SAO〜黒を冠する戦士たち〜 第百六十二技 殺人鬼の双牙 |
第百六十二技 殺人鬼の双牙
シャインSide
まったく、ホントにこいつは面倒だよな。
「らぁっ!」
「ひゅ〜♪ さすがじゃねぇか!」
「お前こそ!」
―――ガキィンッ!
俺が右手に持つ白剣『ダークリパルサー』と、PoHの持つ『((友切包丁|メイトチョッパー))』がぶつかる。
しかし俺はすぐさま左手に持つ盾『アイギアス』でカウンタースキル《ガードプッシュ》を使用する。
武器で防御を行っている間に、空いている盾の表面で殴りつけるスキルだ。
直撃はした…が、やっぱりコイツやりやがる。
当たる直前にバックしてダメージを軽減しやがった。
「いいねぇ、この命のやり取り」
「はっ、こっちは勘弁願いたいぜ」
PoHは軽口で喋ってくるがマジでそんなの願い下げだ。
レベルの差は俺の方が高く、差もそれなりにあるはずなんだが中々攻撃が命中しない。
もしもコイツが攻略組で真っ当なプレイヤーだったなら、もっとヤバかったはず。
そう思っているとこちらに近づく反応があった。本命の登場か…。
「俺がするお前の相手はここまでだ」
「逃げるのか? 【黒の鉄壁】」
「ちげぇよ……お前と戦いたがっている奴がいるから譲るだけだ。な、キリト…」
俺は自分の後ろから歩いてくるキリトに道を譲った。
「俺は他のとこに援護に行く……勝てよ」
「当たり前だ…」
俺はPoHの相手をキリトに任せて、ティアが中心に戦っている場所へと向かった。
シャインSide Out
キリトSide
「ようやく、この時が来た……とでも言えばいいのか?」
「出来れば言ってほしくなかったな。ま、決着はつけたいところだが…」
辺りが剣戟の音で溢れる中、PoHと俺は言葉を交えながら睨みあっている。
「にしてもそれが噂の《二刀流》か、便利だな。別々の武器を装備できるってのは」
「性質上、他の種類の武器でも可能だけどな……っていうか、そろそろ始めようぜ」
俺の言葉を聞いてPoHは笑みを浮かべた。
「それもそうだなぁ……なら、死ね!」
「俺がお前を……殺す!」
俺達は同時に駆け出した。
俺は『エリュシデータ』と『ダークリパルサー』で連撃を行うのだが、PoHは悉くそれを武器で捌いていく。
奴の持つ『友切包丁』も俺の『エリュシデータ』と同じで魔剣である。
しかもかなりの業物だ。
故に、俺の二振りの剣の攻撃であっても、奴は受けきることが可能というわけだ。
しかもコイツ自身がかなりの技術を持っているから手強い。
「とっとと死ね」
「捕まえるって気はないのか?」
「今更だろ?」
「はっ、それもそうだ」
俺達は互いに武器を振りかざし、剣戟を交わしていく。そこでPoHは集団の中に隠れた。
すぐにあとを追うが見失う。
周囲は討伐軍と残党が戦っており、オレンジのカーソルだらけ。
味方でさえ、グリーンの信者を捕らえるためにカーソルがオレンジになってしまう始末だ。
見かけたヴァルとハジメは、自ら相手の攻撃を喰らい、グリーンカーソルの信者をオレンジに仕立てている。
ヴァル、シリカに心配を掛けるなよ…。
その時、
「っ!? そこだっ!」
―――ギキィンッ!
「よく気付いたな」
「《索敵》スキルは基本だからな、それに…殺気が駄々漏れだ」
奴が振るってきた攻撃をなんなく止めた。コイツの殺気はドス黒いので分かり易い。
まぁ、この世界においても殺気なんてものを捉えられるのは俺達黒衣衆の男性陣だけだろうな…。
「面倒臭い奴だな」
「お前にだけは言われたくない」
まったくもってコイツにだけは言われたくない。
さっきから他のプレイヤーを盾にした動きまでしてくる。
中々ダメージを負わせることも出来ないでいる。そこに、
―――ガガンッ!
すぐそばで刃が交わされ、俺とPoHは互いに距離を取った。
剣戟を交えていたのはハクヤとデモントだったようだ。
ハクヤは『アイスエイジ』を構え、デモントはまるで鮮血にまみれたかのような赤色をした片手直剣を持っている。
「そっちは本命と戦闘中か?」
「まぁな……ソイツ、かなり出来るみたいだな」
「ああ。殺さないようにとはいえ、厄介だよ」
ハクヤと俺は言葉を交わし合う。
改めて思うがどうも殺しを好む連中にはやり手が揃うらしい。
狩人なんてことをしている俺達が言うのもなんだけど…。
PoHにしても、デモントにしても、大人しくしていてほしかった。するとデモントが…。
「そろそろ((あれ|・・・))を使ってもいいか、PoH?」
「そうだな、お披露目といこうか」
なんだ、何をする気だ?
そう考えていると、デモントはウインドウを操作して、片手直剣を装備から外し、新たな武器を構えた。
それを見たハクヤと俺は驚愕した。なんせ奴は、
「バ、バカな!?」
「っ、《二刀流》だと…!?」
俺のユニークスキルである《二刀流》と同じで、二本の剣を装備しているのだから。
だが、同時に俺は違和感に気付いた。
奴の持つ武器は細部までまったく同じで、鏡合わせになっている。
「そうか! あれは《双剣》だ!」
「へぇ、さっすが【黒の聖魔剣士】。正解だ、これが俺のユニークスキル《双剣》だぜ」
俺の《二刀流》は二種類、または二つの武器を同時に装備することができるスキルだが、
奴の《双剣》は二本で一対の武器を装備できるということか。
つまり、奴自身が鍛冶師でなければ武器の双剣を作ることもできないはず。
「お前はその武器を作る為に姿を隠して、《鍛冶》のスキルを高めていたのか?」
「! ホントに驚きだぜ、アンタすげぇな〜。ま、その通りだよ」
デモントは自身の持つ赤黒い双剣を構える。
「コイツの名は『ガウルファング』。麻痺毒が付いてるから気を付けろよ」
「ハクヤ、PoHを頼む」
「…分かった」
俺はデモントの相手をすることにし、PoHはハクヤに任せることにした。
なんでこんな奴にユニークスキルが発現したんだか。
「《双剣》か《二刀流》、どっちが上か決めようぜ!」
「上等!」
デモントの言葉に俺は返答し、俺達の二つの武器が交錯する。
キリトSide Out
To be continued……
オリジナルスキル説明
カウンタースキル《ガードプッシュ》
武器防御を行っている最中に、片方の手に持つ盾の表面で殴りつけるスキル。
後書きです。
キリトとPoHの戦闘になるかと思えば、まさかのデモント戦。
しかもデモントはユニークスキル《双剣》を会得している・・・。
展開が無茶苦茶だって?
知らん、問答無用だ・・・。
ちなみにアスナさんはキリト君の周りで戦っていますw
自分の中の定義では、二刀流とは二つの武器を装備すること。
双剣は二刀一対の剣などのことを指すように考えています。
というわけで、キリトもそう思ったということです。
それでは次回で・・・ちなみにデモント戦は次回で終わりますw
説明 | ||
第百六十二話です。 前回言ったデモントの能力が明らかに・・・。 どうぞ・・・。 |
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コメント | ||
lightcloss様へ 誤字報告ありがとうございました! 修正しておきました!(本郷 刃) 誤字報告です。『なんでこんな奴にユニークスキルが発現すたんだか。』・・・発現したんだか。ではないですか?(lightcloss) アサシン様へ 二刀一対VS二刀別種とも言えますね(本郷 刃) 双剣対二刀流、剣と刀の闘いですな!(アサシン) suika様へ 手数はほぼ互角ですが・・・最後にモノを言うのは、実力と経験ですね・・・。(本郷 刃) 双剣ですか・・・・・。 手数の多さではほぼ互角ですね・・・・・。(suika) 魅沙祈様へ もしかしたらエクストラスキルであったような気がしますが・・・でもそれなら、二刀流がいらなくない?っと自分は思ったりしています。(本郷 刃) 双剣って原作にありませんでしたっけ?あれ?記憶が曖昧…(´Д`)なかったような…うーん…。よし、原作もう一回よもう。(魅沙祈) 不知火 観珪様へ まぁこれはSAOですけどねぇ〜・・・性能は如何程か・・・。(本郷 刃) 双剣は古代中国が発祥らしいですね。 わざわざ一振りの剣を双振りにすることで、手数を増やそうとしたのは委員ですけど、当時は鋳鉄しかないはずですし、鍛鉄で作らないかぎりは強度に問題がありそうですねー(神余 雛) kaito様へ 双剣を作れるようになるのは、スキル自体が発現した瞬間からですので他のプレイヤーメイドでも製作可能になりますが、誰も使えませんね。発現条件は、最終編にて他のユニークスキルの発現条件と共に明かされます。(本郷 刃) Kyogo2012様へ 確かに二刀流の方が難しいですね。なんせまったく違う武器を使用するので、ほぼ同じ性能の武器を使わなければなりませんから。(本郷 刃) 双剣はどういう条件で作れるようになりどのような条件で発現するんですか(kaito) 双剣vs二刀流か・・・。双剣は二本一対だけど、二刀流は・・・・。二刀流のほうが難しい気がする・・・・。私の意見ですがね。次も楽しみにしていますよ。(Kyogo2012) |
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