テストパイロットの少女
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「お前がこの試作機のテストパイロットだと?」

 俺は目の前でニコニコと笑顔を見せている奴を見て眉間にしわを寄せた。そこにいるのはまだ年端もいかないような外見の女の子。常識の範囲で考えると明らかに異質で異端だ。

「はい! アリア・レーンです!」

 目の前の少女が元気よく自分の名前を名乗った。

「……一応聞くが、年齢は?」

「今年で十二歳になります!」

 頭が痛くなってきた。何故ティーンにも満たない女の子が我が軍のテストパイロットになっているんだ。採用した人事はロリコンか。確かに可愛いがそれだけでどうにかなるような事柄ではない。

「戦闘機の操縦をした事は?」

「ありますよー! 私の事知らないんですか?」

 知らない。知っていたら頭を抱える事なんてない。

「今から他の奴に変える事は出来ないのか」

「変える変えない以前に、あれをキチンと動かせるのが私だけって言われたから来たんですけど」

 どういう事だ。確かにあの試作機は今までに何人かが動かして、いずれも扱いきれずギブアップしたとは聞いていたが。

「えっと、なんでしたっけ。ひゃくぶんはいっけんにしかず?」

「『百聞は一見にしかず』か? だが、俺としてもお前みたいな子をそうホイホイと乗せるわけにはいかないのだが」

「うー、まだ言うんですか」

 頬を膨らませるアリアとか言う少女。可愛いがそれに揺らぐような心じゃない。

「どうかしたのかい?」

「隊長」

 俺達のやりとりを見ていたのか、隊長が声をかけてきた。

「あー、たいちょー! このおじさんが私をあのひこーきに乗せてくれないっていうんですよー!」

「何だと?」

 アリアの言葉を聞いて隊長が俺を睨んだ。俺のせいなのか。というか、隊長ロリコンだったのか。

「いや、いくら何でも常識で考えたらおかしいでしょう?」

「常識の範囲を超えているんだよ、この子は。アリア君、彼の事は気にせず乗りなさい」

「はーい!」

 アリアは元気よく返事して試作機の方へ向かっていった。

「隊長!」

「百聞は一見にしかず、だ。とにかく見ればわかる」

 隊長はアリアと同じ様な事を言って試作機に目を向けた。

 

 数分後、俺は自分の目を疑った。優雅かつ雄々しく飛行する試作機。旋回も上昇下降も難なくこなしている。

「………………」

「な、わかっただろ。彼女は誰よりも最も腕を信頼できるパイロットだ」

 俺はただ唖然として試作機を見ているしかなかった。

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即興小説で作成しました。お題「安全なパイロット」制限時間「30分」
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ロリコン!!(yaru_yara_call)
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