ソードアート・オンライン After Story 〜100層到達を目指して〜 第4話 |
七十六層の主街区であるここ≪シグナード≫は、一言で言い表せば五十五層の主街区で
ある鉄の都『グランザム』に似た作りだった。鋼鉄によって作られた多くの巨大な建物が
建ち並び、この街がいかに大きいかを感じさせる。しかし、『鉄の都』と呼ばれるそれのよ
うな重々しい雰囲気は無く、多くのNPCが行き交い、まるで現実世界の東京のような賑わ
いぶりを見せていた。
一通り街を見回した俺は、皆に向けて言う。
「とりあえず皆お疲れ様、と言いたいところだけど、もう少し話したいことがあるんだ。
明日、今日の出来事を知っている人たち全員に話したいことがあるから、明日の午前十時
に『血盟騎士団』の本部に来て欲しいんだ。そこで全てを話す。後、ギルドに所属してい
人は、メンバーは連れて来ないでくれ。俺としては当事者だけで話を進めたいから――っ
て、勝手に決めちゃったけど大丈夫ですか?」
俺が血盟騎士団の幹部たちに聞くと、幹部たちは渋々首を縦にふる。
それを確認した俺は、改めて皆に言った。
「それじゃあ、これで話は終わりだから、ここで解散しよう。」
その一言を皮切りに皆、「終わった〜・・・。」、「もうヘトヘトだよ・・・・・。」と口々
に言いながらこの場を後にする。そして俺はアスナを連れて、この場を去ろうとするクラ
イン、エギルに声をかける。
「クライン、エギル。お前達はこの街に残るのか?」
その質問に、二人が答える。
「俺は、下にギルメン残してきてるからな〜・・・。今日はここに残らずに、一度あい
つらのところに戻ることにするよ。」
「俺も、ちょっと店の様子見たいから一度帰らせてもらうぜ。」
「そうか・・・。」
俺がそう言うと、今度はクラインが俺たちに聞いてくる。
「そういやぁ、お前達はどうすんだ?」
「う〜ん・・・・・。アスナはどうする?」
俺は特に意見は無いので、アスナに聞くことにした。
「私は二十二層のホームに戻ってゆっくり休みたいわ。今日は色々なことがあって疲れ
たし・・・・・。」
そう言うと、彼女は先ほどの出来事を思い出したのか表情が暗くなる。俺は、不安を払
うために彼女の左手を優しく包み込むように握ると、クラインに答える。
「俺は特に意見は無いし、アスナもこう言ってるから、俺らもホームに帰ってじっくり休
ことにするよ。」
俺の答えにクラインは一言「分かった。」と言うと、転移ゲートに向かって歩き始めた。
エギルもそのあとに続く。
「じゃあな、二人とも。」
俺がそう言うと、二人もそれに返してくる。
「おう。じゃあな。」
「また明日会おうぜ。」
そう言って、二人は帰っていった。それを見届けた俺は、アスナに言う。
「それじゃあ、俺たちも帰ろうか。」
「うん・・・。帰ろ・・・・・。」
そして、俺たちもホームに帰るべく転移ゲートに向けて歩き出した。
ホームに帰った俺たちは、疲れているという理由で夕食を手早く済ませると、寝巻に着
替えてベッドに入っていた。もちろん、今日は一つのベッドで一緒に寝ることにした。そ
して、ベッドに入って互いに向き合うと、アスナが口を開く。
「今日のキリト君、何だかかっこよかったよ。まるで団長みたいに指示出してたし・・・。」
「そんなこと無いよ。ただ、先頭に立って進んだだけだよ・・・・・。」
俺の返答に、アスナは「ううん。」と言ってかぶりを振ると、言葉を続ける。
「誰だって人の先頭に立てる訳じゃ無い。キリト君にはきっと、人の先頭に立てる素質
があるんだよ・・・。あ、そうだ。キリト君団長の代わりやってみたら?意外に似合うと
思うけどなあ・・・。」
俺はその質問に首を振る。
「いや、遠慮しとくよ・・・。俺そういうの苦手だし、それにアスナと一緒にいられる
時間も減るだろうし。・・・・それと、意外っていうのは余計だ。」
すると、アスナは頬を赤く染めた後、ごまかすように微笑んだ。・・・流しやがったな。
まあいいか、などと思っていると、アスナが俺に言う。
「キリト君。明日は会議があるし、今日は早めに寝よう。」
「ああ。そうするか・・・。」
そう言うと、俺たちは電気を消してベッドに潜り込む。すると、アスナは俺に抱きつき、
囁くように言った。
「キリト君。大好きだよ。だから、これからもずっと一緒にいよう・・・・・。」
「ああ・・・。」
そして、俺たちは唇を重ねた後、眠りについた。
翌朝、俺たちは朝食を食べ終わった後、本日行われる会議に出発するためにいつもの服
装に着替えていた。
時刻は午前九時四十分。会議が始まるのは十時なので、俺たちは多少時間に余裕を持っ
て血盟騎士団の本部に行くことにした。
そして転移ゲートの前に着くと、俺は確認を行う。
「忘れ物は無いよな?」
「うん。大丈夫だよ。」
それを終えた俺たちは、転移先を指定した。
「「転移、グランザム!!」」
すぐに視界が青い光に包まれた後、グランザムのグラフィックが形成され、目的地への
転移が完了した。そして、本部を目指して数分ほど歩く。本部に到着すると、そこには昨
日のボス攻略に参加したメンバー十六人がすでに揃っていた。
「よっ。二人とも。」
俺はクラインとエギルに声をかけた。すると、俺に気付いた二人はすぐに挨拶を返す。
「よお、キリト。」
「うっす、キリト。どうやら、お前達が最後みたいだな。」
「そのようだな。」
そのような他愛の無い会話をしていると、本部の入り口から血盟騎士団の幹部と思わし
き人が出てきた。そして、俺たち全員に聞こえるように言う。
「全員集まったようだな。それでは、予定より少し早いが、会議を始める!俺について
来てくれ!」
そう言うと、彼はそそくさと本部の中に入って行った。俺たちもそのあとに続く。そし
て、本部の中を一分ほど歩き続けると、目の前にそれなりに大きい両開きの扉が現れた。
先ほどの男が扉を開け放つと、俺たちに中に入るように促した。
扉を通り抜けて部屋の中に入ると、そこには大きな机と、十八人分全員の椅子が用意さ
れていた。
準備がいいなあ、などと思っていると、今度は「それでは、全員適当な位置に座ってく
れ!」と言ってきた。言われた通りに俺たちは椅子に腰かけた。ちなみに、俺の右隣りに
はアスナ、左隣にはクラインが座っており、クラインのさらに左隣りにはエギルが座って
いた。全員が席に着いたことを確認すると、その男は空席の位置に移動する。すると、扉
がゆっくりと閉まり始めた。そして、完全に扉が閉まったことを確認すると、その男は会
議の開始を告げた。
「本日、キリト殿の呼びかけによりここに集まってくれたことに感謝する。今回の進行は
『血盟騎士団』幹部である私、『レイブン』が務めさせて頂く。それでは現時刻をもって、
『SAO緊急対策会議』を始める!!」
説明 | ||
英語一辺倒の模試の結果を見て戦慄していたsuikaです・・・・・。 国語はともかく、数学が壊滅的な成績・・・。 このままの成績で大丈夫なのか? そう考えてもPCだけはやめられませんww さて、今回はボス攻略部隊が一度解散し、再集結して会議が始まるまでです。中々先に進めずすいません・・・・・。それでは、どうぞ!! |
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