なんか神の不手際で転生するらしい
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Side:刃

 

 

 

「・・・・蒐集完了」

 

「しかしお前のやり方はえげつねえな。」

 

 

 

俺達は今、とある管理外無人世界で収集を行っている。ヴィータの前には蒐集されて気絶している巨大な火トカゲもどき。その四肢は血塗れで今にも千切れそうだった。

 

 

 

「別に、生きたままリンカーコアを奪えればその持ち主たる魔獣がどうであろうとどうなろうと関係ないよ。例えそれが虫の息であろうともね。」

 

「それだけ言うと本当外道に見えるぞ・・・・」

 

「何を言っているだい?」

 

「?」

 

「自分たちの都合で何億何兆以上もの生き物を殺し、なおかつそうしなければ生きていけない人間が何処の上等種族なんだ?しかも知性や理性ある分、同族すら無意味に殺すことの多い種族だ・・・・下種にもほどがあるだろう?それがたかが他の次元世界にまで波及しただけだよ。むしろ人間は極力襲わないようにしてるのだからまだマシだと思うけど・・・・少なくとも歴代の主よりかは」

 

「・・・・・・ちげえねえ」

 

「それに副次的効果として、血の匂いにつられた肉食系の魔獣が寄ってくる。そしてさらに蒐集できる。」

 

「おめえ、それでよく大丈夫だったな」

「何、いざとなったら((核投入|ワールドデストロイヤー))で一網打尽できるからこそできることだよ」

 

「ふーん・・・・じゃあ、そろそろ帰るか」

 

「そうだね――と言いたいところだが無理みたいだ」

 

「その様だな。」

 

 

 

上空の魔力反応から桜色の砲撃が二人目がけて放たれる。

ヴィータはそれを飛んでその場を離れ、俺は完全に見切り数歩横にずれる事で砲撃を回避した。

 

 

 

「仮面なかったら即死だった・・・・」

 

「何言ってんだ。おめえ・・・・完全に見切ってたくせに」

 

「いや、砂埃的な意味で」

 

 

 

そんなのんきな会話を俺たちがしていると、空から二人の魔導師が降りてきた。

 

 

 

「どこかで見たことのある二人だな……(なのはにクロノか・・・・)」

 

 

 

 

 

 

「またあの白服かよ……」

 

 

 

クロノが自身のデバイスを向けながら勧告する。

 

 

 

「((捜索指定遺失物|ロストロギア))」の所持、及び使用の疑いで君達を逮捕する。抵抗しなければ弁護の機会が君達にはある。同意するなら武装の解除を」

 

 

 

その言葉にヴィータは顔をしかめるが、俺はため息をつきながら・・・・

 

 

 

「君・・・物事はちゃんとわかって言っているのかね?」

 

「何?」

 

「あまり言いたくはないが俺はあの地球の人間でね。」

 

「そんなことは分かっている!」

 

 

 

普通この時点でおかしいと気づくべきだが・・・・・アイツ頭硬いな・・・・闇の書にしか向いてない。まあソレを指摘されてもいくらでも言い訳できるんだけど

 

 

 

「じゃあ言わせてもらうが・・・・」

 

 

 

一つ息を置いて言う。

 

 

 

「そんな何処の世界ともしれぬ見知らぬ世界の法律なんて守る義理は無いんだよ・・・・俺達には・・・そもそも知らないわけなのだから」

 

「な!?」

 

「いいか?お前たちの言っていることを立場逆転させて言うとだな・・・・『管理局とやらは10歳にも満たぬ子供を普通にこき使い犯罪者及び死地におくる組織であり。日本の法律ではそれは認められない』と言っているようなものなんだよ。お前らそんなこと言われてはい、そうですか・・・・って言えるか?」

 

「そんなの認められるわけがないだろう!!」

 

「その言葉そのままそっくり返そうか・・・・目障りで迷惑甚だしいんだよ!何様のつもりだ?お前ら管理局はなんだ?神にでもなったつもりか?弁護の機会がある?そもそも知らない法律をどうやって守れというのかね?教えてくれ。管理外世界の住人たる俺にはその方法がわからん。ぜひ進んでいる管理世界の住人の意見を聞きたい。」

 

「だ、だがそのロストロギアは危険で・・・・」

 

「ならなぜ度々武力行使に出た?なぜそれしか行わない?最初やその次のこちらから出た場合の正当防衛ならともかく、俺達が無人世界で収集を行っていた時まで武力行使に出たな?俺がお前の立場なら事実説明の後危険物の取り上げと訓告、後に自分たちの世界の都合に巻き込んだ謝罪で終わらせる。そうすれば、こちらとしてはコレが危険物であることもわかり平和的に解決できる。主の場所がわからないといっても守護騎士たちは今までと姿が同じなのだから後を追うなりなんなりすれば早い段階で主の居場所は特定できるだろう。それを最初に行いそして主たる俺がそれを断り武力行使に出たというならこの状況もわかる。こちらはそちらの事情を何も知らないんだ。たとえ守護騎士が応じる気が無くともせめて戦う意志が無いことを主に伝えればもう少し穏便に済ませられたはずだ。なぜそうしなかった?」

 

「そ、それは・・・・」

 

「大方、歴代の主が己の欲望のままに闇の書を使ったから今回の主も同じことをするだろうとかそういう理由だろう。一般人ならその見解もわからなくはないが、お前たちのような公的機関の人間がそんな偏見を持つのか?いや、持つのは構わないがそれを現場に持ち出すとはな。もうその時点で俺たちにとってお前たち管理局という存在には不信感しかないのだよ。故に俺達は全力で抵抗させてもらう。そんな得体のしれない組織の言うことを聞いて何をされたかわかったものじゃないからな。恨むのなら己の浅はかさを恨め。お前たちは最初の一手ですでに間違えているんだよ―――――行くぞヴィータ。」

 

「りょーかい」

 

 

 

そう言ってヴィータはなのはに、俺はクロノのところへと向かう。

 

 

 

まず、ヴィータが大きめの鉄球を一つ出し、グラーフアイゼンで撃ち出す。

勢いよく撃ち出された鉄球は二人の中間地点へ飛んでいく。

二人は左右に別れて避ける。二人が別れた事を確認した俺達はそれぞれの相手に攻撃した。

四人のデバイスがそれぞれ激突し、火花を散らす。

 

 

 

「ヴィータ、そいつは距離を開けなければ大丈夫だ。近すぎる程近くに居続けろ。吹き飛ばすのも禁止だ」

 

「それじゃあたしの戦闘力半減じゃねーか!」

 

「倒す必要性ないのだから別に構わないだろ。それじゃ少し離れる」

 

 

 

クロノと500m程離れた場所に転移する。

 

 

 

「さて、とっとと倒してリンカーコアをいただくとしよう・・・・あまり時間もないのでな(ボソッ」

 

 

 

俺は魔法でクロノへ一直線に高速で近づく。しかしその俺を水色のバインドが縛ろうとする。

 

 

 

「いつの間にバインドを仕掛けた?まあ関係無いが・・・・・」

 

 

 

そう言ってそのまま突っ込み、縛ろうとしたバインドを振り切るまたは風圧で引き千切る

 

 

 

「脆いな(伸のバインドと比べれば温い温い)」

 

「くっ……スティンガーレイ!」

 

 

 

光弾が高速で放たれる。そして俺もそれに対してバヨネットを放ち爆発させる。

 

 

 

ドゴォォォォン!!

 

 

 

「甘いな・・・・」

 

「何・・・・っ!?」

 

 

爆風の中からさらに二本のバヨネットが飛んでくる。気づくのに遅れたクロノはそれに対処しきれず、当たる直前に爆発しそれに巻き込まれる。そして俺は落下していった場所まで向かう

 

 

 

「何で、お前は……闇の書を完成させようとする?」

 

「(アイツの)自由を得るため。」

 

「そのためにこんな・・・・ここまでしたらこの世界の生態系にも影響が出る……」

 

「関係ないな。」

 

「な・・・・に」

 

「驚く必要はないだろう?」

 

「ど、どういう・・・・」

 

「じゃあ聞くがお前本気で俺等のことを考えたか?守護騎士から聞いたが次元犯罪者だったか?・・・・としてでしか見てなかっただろ。その主が管理外世界の人間でお前たちのことなんか知らないだなんて考えたか?一分一秒でも・・・・それと同じことだ。」

 

 

 

まあ、それでもアイツは望まないだろうがな。アイツは・・・・・・優しすぎる。

 

 

 

「ご・・・傲慢な」

 

「お前ら管理局の人間に言われたくはない。それから人は何かを犠牲にしなければ生きていけない。君たちの世界でもなかったかね?戦争とかは・・・・もしあったのなら、その戦争に勝ったから今の時代があるんじゃないのかね?そしてそのために犠牲となり散って逝った人間は一体どれだけいたのだろうな?」

 

「・・・・・・」

 

「話はここまでだ。少しはタメになったか?まあ、案ずるな、命までは取らん。あー、そうそう、最後に一つ言っておくが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他人のことを本気で考えることが出来ない奴に誰かを守ることも助けることもできはしないよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言い放ち斧を振り上げたとき――――

 

 

 

 

 

上空から、金色の魔力弾が降り注ぐ。俺はその場から飛んで離れる

 

 

 

「増援・・・・か」

 

 

 

それを確認した俺はヴィータに念話をした。

 

 

 

(ヴィータ、無事か?)

 

(何だよ刃!こっちはこの前の魔力の馬鹿でかい奴が出てきてそれどころじゃねーんだよ!)

 

(増援が来る。逃げるぞ)

 

(……ちっ、仕様がねえか)

 

(合流してから転移する。今、そっちに行くからしばらく持たせろ)

 

(分かった)

 

 

 

念話を終了するや否や、俺は一目散にヴィータの方へ駆け出す。

 

 

 

「追え、フェイト!」

 

 

 

フェイトはクロノを手当てするかどうかで迷っていたが、クロノの声を聞いて俺を追う。

二人の速度はフェイトの方が若干俺よりも上だが、最初に開いた差が縮まる前に俺はヴィータの元へたどり着く。

 

 

 

「邪魔だ」

 

「ぐぁっ!」

 

 

 

途中に居た聖火を蹴り飛ばし、ヴィータを小脇に抱えて大跳躍。

 

 

 

「いきなり何すんだよ!」

 

「さっさと次元転送の準備をしろ」

 

 

 

ヴィータの文句を無視して俺がヴィータを離すと、ヴィータは渋々グラーフアイゼンを掲げて魔法陣を展開する。

だがそれをさせまいとクロノが動く

 

 

 

「転送させるな、砲撃で食い止めろ!」

 

 

 

クロノの指示で、なのは達は一斉に砲撃を放つ。

 

 

 

「ディバインバスター!」

 

「プラズマスマッシャー!」

 

「((偽・螺旋剣|カラドボルグU))!」

 

「ブレイズカノン!」

 

 

 

それに対して俺も迎え撃つ。

 

 

 

「烈・魔神剣!!」

 

 

 

四者の砲撃に対して、ヴィータの前に立った俺は、魔力を込めた斧を薙ぎ払うように四度振りそれにより発生した四つの衝撃波の壁で迎え撃つ。

砲撃が直撃した事による爆煙が晴れた時、衝撃波の壁は全て消えていたが、俺もヴィータも無傷だった。

・・・・・修行して、他のキャラの技使えるようにしておいてよかった・・・・・まあ、コレのさらに理不尽バージョンがアレなんだけどな。

 

 

 

「ヴィータ、準備は?」

 

「できた。転送……開始……!」

 

 

 

魔法陣の光が強まると同時に、俺たち二人の体が透け始める。

 

 

 

「待って!」

 

「ちゃんと話を……!」

 

「話すことなど何もない」

 

 

 

それだけ答えて俺とヴィータはこの次元から姿を消した。

 

説明
第二十四話:君たちにとっての常識を押し付けるのはやめてくれないかな?by刃
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コメント
カラドボルクは((偽・螺旋剣|カラドボルクU))の方が良いかと(頭翅(トーマ))
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