獣使い 第4章 見習い(まとめ
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あの女性の事務所は、意外にも隣町だった。

しかし、ここにたどり着くまでは、意外に厄介だった。

このあたりは、碁盤の目のように道ができていて、

同じような十字路ばかりだ。

加えて、似たような白い家ばかり。

大きさこそ違うが基本的な形、色はそっくりだ。

歩きなれてなければ確実に迷うだろう。

 

 

時は、そろそろ正午になろうとしている。

しかし、いまだに見えてこない。

地図では、まっすぐになっているがいまだに見えてくる様子はない

 

 

「・・・・・おかしいな・・・・。」

 

 

一旦止まってあたりを見回した。

しかし、どっちを向いても似たような家ばかり

まるで、出口のない迷いの森をさまよってるかのようだ。

・・・・・・・どうにもふに落ちない。

ここのあたりに来てから何か違和感を感じていた。

あまりにも似すぎてる住宅、正午だというのにまったく人を見ない不自然さ

たしかに、住宅街であるわけだから不自然ではないと思うだろう。

しかし、建造物を見ても張りぼてを見てるかのような錯覚。

閑静だからという理由では、不自然すぎるほどの静寂。

すべてが不自然に感じてくる。

 

 

「ふむ・・・・」

 

 

僕は、足元に落ちていた石で近くの電柱に十字に傷をつけた。

 

 

「何やってるの?京」

 

 

肩に乗ってた怜夜がいってきた。

 

 

「目印を作ってるのさ」

 

 

「何でまた?ただの住宅街じゃない?」

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「どうも、ただの住宅街じゃなさそうなんだ。」

 

 

怜夜は、不思議そうな顔でいった。

 

 

「どういうこと?」

 

 

目印を書き終えた僕は、おもむろに歩き出した。

まっすぐ進み、右に曲がり、左に曲がって電柱を見ると

・・・・・・やはりだ。

そこにはさっきつけた傷がある。

 

 

「あれ?どういうこと?さっきつけた傷がある。」

 

 

「簡単なことさ。」

 

 

どこからでもなく声が聞こえた。

その声は聞き覚えのある甲高い声・・・

僕は、思わず後ろを振り向いた。

そこには、はじめてあったときと寸分も違わずに立っている女性がいた。

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「この十字路は、さっきお前がいた世界とは違う隔離されたところなのさ

それぞれの道の先の空間を逆の道につなげただけだ。

つまり出口のない迷宮ということだな。

ここから出るには、特定のルートで行かなければ私のところまでつけんぞ?」

 

 

タバコを口に運び、更に続けた。

 

 

「まぁ違和感に気づけたならいいか

ここでは、いっしょに行けないから行き方を教えてやろう。

右左右左と行きそこの道の真ん中でこれを書け」

 

 

そういって彼女は、手のひらに角ばったPのような文字を書いた。

 

 

「それじゃあな」

 

 

そういって彼女は、風とともに消えてった。

 

 

「とりあえずいってみるか。」

 

 

いわれたとおり行き、

そこでさっき教わった文字を書いた。

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一瞬、僕の頭の中が真っ白になっていく感覚があった。

思考が停止し、全身の力が抜けてくのを感じた。

気がつくと、そこには廃ビルがあった。

高さは、およそ5階位だろう

最上階は、建設途中だ。

・・・ふと、なにか暖かいものを感じた。

この感じを僕は、知ってる気がする。

 

 

「ここ不思議なところね。

墓地でもないのにすごく暖かい感情が溢れてる。」

 

 

なるほどそういうことか。

ここは、こないだまで通ってたところと同じなのか。

しかし、墓地でもないのにこの感じがするのも初めてだ。

 

 

とりあえず、中に入ってみることにした。

中は、薄暗く、そこら中に工具が無造作に置かれている。

天井には、蜘蛛の巣が張り放題だ。

奥のほうに階段が見え、そこから光が漏れていた。

僕は、いわれるでもなく階段を上った。

 

 

「京様ですか?」

 

 

そこには、茶色いメイド服をきた女の人がいた。

赤い髪をおかっぱのように切っており

目は、翡翠のように緑色だ。

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「あなたは?」

 

 

その女の人は、軽く会釈をすると

一息おいて口を開いた。

 

 

「わたしは、ここでマスターの補佐をしております響(ヒビキ)と申します。」

 

 

そういうと響は、すぐに後ろを向いた。

 

 

「これよりマスターのところまで案内いたしますのでついてきてください。」

 

 

不思議な人だ。こうやって話をしているが

まるで感情というものを感じない。

自我がないかのようにもとれる。

完全にロボットだ。

 

 

響につれられていくと、

そこには、木でできた扉が見えてきた。

周りには見たことのない装飾や模様がある。

 

 

「中でマスターがお待ちです。」

 

 

「あぁ、ありがとうございます。」

 

 

響は、また軽く会釈をし、きた道を戻っていった。

それを見た後、僕は扉に手をかけた。

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中は、大きな空間になっていた。

しかし明らかに今までとは違った

今まで生活観というものを感じない

ただの廃ビルだった。

 

 

しかしここには、明らかに生活観が漂っている。

壁は、薄いオレンジで天井には、シャンデリアが存在する。

そしてそのほかにもドアがいくつかあった。

中央には大きなテーブルと黒いソファーが6つ

テーブルの四方を囲むようにおかれてる。

 

 

その一番奥のソファーにレベッカが座っていた。

 

 

「来たな まぁ座りなさい」

 

 

そういわれて手前のソファーに座った。

相変わらずタバコをふかして煙を漂わせている。

 

 

「とりあえず、覚悟ができたということでいいのかな?」

 

 

単刀直入に聞いてきた。

僕は、迷うことなくそうだといった。

 

 

「ふむ。いい度胸だ。」

 

 

そういうとレベッカはおもむろに立ち上がり

歩き出した。

 

 

「ではこれから修行だ。京

言っとくがきついからな?」

 

 

そして、修行が始まった。

 

説明
↓(まとめ について
http://www.tinami.com/view/51567

↓5章
http://www.tinami.com/view/58459

↓3章
http://www.tinami.com/view/51570
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コメント
ぐいぐいと話に惹きつけられてここまで一気にきてしまいました。つづき読みにいきますね。楽しみです(華詩)
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