Ib 儚く消える白いバラ |
プロローグ
とある病院の一室、そこには点滴を打ったベッドに寝ている今にも消え入りそうなくらい白い肌をし、白い髪と、灰色の瞳が特徴的な青年と、流れるような金髪を肩まで伸ばし、スカイブルーのような瞳と、ふっくらとしたピンク色の唇が特徴の、若い女性が居た。
若い女性は、堪えるようにふっくらとした唇を噛み、澄んだ青い瞳からは、大きな粒が幾度もスカートの上に落ちていた。
「フリシン……、貴方の余命はあと、一週間なの」
フリシンと呼ばれた透き通るほど白い肌をした青年は、病人特有の、やせ細った手でゆっくりと彼女の頬に触れ、微笑みながら口を開いた。
「イルーネ、別に泣かなくてもいいよ、いままでも、というより、これからもだが、元々病弱だった私にずっと付き添ってくれてありがとう……それに、隠さずに教えてくれたことも」
「フリシン……う、あ、ああ……」
「うああああああああ!!」
イルーネは堪えることができずに、とうとう、彼に抱きついて泣いた。フリシンは彼女を抱きながら、サラサラした流れる金髪に手を入れ、背中をさすり続けてあげ、ふと、何かを思い出してから、抱いた彼女の身体を離し、イルーネの顔を見つめながら、話した。
「なぁ、イルーネ頼みがある」
イルーネは今まで聞いたことの無かった彼の頼みに、思わず食いついた。
「なに? フリシン? 何でも聞いて、私がすぐに用意するから」
先ほどとは一転変わって、凄い勢いで聞いてくる彼女に、フリシンは苦笑しながら、頼みを言った。
「実は、今から開催されてるゲルテナ展に行ってみたいんだ」
彼女は彼の言葉から、ゲルテナ展という単語を聞いて、少し疑問に思ったが、折角のフリシンの頼みなので、快く受け入れた。
「ゲルテナ展? わかったわ! すぐに車椅子を用意するから待ってて!」
彼女は扉を勢いよく開き、廊下を走っていく、そして、看護婦に走っている姿が見つかったのか、「病院で走るのはやめてください!」と怒鳴られてしまい、イルーネは「ごめんなさい!」と何度も看護婦に謝ったあと、少し早足で車椅子を取りに行った。その一連を音で聞いていたフリシンは、苦笑してから、誰も居ない病室で天井を眺めながら、ゆっくりと息を吐いてつぶやいた。
「一週間か……」
彼は身体を起こし窓の方に顔を向け、景色を見る。その顔には一筋の流れるものがあった。
説明 | ||
原作Ibを題材としたIFです。こんなのがあったらいいなぁ程度で作りました。基本的に不定期更新です。 | ||
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