やめよう |
優れた教育指導で知られた月光館学園には、遠方から進学を希望するものも多い。
そのため学校側が通学困難と判断を下した学生に限り入寮を許され、現在は9名が寝食をともにしている。
荒垣真次郎はそこで寮管のようなものをしている。もう、誰も青年とは表現しない年齢になってしまった。
毎朝5時前に起きて学生寮へ向かい、学生たちの朝食と、持たせる弁当を準備する。
午前中に寮内の掃除と、学生たちの洗濯物を片付ける。午後は夕食の買出しをし、学生たちが戻る前に準備を終わらせる。
夕食の後片づけをすませたら、自分の住まいへ戻る。もうひとつの仕事場、特別学生寮。
日付が変わるまでの長くない時間では一度に全てはできない。毎日、曜日ごとに定めた場所を掃除することにしている。
月曜日は床を掃く、火曜日は手摺を磨く……。
毎週木曜日と日曜日、彼はマスターキーで扉を開けその部屋に入る。床を掃き、机や窓の桟を拭き、寝具を整える。
机の上には栞の挟まった読みかけの本と、いくつかの鍵がさがったキーホルダーが置いてある。
部屋のカレンダーは既に遠くへ過ぎ去った日々を示している。
全ては部屋の主人が出ていった、その時のまま。
月光館学園特別学生寮
入居学生:一名
荒垣がこの仕事を始めて、もう15回、春が去って、そしてまた春がきた。
椅子の背を撫で、もう戻らない日々を思う。
「……もういい加減、潮時だろう……?」
明日、ここを出ていくと電話しよう。
明日こそは、電話をしよう。
説明 | ||
荒ハム。15年後のお話。P3フェス未プレイのためクリア後ねつ造を含む(主人公や寮がどうなったか、荒垣の職業について) | ||
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P3 荒ハム | ||
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