IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode93 姉妹の争い?
「・・・ようやく形にはなって来たか」
隼人は作業を一旦やめてため息を付く。
今居るのは第二格納庫で、そこでISの製作に取り掛かっていた。
目の前には一体のほぼ完成状態のISがあった。
全身に装甲が施されたISで、金色に輝き、それを際立たせる黒いカラーリングが特徴的であった。両肩が少し横に伸びた形状で、右腕にはネブラブリッツのトリケロスを改良した『トリケロス改』を持っており左腕には長い棒を持ち鉾のような先端を持つ何らかのユニットを搭載していた。足の形状も先端が上の方に尖ってヒールのような踵を持っていた。最もその機体の特徴的なのが背中に搭載されている鉤爪状のウイングであった。
(ゴールドフレームをベースにネブラブリッツのパーツを組み込んで、その他色々とパーツを使って完成した『ゴールドフレーム天』。やろうと思えば完成するもんだな)
と、内心で胸を張る。
(まぁ、楯無さんがこれを気に入るかどうかだよな。色がミステリアス・レイディと違うし。仮に気に入っても使いこなせるかどうか)
そして再度作業を再開する。
「隼人」
すると簪が近づいてきた。
「よぉ簪。どうした?」
「ちょっとね・・・。ずっと前から隼人が作業しているところ見ていたから、気になって・・・」
「そうか。まぁ気になるのは当然か」
「・・・それにしても・・・このISって?」
簪は隼人の横に来るとゴールドフレーム天を興味津々で見る。
「あぁ。この間のタッグマッチでの襲撃者のパーツを使って作ったセミスクラッチISだ」
「あの時の?」
「あぁ。もう隅々まで調べたが、使い道がほとんど無いから俺が使っている」
「そうなんだ。でも、作ってもどうするの?」
「楯無さんに渡す」
「お姉ちゃんに?」
「あぁ。楯無さんのISが元から破壊されたからな。だからコアを組み上げた外装に搭載して調節している」
「・・・そっか」
「・・・まぁ、助手である以上、少しは役に立つことはしておくべきだからな」
「・・・・」
「ところで、何か用があるんじゃないのか?」
「あ、う、うん。何か手伝えることって・・・無い?」
「そうだな。じゃぁ――――」
「・・・・」
そんな様子を格納庫の入り口の向こう側より鈴が見ていた。
(隼人・・・)
鈴は二人の様子を見て、何やら納得が行かない表情をしていた。
(なんで・・・何でなのよ)
すると手にしていた空のペットボトルを握り潰してキャップが空気圧に耐えかねて吹っ飛ぶ。
(あたしじゃ・・・物足りないって言うの・・・隼人)
鈴は歯を食いしばってその場を去る。
「それで、何か分かったか」
その頃IS学園の地下特別区画の研究室では、千冬と山田先生があるものの調査をしていた。
「ある程度は」
二人の目の前には襲撃者の次に襲撃したバインドが残されたバスターソードがカプセルの中に入れられていた。
「構成材質は地球上にあるすべての物質と比べてみたんですが、どれにも当てはまりません」
「つまり正体不明の素材で構成されているのか」
「内部機構も完全に機能を停止させているので調べようが無いのですが、これも全く見たことの無い機構ばかりです」
「・・・・」
「やはり武器だけでは分かりませんね」
「そうだな。それにあいつらから聞いた話しでは、あのアンノウンの名は『バインド』と言うものか」
「バインド・・・」
「正直信じられん物だな。人間の闇から生み出されたのが・・・やつらとはな」
するとモニターに当時のバインド襲撃時の写真が表示された。
「それに、このバインドは一夏の闇から生み出されたと言うが・・・」
千冬は闇一夏が変身しているデスティニーバインドを見る。
「何だか信じられませんね」
「あぁ。そうだな」
「ですが、これでは科学的に証明はできませんね。まさか『人の闇から生み出された』などと言っても、信じてはくれないでしょうね」
「当然だな」
「では、どうされますか?」
「ここだけの話にする。仮に話すことになっても誰も信じないだろう」
「ですね」
「そういえば織斑先生が捕虜にしたあの子」
「・・・・」
山田先生は作業をしながら話し出す。
「最初は水すら口にしない状態だったのに、神風君と話してからは普通に食事を摂るようになりましたね」
「そうだな」
「でも、どうして急に変わったんでしょうか」
「さぁな。あいつが何か吹き込んだんだろう」
「しかし、あの子に神風君は何を言ったんでしょうか」
「あいつらしいものだったな」
「それって?」
「さぁな」
「そんな!?ひどいですよ、織斑先生!教えてくださいよ!」
「別にそこまでして知る必要は無いだろう」
千冬は山田先生の反応を見てふっと笑う。
その夜――――
(何とか調整まで終わったな。後は渡すタイミングか)
隼人は寮の廊下を歩いて食堂に向かっていた。
(バンシィの改修も終わったし、何とかなるな)
そう考えながら歩いていると――――
「あっ!隼人!」
するとジャージ姿のシャルロットと会う。
「シャルロットか。お前も食堂に向かっている途中か」
「うん。隼人も?」
「あぁ」
「じゃぁ一緒に行こうよ。少し話したいことがあるから」
「分かった」
そうして二人は一緒に歩いていく。
「それで、話したいことって何だ?」
「うん。僕が隼人の義妹になった時の日・・・覚えてる?」
「当たり前だろ。そんな大切な日を忘れるはずが無いだろ」
「よかった」
「それが何だ?」
「その時はあんまり慣れてなかったから、受け流したけど、もうそろそろいいかなって」
「・・・・」
「もうこういう関係も慣れてきたから・・・その・・・」
シャルロットは両手を組んで言いにくそうにする。
「隼人のこと・・・お兄ちゃんって呼んでいい?」
「それか・・・普通に兄さんでいいだろ?」
「それじゃ颯と同じ呼び方になるでしょ」
と、シャルロットは同じを少し強調して言う。
「別にいいだろ?」
「よくないよ!」
シャルロットはズイっと隼人に迫る。
「そ、そこまでムキにならなくていいだろ」
シャルロットの勢いに隼人は少したじろぐ。
「ご、ごめん」
シャルロットはすっと下がる。
「どうしたんだよ・・・そんなにムキになることは無いだろ」
「だって、僕だけの呼び方がいいから」
と、シャルロットは上目遣いで隼人を見る。
「僕だけ、か」
「・・・・」
「・・・・」
隼人は頭を掻いて――――
「じゃぁ、俺とシャルロットだけの呼び方を考えてやるよ」
「え?本当!?」
「あぁ。そうだな――――」
隼人は一旦立ち止まって考える。
「じゃぁ『シャル』はどうだ?呼びやすいし、親しみやすい」
「シャル・・・。うん、いいよ!凄くいいよ!!」
シャルロットは嬉しそうにして隼人に寄り添う。
「そ、そうか。喜んでもらえてよかったよ(かなり遅れたが、原作通りに言ったら同じ反応をしてくれるとは・・・)」
予想はしていたとは言っても隼人は少したじろぐ。
「シャルか・・・シャル・・・うふふ・・・」
シャルロットは嬉しそうにしていた。
「でも、お兄ちゃんって呼ばせてくれるんだよね?」
と、笑顔のままシャルロットは聞いてきた。
(さすがに流してくれるわけ無いか)
シャルロットのしぶとさにはさすがの隼人も舌を巻く。
「それはだな――――」
「兄さん!」
すると後ろから颯が走ってきて隼人に抱きつく。
「颯!?」
隼人はいきなり抱き着かれたので何とか足を踏ん張って耐えた。
「兄さんも今から食堂に行くの?」
「ま、まぁな」
「じゃぁ一緒に行こうよ」
「あ、あぁ」
「あれ?颯?来たんだね?」
と、シャルロットが横から顔を出した。
「あら姉さん。居たんですね」
「うん。居たよ」
「ごめんなさい。全然見えなかったもので気付きませんでした」
「そりゃ颯の向かい側だから見えなくて当然だよ」
「ところで、姉さんも食堂に行くんですか?」
「そういう颯も?」
「そうですよ」
「それは偶然だね。僕は今から|お兄ちゃんと一緒に行くんだよね」
「おいシャル――――」
と、隼人が言おうとした瞬間シャルロットは颯が見えないところで隼人の横腹をつねる。
(うごっ!?)
隼人はそれによって言葉を遮られる。
「本当に偶然ですね。私も今兄さんと一緒に行くんですよ」
と、二人は笑顔で言っていたが、何やら威圧感があった。
(何か物凄く悪寒を感じる)
隼人は背筋を凍らせて、脂汗を掻いていた。
「じゃ、じゃぁ、この際一緒に行くか」
「・・・・」
「・・・・」
(あれ?何かまずったか)
「ま、まぁお兄ちゃんが言うなら」
「私も兄さんがそう言うのなら」
何とか二人は納得してくれた。
「そ、そうか。じゃか行くか」
隼人は少し慌てた様子で二人を仕切って食堂に向かった。
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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