いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した |
第八十六話 歯、磨けよ!
「お腹いっぱーい♪」
雷刃は満足そうにお腹をポンポコ叩きながらお店を出ると高志の後を追う。
財布の中身が六割ほどもっていかれてしまったのだ。若干テンションが低くなるが、目の前の少女はご機嫌になったからそれでいいだろう。
あの後、雷刃は三色(ほうれん草・チーズ・黒こしょう)ウインナーにチョコレートアイスクリーム、さくらんぼ付き。さくらんぼは俺にくれた。体が冷えたのでホットミルクを飲んだ。
…食べ過ぎで、お腹を壊さなきゃいいけど。
ご飯を食べた後、すぐに空を飛んで行こうとした雷刃を呼び止める。「女の子なんだから歯を磨きなさい」「立派なレディーに成れないぞ」と。
そしてやって来たのは薬局。
雷刃は中に入ると薬局独特の匂いに鼻をひくひくさせていたが、お菓子が並べられたところに足を運んだ。食べたい物や欲しい玩具があったら開けないで持ってくるように言っていたから大丈夫だろ。
歯磨き粉と歯ブラシを二人分を買う為に会計に向かおうとしていたら、雷刃が手に持ったお菓子を高志に渡してくる。ポテトに飴玉、綿あめ。など駄菓子系統に子どもの玩具のうちわに車のフィギュア。今度産む。
今度、産む。
それは避妊具代表を務めるものであり、
「今日は。…これつけて」
「…わかったよ。でも早く子供が欲しいな」
「だけど、今は…」
みたいな場面で使う物。避妊具。『今度産む』。
「て、こらあああああああああああっ!!??!」
なんつぅううものを!!?
「僕これが欲しい!」
しかも大声で!
駄目だよ!そんな物を振り回しながら満面の笑顔をしながらこっちに来ないで!
俺達にはまだ早すぎる!
「駄目でしょ!こんなものを持ってきたら!」
「…駄目なの?」
※雷刃は『今度産む』をゴム風船か何かと勘違いしています。ある意味あっているけれど…。
そんな泣きそうな目で俺を見るな!
周りの人がこっちを見ているでしょ!
「これはね!大人が使う物なの!」
「僕は大人だもん!」
この見た目は子ども!中身は中二め!
「立派なレディーになるために必要なことだって言っていたくせに!」
皆さん、歯磨きですよ?!
ひそひそと話しながらこっちを見ないで!
「ウインナー食べた後はちゃんとする事でしょ!」
「ウインナーに限らず食後にすべきだからね!」
周りの人達の話し声の≪ひそひそ≫が≪ザワザワ≫と音量を増してきました。
「それじゃあ、あの白くてあったかい((ホットミルク|物))を飲んだ後にするの!」
「お前までそれを言うか!」
俺はこのままじゃ白い食べ物全般を口にすることが出来なくなっちゃうよ!
「…まだ小学生ぐらいよね」「…お前まで。って、言ったわよ」「他の場面でも…?」
ああ、周りの人の見る目がさらに冷たく…。
あ、そこのお母さんっ、お子さんの耳を塞がないで!
誤解だから!超誤解だから!
「棒を口に入れて磨くだけって言ってたのに!それで欲しい物を買ってもいいって、言ってたのに!」
「歯磨きです!皆さん、誤解のないように何度でも言います!歯磨きですからね!」
どうして事実を誤解されるようなふうに言うんだテスタロッサ姉妹!
周りの人達は未だに。いや、ざわめきがヒートアップしていく。
※高志は雷刃をフェイトだと未だに勘違いしています。
「…酷いよ。僕だって、僕だって…。…本当は嫌だったのに」
雷刃は目に涙を溜めながら高志の顔をじっと見る。
周りの人達も何か何かと…。
あと、そこのお母さんお子さんの頭が凄い事になっていますよ。力の入れ過ぎで酷い顔。じゃなくて凄い顔になっていますよ?
「…嫌だったのに」
「嫌だったのに、僕(が食べたかったアイスクリーム)の先っぽの((さくらんぼ|ピンク))をあげたんだよ!」
少女の叫びをトリガーに周囲の人の携帯電話が起動する。
世界はどうして俺の善意に対して悪意でしか返してくれない…。
俺はただ、目の前にいる女の子にご飯を上げて歯を磨かせようとしただけなのに…。
間違っているのは俺じゃない!世界の方だ!
そして、
少女の叫びを生贄に現れ出でよOMAWARI・SAN!
「こっちです!お巡りさん!」
「あんな変態はMOGE!」
わいなぁああああああっ!
俺は変態じゃない!
「ここかぁあああ!児童ポルノ法に真正面から喧嘩を売っている奴はぁあああ!!」
お早い到着ですね!
攻撃力5800のOMAWARI・SAN!
ちなみに俺は200ぐらいでしょうか?
これが社会的信用の差というものか。
やばいっ。ここから早く離れなきゃ、と思ったら雷刃はいつの間にか外に出て、空の彼方に飛んで行った様子だった。大量のおかしと玩具。そして今度産む。を持って…。
(歯、磨けよ!)
と、高志は雷刃に向かって念話を飛ばした後、今後の事に関してのことを考える。
今度、プレシアとリンディさんとでフェイトに性教育を学ばせよう。
そう、心に誓った。
「それじゃあ、ちょっと署の方まで行こうか」
「…はい」
肩をがっちりと掴んだ警察官に捕まった俺はドナドナを心の中で歌いながら連行されていった。
三時間後、保護者のプレシアがやって来るまで警察官の取り調べを受けて精神をかなり削られることになった。
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第八十六話 歯、磨けよ! | ||
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コメント | ||
↓高志はレヴィが風船だと誤解しているのを分らなかったんだから仕方ないさ…(神薙) そのままレジに持っていって「これ風船じゃないんですか?」って流れに持っていけばよかっただろうに……(´;ω;`)ブワッ(Shion) 誤字修正しました。どうもです♪(たかB) 誤字発見です 子供が欲し良いな→欲しいな 文字が一字無駄でしたね。(神薙) 悲惨すぎる…これがフラグを建てる代償なのか?w(神薙) |
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