真・恋姫無双 刀蜀・三国統一伝 第四節:終戦 |
まえがき コメントありがとうございました。前回は多数の誤字、大変申し訳ありませんでした。これからは最善の注意を払い執筆していきますので、どうぞよろしくお願いします。さて、今回は遂に反董卓連合、終戦です。はてさてどちらに軍配が上がるのか。それではごゆっくりしていってください。
水蓮様と曹操さんが本陣に向かったのを確認すると、俺は残った白蓮の方を振り向いた。
「北郷、呼んでおいて話に参加させてくれないのはあまりに酷いのではないか?」
「いや、そんなつもりはなかったんだけど。それよりも久しぶり。元気にしてた?」
「勿論だ。まぁ、星を北郷たちに引き抜かれたからな。その後釜を見つけるのに苦労はしているが。」
ちゃっかり痛いところをついてくるあたり結構苦労してるんだろうな。というか、引き抜いたというより勝手について来てたっていう方がしっくり来るような。まぁ、来てくれたことでかなり助けられてるのは言うまでもないことだけどね。
「その件については是非とも本人に言ってくれ。」
「本人に言ってもいつの間にか正論を目の前に叩きつけられて言い負けるに決まっている。星に口で勝てるとは思っていないからな。」
「それは確かに・・・。」
「それで、さっきの話を聞いていた中で気になったんだけど、董卓は暴政を働いていないっていうのは本当か?」
「勿論。董卓は世界がひっくり返っても暴政を働くような子じゃないよ。純粋でいい子でお世話好きな女の子。」
「と、董卓って女だったのか!?」
「うん。だから、連合に参加してる諸侯は袁紹の言葉を利用しているか逆に利用されているかのどちらかだ。」
「ということは、私は利用されていた側なのか・・・。はぁ〜。」
白蓮は桃香と似て人の言葉を信じやすいところがあるからな。今回仕方なかったというしかない。
「桃香たちが董卓側についたって聞いて可笑しいとは思ったんだか、まさか麗羽に利用されていだだけなんて・・・。」
「まぁまぁ。とりあえず、もし暴政を働いていないか確認したいなら洛陽に斥候を放ってみると良い。」
「いや、いい。桃香や北郷が悪人に手を貸しているとは思えないからな。うーん、私もそちら側に加勢出来ればいいのだが・・・。」
「下手に寝返れば袁紹に目をつけられることになるから止めておいたほうがいい。」
「そうか。では私も明日には呉の連中と共に連合を抜けよう。そうすれば北郷たちに迷惑を掛けることもあるまい。」
「そうしてくれると助かる。模擬戦ならともかく、戦場で白蓮と斬り合うのは嫌だからね。」
「それは私も同じだ。というか、もしもお前に傷でもつけてみろ。愛紗や星に何をされるか・・・考えたくもない。」
あ、白蓮の顔が少し青くなった。確かに愛紗や星ならやりかねないな。恋が知った時には白蓮の命に関わることになる。・・・うん。明日の早朝にでも連合から抜けて持ったほうが良い。
「よし。抜けると決まれば後は荷作りをしなければならないからな。私も本陣に戻るとしよう。」
「分かった。じゃあ、またどこかで会おう。元気でね。」
「あぁ。勿論。」
俺は手を振りながら本陣へと戻っていく白蓮を見送った。彼女の姿が見えなくなったところで、俺はまだ一緒にいるであろう馬兄妹たちのところに向かった。
・・・
「俺はお袋が顔を出すまで西涼には戻らねえからな!それに、今は姐さんや兄貴んとこの一兵士だ。そう簡単に抜けるわけにはいかねえ。」
「じゃあ母様の後は誰が継ぐんだよ!?」
「翠が継げばいいだけの話じゃねえか。俺はお前ほどの武は持ち合わせていないからな。」
「私に政治なんて出来るか!軍隊をまとめる事はできても国を治めるなんて、私の頭じゃ無理だ。」
到着したのはいいけど、何やら重苦しい雰囲気を醸し出している二人。馬岱ちゃんは傍観に徹していて、清羅は・・・何故か空を眺めていた。傍から見ればシュールな光景だな。とりあえず・・・あの二人を止めよう。そうしないとろくに話もできないし。
「二人共、とりあえず落ち着いて!」
「だから!今は継ぐ気はねえって言ってるだろ!何度言わせりゃ気が済むんだ!?」
「そこを考え直せって言ってるだろ!頑固者!」
「・・・。」
聞こえてないのか、スルーされているのか・・・。
「ねえ馬岱ちゃん、この二人をどうにか落ち着かせてくれない?」
「そんなのたんぽぽに出来るわけないじゃん。できるなら初めからやってるよ。」
「それもそっか。」
兄妹でも言い争いとかするんだな。鞘香とは喧嘩したことないし、というかいつも俺にべったりくっついてたし俺もそこまで嫌じゃなかったから気にしてなかった。
「清羅、いつまでも星を見てないで助けてくれー。」
「? あら、もう向こうの要件は済んだのですか?」
「あぁ。もしかして、俺が来たことに気付いてなかった?」
「すみません。あの二人がうるさ・・・こほん。星が綺麗でしたので夢中になっていました。」
ごまかした。今、うるさいって言おうとしたもん。いや、たしかに星は綺麗だけどさ。
「あの二人、俺が来たことに気づいてくれなくて・・・声をかけても反応してくれないから困ってるんだ。助けてくれないか?」
「蒼ったら・・・。彼、熱くなったら視野が狭くなる嫌いがあるんです。悪気はないはずなので悪く思わないでください。」
「そこは気にしてないから大丈夫。」
「そうですか。では、ちょっとお説教してきますね。」
清羅は俺に微笑むと足を蒼の方に向け少しずつ近づいていった。どこか緊迫感が漂っているのは気のせいだろうか。
「お前とこれ以上話しても埒が明かねえ!この話は終い・・・イタタタタ!!!」
「!?」
清羅は蒼の背後に回り込むと彼の耳を思いっきり引っ張った。うわー、あれは絶対痛い。
「埒が明かないのはあなたの方ですよ。ご主人様が来られたことにも気付かないとはどういうことですか!しかも、話しかけられても耳に入っていないなどとは言語道断です!」
「うっ・・・。」
「へへーん、怒られてやんのー。」
「馬超さんも人ごとではありませんよ。」
「うっ・・・。」
清羅に指摘されたことで二人がしょぼーんと顔を俯かせていた。凹んだ姿までそっくりとは・・・さすが兄妹。
「す、すまねぇ兄貴。」
「いいよ。気にしてないから。それで、話は纏まった?」
「いや、口を開くたびに意見が合わず衝突するだけだ。」
「母様がここにいてくれればどうにかしてくれるんだけどなぁ・・・。」
「・・・。」
その発言に皆黙ってしまった。うー、気まずいぞ・・・。
「と、とりあえず、継ぐ継がないは置いといてさ。兄妹で再会出来ただけでも良しとしようよ。」
「・・・そうだな。」
「まぁ、私たちが決めたところで結局母様がそれを却下したとたんにこの会話が徒労に終わるだけだし。今回は蒼兄な姿が見れただけで良しとするよ。」
「うんうん。」
「それを言うなら翠に蒲公英もだな。頑固でやんちゃ娘なところは変わってないようだが、元気でよかった。」
「蒼兄様、一言余計!」
その発言にあたりに笑いが起こる。どうやら喧嘩は収まったみたい。あれが喧嘩と言えるのかというのはまた別として。
「それで、馬騰様はまだ健在なの?」
「あぁ、勿論。母様は殺しても死ぬような人じゃないからな。」
「翠、それをお袋に告げ口していいか?」
「い、今のは言葉の綾だ!母様には内緒だぞ!」
「蒲公英、聞いちゃったもんね〜。どうしようかな〜♪」
「蒲公英、言ったら今の修行量を十倍に増やすぞ?」
「うっ・・・。」
馬岱ちゃんの顔が真っ青になった。相当嫌なんだな、修行。楽しいのに・・・。
「い、言わない!墓まで持っていく!」
「よし。」
そこまでのものなのか。少し興味が出てきた。
「丸く収まってよかったですね、ご主人様。」
「そうだね。俺的には初めて兄妹喧嘩を見れて新鮮な気分でもあったけど。うちは喧嘩しなかったからな〜。」
「ほう、兄貴にも兄妹がいるのか。」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「初耳です。」
「鞘香っていう二つ下の妹が一人いるんだけど、喧嘩したことはなかったね。昔から俺にくっついてばかりで俺のすること全部真似しようとするんだ。」
「仲が良いのですね。」
「うーん、兄妹はどこもこれが普通なんだって思ってたから特別そういうふうに感じたことはなかったよ。まぁ、仲は良かった。」
「それは一度会ってみたいな。兄貴の妹なら結構な美人さんそうだし。」
「ご主人様に妹さんがいらっしゃるなら私が姉になってもいいですよ♪」
「いや、それはもういいから・・・。」
清羅はくすくすと笑っていた。姉かー、考えたこともなかったな。というか、俺が生まれた時点で上がいなかった以上それは土台無理な話なんだけどね。
「翠、蒲公英、そろそろ戻ったほうがいいぞ。あまり本陣を離れていたら袁家の者に怪しまれるからな。」
「分かった。私たちはこの戦が終わったら朝廷に向かおうと思ってるんだ。母様が少し心配だからな。」
「それ、俺たちもついて行っていいかな?」
「? なぜだ?」
「ちょっと野暮用。」
「ふーん。まぁいいや。それじゃあ私たちは一旦本陣に戻る。明日は極力前線には出ないようにするから。兵士にも伝えておく。」
「了解。それじゃあ気をつけて戻ってね。」
「おう!またな。蒲公英いくぞ。」
「はーい。蒼兄様、またね。」
「おう。翠の手綱、蒲公英に任せたぜ。」
「任せといてー。」
馬超さんたちの姿が見えなくなったのを確認すると、俺たちも関に戻ることにした。
・・・
虎牢関に戻ってくると愛紗が門の前で仁王立ちしていた。門番をしているのかな?
「ご主人様、お帰りなさいませ。どこに行かれていたのですか?」
「ちょっと連合の人たちとお話しに行ってた。」
「あまり無茶をなさらないでください。襲われる可能性もあったのですよ!」
「すまねえ、兄貴は俺のために無理をしてくれたんだ。あまり言ってやらないでくれ。」
蒼が頭を下げると愛紗はそれなら仕方ないというように表情を少し和らげた。
「愛紗ちゃん、あまり怒るとご主人様に愛想尽かされるわよ?」
「怒ってなどいない!私はただ・・・。」
「心配してくれてたんだよね?」
「は、はい。余計なことでしたか?」
「そんな不安そうな顔しないでいいよ。誰かが帰りを待っててくれるって嬉しいことなんだから。愛紗、ありがとう。」
「い、いえ!ご主人様がご無事で何よりです。」
「ふふっ、愛紗ちゃん、顔が真っ赤よ♪」
「関羽の姉御も女の子ってことだな。イイ物見れたぜ。」
「二人とも!からかうのもそのくらいにしろ!」
「あら、本当のことを言ったまでよ?」
「右に同じく。」
「〜〜〜〜〜!」
あぁ、愛紗の顔がもっと真っ赤に。恥ずかしがっている愛紗も可愛いけどね。
「愛紗をからかうのもそのくらいにしておきなよ。それより、清羅と蒼は中に入っておいたら?明日の準備があるでしょ?」
「そうですね。蒼、中に入ったらすぐに明日の対策会議を開きます韓飛隊の者たちを招集しておいてください。」
「了解。」
清羅と蒼は関の中に入っていった。
「ご主人様も中に入ってお休みください。日中は連戦で疲労も蓄積しているはずでしょうから。」
「愛紗が戻って休みなよ。俺が門番を代わるから。」
「私はまだ大丈夫です。ですからご主人様が・・・。」
それから俺と愛紗のどちらが門番をするかとお互いに譲らず、ご主人様がお休みください。いや、愛紗の方こそ・・・と言い合っていた。
「くす、俺たちはこんなところで何をしてるんだろうな。」
「えぇ、全くです。」
いつの間にか俺たちは笑い合っていた。
「じゃあ二人で門番しようか。」
「えぇ。」
結局二人で門番をすることになった。何故始めからこれを考えつかなかったのだろうか。可笑しくて少し笑いが込み上げてくる。
「ずっと立ったままなのも疲れるし、どこかに座ろう。」
「はい。」
俺たちはすぐそこの地面に腰を下ろした。そこには少々の雑草が生えており座り心地は良い。芝生の上に座っているような感じがする。
「ふふっ。」
「? どうしたの?」
「いえ、ご主人様と二人で門番をしているだけですのに、どこか幸せだと感じる私がいるのです。それに気付き、少し可笑しくなって笑ってしまったのですよ。」
「俺も同じように思ってるから可笑しくないよ。戦中じゃなかったらもっと有意義に感じれるんだろうけどね。」
「そうですね。」
「連合の一件が片付いて平原に戻ったらさ、二人で市を回ろう。今度は朝からちゃんと予定を立ててさ。どうかな?」
「はい。私はご主人様といられるのならどこでも構いません。あなたといられるだけで私の心は満たされるのですから。」
「うん。ありがとう、愛紗。」
「こちらこそ。これからもお側にいさせてください。」
「勿論。」
俺たちは自然と手を繋ぎ合っていた。戦中にこんなことを思うのは不謹慎なんだろうけど、幸せだな。隣に座っている愛紗がこちらに体重を預けてくれている。その重みがどこか心地良い。俺たちはそれからしばらく寄り添い合いながら一時の夜を過ごした。
・・・
「これ、孫堅、お主らどこに向かっておる?妾は突撃せよと命じたはずじゃ。」
「私たちは連合を抜け建業へ戻る。反対されても断るから無駄だ。」
「建業は妾の領地じゃ。領主の命令が聞けぬのかえ?」
「何をぬけぬけと・・・。母様、南海覇王を貸してちょうだい。この小娘の首を刎ねるわ。」
「ピィ!ガクガクブルブル・・・。」
「雪蓮、落ち着きなさい。袁術、一つ言っておく。建業は近いうちに取り返しに行かせてもらう。その時がお前たちの最期だ。」
「そ、そんなはったりは妾には効かぬのじゃ。」
「勝手にそう思っておきなさい。せいぜい首を洗って待っていることだな・・・行くぞ。」
孫堅は隊を引き連れ建業へと戻っていった。
「あはは♪見た?あの袁術ちゃんの顔。恐怖で顔が歪んでいたわ。あの状態で首を落とせればどれだけ気持ちよかったことか。」
「時が来たらそのときは南海覇王を貸すわ。首でも胴でも思う存分切り刻むといい。」
「えぇ。勿論。うふふ♪」
「ふふっ。」
雪蓮と水蓮の怪し気に微笑むところを見ていた者たちが引いていたのは語たらずと言えたことだろう。
・・・
「麗羽様〜、今日はいつもよりほかの諸侯の集まりが悪くないですか〜?」
「確かにそうですわね。美羽さんの隊しか来ていないようですし。しかし、私たちは中軍で優雅に待っていれば良いのですわ。オーッホッホッホ!」
「文ちゃん、ほかの諸侯の人たちはちゃんと来てくれるかな?」
「麗羽様がこう言ってるんだから、あたいらはただ待っておけばいいんだよ。相変わらず斗詩は心配性だな〜。」
袁紹たちは中軍にてのんびり待つことにした。顔良の心配事が的中することも知らずに。
・・・
「報告です!孫堅軍、曹操軍、馬超軍、公孫賛軍が連合を脱退しました。」
「うん。ありがとう、下がっていいよ。」
「では、失礼します。」
よし、これで残るは袁家だけだな。相当戦いやすくなった。
「ご主人様、これは一体・・・。」
「心配しなくていいよ。昨晩、俺と清羅、蒼で連合側の話のわかる人たちを説得してきたから。」
「??」
朱里と雛里の頭上に?マークがいくつも浮かんでいるのが見て取れた。相変わらず心配性なんだから。まぁ、当然といえば当然か。
「とりあえず、残りは袁家だけになったけど何か策はある?」
「あ、はい。それならば特別な策は必要ないと思います。先鋒にご主人様、愛紗さん。右翼に卑弥呼さん、恋さん、ねねちゃん。左翼に星さん、貂蝉さん。中軍には私と鈴々ちゃん、桃香様。騎馬隊に霞さん。一応、虎牢関で雛里ちゃんと清羅さん、華佗さん。この配置でどうでしょうか?」
「うん。バッチリだよ。」
「うむ。見事な配置じゃな。流石は策士孔明と言ったところじゃな。」
「策士!策士ですか、私。そんなに褒められたのは初めてです!えへへ〜♪」
朱里、すこぶる嬉しそうだな。戦が終わったら俺も労ってあげよう。雛里と一緒にね。」
「私は貂蝉と一緒か。よろしく頼むぞ。」
「えぇ、こちらこそ。それより星ちゃん、一つ提案があるんだけど、いいかしらん?」
「いいぞ。」
「あなたがこの間平原で見つけた華蝶仮面、この戦で試してみない?」
「!?お主、なぜそれを・・・。」
「漢女はなんでも知ってるのよ〜。星ちゃん、それを試したいと思ってるでしょ?」
「確かに思っているのに変わりはないが、これは市の悪漢を懲らしめるために使おうと思っていたのだ。」
「戦が終わったらその方針で使っていくといいわん。けど、洛陽を守り戦うのも正義だと思うの。それに・・・これを見ても反論できるかしら?」
「・・・!!なるほど、お主も同じ志を持つものであったか。」
「ぐふふっ♪私も正義の味方なのよん。」
「分かった。」
貂蝉と星に常人には理解できない絆が今結ばれた。この二人が結託したことが原因で愛紗たちの頭痛の種が増えることになるのはまだ先のお話。
「皆、よく聞いてくれ。これから対峙しに行くのは洛陽を自分のものにして私腹を肥やそうとする袁家だ。遠慮はいらない、全力で敵本陣を叩きに行く。洛陽の平安を守るため、剣を抜け!己の誇りと正義に賭けて!連合を叩き潰すぞ!全員、抜刀!行くぞ!」
「おおおおおおお!!!!!」
・・・
「袁紹様!大変です!」
「どうしたんですの?騒々しいですわね。」
「劉備軍、張遼軍、呂布軍がこちらに突撃してきました!被害は甚大!この調子ではことらの本陣が大打撃を被ります!」
「な・・・なぁんですってぇ〜〜〜〜〜!!??」
「麗羽姉様、妾は聞いておらぬぞ!大体、ほかの諸侯が来ておらぬではないか!どうしてくれるのじゃ!」
「そ、そんなこと聞かれても私にも分かりませんわ!とりあえず、文醜さん、顔良さん。兵を纏め、一度撤退ですわ!」
「それは無理でしょう。あちらの騎馬隊はあの張遼が率いていると情報がきました。今から撤退しても追いつかれるのが関の山でしょう。」
「そ、そんな・・・妾は嫌じゃ!痛い思いをするのは嫌じゃ!」
「おそらく痛いではすみませんねぇ。最低でも、腕の一、二本なくなるのは覚悟しておかないといけませんよ・・・。」
「・・・。」
その場にいた全員の顔が真っ青になった。いずれ来る敵兵の波を恐れて。
・・・
「北郷流、気が壱の型!桜吹雪!」
「うりゃりゃりゃりゃ!鈴々様のお通りなのだー!」
「関雲長が剛?!受けれるものなら受けてみろーーー!」
一刀が繰り出した拳から桜色の気弾、鈴々の蛇矛、愛紗の青龍刀が連合兵を蹴散らしていく。将の活躍を目の当たりにした兵たちはそれに感化され士気を高め残存兵を蹴散らしていく。
「退け!退けーーー!!」
「逃がすかよ!こっちには天のご加護があるんだ!それに歯向かった者は粛清されるのみ!」
「乱世の世に舞い降りた一匹の蝶。美と正義の使者、華蝶仮面推参!」
「愛と勇気の名のもとに、艶美な蝶が舞い降りる。例え世界は違えども、名乗る名前はただ一つ、華蝶仮面二号推参!」
二人が決まったー!と思っている中、後ろに控えている兵たちのみならず連合兵もただ呆然としていた。
「・・・おい、趙雲様たちは何をしてるんだ?」
「俺に聞くなよ・・・。本人に聞いてこいよ。」
「それが出来たら苦労しないって・・・。」
「あの変態たち、殺ってもいいのか?」
「あの女はまだいいと思うが、あの大男。絶対危ない。男の本能がそう言っている。」
「俺、尻を狙われないように気を付けよう・・・。」
「星ちゃん、よく似合ってるわよん。」
「お主もな。それより、今の私は華蝶仮面だ。そうだろう、華蝶仮面二号。」
「ありがとう。それならあなたは一号ねん。」
「そうだな。では・・・参る!」
「私の体で受け止めてあげるからかかってきなさーい!!!」
「わ、我らも隊長に続くぞ!!!」
「おおおおおおお!!」
「呂布、儂らも行くぞ!」
「(コクッ)月と一刀の邪魔をするやつら、殺す。ねね、旗を掲げろ。」
「御意ーーーーー!!」
真紅の呂旗が掲げられたことで恋の存在に気づいた連合兵は言葉に表せぬ絶望感を味わっていた。
「ひ、怯むな!こちらの方が兵数は上なんだ!数で押し返せ!」
「おおおおおおお!!!」
突撃してくる兵を卑弥呼と恋が瞬く間もなく玉砕していく。二人の通った後はまるで龍が駆けた後のような惨事になっていた。
「うひゃ〜、皆暴れすぎやろ!うちの分も残しといてや!張遼隊!行くでぇ!」
「おおおおおおお!!!」
「う〜〜〜、鈴々も一暴れしたいのだーーー!!」
「鈴々ちゃん、ここは押さえて。」
「暴れちゃ駄目だよ?」
「そんなこと分かってるのだ!分かってるけど・・・ううう!!」
・・・
それから約一刻という短い時間で袁紹、袁術両名の部隊はほぼ壊滅。袁紹も得意の高笑いが出ることはなく、ただただ慌てていた。
「わ、私たちだけでも退却しますわよ!文醜さん、顔良さん!豫州に戻りますわよ!」
「麗羽姉様だけずるいのじゃ!七乃、妾たちも逃げるのじゃ!」
「はーい♪」
「そうはさせないわよーん!!」
・・・
「貂蝉め、一刀にいいとこを見せようと張り切っておるな。」
「俺に見せられても困るんだけどな。とりあえず、貂蝉が先回りしてくれているから挟み撃ちにしよう。恋もそれでいい?」
「(コクッ)分かった。」
俺たちは袁紹たちを挟み撃ちするために敵本陣まで戦場を駆け抜けていた。残存兵は愛紗に任せたからいいとして、将たちはどうにか捕縛しないとな。どうしようもないようなやつらなら・・・殺す。
「ご主人様〜、捕まえてきたわよん!」
「早っ!!」
貂蝉がおそらく袁紹ら御一行である人物たちを縄で縛り上げてきた。そしてそれを俺の前に差し出してくる。
「くっ、この袁本初が捕まるとは・・・一生の不覚ですわ。」
「あんたが袁紹か?」
「そうですわ。それで、そういうあなたはどこの誰ですの?」
「俺は北郷一刀。それより、あなたに問う。何故洛陽を狙った?三公を輩出した袁家の者が他の邑の情勢が分からないほど情報源が少ないわけではいないだろう?」
「洛陽は私のものになる予定だったのですわ!それを途中からしゃしゃり出てきた董卓とかいう者が突然洛陽太守に任命された。ただ劉協様と少し仲の良いからって。」
「お前のそれはただの妬みだ。お前のような自分の私腹を満たすために連合を組むようなやつが洛陽を纏められるとは思えない。お前に王の器はない。」
「くっ、言いたい放題ですわね。後で覚えておきなさい!」
「その後にお前が生きていたらな。さて、ここが重要だ。袁紹、並びに袁術。ここで投降し、捕縛され朝廷に連行されるのがいいか、斬首されるのがいいか・・・選べ。」
普段の俺ではこんなことは言わないだろう。けど、こんなやつのために幾つかの命が散っていき月が心を痛めた。それが許せない。だが、反省し改心する機会は与える。俺の最大の譲歩だ。
「・・・投降しますわ。」
「妾もなのじゃ。流石に死ぬのは嫌なのじゃ。」
この発言により反董卓連合戦は終わりを告げた。
「敵将、討ち取ったりーーーーー!!!!!」
あとがき 読んでいただきありがとうございます。終戦はいかがでしたでしょうか。最後はチート武将たちの頑張りで幕を閉じさせていただきました。次回で第四節は終了です。長かった・・・。それでは次回 第四節:献帝、劉協 祝福と出会い でお会いしましょう。
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何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。 | ||
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超人+董卓軍+劉備軍=精鋭VS連合軍−主力軍=烏合の衆……結果はわかりきったことだけどフルボッコ!!(Fols) 次回で連合編完、群雄割拠編での一刀さんの活躍に期待。 漢女の超人強度が何千万パワーなのか気になるところ。(yosi) 確かに袁家だけで化け物連中の相手は無理ですね。そりゃ速攻で終わりますよね。(mokiti1976-2010) 華蝶は強いな〜www 連合兵は尻を守りきれたのかな?w(本郷 刃) 主要軍が抜けるだけでフルボッコかよwww(アルヤ) |
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