ソードアート・オンライン ロスト・オブ・ライトニング 第十四話 2人では届かない
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アルンの中央。

世界樹の根元には石造りの扉がある。

キリトとデュオはその扉の前に並んで立っていた。

 

デュオ「さて行くか」

 

キリト「待ってろよ・・・アスナ・・・」

 

そう言っているキリトは、すでに発狂寸前の状態である。

そんなキリトを少しでも落ち着かせるために、デュオは門を見たまま言う。

 

デュオ「ここが、SAO事件最後の戦場だな。」

 

キリト「ああ、行くぞ!」

 

キリトとデュオが一歩進むと、扉の両側にあった妖精の像が問う。

 

石像〔未だ天の高みを知らぬ者よ、王の城へ致らんと欲するか?〕

 

同時に、2人の目の前にイエスとノーのボタンが現れる。

 

デュオ「姫様を助けに行くだから、王の城じゃなくて魔王・・・いや、あいつは害虫並みのクズだから、ゴキブリの城だな。」

 

2人は、同時にイエスのボタンを押す。

 

石像〔さればそなたが背の双翼の、天翔に足ることを示すがよい〕

 

石像の言葉とともに扉の中央が割れ、ゆっくりと左右に開く。

 

キリト「行くぞ。ユイ、しっかり頭引っ込めてろよ。」

 

ユイ「パパ、デュオさん・・・頑張って・・・」

 

ユイがキリトのポケットに引っ込むと、2人はお互いを見て頷き合い、それぞれの剣を抜いて扉の中へ踏み込んだ。

扉の中は真っ暗だったが、突然光が現れその内部の全貌がはっきりとわかるようになった。

ドーム状で一番上に円形の扉がある。

 

デュオ「飛ぶぜ、キリト・・・」

 

キリトとデュオは、同時に翅を広げる。

 

キリト「行っけぇぇぇぇっ!!」

 

絶叫とともに剣を構えて突撃して行った。

デュオも、キリトの後を追って飛び上がる。

目を上に向けると全身に白銀の鎧をまとった騎士がいた。

顔は鎧に隠れて見えず、右手に巨大な大剣を携えている。

数は三体で、一番近いものはキリトの目の前にいた。

 

キリト「そこをどけぇぇぇぇっ・・・!!」

 

キリトの前にいた騎士と絶叫したキリトの剣がぶつかり合い、お互いに弾かれる。

騎士は剣を上に振りかぶるが、キリトはそれが振り下ろされるより早く懐に潜りこみ首もとをつかん剣を突き立てる。

 

キリト「らあぁぁぁぁ・・・!!」

 

耳障りな叫び声を上げて騎士は消滅する。

 

デュオ「一体一体の戦闘力は大したこと無いんだが・・・冗談だろ・・・?」

 

最初に出現した騎士は三だった。

だが、今や天井全てが白い騎士で多いつくされようとしていた。

その中を黒衣を纏ったキリトが突進している。

 

キリト「セイッ!!」

 

気合い一閃とともに、キリトの剣は先頭の一匹を吹き飛ばした。

 

デュオ「やるな。」

 

デュオが感心していると、その態度が気に食わなかったのか、ガーディアンが2体、デュオに向かう。

 

デュオ「さて俺も行くか・・・」

 

デュオはまず、左から来たガーディアンの攻撃を回避し、その腕を掴むとそれを右から来た騎士に投げつける。

二体がぶつかった瞬間、動きの停止したそいつらを貫く。

 

デュオ「まず2体・・・」

 

自分に向かってきた相手を倒したデュオは、キリトに追いつくために上昇スピードを上げた。

デュオのいるさらに上では、キリトが5体以上のガーディアンを切り裂きながら上を目指していた。

 

デュオ「退け・・・!!」

 

デュオは前方で戦うキリトに向かって叫ぶと、大剣を後ろに引き絞る。

 

デュオ「クレイジーバーン!!」

 

叫ぶと同時に振り切った大剣からオレンジの球体が放たれ、行く手を阻むガーディアンを一掃する。

 

デュオ「よし、もう1度・・・」

 

デュオは続けてクレイジーバーンを放とうとするが、凄まじいスピードで横を通り過ぎて行ったキリトにそれを中断させられてしまう。

 

デュオ「バカ!!飛び込むな!!」

 

デュオが叫ぶのも聞かず、キリトは一直線にゲートに突進していく。

その時、キリトの体を1本の矢が撃ち抜いた。

慌てて回りを確認すると、今まで大剣1本で向かってきていたガーディアンたちは、キリトに向けて弓矢を構えている。

 

デュオ「まずい!!」

 

デュオが叫ぶとほぼ同時に、ガーディアンたちは矢を一斉射する。

立て続けに矢を受けるキリトに、デュオは矢を切り払いながら接近していく。

 

デュオ「キリト、戻れ!!一時撤退だ!!」

 

右手を伸ばして、なおもゲートに向かおうとするキリトをガーディアンの大剣が貫く。

それでもキリトは諦めない。

必死に手を伸ばして絶叫しながら、あと一歩という距離に迫ったゲートに向かおうとする。

 

キリト「うおぉぉぉぉ・・・!!」

 

しかしその手が届かぬうちに、キリトの体は消滅し、紫色のリメインライトが残った。

キリトが消滅すると、ガーディアンの標的がキリトとデュオから、デュオ1人に限定される。

 

デュオ「もう少し待ってるべきだったかな・・・」

 

そう呟くと、ガーディアンがデュオを斬り殺そうと向かう。

デュオは向かってくる敵とキリトのリメインライトを見て、殺戮衝動を解き放った。

 

デュオ「「・・・排除・・・」」

 

2つのノイズが重なったような声でそう言うと、デュオの瞳から光が失われる。

ガーディアンがデュオに斬りかかった。

しかし、その刃がデュオに届く前にデュオを中心とした半径1.8m範囲の敵が消滅した。

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デュオ視点

俺が周りの敵を葬った直後、突然緑色の何かがドームの中に飛び込んできた。

 

?「デュオ君!!」

 

名前を呼ばれて振り返ると、そこには巨大なガーディアンを回避して接近してくるシルフの姿があった。

乱入者の正体は、俺とキリトをここまで導いた少女、リーファだった。

その姿を見た瞬間、俺は正気を取り戻す。

 

デュオ「リーファ・・・!?」

 

リーファ「デュオ君!キリト君を回収するから、援護して!!」

 

デュオ「OK。クレイジーバーンで道を開くから、そしたらキリトを回収してくれ。」

 

リーファ「わかった!!」

 

リーファの返事を聞いた俺は、クレイジーバーンを放って周りのガーディアンを葬る。

その隙に、リーファがキリトのリメインライトを回収して急降下を始める。

それを追うように俺も降下するが、ガーディアンたちは俺たちを帰すまいと行く手を阻む。

 

デュオ「退け!!」

 

立ちはだかるガーディアンを斬り捨て、後ろから飛んでくる矢や大剣は爆破で迎撃した。

ようやく外に出ると、リーファはキリトのリメインライトに何やらアイテムを使用してキリトを復活させた。

 

リーファ「キリト君・・・」

 

どこか哀愁の漂う表情でキリトの名前を呼んだリーファに、キリトは小さく笑うと立ち上がって言った。

 

キリト「ありがとう、リーファ・・・でも、あんな無茶はもうしないでくれ。俺は・・・大丈夫だから・・・」

 

デュオ「あんな状態でどこが大丈夫だ・・・リーファがいなかったら間違いなく終わってたぞ。」

 

俺はキリトの方を向き、真剣な表情で言う。

 

デュオ「いくら俺たちでも、あれを2人で突破するのは無理だ。せめてあと3人は仲間がほしい。」

 

キリト「そんな・・・そんな暇は・・・」

 

デュオ「暇も何も、今ここでゲームオーバーになってもう1度ホームタウンからやり直す方が大幅なタイムロスだ。」

 

キリト「なんでだ・・・?」

 

キリトの小さな言葉が良く聞こえず、俺は聞き返した。

再び帰って来た言葉は怒りを含んだ怒鳴り声だった。

 

キリト「なんでそんなのんびり出来るんだよ!!あの向こうにいるんだぞ・・・!!」

 

デュオ「そんなことは分かってる。だけどこのまま正面から・・・」

 

キリト「それでも・・・早く・・・すぐにでも行かなきゃいけないんだ・・・呼んでるんだ・・・こんな所で、ただ止まっていたりなんてしてたら、発狂しちまいそうなんだよ!!」

 

デュオ「だからキリト、少しは落ち着・・・」

 

キリト「落ち着けるかよ!!」

 

更に割り込むキリト。

最早普段の不敵な冷静さは、どこにも見えない。

 

キリト「お前はどうなんだよ!あそこにシリカがいるとしたら早く、一刻も早く行きたいって思わないのか!?シリカが助け求める状況で、そんな冷静でいられ・・・」

 

デュオ「黙れ!!」

 

喚き続けるキリトに、俺は怒鳴った。

すると、俺の声に怯んだキリトは黙る。

 

デュオ「いいか?またホームタウンからやり直すことになったら、アスナはもっと待つことになる。たった数分惜しんだせいで、数十時間のタイムロスになるんだ。」

 

アスナの名前を出したのが効いたらしく、キリトは俯くと謝ってきた。

 

キリト「悪い・・・つい頭に血が登って・・・」

 

デュオ「わかればいいんだよ。」

 

俺は、キリトの肩に手を置いてそう言った。

すると、隣にいたリーファの顔から血の気が引いているのに気づく。

 

リーファ「アスナって・・・だってあの人は・・・」

 

そうしてしばらく、意味のない単語だけを呟き続けたリーファはキリトの方を見て、唐突にその言葉を口にした。

 

リーファ「お兄ちゃん・・・なの・・・?」

 

説明
1発突破は無理でした。
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2090 2021 8
コメント
スターダストさんへ それは機会があったら、その時書きます。(やぎすけ)
う〜ん・・・確かに・・・もしもシリカが囚われていた場合のデュオの反応も見て見たいですねwww(スターダスト)
trainさんへ そうですね。そこが難しいところでもあり、書いていて楽しいところでもあるんですよね。(やぎすけ)
本郷 刃さんへ 確かにデュオは未帰還者(知り合いは全員)を把握しています。2人のバーサーカーは、2回戦でもっと凄くする予定です。(やぎすけ)
遼東半島さんへ シリカは現実に帰還しています。キリトの発言は、もしデュオがキリトの立場だったらどうする?という意味で言った言葉です。(やぎすけ)
やはりいつも気になるのは原作に無いオリジナルキャラクターがこういう時どんなアクションを起こすかということですね(train)
↓それはないと思いますよ。そもそもデュオはハッキングによって、戻れていない人間を把握しているはずですから、まぁ、予測ですけど・・・。 そしてキリトとデュオのバーサーカーは凄いですねぇw リーファは真実を知ってしまいましたし・・・どうなるのやら。(本郷 刃)
ふと気になったのですが、もしかしてシリカも現実に戻れていないのですか?ネタバレになるのでしたら返答はいいのですが、気になるのでお願いします。(遼東半島)
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