なんか神の不手際で転生するらしい
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Side:刃

 

 

 

「そうか・・・・はやてが倒れたか・・・・」

 

 

 

異世界で蒐集中だった俺は、シャマルから連絡を受け取った。

 

 

 

「それで、はやてはだいじょうぶなのか?」

 

『はやてちゃんには、もう余り時間が無いわ、以て一月。ううん、それ以下かも』

 

「拙いな・・・。取り敢えず、俺は一度戻る。俺と交代でシグナム達に出てくれと伝えてくれ。シャマルは残っていろ」

 

『分かったわ』

 

 

 

通信が切れる。

 

 

 

「後少しなんだ・・・。間に合わせる。絶対に・・・!」

 

 

 

俺は地球に戻ってきており、今ははやての病室に来ていた。

 

 

 

「はやて」

 

「あ、刃」

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫やて、目眩がしてほんの少し腕と胸が攣っただけやのに、みんな騒ぎすぎや」

 

「腕はともかく、胸が攣るのはなかなかに無い事だと思うよ」

 

「ははは。うちは検査とかでしばらく入院らしいんや。みんなのご飯頼めるか?」

 

「分かってる。任せておけ」

 

 

 

 

―――数日後

 

 

 

場所は変わって高層ビルの屋上。

 

 

 

「はやてちゃんが、闇の書の主……」

 

 

 

はい、バレました。

 

 

 

 

 

回想開始

 

 

「は?なんだって?」

 

『だから、なのはちゃんとフェイトちゃん。管理局魔導師の二人が、はやてちゃんに会いに来ちゃうの。すずかちゃんのお友達だから!』

 

 

 

そう言えば教えてなかったっけ?マズッたな・・・・・シグナム達にも変装魔法しておけというべきだったな。迂闊だった。

 

 

 

「分かったから落ち着け……。多分お前らが居なければ大丈夫だろ。はやての魔法資質は闇の書に喰われていて魔力があるかどうかも微妙な状態だ。そんな奴を闇の書の主だとは思わないだろう」

 

『それはそうだけど……』

 

「取り敢えず、俺はともかく、お前達は顔を合わせないようにして、はやてと石田先生に口止めをしておけ。んで、それを他の奴らにも伝えろ。あと、俺はあいつらを止めることはほとんどできないと思っておけ、あまり必死に止めても不信がられるだけだからな」

 

『分かったわ』

 

 

 

さて、このまま完成するのが先か。それとも見つかるのが先か・・・・・

 

 

 

 

 

 

12月24日、私立聖祥大附属小学校は終業式を迎えた。俺は流行風邪をひいてしまい欠席。

 

 

 

『刃、アイツ等と病室で会っちまった!』

 

『な、何!?』

 

『ど、どうしましょう?』

 

『おちつけ、とりあえずそこで粗相を起こすわけにもいかないから今は穏便に済ませよう。後で俺も向う』

 

『風邪は大丈夫なのか?』

 

『寝たから大丈夫(多分だけど)。』

 

『ッチ・・・わーたよ』

 

 

 

ついに一番、恐れていた病院での遭遇が起きてしまった。

 

 

 

「あー、すみません。お邪魔でした?」

 

 

 

回想終了

 

 

 

Side:三人称

 

 

「悲願はあと僅かで叶う」

 

「邪魔をするなら、はやてちゃんのお友達でも!」

 

「待って、話を聞いてください!闇の書が完成したら、はやてちゃんは……!」

 

 

 

そこにヴィータがグラーフアイゼンで殴りかかる。なのははバリアで防ぐも吹き飛ばされる。

 

 

 

「なのは!」

 

「うぉぉぉ!」

 

 

 

フェイトにシグナムがレヴァンティンを振り下ろす。フェイトはそれを避けるが、振り下ろされたレヴァンティンは屋上の床に深い切り込みを入れる。

 

 

 

「管理局に、我らが真の主の事を伝えられては、困るのだ」

 

「私の通信防御範囲から出すわけには行かない」

 

 

 

と一触即発状態になるが・・・・・

 

 

 

「落ち着け、馬鹿共」

 

 

 

空から声が響く、刃の声だ。そして上空にはバリアジャケットを着た((イグニス|刃))がいた。

 

 

 

「イグニスか・・・・」

 

「やれやれ・・・・想定内とはいえバレてしまったか。だが、もうあまり時間がない。そこの奴を蒐集、ありえないとは思うがもし、足りなければその分は管理局の魔導師で補う。お前らは目の前の敵を抑えろ。潰して蒐集・・・それで終わりだ。」

 

 

 

ため息をつきながら言うイグニス、そこにフェイトが質問する。

 

 

 

「貴方は闇の書の主じゃなかったんですね」

 

「ああ、そうだ。」

 

「なんでそんなことをしたんですか?」

 

「はやてに及ぶ危険を少しでも回避するためだ。何せ彼女は闇の書に圧迫されて足がままならない状態だからな、局員が押しかけてきたら今のはやてではどうしようもない。現にお前らは俺が主だと言った後、探すことをやめただろう?敵の言った言葉を鵜呑みにしてくれたおかげでこちらは唯一の気がかりであったはやての危機を危惧する必要もなく気兼ねなく収集できた。」

 

「そこまでして・・・・どうして。」

 

「アイツを救うためだ。」

 

「でも闇の書を完成させれば」

 

「知っているさ」

 

「え?」

 

「闇の書が、悪意ある改変・・・・いや、改竄を受けて壊れていることぐらいな。」

 

「イグニスは違うが我々はある意味で、闇の書の一部だ」

 

「だからあたし達が一番、闇の書について知ってんだ!」

 

「だったらどうして、本当の名前で呼んであげないの!?」

 

 

 

だが、なのはのその質問に答えるのは、ヴィータではなく刃

 

 

 

「散々に改竄に改竄を受け、破壊と不幸と((禍|わざわい))を振りまく呪いの魔道書となってしまった物を、夜天の書と呼ぶわけがないだろ。――まあ、こいつ等の場合、改竄を受けて最初から覚えていなかったが」

 

「まさか貴方は知ってて!?」

 

 

 

その返答にフェイトが驚く。

 

 

 

「俺はちゃんと知っている。 少なくともお前達やコイツ等よりも・・・いや、ある意味歴代の主の誰よりも。改竄者が誰なのかすらもわかっている。無論、完成したらどうなるのかもだ。」

 

「だったら、何で!?そもそもあなたは一体なぜこんなことを・・・・」

 

 

 

そう言われて、刃は一冊の魔導書を取りだす。

 

 

 

「その答えはこれだ。」

 

「?」

 

「これは星天の書・・・・聞いたことはないかね?」

 

「まさか・・・・」

 

「そう、コイツは夜天の書の抑止力として創りだされた魔導書だ。これを用いれば唯一外部から夜天の書の主と同等の権限を持って干渉することができる。だが、歪んだ進化を遂げてしまい闇の書になってしまった夜天の書は今の状態では星天の書の力をもってしても干渉できない。できるのは完成してからだ。・・・・・お前達管理局が長年探し求めていた((物|ロストロギア))だよ。」

 

「なら、なぜそのことを私たちに―――」

 

「武力行使しか行わないお前たちに渡せば、お前らはこれを嬉々として使うだろう。そうすれば闇の書を自由に操れるのだからな。故に俺達の手ですべてを断ち切る!この呪われた因果を!!」

 

「私たちはそんなこと・・・・」

 

「しないと誰が言えるのかね?誰が保証してくれるのだ?それに仮にお前たちが使わなくとも他の局員が使わないとは言い切れない。強すぎる力は人を惑わし狂わせる。それは闇の書という存在そのものがすでに証明している。それに俺は元々今代の主が歴代の主と同じだったならソイツを殺してさっさと転生させるつもりでいたからな(伸曰く)。だが、はやてならアレを悪用することはない。守護騎士たちにあれだけ愛情を注ぎ、蒐集することすら嫌がった八神はやてなら!」

 

「だからこそあたし達は!闇の書を完成させてはやてを助ける!」

 

 

 

刃はヴィータの言葉に頷く。

 

 

 

「その通りだ。俺達はたったそれだけのためにこれまでやってきた。大切な者の為に、それ以外の全てを投げ打って」

 

「そうだ。我ら守護騎士、主の笑顔の為ならば、騎士の誇りも捨てると決めた……!」

 

 

 

シグナムを魔力の炎が包み、騎士服を身に着ける。

 

 

 

「もう、止まれんのだ!」

 

 

 

シグナムは目から一筋の涙を流しながらレヴァンティンを構える。

 

 

 

「止めます、私とバルディッシュが!」

 

『ソニックフォーム』

 

 

 

その身を新しいバリアジャケット――ソニックフォームに包んだフェイトがシグナムに向けてバルディッシュを構える。

 

 

 

「もう止まれんよ、あいにく全てを終わらせる力を俺たちは持っている。だからなおさら止まるわけにはいかない。次は無いかもしれないからな。このチャンスを逃すわけにはいかない。それに、俺は友人が死んでいくところを黙って見過ごすほど大人じゃないんでな。まあ、恨みたければ存分に恨め。」

 

 

 

そう言って空からリュクスマグナスを放とうとしたその時―――

 

 

 

「ガァ!?」

 

 

 

突然の砲撃がイグニスを貫いた。

 

 

 

「「「「イグニス!!」」」」

 

 

 

守護騎士が叫ぶ。

 

 

 

(馬鹿な!?一体・・・・どこから・・)

 

 

 

砲撃があったほうを見ると、そこには白髪で赤眼の男が悪意ある笑みを浮かべて立っていた。

 

 

 

(畜生・・・・クリスマスだっていうのに今日は本当にツイてねえな・・・・)

 

 

 

万全の状態じゃない自分を恨みながら吹っ飛ばされる刃。

非殺傷設定では無かったらしく、刃は腹部から血を流し、そのまま向かいのビルにぶつかった。

 

説明
第二十五話:予想外は唐突に最悪の時に起こるもの
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