同居人
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第七話 「夢」

 

 

 

朝、目覚ましで目が覚めた

何故だろうものすごく眠い

しかし、起きないと遅刻する

そう思いながら寝返りをうつとそこには水銀燈の寝顔

あれ、デジャブ?

確か前もこんなことがあったような・・・

すると水銀燈も目を半開きにしてこっちを見る

どうもまだ寝ぼけているようだ

俺の顔に手をペシペシ当ててくる

水銀燈 「モンスター水銀燈の先制攻撃・・・人間は50のダメージを受けた・・・

      これに対して人間はどう出る・・・?」

J 「そんなの決まってるだろ、こんな可愛いモンスターなら捕獲・・・・・・」

そう言って水銀燈を抱きしめる

 

J 「って、なにさらすんじゃヴォゲー!!!」

 

思わず水銀燈を開けっ放しのカバンに投げいれる

 

水銀燈 「いったーい、なにすんのよぉ!」

頭を押さえて文句を言ってくるアホ銀

J 「やかましい!寝ぼけてるお前が悪い!」

俺はそう叫ぶと部屋から出て行く

水銀燈 「わけ分かんないわよぉ」

 

ああ、どうしよう、寝ぼけてたとはいえ水銀燈を抱きしめちまった

腕の中にあの柔らかい感触がまだ残ってるよ

いい香りだった・・・

J 「ああ〜!!俺はなに考えとるんだーー!!!

  落ち着け俺、帰って来い俺、そっちに行くな俺ー!!!」

そう言って俺は壁に頭を打ち続けた

そしてそれを物陰で見つめる水銀燈

水銀燈 「あ、頭の病気かしら・・・」

 

 

その後何とか冷静になった俺と水銀燈は朝食を食べ

そして登校時間になった

 

J 「今日こそは学校に来るなよ」

水銀燈 「ええ、わかってるわ。その代わりお土産よろしくね」

J 「ああわかってるよ。今日は遊びに行かないのか?」

たまにどこかに遊びに行ってるのだが今日は行かない様子だ

水銀燈 「ええ、あの子達今頃そんな場合じゃないと思うから」

よくわからんが今日は一日中家に居るようだ。

J 「それじゃいい子にしてろよ」

水銀燈 「子供じゃないんだからそんなこと言わなくていいわよぉ」

そう言って俺は学校に向った

 

 

お土産は何にしようか考えながら学校に着く

教室に行くとそこにはなにやら動揺している同級生

J 「おはよう、どうした?」

近くに居る名前を忘れた同級生に尋ねると

同級生C 「あっ、おはよう、実はあれ・・・」

指差す先には見たこともない女の子(?)が席に座ってる

格好はなんと言うかここらではあまり見たことのない服だ

だが俺はそれが誰かは知っている。

ていうか、あいつ以外こんなことする奴はこの地球上にいない

俺が頭を押さえているとそいつがこっちを見た

??? 「はわわ、ご主人様、おはようございます〜」

そう言って近づいてくる「それ」に

俺は迷わず前蹴りを喰らわす

 

??? 「はうぅ、何するんですかご主人様〜?」

顔を押さえて倒れるそいつを俺は冷たく見下ろす

J 「俺の知り合いに諸葛亮はおらん」

するとそいつは涙目になる

??? 「ご主人様ひどいですぅ。」

J 「黙れ女装コスプレイヤー」

そう、こいつは男なのだ。名前はとしあき

変装するのが大好きで特にアニメやパソゲーのキャラクターになりきるのが

恐ろしくうまい。声もルパン並みに変えれるから一部のヲタクに大人気だ

そして悲しいことに俺の幼稚園からの友達だ

J 「朝っぱらから女装した同級生にご主人様って言われて喜ぶ変態はいねぇよ」

としあき 「朱里ってよんでくださいね」

J 「誰が呼ぶか、このはわわ軍師が」

その時、岡田と秀吉が後ろから現れた

 

岡田 「おはよう、ってあれ?としあき今日は来たのか」

秀吉 「二人とも、おっす」

やはり幼稚園から付き合いのある岡田と秀吉はすぐに気づいたか

J 「まったく学校でコスプレして来んなよ

  しかもこんな目立つ衣装で・・・」

秀吉 「前のコスはあまり目立たなかったからじゃないか?」

岡田 「確か長門だっけ」

J 「一日中図書室で本読んでるだけだったから

   人畜無害でよかったんだけどな」

としあき 「今回はちゃんと皆さんのお役に立てる技を覚えてきましたよ。えっへん!」

腰に手を当てて胸を張るとしあき

J 「ほほう、どんな面白能力を覚えてきたんだ?」

するととしあきはどこからともなく扇を取り出した

としあき 「東南の風よ〜、吹けー!!」

その瞬間、窓ガラスが揺れ校庭にあった木々が激しくしなる程の風が吹いた

秀吉 「すげぇ、野良猫が飛んでったぞ」

としあき 「どうですか!?」

扇をヒラヒラさせてドヤ顔のとしあき

J 「すごいにはすごいが、・・・どうやった?」

としあき 「へへへ、企業秘密です♪」

そう言ってる間にとしあきは席に戻って授業の準備をする

としあき 「もうそろそろ席に着かないと先生来ちゃいますよ」

J・秀・岡 「「「家帰れ」」」

 

数分後、担任の梅岡がやってきた

梅岡 「それじゃ、出席とるよ」

そう言って全員の名前を呼ぶ梅岡

っていうか早くとしあきのコスを注意しろよ熱血教師

だが、俺の願いも空しく、いろんな意味でグレートな梅岡は

としあきを見ても動じることなく授業を始めた

 

 

放課後

 

ホームルームが終わると同時に

見事、諸葛亮になりきっているとしあきがやってきた

としあき 「あ、あのー、ご主人様一緒に帰りませんか?」

一瞬だけ可愛いと思った自分がむかつく

J 「うるさい、早く家帰って宿題やるから一人で帰れ」

すると後ろから声をかけられた

岡田 「珍しいな、お前が帰ってすぐ宿題やるなんて

    明日から折角の連休なのに雨かな?」

ひどいっす、岡田さん

秀吉 「頭でも打ったか?いつもなら

    朝礼のときに丸写しだろ」

それはお前だろ

J 「連休は遊んでやるって約束したからな

   あいつ最近構ってやれなかったから少し拗ねてんだよ

   それにあと少しでテストだからな。今のうち遊んでやらんと

   テスト勉強中に邪魔されちゃかなわん」

と・岡・秀 「「「あいつ?」」」

三人(特に秀吉ととしあき)の表情が変わる

秀吉 「あいつって誰だ?」

としあき 「詳細希望」

男二人に詰め寄られてもちっとも嬉しくないんですけど・・・

J 「えっと・・・うんと・・・そ、そうそうペットだよ。」

秀吉 「ペット?」

J 「ああ、たまに家に遊びに来る猫でよく遊んでやるんだ」

としあき 「なんだペットか」

なぜか安堵のため息をつくとしあき

岡田 「女と同棲してるのかと思ったぞ」

当たりだよ

すると、秀吉がポンッと手を打つ

秀吉 「わかった!オナペッげぶりょ」

最後まで言う前に3人の拳が秀吉にめり込んだ

まったくこのエロ猿は・・・危うく放送コードに引っかかるとこだったぜ。

 

J 「そんなわけで俺は帰る」

そう言って帰ろうとしたその時

岡田 「じゃあさ、明日久しぶりに四人でやろうぜ。お前の家で」

そう言って俺の方にポンと手を置く

岡田が今、ドエライことを言ったような気がした。

としあき 「あっ、いいですねそれ。私は賛成です」

秀吉 「俺もOKだぜ」

鼻を押さえながら親指を立てる秀吉

まずい、当の本人を無視して話がどんどん進んでいってる

J 「ちょっと待てよ、おr」

としあき 「あの〜、迷惑じゃなかったら

      ご主人様遊びに行ってもいいですか?」

そう言うと偽諸葛亮は俺に抱きついて首を一気に絞めた

控えめなセリフとは裏腹にアクティブな聞き方をするな

ああ、意識がトオノクゥ〜

 

---カクン----

 

そして俺は無意識に首を立てに振った

というか落ちた。

岡田 「よし、家主の許可も得たことだし、明日10時に集合現地な」

としあき 「わ、わかりましたでしゅ・・・

      あうぅ〜、噛んじゃった〜」

秀吉 「久しぶりだな、こいつんち行くの」

こうして家主の言葉を聴かずに遊ぶことが決定してしまった

 

 

その後、意識を取り戻した俺は何とか体を引きずりながら学校の外へ出る

 

帰り道、帽子を被った怪しい少年を見つけた

学校の方をちらちら見てる

なんだ変質者か?・・・いや、前にどっかで見た顔だ

あっ、走ってどっか行っちゃった

・・・・・・ま、いいか

俺は見なかったことにして家路に着く

 

とりあえず、家に帰ったら水銀燈に話して明日一日どっかに隠れててもらわないとな

多分あいつならヤクルト5本で手を打つだろう

などと考えながら玄関の前で首をさする

J 「くそ〜、まだ首いてぇや」

文句を言いながらドアを開けるとそこには

水銀燈 「ごめんなさい、私がやりました」

土下座で俺を迎え入れる水銀燈の姿

いきなりっすか銀ちゃん

J 「それでなにやらかしたの?」

うんざりした顔で水銀燈に聞くと彼女は頭を下げたまま斜め後ろを指差した

方角的には台所方面

J 「なんだ、鍋でも焦げ付かせたか?」

まったく、そんなことで土下座するなんて大げさだな〜

などと思いながらリビングを抜けて台所に入るとそこには

J 「どこ?ここ?」

いつから家の台所はグラウンドゼロになったの?

そう思いたくなるほどの荒れ様

台所一帯は真っ黒に焦げ、皿や鍋などは再起不能なほど壊れている

 

しばらくボーゼンと立ち尽くしていると

後ろから水銀燈が恐々顔を覗かせる

水銀燈 「お、お料理をね、作ろうとしたのぉ」

J 「・・・・・・」

水銀燈 「そしたらね、いつの間にかこうなっちゃって・・・」

J 「・・・・・・はぁ・・・・・・」

俺はため息ひとつすると水銀燈の方に歩み寄りしゃがみこむ

水銀燈 「ひっ」

怒られると思ったのか少し後づさる水銀燈に

俺は優しく頭を撫でた

J 「怪我しなかったか?」

水銀燈 「えっ?・・・あ、うん」

予想外の展開にポカンとした顔をする水銀燈

J 「そうか、それじゃ片付けるか」

そう言って立ち上がる俺に水銀燈が声をかける

水銀燈 「人間、怒らないの?」

J 「わざとじゃないんだろ?それに反省してるようだし

  これ以上怒っても意味ないだろ?」

水銀燈 「に、人間・・・」

ていうか、本音を言うと学校でいろいろありすぎて

もう怒る気力がない

俺としてはさっさと片付けて部屋で寝たいんだよ

 

 

後片付けは夕飯をはさんでの大作業になった

数時間後

 

J 「こんなもんだろ・・・」

自分でもわかるくらいの疲れのこもったセリフだ

眠気がものすごい勢いで襲ってくる

水銀燈 「人間・・・ありがとう・・・あと、ごめんなさい・・・」

しょんぼりした水銀燈が頭を下げる

J 「もういいよ。だけど今度から気をつけろよ」

水銀燈 「うん」

やけにしおらしいじゃねぇか

J 「そういえば何でいきなり料理なんかしようと思ったんだ?」

なんとなく重い雰囲気に耐え切れず質問する

水銀燈 「だって私、人間にいろいろしてもらってるのに私は何も返せてない

     アリスになるには受けた恩はキチンと返さなきゃダメだ、ってメイメイが」

メイメイの姉さん、余計なこと吹き込まないでください

J 「別にいいよ、水銀燈は何もしなくても」

  (副音・これ以上問題を起さないでくれ)

水銀燈 「で、でも恩を受けたままじゃ・・・」

J 「それでいいんだよ水銀燈は、俺の側で笑ってるだけでそれが俺にとって最高のお返しだよ」

  (副音・今まで通り迷惑かけないように家の中でじっとしてください、マジお願い)

水銀燈 「に、人間・・・」

水銀燈は今にも泣きそうな顔になる

J 「それじゃ、俺はもう眠るわ。おやすみ」

少し早いが寝るとするか

水銀燈 「ええ、おやすみなさい」

そしてリビングから出ようとして立ち止まる

J 「ああ、あとな、しおらしい水銀燈もいいけどな

  元気に高飛車な水銀燈の方が俺は言いと思うぞ」

すると水銀燈が顔を少し赤くする

水銀燈 「だ、誰が高飛車よぉ!!」

そう言って怒る水銀燈を背にリビングから出て行った

 

明日は連休だし、たくさん寝れるぞ

・・・あれ?何か忘れてるような・・・ま、いっか

 

 

 

説明
アニメ「ローゼンメイデン」のサイドストーリー的なものです
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