IS x アギト 目覚める魂 00: 覚醒した戦士
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満月が青白い光りで照らし出す寒い冬の夜。

 

「ふっ、ハアッ!」

 

『グルルルルル・・・・!』

 

人気の無い荒廃した更地で、二人の異形が戦っていた。一人は金色の角と体、赤い大きな複眼を持ち、もう片方は髑髏の頭にクラゲの様な被り物を付けたナニカとしか形容出来ない、正に『化け物』だった。だが、何度も攻撃を喰らっていたのか、既にふらふらになっている。

 

「はあああああああ・・・・・・」

 

腰を低く落とし、頭の((角|クロスホーン))が展開した。そして足元に角らしきデザインが付いた何らかの黄色い紋章が現れ、それが徐々に足に収束して行く。宙に思い切り飛び上がると、飛び蹴りを放った。

 

「うおおおおおおおーーーーー!!!」

 

『グルルルアアアアアーーーー!!!』

 

それが胸にクリーンヒットし、吹き飛ばされる。数メートル後ろにあるコンクリートの壁に激突してようやく止まった。そして頭上に現れた円盤状の光が現れると同時に、爆発して粉々に飛び散った。生き残った方の異形の角は閉じ、光とともにその姿が人間の物に変わって行く。

 

「ふう・・・・」

 

それは頭髪は全体が黒く、毛先が金髪でそれを総髪に結わえた青年だった。白いライダージャケットとお揃いのパンツにグローブ、首にはマフラーを巻き付け、オメガの形をしたペンダントを下げている。容姿は十人中七?八人がカッコいいと言う、所謂イケメンの部類に入る顔立ちをしている。若い割に老けている様にに見えるのだが、見た目に騙されてはいけない。無免許未成年を平然とやってのけているのだから。乗っているバイクは白い新世代のカワサキ・ニンジャと言う大型二輪のバイクで、カウル部分にキックの直前に足元に現れた紋章と同じ物が入っている。その他にも黒のストライプが所々に見える、かなりスタイリッシュなバイクだ。荷台に積んである荷物の中から新聞を引っ張り出すと、街灯の灯りを頼りにそれを眺め始めた。見出しにはこうあった。

 

『カマイタチ現象?第二回モンド・グロッソで死者数名。試合中止となる。』

 

「カマイタチ現象・・・?アンノウンか・・・・・」

 

ポケットから携帯を引っ張り出すと、低い声でボソボソと電話の相手と言葉を交わす。暫く目を閉じて相手の言葉に耳を傾けていたが、頷くと携帯を閉じて新聞を投げ捨てると、それをポケットに押し込んでバイクを発進させた。雪が溶けて紙に滲んで行くが、そこに掲載された写真は紛れも無く日本代表の織斑千冬本人だった。暫く走ってバイクが停車したのはメゾネットタイプのマンションで、ガレージから家の中に入る為のエレベーターが付いていた。私物は殆ど無く、室内遊戯に使うボードゲームやトランプ、日用品、服程度だ。壁も真っ白でポスターも絵も何も貼られていない。ソファーにどさりと腰掛けると、再び携帯を引っ張り出して別の番号に電話をかける。

 

「どうも。一条誠はいますか?」

 

『どちら様でしょうか?』

 

事務的な女性の声が聞こえて来た。

 

「小沢さん、いるの分かってるんですから替わって下さい。」

 

半ば呆れた声で溜め息混じりに催促する。

 

『はいはい、分かったわよ。』

 

『((門牙|とが))秋斗・・・・・随分と珍しい奴が連絡して来たな。』

 

渋い男の声が耳に飛び込んで来た。

 

「久し振り、一条さん。」

 

秋斗と呼ばれた青年が口元を緩める。

 

『で、どうした?』

 

「新聞、みました?」

 

『例のカマイタチか・・・・恐らくアンノウンだろう。狙われていたのは、織斑千冬の弟、織斑一夏だ。恐らくそいつも俺達と同じかもしれない。』

 

「アギトの因子を持つ人が・・・・彼も、また・・・・?」

 

『かもな。だが、今の所はどうとも言えない。真島と木野はどうしてる?』

 

「相変わらずですよ。とりあえずその事だけを聞きたかったので。それじゃ。」

 

電話を切り、壁にかかった時計に目をやると、もうそろそろ日付が変わる頃だった。

 

「腹減った・・・・・けど早く寝た方が良いな。」

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ・・・・・・何なんだよ、あれ・・・・・またかよ?!」

 

一人の少年が部屋の隅で踞り、震えていた。もう午前零時を過ぎたと言うのに、眠る気配すら無い。目を閉じると、あの姿がいつも目に浮かぶ。額の中心にある黄色い器官、緑色の長い角、大きな昆虫の様な赤い複眼、緑色の生々しい体、腹部にある瞳の形をした緑色の宝玉が嵌った金のベルト、そして腕や踵から生える爪や触手。あの姿が化け物でなくて何だろうか。毎晩同じ夢を見る。その姿に変わり、殺戮の限りを尽くす、破滅のイメージが・・・・

 

(あの時あの化け物が突然現れて、皆を殺して・・・・俺もソイツに襲われて・・・・それから記憶が飛んで・・・そしたら俺が・・・・俺が・・・・)

 

頭を抱えて更に踞る。体内にザワザワと何かが満ちて行き、それが細かくも力強い波状になって解放されて全身を駆け巡って行くあの感覚。自分が異形の化け物へと変わって行く不快感、恐怖。自分の姿を目の当たりにしたその日から、彼は自分が嫌いになった。人に会おうとせず、避け、常に目を伏せる。

 

(あの時、俺は生きたいと願った・・・まだまだやりたい事が一杯あった。けど、俺はこんな事望んでない・・・・!俺は違う・・・・俺は・・・・俺は人間だ、人間なんだ!!)

 

一人の女性がドアの隙間からそれを静かに見ていた。

 

(一夏・・・・・お前は一体、どうしてしまったのだ・・・?昔のお前はもっと明るくて、いつも笑っていた。だが、あの事件から何年も経った今でも、表情はまるで仮面だ。目も沈み、怖くなった。もう見れないのか・・・?もう一度だけ、お前の笑顔を私は見たい。私は待っているぞ。お前は私が守ってやる。)

 

 

 

 

 

 

 

 

「木野さん、聞きました?」

 

「ああ。確か、織斑一夏だったかな?彼が、『覚醒』したと。気の毒に・・・・」

 

白衣を着た二十代前後の男と、渋い表情の顔でコーヒーを飲む中年の木野と呼ばれた男がテーブルを挟んで離していた。テーブルの上には、例の新聞が広げて置いてある。

 

「気の毒?」

 

「もし彼が覚醒しなければ、今の真島君の様に普通の生活を送る事が出来た筈です。それなのに・・・・」

 

「本当にそうでしょうか?」

 

白衣を着た真島と呼ばれた男は顔をしかめる。

 

「仮にそうだとしても、あいつらに襲われて土壇場で覚醒したんです。それに書いてある事からして結果的には生き残れたみたいですから、結果オーライじゃないですか?」

 

「確かにそうかもしれません。」

 

コーヒーを一口啜って再び言葉を繋げる。

 

「ですが、それはあくまで結果論です。生き残ると言う結果の為に、その少年、織斑一夏君は新たな、異質な『自分』に覚醒し、その姿を知ってしまった。彼はそれを受け入れる事を拒むでしょう。受け入れようとしても、時間はかかります。昔の私の様に・・・・そうそう、実は貴方が出ている間に門牙君から電話がありましたよ。」

 

「彼は、何て?」

 

門牙と聞いて真島は一気に食いつく。

 

「仮に、その織斑一夏に出会えば、自分と向き合う手助けをして、必要ならば守って欲しいと。会えなければ、いつも通りですが。」

 

「やっぱり・・・・何か彼らしいですね。」

 

真島はコーヒーポットに手を翳し、何とそれが宙に浮かび上がった。ポットは独りでにコーヒーをカップに注いで元の位置に戻ると、今度は手を使わずにカップを手元に引き寄せて一口飲む。

 

「そんな事に能力を使ってはいけません。」

 

「良いじゃないですか、減るもんじゃなし。俺変身出来ないんだし、木野さんみたいにさ。」

 

説明
はい、長らくお待たせしました。ISとアギトのクロスです。クウガを見終わった所なので、名前等を入れ替えるかもしれませんが、作品の為です。後、G4・・・・いや、これは言わん方が・・・・兎も角、どうぞ。
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コメント
根暗一夏とは斬新・・・でもギルスになった自分を見てしまったらそうなるよな・・・ 続編、待ってます!(デーモン赤ペン)
ヒロインは誰になるのか楽しみです(竜羽)
アギトキター!!そして一夏がギルス!応援しまくるんで更新頑張って下さい!(ichika)
更新待ってました^^果たしてこの世界のISはアンノウンに対抗に対抗できるのかな?@はIS委員会の動きも気になるな^^?(yosiaki)
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アギト IS 仮面ライダー オリ主人公 一夏がギルス ちょっとチート 

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