なんか神の不手際で転生するらしい
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「闇の書の主、防衛プログラムと完全に分離しました」

 

「みんな、下の黒い澱みが、暴走の始まる場所になる。クロノくんが来るまで、むやみに近づいちゃダメだよ!」

 

 

 

「管理者権限発動」

 

 

 

『防衛プログラムの進行に、割り込みをかけました。数分程度ですが、暴走開始までの遅延ができます』

 

「それだけあったら十分や。――リンカーコア送還、守護騎士システム、破損修復。――おいで、私の騎士達」

 

 

 

 空中にあった白い光の球が輝き、光が収まった後には、ヴォルケンリッターが白い光の球の周りにいた。

 

 

 

「ヴィータちゃん!」

 

「シグナム!」

 

「我ら、夜天の主の元に集いし騎士」

 

「主ある限り、我らの魂、尽きること無し」

 

「この身に命ある限り、我等は御身の元にあり」

 

「我等が主、夜天の王。――八神はやての名の元に!」

 

 

「リインフォース、私の杖と甲冑を」

 

『はい』

 

 

 

光の球が砕け、中からはやてが現れる。

 

 

 

「はやてちゃん!」

 

 

 

はやてはなのはに微笑んだ後、声を張り上げて唱える。

 

 

 

「夜天の光よ、我が手に集え。祝福の風、リインフォース。セーット、アップ!」

 

 

 

はやての髪の色が変わり、その身は堕天使の様な騎士甲冑に包まれる。

 

 

 

そしてそこに、クロノがはやて達の元まで下りる。

 

 

 

「済まない、水を指してしまうんだが……時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。時間が無いので完結に説明する。闇の書の防衛プログラムがあと数分で暴走を開始する。僕らはそれを、何らかの方法で止めなければいけない。停止のプランは現在二つある。一つ、極めて強力な氷結魔法(グレアムがクロノに前もって託した)で停止させる。二つ、軌道上の艦船アースラの魔導砲、アルカンシェルで消滅させる。これ以外に何か良い案が無いか?」

 

 

 

その質問に、シャマルが氷結魔法での停止が難しいといい、ヴィータがアルカンシェルは被害が大きすぎると反論する。

 

 

 

 

『はいみんな!暴走臨界点まで、後十五分切ったよ。会議の結論はお早めに!』

 

「何かないか?」

 

「みんなでズバッとぶっ飛ばしちゃう訳には行かないの?」

 

 

 

と言ったアルフのその言葉に、

 

 

 

「ズバッと、ぶっ飛ばす……」

 

「ここでやったら被害が大きすぎて撃てへん……」

 

「でも、ここじゃなければ……!」

 

 

 

何かよからぬことを思いついた三人娘。

 

 

 

「クロノくん!アルカンシェルって、どこでも撃てるの?」

 

「どこでもって……、例えば?」

 

「今、アースラのいる場所」

 

「軌道上、宇宙空間で!」

 

 

 

それを聞いたエイミィは不敵に笑う。

 

 

 

『ふふふ、管理局のテクノロジー、舐めてもらったら困りますな……。撃てますよ。宇宙だろうが、どこだろうが!』

 

「おい!ちょっと待て!君ら、まさか!?」

 

 

 

三人は同時に頷いた。

 

 

 

「なんともまぁ、相変わらずもの凄いというか」

 

「計算上では実現可能ってのがまた怖いですね……。――クロノ君、こっちの準備はOK。暴走臨界点まであと10分!」

 

「個人の能力頼みで、実にギャンブル性の高いプランだが……まあ、やってみる価値はある」

 

「防衛プログラムのバリアは魔力と物理の複合四層式。まずはそれを破る」

 

「バリアを抜いたら私達の一斉攻撃で、コアを露出」

 

「そしたらユーノくん達の強制転送魔法でアースラの前まで転送!」

 

「後は、アルカンシェルで蒸発、っと」

 

「うまくいけば、これがベストです」

 

 

 

※因みにあの二人は、闇の書版SLBとフォトンランサージェノサイドシフトでやられました。

 

 

 

『暴走開始まで、あと2分!』

 

「あ、なのはちゃん、フェイトちゃん」

 

「「?」」

 

「シャマル」

 

「はい、お二人の治療ですね」

 

「あ、シャマル、俺にも頼む」

 

 

 

シャマルの魔法で三人が回復する。

 

 

 

「うわぁ」

 

「凄い」

 

 

「――始まるぞ」

 

 

 

その言葉と共に幾本も闇の柱が立ち上る。

 

 

 

「夜天の魔道書を、呪われた闇の書と呼ばせたプログラム――闇の書の闇『ナハトヴァール』」

 

 

 

柱が消え、澱みがはじけ、中から現れたのは額に女性を乗せた怪物。その周りには無数の魔獣。

 

 

 

「チェーンバインド!」

 

「ストラグルバインド!」

 

 

 

アルフとユーノのバインドが周りの触手を縛り、千切る。

 

 

 

「縛れ!鋼の軛(くびき)!」

 

 

 

前方に魔法陣より白い光の鞭が触手をなぎ払う。

 

 

 

「ちゃんと合わせろよ、高町なのは!」

 

「ヴィータちゃんもね!」

 

「鉄槌の騎士ヴィータと、鉄の伯爵グラーフアイゼン!」

 

『ギガントフォーム』

 

「轟天、爆砕!」

 

 

 

天高く掲げられたグラーフアイゼンが巨大化する。

 

 

 

「ギガントシュラーク!」

 

 

 

 振り下ろされた巨鎚が1枚目のバリアを打ち砕く。

 

「高町なのはと、レイジングハート・エクセリオン。行きます!」

 

『ロードカートリッジ』

 

「エクセリオン・バスター!」

 

『バレルショット』

 

 

 

衝撃波が襲いかかる触手を弾き、

 

 

 

「ブレイク・シュート!」

 

 

 

((特大の砲撃|エクセリオン・バスター))が2枚目のバリアを破壊する。

 

 

 

「次!シグナムと、テスタロッサちゃん!」

 

「剣の騎士シグナムが魂、炎の魔剣、レヴァンティン。刃と連結刃に続く、もう一つの姿」

 

『ボーゲンフォルム』

 

 

 

レヴァンティンがカートリッジを吐き出し、姿を弓へと変える。

 

 

 

「翔けよ、((隼|はやぶさ))!」

 

『シュツルムファルケン』

 

 

 

((燃える矢|シュツルムファルケン))が空を裂き、3枚目のバリアを破壊する。

 

 

 

「フェイト・テスタロッサ、バルディッシュ・ザンバー。行きます!」

 

 

 

放たれた斬撃が周りの魔獣の頭を飛ばす。

 

 

 

「貫け、雷刃!」

 

『ジェットザンバー』

 

 

 

振り下ろされた((巨大な魔力|バルディッシュ・ザンバー))が4枚目のバリアを破壊し、本体を切り裂く。

四人の攻撃により、バリアを失い本体にもダメージを受けた闇の書の闇が悶え、周りの魔獣が反撃しようとするが……。

 

 

 

「盾の守護獣、ザフィーラ!砲撃なんぞ、撃たせん!」

 

 

 

海中より光の杭が伸び、魔獣を串刺しにする。

 

 

 

「はやてちゃん!」

 

「彼方より来れ、ヤドリギの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け!」

 

 

 

上空に魔法陣が出現、その周りにいくつかの光が生まれる。

 

 

 

「石化の槍、ミストルティン!」 

 

 

 

 光の槍が落ち、刺さった所を石化させていく。

 

しかし防衛プログラムからは新たなパーツが生え、見てくれがさらにひどくなっていく。

 

 

 

『やっぱり、並みの攻撃じゃ通じない。ダメージを入れた傍から再生されちゃう!』

 

「だが、攻撃は通っている、プラン変更は無しだ!――行くぞ、デュランダル」

 

『OK,BOSS.』

 

「悠久なる凍土、凍てつく棺の内にて、永遠の眠りを与えよ」

 

 

 

辺りの海が凍っていき、怪物を飲み込む。

 

 

 

「凍てつけ!」

 

『エターナルコフィン』

 

 

 

 全身を凍りつかせながらも、闇の書の闇は動き続ける。

 

 

 

「行くよ、フェイトちゃん、はやてちゃん」

 

「「うん」」

 

「全力全開!スターライト――」

 辺りの魔力が集(つど)う。

 

「雷光一閃!プラズマザンバー――」

 魔力刃に雷が落ちる。

 

「ごめんな……お休みな」

 シュベルトクロイツに光が集まり、

 

「響け終焉の笛。ラグナロク――」

 魔法陣の頂点に魔力が集まる。

 

 

 

「「「ブレイカーーー!!!」」」

 放たれた三方向からの大規模砲撃が着弾地点を破壊し尽くす。

 

 

 

「本体コア、露出」

 

 

 

((トリプルブレイカー|ただのオーバーキル))により、外から見えるようになった闇の書の闇の核を、シャマルが旅の鏡で見つける。

 

 

 

「捕まえ、た!」

 

「長距離転送!」

 

「目標、軌道上!」

 

 

 

ユーノとアルフの魔法陣がコアを挟み転送準備を整えた。

 

 

 

「「「転送!!!」」」

 

 

 

三人の力を合わせての強制転送魔法が発動し、虹色に光る環状魔法陣が闇の書の闇の残骸を囲み、そこにあるコアを軌道上に打ち上げる。

 

「コアの転送、来ます!」

 

「転送しながら、生体部品を修復中!ものすごい速さです」

 

「アルカンシェル、バレル展開!」

 

「ファイアリングロックシステム、オープン」

 

 

 

現れたのは透明な四角の箱に入った、鍵穴の付いた球体。

 

 

 

「命中確認後、反応前に安全距離まで退避します。準備を!」

 

「「了解!」」

 

 

 

闇の書の闇が転送されてきた。もはやその姿は、邪悪な欲望その物・・・・見るもの全てに生理的嫌悪を与えるほど醜悪な物になっていた。

 

 

 

「アルカンシェル、発射!」

 

 

 

リンディが鍵を差し込み、捻る。

そしてアルカンシェルが発射され、闇の書の闇に命中した。

時空を歪める砲撃に飲み込まれ、闇の書の闇は消滅した。

 

 

 

「効果範囲内の物体、完全消滅。再生反応……そんな!?」

 

 

 

しかし、闇の書の闇は完全には消えていなかった。

 

 

 

「クッ!(アルカンシェルは再発射までに時間がかかる)総員―――」

 

 

 

リンディはすぐさま退避を伝えようとするが。エイミィから突如通信が入る

 

 

 

「地球よりさらに超高密度の魔力砲撃がナハトヴァールに接近中!当たります!!」

 

「なんですって!?」

 

 

 

リンディはその通信が信じられなかった。しかし映像を見て信じざるを得なかった。そこには確かに、黒紫色の砲撃が地球から伸びていた。そして、さらに再生を行おうとするナハトヴァールに直撃し凄まじい爆発が起きる。そしてその爆発の後には何もなくなっていた。

 

 

 

「効果範囲内の物体、完全消滅。再生反応……ありません!」

 

「・・・・・」

 

 

 

とりあえず、リンディは吸い込んでいた息を吐いた。そして再びあの砲撃について考える。

 

 

 

「さっきの砲撃は伸びていたところから考えて、海鳴市のところだった・・・でも誰かがあそこにアルカンシェル以上の砲撃を放てる兵器なんて作れるわけがないし・・・・」

 

 

 

そんな物が作れるのならそれはもう管理局の技術をはるかに超えている。それ以前にそんなものを自分たちが見落とすわけがない。

 

 

 

「となれば・・・・まさかあの仮面の男があの砲撃を・・・・いや、それこそありえない!」

 

 

 

あーでもない、こーでもない。といろいろと思案するも結局わからないものをいくら考えても仕方ないという結論にたどり着いた。なおこのことは報告書に書かれなかった。言っても信じられるわけがないからだ。記録についてもアルカンシェルで吹っ飛んだと思っていたため局員がサーチャーを切ってしまっていたため証拠がないことも一因であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おわったか・・・」

 

「バレないかな?」

 

「特殊な結界を軌道上の大気圏まで直線的に張ったから高町達からは何も見えていない。」

 

「の、ようだね・・・・しかし、これで終わっていなかったら・・・・・」

 

「ありえないな、お前のジェノサイド・ブレイバーに俺の魔力をプラスさせたんだ。あれ以上となると今度は次元震が起きかねん。(まあ、それでも・・・・)」

 

「しかしそれ便利だね。いつ手に入れたんだい?」

 

「星天の書の真主になった時に手に入ったものだ。」

 

「へえー、確か・・・なんだっけ?」

 

「魔力融合」

 

 

 

これは伸が星天の書の真主となった時に手に入れたもので、文字通り他者の魔力を融合させて威力はもちろんその変換資質及び一部のレアスキルまで一時的に扱えるようになるというスキルだ。

 

 

 

「破格のスキルだね・・・それ」

 

「これはおまけのようなものだ。アレに比べたらな。最も、星天の書はある意味、((闇の書|・・・))もヤバいロストロギアだからな。((アイツ等|管理局))に渡すわけにはいかん。」

 

「まあ、どうでもいいけど・・・・やっぱり無理なのか?」

 

「ああ、残念ながらリインフォースは・・・・」

 

「そっか・・・・」

 

 

 

本来のプランなら切り離した防衛プログラムを消滅させた後、リインフォースを星天の書の中に一度インストールし、ワクチンプログラムとリカバリープログラムを用いて夜天の書の管制人格として再構成させるつもりだったのだが予期せぬ妨害により星天の書は起動でなくなり闇の書の防衛プログラムはリインフォースが存在する限り三日で復活してしまう。仮に修練の門で5日星天の書を置いても現実世界に戻った際に経験値などの一部の例外を除き全ての事象が戻ってしまう。つまり外に出してしまった瞬間、五日前の休眠状態に戻ってしまうのだ。故にこれだけはどうにもできなくなってしまったのだ。

 

 

 

「すまないな・・・・」

 

「お前が謝ることじゃないよ。もとをただせば俺の油断が招いたことだし・・・・でも・・・・・・・やっぱり悔しいな・・・・なおさら・・・・」

 

「それは俺もだ・・・・刃」

 

 

 

刃の身体は何かに耐えるように震えており・・・・・

伸の震えるほどに握った握り拳の中からは血が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後リインフォースは自らの願いもあってなのは達に消滅を頼み笑顔で逝った。なお守護騎士たちはすでに分離させていたため消滅はしなかったのだが、刃のことについては約束のこともあり全員完全黙秘を貫いたという。

 

 

 

長い夜はここに終わった。

 

説明
第二十七話:本当、人間が護れるものって少ないよな・・・身内すら護れるかどうかも怪しいのだから
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コメント
↓あれもスゴかったですね〜(アサシン)
地上から大気圏外の対象を打ち抜くとは…ガンダム00のロックオン・ストラトスを思い出した。(bellmark3)
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