に対して一番脅威になるかもしれない人物をナノハは挙げるのだった。

 

「八神はやて。普通に戦えば勝てるかもしれないが、神話の力を込めてあるラグナロクブレイカーがどのくらい劣化しているのかが分からないからな」

 

 そう、普通に相殺するのならば簡単に突破できるかもしれないが、神話同士――要するにティルディングとラグナロクブレイカーが相殺する時に何が起こるのかが分からないことがナノハにとって一番の脅威になっていた。

 前にフェイトと再会した時に、はやてのラグナロクブレイカーでも勝てるとは言ってはいたが、それは神話の部分を考えないで普通に力だけで押した場合によるものだけの考えだった。

 ナノハはオリヴィエの最後の末路を詳しく知っている。大規模次元震を起こした闇の書の闇ことリィンフォースが放った『ラグナロク』と、聖王のゆりかごに搭載されていた『フィンブルの冬』。神話を込めた力はティルヴィングやレヴァンティンよりも威力は計り知れなく、次元震だって起こしかねないの為に、力に溺れてしまえば次元震を自分から起こすと同じ意味を持っていた。

 そして、ラグナロクブレイカーは闇の書から分離したみたいなものであるため、実際どれくらいの神話の力を受け続けているのか分からないけども、ナノハから見れば大規模次元震を起こした片方という事であり、危険なものだという事には変わりがなかった。神話の力をそれほど受けていないのかもしれないし、逆に闇の書と同じくらい受け続けているのかもしれないという考えも出来るため、はやてと戦うには気を付けなければならなかった。

 たとえはやてがラグナロクブレイカーを放ったところで、どのくらいの神話の力を受けついているのかは、ナノハでもさすがに分からない。だからナノハが出来ることと言えば出来るだけラグナロクブレイカーを、ティルヴィングで相殺させることは出来るだけ避けるようにと考えるのが適切だと思っていた。二度とあのような大規模次元震を起こさない為にも――

 

「……まぁ、はやてちゃんの地位からして最初から現れるかは分からないけどね。その時はその時で力に溺れず、冷静に戦うだけなんだけど」

 

 なのはは口調を元に戻し、友達という言い方で独り言を言うのだった。

 口調を一度変えたのは私情と区別するためであり、口調からしてもなるべく情に流されないようにするためでもあった。フェイトと戦った時はばれないようにと思って使っていたが、アインハルトに正体をばらされた為に口調を変えただけだった。

 管理局まで離反するまでなのはが使っていたような口調は、ゼーゲブレヒドに似た姿になって以降からは日常やツュッヒティゲンの仕事がない時に使用することにしていた。ツュッヒティゲンの仕事をしていると時には、フェイト達を親友として接さないで敵としての対応をしていた。

 

「さて、とりあえずこんなもんで良いかな? あとはその場の状況になると思うから――」

 

 なのはは明日の対策をざっと言い終えると、そのままベッドに仰向けになって倒れる。

 それからポケットから二つのデバイス兼ロストロギアを右手で取り出し、それぞれを人差し指と中指の間と中指と薬指の間で持っていた。

 紅色の玉のエクスティアことレイジングハート、翠色の玉のカリべリティアことテュディア。オリヴィエ・ゼーゲブレヒドが最後に残した遺産の片割れであり、子孫に残されてきたロストロギア。

 考えてみたら、レイジングハートを手にしてから始まっていたのかもしれない。なのはが魔法少女になるきっかけであり、そして現在もかなり関係してきている。なのはの始まりであり、オリヴィエの子孫だと知るきっかけでもあった。

 

「ねぇ、レイジングハート。これで本当に良かったのかな? もっと他の方法もあったんじゃないかなと偶に思うんだ」

〈…………〉

 

 レイジングハートは何も答えない、唯なのはの言葉を聞いているだけだった。

 なのははその様子を見て、さらに話し続ける。

 

「もう後戻りは出来ないという事は知ってるけど、やっぱり人を殺さずに何とかできたんじゃないかと思うんだよね。人を殺めた私が今更言うのも変かもしれないけど」

〈……マスターがそう思ったからこそ、今のようになってるのでは? 過去に振り返ったとしても、今までやってきたことが間違ってないと思ってたからこそ今も続いているのでは?〉

「……そうかもしれない。私は別に間違ったことをしたとは思ってないし、正しいと思ってやってきたのだから――」

〈もう、通り過ぎた過去は振り返っても意味ないのです。今や未来を見ていかなければ――〉

「そうだね。ありがとう、レイジングハート。ちょっとすっきりした」

 

 今更過去を振り返ったところで別に今や未来が変わるわけではない。それこそ、タイムマシーンやタイムリープなどをしなければ過去なんて言う出来事は変えられないのだから――

 尚も三本の指でレイジングハートとテュディアを持ちながら、なのははふとある事を思い出した。

 

「……あ、テュディア単体のみで起動したこと今までなかったかも」

 

 レイジングハート単体やレイジングハートとテュディアの両方を起動したことがあったが、テュディア単体のみで起動したことは今までない事に今更気づいた。

 研究所を破壊する時はレイジングハートとテュディアの両方を起動して、オリヴィエに似た騎士甲冑の姿をずっとしていた為に、一度も使用していなかった。

 だけど、テュディアは今現在では一応デバイスではないので、そこは少し細工する必要があった。

 

「……ちょっと頼んでみるか」

 

 なのははベッドから起き上がり、ある場所へ向かうために部屋から出て行くのだった――

説明
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。

二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。

それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。



魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。
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