詩集「奏詞」心巻
[全21ページ]
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【焦流】

 

焦るばかりで時間だけすぎてく

何しているんだろうか

 

笑うよ笑ってくれよ

本当に何してんだ

 

ただただ時間だけが過ぎていく

どうしようもないぐらいに

 

他人ばかりが羨ましくて

自分ばかりが情けなくて嫌になる

そんでも明日という日は

毎日くるんだよな

生を終えるまでは

 

 

【敗逅】

 

机に転がるシャープペン

授業は進んでいるのに

白紙のルーズリーフ

その横に丸みを帯びずに

ケースに入った消しゴム

 

箱の中につめられていた時は

それをささやかな

抵抗だと信じていた

でもそれは抵抗でもなんでもなかった

 

そうそれはただの敗北

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【虚繋】

 

繋がってない重なっていただけ

これが真実でそして現実

 

時間が過ぎていくごとに

一枚一枚また一枚と剥がれていく

そして最後には何も残らない

 

それが怖いどうしようもなく怖い

強くなれ強くなれ強くなれ

懸命に言い聞かせる

 

それでも恐怖はなくならない

頭の隅にいつでも居座って

気がつくと恐怖に包まれる

 

手を伸ばして重なりを掴む

剥がれるないようにギュッと掴む

けど無理矢理に繋ぐため剥がれていく

 

 

【贖許】

 

自分はこれだけしました

だから許してください

すべてを許される免罪符を求め

 

本質的な問題から逃げて

やらなくてはいけない事を

後回しにして

 

言い訳を正当化する免罪符を

いつもいつも求めている

 

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【幸受】

 

幸せを誰もが求める

でもその幸せは

誰一人同じものではない

 

望むべきものが違うから

それも理由の一つ

 

例え同じ事象を

望んでいたとしても

結果を受け止める

人間によって

幸せかどうかがきまる

 

【弱芯】

 

優しくされたいそっと包んで欲しい

柔らかな温もりを与えて欲しい

 

小さな傷がいくつもいくつも

重なり合っていった

 

もう限界なんだまだ大丈夫だと思ったけど

すれすれのところで生きている

 

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【気迷】

 

グツグツとよくわからない

気持ちで一杯になる

求めているものが

なんなのかわからない

何をしていても

楽しくない

ただ時間が過ぎていくだけ

 

気晴らし体に入れたアルコール

何も変わらない

気持ちよくないつまらない

 

何のために存在しているんだろうか

そんな意味のない事を考えてしまう

 

何を求めているんだろうか

何から逃げているんだろうか

もうわけわかんない

  

  

【あがれぬ場所】

 

元気に騒いでみて

一人を感じてへこむ

 

火がついちゃえば

自分はいらない

燃えてしまった炭と同じ

 

舞台を整えるだけで

いっぱいいっぱいで

 

舞台で踊ることも

演じることも出来ない

 

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【浸食】

 

虫が体を蝕んでいく

次から次にと生まれながら

次々と蝕んでいく

 

蝕まれた体はボロボロ

いたるところに穴が開く

 

いっそのこと全部蝕んでくれれば

ボロボロがなくなるのにな

 

そんなアホなことを考えながら

無意識のうちに虫を振り払う

 

意識して振り払わなければ意味ないのに

その場を繕うために必死に振り払う

 

 

【侵殻】

 

いつのまにか包まれていた殻

気がつけばこの殻からのプレッシャーに

身を蝕まれていた

 

殻は本来身を守るためにあるのに

この殻は身をどこまでも蝕んでいた

 

この殻の名を世間と人々は言う

包まれたくて包まれているのでない

 

無意識のうちに勝手に包まれていく

テレビ ネット 雑誌 ラジオ

あらゆる媒体により培われ

つつんでいく

 

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【虚求】

 

求めている

強く強く求めている

 

でも本当に求めているの

形だけ求めてない

そんなの意味ないよ

 

わかっている

わかっている

けど求めてやまない

 

孤独から逃げたくて

逃げたくて

 

求めて求めて

孤独から解放されたくて

 

空しさだけが

漂う事もわかっていても

安く求めてしまう

 

  

【思交】

 

様々な思いが交錯する

一筋縄ではいかない人間模様

 

どの糸を引き寄せれば正解なのか

はたまた正解などはないのか

 

それでも糸を引き紡いで

いかねばならないこの世の中

 

釣り糸のように絡まりちぎれるのか

羊の毛のように上手く紡がれていくのか

誰にもわからない

 

ただひたすら引き寄せ

人間模様を構築していく

 

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【振れ幅】

 

気持ちはどうしようもなく

揺さぶられる

 

右に左に自分の意志とは無関係に

ゆらゆらゆらゆら揺さぶられる

 

揺れ幅が広ければ広いほど

思い悩み苦しんでいく

 

揺られている速度は初めのうちは早く揺さぶられる

終わりが近づくとゆっくりと揺さぶられる

 

同じように揺さぶられていても

初めと終わりでは得られる感情は違う

 

 

【自由の裏に】

 

自由に羽ばたいていたつもりだった

何かに庇護されている何て考えもしなかった

 

庇護から逃れ本当に自由になったとき

僕はもう羽ばたくことはできなかった

 

庇護があるから自由に羽ばたける

羽ばたいている裏にはそれを守る存在がある

 

自由に飛びたい

飛ぶだけの庇護が欲しい

 

まだ飛びたい飛んでいたい

許されるならずっと飛んでいたい

庇護を与える日がくるまで

 

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【身喰】

 

暴れ狂う虫を身体の中で飼う

ドンドン蝕まれていく

そこら中が穴が開く寸前

薄皮一枚で微妙に保たれる

 

次から次へと餌が投下されるせいで

暴れ狂う虫はうじゃうじゃと増殖

いつ腹の皮を破って出てくる事やら

 

痛みを忘れるために

きつい酒をあおる

一時的に寝るみたいだけど

 

朝起きるとコレまたひどい

全身を蝕んでいく

まだ頭は大丈夫かな

たぶん大丈夫だと思う

 

 

【熱変】

 

熱くなる

自分に何の利もない

 

熱くなればなるほど

どんどんと不利になっていく

 

そんなことはわかっている

でも熱くならなきゃならない

 

熱くならなきゃ何も始まらない

熱くなって初めて形が変わる

 

熱ければ熱いほど簡単に変わる

 

-9ページ-

【熟夢】

 

アルコールの力を借りて

夜の眠りにつく

 

眠りについては夢におこされ

長い夜を旅する

 

起きているのか寝ているのか

自分ではよくわからない

 

現実と夢を繰り返していたのか

はたまたそれまでもが夢だったのか

 

確認するすべもなく

ただただぼんやりする頭で考え込む

 

 

【添寄】

 

走り疲れたとき何も言わずに

そっと支えてくれる存在

 

どんな理由で止まっているのか

知りたいはずなのに何も言わず

 

走り出すまでじっと待ってくれる存在

どんなに心が落ち着かされるかわからない

 

例え右に左に上に下に滅茶苦茶にかき乱されていても

支えるように側にいてくれるだけなのに

凪の海のように心落ち着く

 

-10ページ-

【無動】

 

焼けた鉄板の上に落とされて

生まれて初めてのダンスを踊らされる

 

足下から炙られでもしないと

何もする気がおきない無気力さ

 

何もおきなければ

ただただ立っているだけ

 

でもそれこそが人の本質かもしれない

 

 

【繋狂】

 

きっとどこかに何かを忘れてきたんだ

だからそれを取り戻すために

手がかりを得るために

夢が過去へ未来へ現在とつれ回す

 

どことなくねじれ曲がった過去

繋がらないはずの過去と現在

そしてまだ見ぬはずの未来

 

何を探しているのか

それすらもわからないのに

手がかりを探している

 

-11ページ-

【自覚】

 

何かを失ったわけでもないが

喪失感が心の中に充満している

 

気持ちばかりが先に先にといく

焦らなくてもいいのに

 

雑音が四方八方から聞こえてくる

無視すればいいとわかっている

 

それでも焦ってしまう

焦ったところで何もかわらない

 

自分の気持ちをしっかりともって

ゆっくりと流れに身を委ねればいい

 

 

【忘探】

 

何処かに置き去りにしてきた大切な何か

その何かがわからないまま

刻々と時間だけが無為に進んでいく

 

本当は何も置き去りにしていない

そう思う時も時たまあるが

それが幻想に過ぎない

 

確信があるわけじゃない

でも何かが欠けている

そんな不自然さが体中にまとわりつく

 

置き去りにした何か

それは何だったのか

意識の中を彷徨っている

 

-12ページ-

【搾空】

 

乾いた空に吸い込まれた

 

ピリピリ感を肌に感じた

吸い込まれた世界の視界は一面が青だった

 

吸い込まれているうちに心に溜まっていた

黒くどす黒いモヤモヤは乾いた空に吸い込まれた

 

全てを出し切った後の体は清々しくどこまでも軽かった

 

 

【伸ばした先に】

 

空に手を伸ばして星を掴もうとしていたあの頃

どんな気持ちで空に手を伸ばしていたのか忘れたけど

真剣に掴もうとしていたのは覚えている

 

あの頃は何の心配もなくいつもを過ごしていた

自分のしたいことを思いつく限りして

できないときは泣きじゃくり回りを困らせてた

 

今はどうなんだろう

そんなことを思いながら空に手をあげてみる

今も昔も掴めないのは同じでも

たぶん絶対にあの時の気持ちと同じじゃない

 

どんなに手を伸ばしてみても思い出すことはない

あの時はこの手の先に何を期待して伸ばしていたんだろう

 

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【非抄】

 

忘れ物をしたと思ってたんだ

でもそれは忘れ物じゃなかった

 

だって忘れ物なら取りに戻る事ができる

でもそいつは取りに戻る事が出来なかった

 

えっ別に後悔はしてないよ本当だ

嘘じゃないよその目は信じてないな

 

まぁ別に良いけどさその通りだから

あぁ後悔しているさ

だから話をしているんだろう

 

それは何だったのかって

そんなことは教えれないよ

 

ここまで話しておいてそれは無いってか

しかたないなヒントをあげよう

それはお前だよお前

 

ヒントになってないって

そうだろうなわかっていれば

今日と言う日はなかっただろうしな

 

笑ってごまかすなって

何怒ってんだか誰もごまかしてないよ

 

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【全理】

 

感じているこの結びは必然だったんだと

宇宙のように広がる世界でお互いに

気づいたことこれは偶然でなく必然

 

狂っているってそうかもね狂っているかも

そうじゃなきゃそんな事感じないし期待しない

 

狂っているから感じるんだこの必然に

偶然なんかじゃない

 

自分の中の感情すべてが肯定する

必然だとだから何も心配はいらない

 

必然である以上結びが切れる事も

綻びることもないから

 

【幕雲】

 

雲は夜空に広がり星夜を隠す

隠させる星星を人々は崇め求める

 

目に見えない何かを崇拝し

創造と妄想をひたすらくりかえし

 

都合の良い世界を構築

安住を求める

 

不安からくるのか

寂しさからくるのか

 

雲はいつになってもはれない

 

-15ページ-

【途中】

立ち止まって

走っていた流れから外れた

 

立ち止まった瞬間今までにないものを

見た聞いた感じた色々な情報で

 

そして再び動き始めようと足を前に進める

けど踏み出し転けて両手をついた

 

歩けない

 

ゆっくりゆっくりと

赤ん坊のようにしか進めない

 

早く起き上がって歩いて加速して流れを

追い越さないと止まった意味が消えてしまう

 

立ち止まる覚悟よく言ったものだ

流れから外れるときの覚悟

立ち止まり流れを超す苦難の覚悟

 

二つの覚悟を決めて

立ち止まり

再び歩くき加速し追い越す

 

 

【空思】

 

1年の中で一番空を高く感じる

上を向いてゆっくりと流れる雲を目で追う

 

ころがって眺めていた

あの時を思いだす

自由だったのに不自由だと

嘆いていたあの時

 

目一杯自由にしていて

それでも物足りなくて

毎日を彷徨い続け

 

そして今に繋がる道を歩いたあの時

あの時の空も高く雲がゆっくりと流れていた

 

-16ページ-

【隙誘】

 

ちょっとした隙間を埋めたくて

色々なつながりを求めてしまう

 

ちょっとした隙間なんて

誰にでも簡単にできるもので

特別なことではない

 

だから慌てて埋めなくても

ちょっとした隙間はほっとけば

自然と埋まっていく

 

ただあいた不自然さは

ちょっとだけ気持ち悪い

 

でも自然に埋まるのを待つのが一番いい

無理に埋めると後々気持ちが悪いから

 

 

【毒感】

 

詰め込み過ぎて破裂しそうな感情

いつもいつも体の中を駆け巡る

 

駆け巡っているうちに

少しでも軽くなってくれればいいけど

大抵は重くなってスタート地点に戻ってくる

 

詰め込んだ感情が恋愛感情とかならいいんだけど

 

大抵詰め込んで破裂しそうな感情は

ろくでもない醜い感情ばかり

 

そんなものが体を巡回していれば

いつかはおかしくなる

 

-17ページ-

【1/8】

 

窮屈な箱の中で大勢の人間と共に過ごした

毎日決まった時間をあの箱の中で

考えもなしに消費していた

 

箱の中にいたときは毎日が退屈の繰り返し

退屈しのぎに枠からはみ出した

 

次の箱へ次の箱へと自由を求め

高みへ高みへと上を目指して昇っていった

 

昇った先に自由は確かにあった

でも箱の中で望んでいた自由は幻想だった

 

 

【霞折】

 

心に刺した杭がへし折れた瞬間

目に映る全てが色あせて見える

 

折れるはずが無いと信じて

力の限り打ち込み動いてきた

日々の衝撃にも耐え信じ動いてきた

 

でも少しずつ少しずつ衝撃を受けるたびに

小さな小さな亀裂が生じ傷ついていた

そして気がついた時には杭は見事に折れていた

 

折れたらさっさと抜いて別の杭を打ち込めばよい

力の限り打ち込んだ杭はなかなか抜けない

 

打ち込むときも苦痛を伴う

そして抜くときは激痛を伴う

だから多くの人は折れたままで生き続ける

 

それではダメだと分かっていながら

 

-18ページ-

【気がつきし事】

 

すっと差し込む一本のか細き光。

闇の中ではそのか細き光でさえも眩しい。

「光がこんなに明るいなんて知らなかったな。」

私は闇の中で呟いた。

するとアイツは不思議そうに聞いてきた

「本当に知らなかったの。」

「まぁね。真っ暗だったからね今までは。」

「なるほどね。よかったじゃん知ることができて。」

私はアイツに寄りかかり言葉を続けた

「そうだ。知れて良かった。」

「そっか。」

そしてそのまま二人で寄り添いながら眠りについた。

 

 

【いつものこと】

 

不定期的に漠然とした不安に襲われる

ちょっとした事なのに勝手に広がっていく

 

取り越し苦労だとわかっている

わかっていてももしかしてと不安が広がっていく

 

一度広がりはじめたら不安が広がりきるか

何も考えないで寝てしまうしか

楽しい何かに溺れていくか

 

ただただ時間を経過させていくしかない

 

-19ページ-

【緩考】

 

ゆったりとした時間に身を任せて

気になっていることの全てについて

答えを求めるのではなく

そこに確かな安らぎを求めて考える

 

先のこと人のこと

思いを巡らしている思考は様々だけど

現実世界と比べれば

そこは安らぎの世界が広がっている

 

 

【心律】

 

呼吸をゆっくりと整え

深く深く呼吸を繰り返す

 

体中を駆け巡る血流を感じながら

体のすべてを外に出すように

ゆっくりゆっくりと力を抜いていく

 

気持ちがいいと心の底から

感じられるまで力を抜いていく

疲れた体も心も元気になるように

 

-20ページ-

【繋焦】

雨の音が響き渡っている

周りが静かだとうい事を改めて意識する

そしてほんの少しだけ寂しさを覚える

 

覚えた寂しさに浸かっていると

頭から離れなくなっている思いが

何気ない表情で顔をのぞかせる

 

その思いに戸惑い葛藤し焦がれる

焦がれるだけ焦がれてまた焦がれる

意識しているとき以上に焦がされる

 

でもそれが良い

焦がれる事なく楽に繋がっても

本物は手に入らないから

 

 

【非満】

 

満たされないものを

満たすためにあがく

 

あがくのは苦しかったり辛かったりする

でも満たされたときの喜びを夢見て

 

その喜びが苦しさや辛さを

忘れさせてくれると信じているから

いつまでもあがいている事が出来る

 

-21ページ-

【臆弱】

 

こんなに弱い自分がいる何て思いもしなかった

誤魔化すためにアルコールで脳を揺らす

 

逃げるためにいれるアルコールは味がしない

飲んでいても楽しくないし美味しくない

でも酔わなければますます弱くなりそうで怖い

 

いっそのこと忘れてしまいたい

でも忘れたくないし忘れられない大切なもの

知らないうちに依存していた

 

それが何を意味するのかわかっている

ここにいる理由ここに存在する理由

そう答えはたった一つしかない

説明
奏詞の第二巻。
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詩集 奏詞 

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