獣使い 第3章 夢(まとめ
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「・・・・どこだろ? ここは。」

 

 

気がつくと僕は、草むらにいた。

見渡す限りの野原で、草は青々と生い茂っていた。

その野原にちょこんとある人工物

何かのオブジェのように見える

 

 

「なんだろ?あれ」

 

 

近づいてみるとそれは石膏のようなものでできていて

天使のようにも見える。

 

 

・・・・いや天使などではない。

右半分はたしかに天使のようではある。

どこか悲しげな笑顔ではあるが・・・・

しかし左半分は、あまりにも禍々しい顔だ。

羽も右は鳥のように凛として美しい羽であるのに対して

左はまるで焼かれたかのようにとても痛々しい。

 

 

「なんだろう。すごくいやな感じがする。」

 

 

この彫刻に近づいてからというもの

背筋を走る悪寒・・・

本能的にこれに近寄るのを拒んでるかのように

僕の頭は、逃げる様に指示しているかのように

 

 

だが、人間の好奇心とは恐ろしいもので、

そんなものを無視して体を動かす。

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「ふん。やっときたか。ボウヤ」

 

 

ふと気がつくと彫刻の左羽の上に女の子がいた。

ぱっと見、10歳くらいか

白いシャツに茶色のネクタイをしていて

茶色いスカートをはいている

栗色の長い髪をなびかせ

こちらに降りてきた。

近くで見ると目は山吹色で

すべてを見透かされてるような感じを受ける

 

 

「ふむ。私のことを覚えてないようだな。えぇ?京」

 

 

「だれだ?お前?」

 

 

ふん、とため息をつき

 

 

「まぁいい。しかしまさかあの女によって

ここに来ることになるのは、予想外だったな。

それにそのおかげで私も外に出れるようになれそうだし。」

 

 

くくっと笑っている。

どうも口調と容姿がかみ合ってない。

 

 

「とりあえずあんたは誰だ?それにここは?」

 

 

「ここか?ここはお前の深層心理に近い部分といえばいいか。

厳密には、若干違うがな。

本来、深層心理であるならば

ここでおきたことはすべて現実のおまえ自身に影響を与える

どんな些細なことでもだ。

しかし、ここはそんなことはない。

まぁ単純にいうなら私を閉じ込めるために作られたお前の精神世界とでもいうか

そのせいで神崎の血族は、多かれ少なかれそういう力を持つ

獣使いになりうる力を・・・な。」

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獣使い・・・・たしかあの人もそんなことをいっていたな

たしか適合者かもしれないと

 

 

「まぁいい。いずれ向こうでも会えるだろう。お前があの女のところに行くならな。

どうするかはお前次第だ。

このまま自分の使命に気づかずのうのうと生きるか、

名は残らないが英雄としての死を迎えるかだ。

お前にはどちらの道もある。お前が選べ

そして、これには答えはない

だが選んだら最後、後戻りはできない覚えておけ」

 

 

そう言い残し、彼女は消え去った・・・・・・・・

 

 

目が覚め、起き上がると怜夜が座っていた。

 

 

「ぁ、おはよう京」

 

 

いつもどおり呆れる位、元気な怜夜がいた。

 

 

「なんていうか、変わらないな。」

 

 

正直、気落ちしてるかと思っていたが・・・・

なんとなく残念な感じがしたのと同時にほっとした。

そして、そのまま僕は、着替え、朝飯も食べずに外に出た。

行き先は、もちろん

あの女性の下へ・・・・

 

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