魏エンドアフター〜代償〜
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立ち上がり、民家から出ようとする、が

 

月「あっ……」

 

詠「あっ、月!」

 

一歩踏み出そうとしたところで足がもつれ座り込んでしまう。

 

霞「月、気張り。ここが正念場やで」

 

月「っ……!はい……!」

 

気力を振り絞り、何とか立ち上がるも足元がおぼつかずふらふらしている。

月を支えている詠も、疲労困憊のためか、表情に余裕が無い。

 

一刀「二人とも、手を握って」

 

月「はい……?」

 

詠「は?手?こんな時に何言って──」

 

詠の言葉が終わる前に二人の手を取り互いに握らせ、

その上から自分の両手で二人の手を包む。

 

詠「ち、ちょっと!一体なんなのよ!」

 

詠の言葉を聞き流しながら、彼女達の手をしっかりと握る。

凪が言うに、俺と明花の氣はどことなく似ており、

それは通常の氣とは似て非なるものらしい。

破壊を目的としたものではなく、生命の源である氣の効用をそのまま表に出すらしい。

だから俺は身体能力を強化出来るし、明花は花の成長を促進出来たのではないか、という事だ。

 

一刀「……ッ!」

 

月「え……?」

 

一瞬、手の平が暖かくなり、淡い光を発する。

それは気のせいではないかと言われれば

そうだと言ってしまえるようなほんの一瞬の輝き。

明花のように光が漏れ出すような綺麗なものではない。

しかし──

 

一刀「……どう、かな」

 

月「え?え?」

 

何が何だかわからないといった表情で

月が自分の手と一刀の顔を交互に何度も見る。

 

詠「月?どうした、の……」

 

月の様子を聞こうとした詠も、自分の体に起こった変化に気づき言葉を詰まらせる。

 

詠「ち、ちょっとあんた。

  ……何したの?」

 

月「……(コク、コク)」

 

月も何が起きたのか解らないようで、詠の言葉に同調するように力強く頷く。

 

一刀「元気のおすそ分け」

 

詠「おすそわけって……」

 

驚愕とも言える表情で自分の身体を見る。

先程まで歩くのも辛く感じていた疲労感は無くなり、

まるで快眠して目覚めた時のような体調になっている。

それは衰弱していた月も同じようで、

額に浮かんでいた冷や汗や鉛のように重かった手足ももとに戻っていた。

しかし代わりに、一刀の体には疲労が襲う。

 

一刀「それと……はい」

 

腰に挿してあった二本の刀の一つ、桜炎を詠の前へ差し出す。

 

詠「え、何?あたし剣術なんて微塵も身につけてないわよ」

 

一刀「万が一の時に身を守れるものがあったほうがいいだろ?」

 

詠「それでもこんな……」

 

一刀「大丈夫。

   これは軽いし、あまり力を使わないからね。

   刃を引くようにして使えばいいんだ」

 

受け取ろうとしない詠の手に、無理矢理桜炎を握らせる。

 

詠「うわ……本当に軽い……」

 

この世界の武器はどれも力で叩き切るようなものが殆どだから

こういった系統の武器は初めてなのだろう。

それに加え真桜によって作られた桜炎。

軽く、丈夫で、切れ味も鋭い。

力の無い者が扱うにはまさにうってつけの得物だ。

 

一刀「今はちょっと左腕を激しく動かせないからそれを預けておくよ。

   俺の魂なんだからこの戦いが終わったらちゃんと返してくれよ?」

 

冗談交じりに言うが先程彼女達の疲労を吸い上げた影響で軽い目眩が襲う。

 

それに──

 

霞「……あんた」

 

一刀「さぁ、行くぞ」

 

それを感づかれないように、努めて明るく振舞った。

霞は感づいてるっぽいけど。

 

……短期間に二度は……ちょっとキツいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴々「凪ーーーーー!!星ーーーーー!!」

 

星「鈴々!!」

 

少数の兵を引き連れ、凪と星が洛陽へ突入し、

一刀と合流しようと進んでいると前方から鈴々達が走ってきた。

しかし一緒にいるはずの彼の姿が見えない。

鈴々と同じ班の兵達は一緒にいるのに、彼の姿だけが無い。

 

凪「鈴々様!!隊長は何処ですか!?」

 

星「主はどうした!?」

 

その事を確認した二人が焦りを隠そうともせずに鈴々に問う。

 

鈴々「お兄ちゃんとは……はぐれちゃったのだ……」

 

凪「なっ……!」

 

星「何が起きた!何故主だけがはぐれた!」

 

鈴々「変な白い奴らがたくさん出てきて……!

   お兄ちゃんと一緒に逃げてたのに、

   走れってずっと後ろで叫んでたのに……!!

   鈴々がちゃんとお兄ちゃんの事守るって言ったのに!!」

 

凪「────ッ!」

 

気が動転しているのか、説明がちぐはぐで星には理解出来なかった。

しかし凪は解った。

 

白い奴ら──白装束。

 

あの集団は前の世界でも自分たちの国を襲撃してきた。

何故この街にいるのかはわからないが、凪たちがここに来たように、

白装束たちも何らかの方法でこの世界に渡ってきたのだろう。

しかし目的がわからない。

前の襲撃の時は、明らかな「明花」という目的があった。

あの子の持つ不思議な力を狙って襲ってきたのだと聞いた。

ならばここでは?

この世界では明花とは出会っていない。

それどころかこの世界に明花という存在が居るのかすらも解らない。

そして鈴々の言うことが本当なら、ここでは一刀を狙っているという事になる。

 

星「すまない、落ち着け鈴々。

  順を追って聞く。

  まず、その白い奴らというのは何者だ?

  董卓軍の兵ではないのか?」

 

鈴々「多分違うのだ……気配なんて全然なかったのに、

   突然現れたと思ったら鈴々達を囲んで襲ってきたのだ」

 

星「ならば、囲まれる程の数からどうやってここまで逃げてきた?」

 

鈴々「とにかくお兄ちゃんと鈴々で前に突っ込んで逃げてきたのだ。

   ……それでお兄ちゃんが途中でいなくなっちゃったのだ……」

 

彼を守れなかった事が悔しいのか、歯を食いしばり俯いてしまう。

 

星「……状況は解った。

  襲ってきた奴らが主と共に居なくなったという事は、

  そやつらの狙いは主のみという事になる」

 

そこで言葉を区切り思案する。

そして何かに気づいたように顔を上げ、

 

星「いや、主だけでは……ないのか?

  何故この街には住民はおろか、董卓の兵達も居ない?」

 

辺りを見回すも、民や兵……人間の存在がない。

まるで忘れられた廃村のように、不気味な程に静まり返っている。

 

凪「……その白い装束の者達には……心当たりがあります」

 

星「何?」

 

鈴々「本当か!?」

 

それまで黙っていた凪が言葉を発した。

まるで何かを堪えるように拳を握り占め、言葉を続ける。

 

凪「以前、奴らが襲撃してきた事もあります。

  でも、その時の目的は隊長ではなかったはずです」

 

星「……では、奴らは何が目的なのだ?

  何故主を狙う?」

 

凪「解らないんです……!

  確かに我々は奴らを返り討ちにしました!

  でもそれは──」

 

前の世界での出来事だった──とは、言えなかった。

一刀ならばともかく、凪の素性が知られてしまえば、いずれそこから綻びが生まれる。

その綻びから不運が繋がり、もしも彼女が二人いると認識されてしまったら。

自分自身と出会ってしまえば、凪は彼を守るという大切な使命を果たせなくなってしまう。

 

星「……凪?」

 

白装束の大切な情報であろう事を言えないもどかしさに、悔しさがこみ上げる。

 

凪「……奴らの狙いが何なのかは解りません。

  しかし隊長を狙っているというのであれば、

  私はそれを打ち砕くだけです」

 

星「……とにかく、ここに留まっていても仕方がない。

  主を探そう」

 

凪を見て何かを感じ取ったのか、深くは追求せずに提案する。

 

凪「では隊長の氣を探します、しばらく待って────ッ!」

 

言葉を続けようとした凪は、突然その場で身体を反らし、腕を突き出した。

その突然の行動に驚き二人が目を向けると、突き出した凪の手には矢が握られていた。

 

星「なっ……!」

 

鈴々「にゃ!?」

 

凪「…………!!」

 

矢の飛んできた方向を見ると、そこには星達には見慣れない、白装束の姿。

そして凪にとって、二度と目にしたくはなかった姿が集団で並んでいた。

 

星「こいつら……!?いつの間に……!」

 

鈴々「同じなのだ!さっきもこうやって突然現れたのだ!」

 

全く気配を感じなかったにも関わらず、自分たちの目の前に広がる白い群れ。

その中には董卓軍の兵であろう者達の姿も見える。

だが明らかに様子がおかしい。

まるで夢遊病のように、ひどく表情が虚ろで、足もふらついている。

決して軍団では無いが、街の中で戦うにはあまりにも多すぎる。

それが突然、自分たちの前に現れたのだ。

 

「ふむ、見たことある顔が……1つあるな。

 ま、この外史で会ったことは無いが」

 

白装束の群れの中からひとりの男が出てきた。

星に視線を向け、独り言を呟いている。

その男の姿に凪は驚愕した。

何故なら、その男は、一刀が──

 

 

 

 

兀突骨「まぁ……何でもいいか」

 

 

 

 

──確かに、彼が討ち取ったはずの男だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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凪達が異変を感じ取り、洛陽へ突入する同時刻。

 

愛紗「……遅すぎる」

 

怪我により桃香の護衛という形で待機させられていた彼女も、偵察部隊の帰還が遅い事に焦燥を覚えた。

 

桃香「どうしたんだろう……何かあったのかな……」

 

心配そうな表情で洛陽の街を見つめる。

すると、洛陽の前で待機していた凪と星の部隊が慌ただしく動いているのが見えた。

 

朱里「……?凪さんと星さんの部隊に動きがあるみたいです。どうしたんでしょう?」

 

雛里「少数の部隊を編成しているように見えます……街に入るのでしょうか?」

 

凪と星が声を張り上げ、少数部隊を連れ洛陽へ入っていった。

 

愛紗「何故偵察が帰ってきていないのに入城する?……やはり何かあったのでは──」

 

しばらくすると、洛陽の中から出てきた星の部隊の一人がこちらへ走ってくる。

 

「ほ、報告します!」

 

皆が不安の色を見せていると、趙雲隊の者が焦った様子で桃香達のもとまでやってきた。

 

「洛陽内にて偵察部隊が謎の集団と接触!

 楽獅隊、趙雲隊共に少数部隊を編成して援軍へ向かったところ、

 奇襲を受け戦闘中!」

 

愛紗「なっ……!?」

 

朱里「謎の集団ってどういうことですか!?董卓軍ではないのですか!?」

 

「は!董卓の旗は確認できず、身につけているものも白い装束で、

 どこの軍にも所属はしていないものと思われます」

 

雛里「……もう少し詳しい情報を教えてください。

   街の様子はどうなっていましたか?」

 

「董卓軍も住民もひとりとして居らず蛻の空でしたが、

 突然現れた白装束の集団に襲撃されました。

 状況から言って、先に偵察していた者達も接触している可能性が高いと思われます」

 

朱里「その白装束達は本当に董卓軍ではないのですか?」

 

「中には董卓軍の兵もおりましたが、どうにも様子がおかしく、

 ふらついている者や虚ろな表情をしている者ばかりで

 意識は無いのに身体だけが動いているようで、

 まるで何かに操られているような……」

 

雛里「…………!」

 

”操られている”

その一言で雛里の頭には一刀の話が思い浮かんだ。

呂布を操っていたという妖術師。

その特徴も確かに白装束と言っていた。

そして術によって彼女に命じた事は……彼の抹殺。

 

雛里「まずいかもしれないです……

   もしその白装束というのが今回の呂布の件に絡んでいるとしたら、

   狙いは間違いなくご主人様という事になります……!」

 

愛紗「鈴々は……!ご主人様はどうなってる!?

   先に洛陽へ入城したはずだ!」

 

「張飛将軍は我らの部隊に合流致しましたが、北郷様とははぐれてしまったらしく……」

 

桃香「そんな……!」

 

愛紗「……ッ!!

   関羽隊!我らも洛陽へ突入するぞ!!」

 

彼が行方不明という報告に耐え切れなくなり、愛紗が自分の部隊を動かそうと声を張る。

 

桃香「愛紗ちゃん!?怪我してるんだから無茶したら──」

 

愛紗「ご主人様の命が危険なんです!!

   それに比べればこんな怪我くらいどうにでもなります!!」

 

桃香「……ッ!」

 

今まで見たことも無い剣幕で愛紗が怒鳴る。

主人である桃香に怒声を上げる事など一度もなかった彼女が、それに気が回らない程に焦っている。

確かに一刀の行方が解らないという事に皆も焦燥や不安を覚えるが、

彼女のそれは一線を超えているように思えた。

 

桃香「……落ち着いて、愛紗ちゃん。

   ご主人様の身が危険に晒されている事は、皆不安で──」

 

愛紗「違う……!そうじゃないんです……!」

 

まるで涙を堪えているかのような声に、桃香達は驚いた。

しかしそれと同時に、何が彼女をそこまで追い詰めているのかがわからなかった。

確かに一刀が行方不明になっている事には焦りを覚えるが、彼とて一軍の将。

黄巾党の時も、この反董卓連合での戦いでも、彼は最前線で戦っていた。

さらにはあの呂布でさえ、彼は止めてみせたのだ。

そんな彼がそう簡単に討たれるとは思えない。

 

愛紗「……申し訳ありません、少し……取り乱しました」

 

桃香「何がそんなに……不安なの?」

 

愛紗「……ご主人様が、天幕で私の手を握ったとき、

   私は只の悪ふざけだと思っていました」

 

多少落ち着きを取り戻した愛紗が、困惑の表情を見せる皆に静かに話し始めた。

 

愛紗「あの方は、少し悪戯な面がありますから、その類だと思っていました」

 

桃香「うん、私もそう思ってたけど……違うの?」

 

愛紗「手を握られて、さらに強く握られた時に、私の体に何かが流れ込んできたのです」

 

朱里「何か、とは……?」

 

愛紗「何と言えばいいのか……

   何かが手を伝わってきて、それが全身に広がって……」

 

雛里「……?」

 

愛紗「その時は気づかなかった。

   でもしばらくして、つい数刻前よりも痛みが和らいでいる事に気がついて──」

 

曖昧な説明に、理解が及ばない面々だったが、次の言葉で驚愕の表情へ変わった。

 

愛紗「……今、私の肋の骨折部分は、既に治りかけているそうです」

 

桃香「え──」

 

愛紗「何度も確かめました!

   医療班の者に何度も確かめて、

   最初から骨折などしていなかったのではないかと確認しました!

   でも──」

 

朱里「ち、ちょっと待ってください!

   つまり……ご主人様が愛紗さんの怪我を治したって事ですか……?」

 

愛紗「私だって解らない!でも……!

   私の怪我が緩和されてからすぐのご主人様は……

   尋常ではない程に疲弊していた……!」

 

雛里「……呂布との戦闘のせいとは考えられませんか?」

 

愛紗「それも考えた。

   でも……では何故治療を受けている時は平気だったのだ?

   何故、天幕に居たあの時にご主人様は突然疲弊した?」

 

雛里「それは……」

 

愛紗「それに……あの話の後、ご主人様本人にも確かめたんだ。

   そうしたらあの方はこう言った……

   『皆には内緒だ』と」

 

朱里「ご主人様が……」

 

愛紗「……あの方は、確かに不思議な力を持っている。

   でもそれは──」

 

彼女の言わんとしている事はわかる。

でもにわかには信じられなかった。

何故なら、彼女が言おうとしていることは──

 

朱里「そんな事が……ありえるのでしょうか……」

 

愛紗「とにかく、ご主人様は今、私達の比にならないほどに疲労しているはずだ。

   確かにあの方は強い。

   だが今の状態で敵に奇襲でもされてしまえばひとたまりもないんだ」

 

自分の身に起こった事、彼の身に起こっていた事を話し終え、愛紗が桃香の前に跪く。

 

愛紗「……お願いします、私にあの方のもとへ行く許可をください。

   私が黙っていたばかりに、あの方が命の危機に晒されてしまった……

   このままでは本当に……死んでしまう……!」

 

ここに来るまでに董卓軍と出会わなかった事、

鈴々が彼に付いているという事に完全に油断していた。

このまま何もなければ、などと。

これは戦だ。

そんな甘い話がある筈がないのだ。

 

桃香「……わかったよ、愛紗ちゃん。

   でも条件がひとつ」

 

その言葉に、愛紗は顔を上げ──

 

桃香「私達皆で、ご主人様を助けに行こう?」

 

愛紗「ッ……!

   ありがとございます!」

 

桃香「ううん、当たり前だよ。

   ご主人様の命が危ないんだもん。

   いくらご主人様の指示でも、こんなところに居られないよ」

 

そう言い、各部隊を再編成していく。

その途中、桃香は愛紗が言おうとしていたであろう言葉を思い浮かべていた。

彼女の怪我を、治癒したというその能力。

そしてその直後に彼を襲った疲労。

自ずと答えは出てしまう。

 

それは──

 

 

自らの命を削っているのではないか、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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桃香達の後方で進軍していた彼女達も、異変を感じ取っていた。

 

夏侯淵「劉備軍が慌ただしく動いているようですが……」

 

曹操「……董卓でも見つけたのかしら」

 

夏侯淵「…………」

 

「報告します」

 

先行していた桃香達の動きを見ていると、潜り込ませていた斥候が帰ってきた。

 

夏侯淵「どうした」

 

「先行していた劉備軍と謎の敵軍が接触したとのことです」

 

曹操「……謎の敵?董卓の兵ではないの?」

 

「は、それが奇妙な白い装束に身を包んでおり、董卓の兵とは全くの別物のようです」

 

夏侯淵「白い装束……か」

 

夏侯惇「いかがなさいますか?華琳様」

 

曹操「…………」

 

少し思案する。

その白い装束に身を包んだという者達。

それが董卓軍ではなく、しかも街の中に居て、連合軍である劉備軍と接触し、戦闘している。

本来ならばそんな面倒なことに自分の大切な兵士達を向かわせる気にはならない。

だがこの時、何故か、ふと浮かんだ顔があった。

黄巾党を殲滅した時に出会った、寂しそうな表情をしたあの男。

 

曹操「秋蘭、春蘭、貴方たちの隊の中で精鋭を選んで小隊を組みなさい。

   街中で戦闘となれば大軍では部が悪い」

 

夏侯淵「……行くのですか?」

 

曹操「私達三人で行く。それ以外の者は指示があるまで待機しなさい」

 

「はっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孫策「白い装束……ねぇ」

 

孫策のもとにも一刀達が白装束と接触したことが伝えられた。

 

周瑜「……どう思う?」

 

孫策「御遣い君が言うには、その白い装束を羽織った連中が呂布に術を掛けていたそうだけど」

 

黄蓋「ふむ……只の与太話ではなかったか」

 

孫策「んー……ね、冥琳」

 

周瑜「ダメだ」

 

孫策「まだ何も言ってないじゃないのよ〜」

 

周瑜「どうせロクなことを考えていないのはわかっている」

 

二人が言い争っていると、袁術からの遣いがやってきた。

 

「袁術様より伝言、孫策隊は速度を上げ進軍、洛陽へ入り状況を把握、

 そのまま洛陽で袁術様が到着するまで待機せよ」

 

孫策「…………」

 

周瑜「…………」

 

黄蓋「…………」

 

その袁術の伝言に三人は沈黙。

お互いの顔を見合い、

 

孫策「……馬鹿なのかしら」

 

周瑜「……今更だろう」

 

黄蓋「手柄をくれるというのであれば、ありがたく貰っておくとするかの」

 

孫策「そうね、どうせ一番手柄は自分が欲しいから洛陽を確保しとけって言いたかったんだろうけど

   これじゃさっさと言って落としてこいって言ってるようなものだものね」

 

周瑜「今、洛陽はその白装束以外は蛻の空だそうだ。

   袁紹が暴走しないうちに功名を挙げておいたほうがいいかもな」

説明
ヤバい。
蜀編を長くする気はないとか言っておきながらもう結構な話数に。
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魏エンドアフター 魏√ 真・恋姫†無双 恋姫 北郷一刀 主人公強化 

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