コードギアス 起きたら異世界に来ていた者ゼブル 第三話 ゼブルのギアス 応用編 |
先ほどの実験から数分後
ゼブルとV.V.は2人きりとなった実験室に残っていた。
「で、君は何をするつもりなんだい?」
「次はこれを使った実験なんだけどね」
ゼブルは実験室に置いてある手鏡を持ち上げた。
何故こんなところに置いてあるかは別として、それはごく普通の手鏡である。
「それでどうするんだい?」
「簡単に説明すると、俺自身にギアスをかける。うまく多重人格を作れればその別人格の俺にV.V.、君はギアスを与えて欲しい。上手くいけば俺は1人で複数のギアスを持つことが出来る」
「・・・そんなことが出来るのかい?」
今までの実験から見れば不可能ではない。
しかし、ギアスは王の力。そのギアスに抗うことはとても容易ではない。
「試してみないと何とも言えないけどね。まぁ、とにかくやってみるさ。ベースは既に考えてあるんだ。それを基準に新しい人格を創っていく」
そう言うとさっそく鏡で自分の目を見つめると、躊躇なくギアスを発動させる。
「くっ!!(意外ときつい!)」
突然襲ってくる衝撃に頭が大きく揺れる。
そして、次に頭の中に大きな力のうねりが波となって襲ってくる。
ゼブルはその波に流されそうになるのを必死に抑える。
程なくしてギアスは収まった。
やっとギアスによって作られた人格を封じることができたのだ。
ゼブルは数分経ったように感じる抗いは、実際には数秒程度のものだった。
しかし、その分ゼブルの心身はとても疲弊している。
1回でこれなのだ。残り6回も耐えられるのだろうか?
「意外にやばいな。職員の人もよく耐えられたもんだね」
「君のギアスの熟練度が低いからね。強制力もそこまで強くはないのかもしれない。それに彼は対ギアス能力者用に脳を改造してあるからね。そんな彼でも3回目は耐え切れなかった。その更に多い7回も君は耐えられるのかな?」
「男にはやらねばならない時があるってね。さて、もう一回」
そう言うと再び自身にギアスをかける。
「大丈夫?」
「心配無用だよ」
本当に辛いのか大粒の汗が雫となって落ちていく。
V.V.は何もしない。ただゼブルを見守るだけだ。
こうして7回全て終わるまでに数分が経った。
「終わったぁぁぁ」
もう疲れで体がいう事をきかないからなのか、ゼブルは床に寝転んだ。
7つの人格を作り、それに飲まれないようにするのはとても体力を奪われるのだろう。
「お疲れ様。何か体に不具合はないかい?」
「強いて言えば頭がすっごく痛いことだね。ズキズキするよ」
「脳に直接影響を与えるギアスを立て続けに受け、拒んだんだからね。そうなっても仕方ないよ」
「なるほど」
「あのさ、1つ気になったんだけど聞いていいかい?」
近づいてきたV.V.はゼブルの近くに座る。
「何?」
「言いにくいんだけどさ、別に一気にやる必要はなかったんじゃないかな?1日1回とかのほうが負担は少なくて効率が良いと思うけど・・」
「・・・」
ゼブルの思考が一瞬凍る。
確かにV.V.の言うとおり今すぐ全ての人格を創り、足す必要性は一切無かった。
それなのにこの男は、まるでそうしなくてはいけなかったかのように自分から意味のない苦痛に向かって進んでいた。
「せっかく頑張ったのにそういう事を言うの止めてよ!俺がバカみたいじゃん!」
これには流石のゼブルもたまらなくなった。
「うん、馬鹿だね」
「うわぁぁぁ!それじゃあ俺ってただの恥ずかしい人じゃん!!」
ゼブルはあまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にさせる。
それをV.V.に悟られないように疲れきった体を回し、仰向けの状態からうつ伏せの状態になる。
「よしよし、でも、ギアスに耐えるなんて偉かったよ」
ゼブルが体を回したことにより、丁度胡座で座っていたV.V.の足の上に顔が乗る形になる。
V.V.そんなぜブルを労わるように頭を撫で始める。
「ちょ、慰めないで本当に恥ずかしくなるから!」
「僕の前で格好つけていた時点で十分恥ずかしいよ」
「止めろってばぁぁ!!」
更に数分後
「落ち着いたかい?」
「・・はい、私は馬鹿でした」
まるで子供にあやされる大人のような絵だが、年齢的に見れば真逆なので仕方がないといえば仕方がない。
「別に恥じることじゃないよ。君の精神力には僕も驚かされたしね。それでギアスはどうするんだい?今日は止めとく?」
「ここまでやったんだから最後までやるよ。じゃないと俺って本当にダメな奴じゃん」
「いい加減さっきのことは忘れて元の調子に戻りなよ。君らしくない」
「俺の中にいる他の人格たちが俺のことを馬鹿にしてるんだよ!」
ゼブルがスっとV.V.の前に座り直すと自分の頭を指差しながら半泣きで言い放つ。
「どうやって他の人格と話をしているんだい?」
「事前に会話ができるような設定にしたからね。テレパシーみたいなもんかな?例えて言うならちゃぶ台を囲んで俺と他の人格が常に話し合ってる状況だね。みんな面白そうに俺の醜態を笑ってるんだ!今もだよ!?」
「(今もしてるんだ)」
ゼブルの表情を見てどの様な内容を話しているのかを大体予想がつく。
それと同時にゼブルの醜態を知っているということは他の人格たちは記憶や現在起きていることをゼブルから直接リンクしているということになるだろう。
これまた卑怯な能力だとV.V.は思った。
「もうこんな同居人たち嫌だ。変わるから早く終わらせてね。俺部屋に帰って不貞寝したいから。・・じゃ、まずはハイドから」
ゼブルがV.V.にそれだけを言うと目を閉じる。
すると、
「じゃっじゃじゃーん!!はいどだよ!よろしくね!」
やけに明るい笑顔になり、元気いっぱいと言わんばかりの声を出している。
「・・う、うん(子どもっぽくて好奇心旺盛なタイプか。なんだろう、この変化は)」
それにしても、いきなり精神だけとは言え幼児化した男が目の前にいることに違和感を隠せないV.V.。
見た目は大人、中身は子どもというある意味で一番最悪な形をしているのだから仕方ないだろう。
こんなことがあと6回も起きるのかと思うと少し嫌そうな表情を浮かべるが、それとは逆にどんな人格が出るのかが楽しみでもあった。
「次は僕ですね。ピースです。よろしく頼みます」
「(まぁ、普通かな)」
「センスといいます。センスがいいセンスと覚えてください」
「(・・・アウト)」
「コンフという。一応リーダーをやっている。よろしくな!ハッハッハ!」
「(嫌いではないけど面倒くさそう)」
「ダイクンだ。まぁ、よろしく頼む」
「(誰かに似てるかも)」
「マジック」
「(大人しいね)」
「ティグだ。さっさと終わらせてくれ」
「(神経質っぽいかな)」
こうして7人にギアスを渡し終えた。
「おつかれ」
「君は?」
「酷いな。心がやっと回復してきたのにそういう事言わないでよ」
いつものゼブルに戻った。
まだ後悔しているのか少しテンションが低い。
「ごめんごめん、でも、本当に1人で7個のギアスを持つなんてね。ちょっとずるくないかい?」
「そう言わないでよ、偶然が重なっただけなんだしさ。それより今日はもう部屋で休んでいいかな?ちょっと心身ともにつらくてさ」
「うん、いいよ。明日は他の人格たちのギアスのチェックとそれとは別に少し話がしたいから早めに起きてね」
「うん、分かった。それじゃ、お休みV.V.」
「お休み」
「・・・さて、どうするかな?」
1人になったV.V.はゼブルが去った方向を見ながら呟く。
「・・・いや、決めるのはゼブルだ。少し寂しいけど僕は彼が決めたことを手伝えればそれでいいか」
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これは酷い(;´Д`) | ||
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