魔法戦記リリカルなのはmemories 最終章 新たなる聖王の歴史(メモリー) 本幕【終わり、そして始まりの日】 第九十四話
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「酷い……」

 

 それぞれ別行動となった後、ティアナとスバルの腐れ縁の二人は共に行動して、目的地に着くとその光景の酷さについティアナは呟いていた。

 ティアナたちが今いる所は数十分前にリィナが居た場所で、そこには無残に体を半分にされた管理局員が多数おり、一人だけ体の正面から刺されている人を見つけた。

 ティアナたちがここに居るのかというのは、ここで管理局員じゃない魔力反応を数十分前に確認したものだから急いで向かってみたのだけど、来てみたときにはすでに遅く、管理局員たちの死体が散らばっているだけだった。

 この光景を目のあたりにしたティアナたちは、もう戦争は始まっているのだと知る。しかも状況から見るに、容赦なく殺しているという事がなんとなく察しがついていた。

 

「ティアナ……すぐにここから出よう? こんな光景、酷過ぎて見てられないよ……」

 

 スバルはこの光景を最初見たとき、あまりの酷さに吐き気が襲ってきたくらいだった。ティアナもあまりこのような光景は見慣れていないけども、スバルほど悲惨な状況でもなかった。

 だがスバルの言うとおり、これ以上ここに居る必要はない。もうこの場所に敵の存在は感じられない為、この場所に留まる必要もなく、さっさと敵を追うべきだとティアナは思った。

 

「そうね、彼らの死体を何とかしたいところだけど、今はそんな事をしている場合じゃない。敵はまだそれほど遠くまで行ってないはずだから、急いで追いかければ追いつくかもしれない。彼らのためにもこれをやった本人を捕まえなければ――」

「そうだね。それならば早く急がないと!!」

「ちょ、ちょっと引っ張らなくても良いでしょ」

 

 スバルは早くこの場から去りたいという気持ちもあって、そう言ったのだろうとティアナはなんとなく思うが、別に分からなくもないし、こんな光景をずっと見ているのはティアナですら気持ち悪くなるだろうと思い、これと言って何も言わなかった。

 ティアナはスバルに腕を捕まれて引っ張られるような感じで、この死体がある場所から遠のいていこうとしたその時だった。

 

「……なんとなくここに来るんじゃないかと思ってたけど、本当に来るとは思ってなかった」

「っ!?」

 

 突然の声にスバルとティアナは驚き、声が消えてきた方向へとすぐに振り向く。

 そこに立っていたのは、このような死体だらけに作り上げた張本人であるリィナ・シルフィアとその姉であるデュナ・シルフィアの二人だった。

 二人を見つけた瞬間、すぐさま戦闘態勢に入り、警戒をしながら状況をうかがう。言葉から察するに、このような状況を作り上げた張本人なのかもしれないし、下手に動けば殺される可能性だって考えられたからだ。

 

「……あなた達がこんな事をしたのですか?」

 

 確認をとるために、ティアナがシルフィア姉妹に向けて問う。もしそうであれば、これ以上の警戒をしなければならないと感じ、かなり強いだろうと思ったからだ。

 管理局員とは言えども、さすがにそう簡単に殺されるわけがない。そのような対策もされているだろうから、こうも簡単にやられるわけがないと思っていた。さらに言えば、多数の管理局員対二人の敵でこのような状況を作ったとならば、目の前の二人がかなりの危険人物だと認識するべきだとも思っていた。

 そして、そのティアナの問いにリィナが答えた――

 

「そうだよ。正確に言えば私一人で管理局員を全員殺したと言えばいいかな?」

「なっ、こんな人数を全部一人で!?」

「うん、正直言えば弱すぎたけどね」

 

 ――危険だ。ティアナとスバルはその言葉を聞いてすぐに直感した。

 リィナのごく平然としたような言い方。それは殺すことにためらいがないという事だとを教えているようなもので、リィナに対しては危険人物だとすぐに認識していた。

 デュナに関しては一応管理局として働いていた時期もあるため、大体の魔法の使い方などは管理局側にも把握できている為、今はその妹であるリィナを優先事項として考えるべきだと察した。

 

「それでリィナ、どうするの? さっきみたいに私は唯見ていればいい?」

「う〜ん……それで良いかな? まぁ、どうするかはお姉ちゃんに任せるよ」

「そう、じゃあ私は観戦してようかな」

 

 するとデュナは突然と姿を消し、リィナだけがこの場に残っていた。

 デュナが居なくなったことを確認すると、リィナはスバルとティアナがいる方へと向ける。

 

「さて、見た感じ死ぬかもしれないという覚悟はあるようだけど、どのくらい強いのか試してもらうね!!」

 

 刹那、リィナは魔法で使用し、スバルとティアナに何かを飛ばした!!

 しかしスバルとティアナの二人は先ほど殺された管理局員とは違い、何か気配を感じてすぐに対応に動き出した。

 すぐさまティアナがダガーモードに変更し、リィナが飛ばした何かを弾き返した。

 

「あれ? 避けると思ったのにまさか弾き返した? 私の魔法を?」

 

 避けるまでは予想していた。だからリィナは避けたときの為にすぐに動けるように対策しており、次の手で殺めようとも考えていたくらいでいた。

 だからリィナが使った魔法を弾き返すと、リィナは思いもしていなかった。避ける方が確実に当たらない可能性があるというのに、危険が増す方を選択したのだからリィナが思う事は分からなくもなかった。

 そのリィナが思っている疑問に答えるかのように、ティアナは答えた。

 

「簡単な事よ。あのまま避けてたら多分あなたは確実に殺す手を考えていたのでしょう? だったらあなたが考えていないパターンで防げばいいという事よ」

「だ、だとしても、私の魔法は分からなかったはず!! 私の魔法は、((私以外に見えない|・・・・・・・・))魔法なんだから!!」

「それはまぁ、私たちの立っている距離、魔法が向かってくる速さを考えて、大体この辺りの時に弾き返せば良いと思っただけだから」

「そ、そんな事出来るわけがない!! あんな短時間でそんな事を計算するなんてありえない!!」

 

 あまりにもあり得ない答えがリィナにとって返ってきて、リィナは反射的に答えていた。

 余りにもありえなさすぎた。戦闘を開始してからそんなすぐに距離は魔法の速さを大体把握し、そのタイミングに合わせて弾き返すなんて前代未聞なレベルで、誰がそのような事をする魔導師が居るだろうかと誰もが思うぐらいだった。

 だが、リィナが思っていた短時間というのは少し間違っていた。戦闘が開始した時点ではなく、それ以前からティアナは準備をしていたのだから――

 

「一つ勘違いしているようだけど、私が距離や速さを計算したのは戦闘が開始する((よりも前|・・・・))だから。私が計算を始めたのはあなた達が姿を現した時、ここまで言えばどういう事か分かるでしょ。まぁ、計算したのは元々念のためだったけど」

「……少しは納得は言った。けどそうだとしても、余りにも短かすぎる」

 

 それでもたった数分の出来事であったし、それを防いだという事はかなり出来る魔導師だとリィナは思った。

 そう思ったリィナはこれ以上短時間でティアナが対応することが出来た事を考えることを止め、とりあえず次の行動に移ろうと考える事にした。

 

「まぁ、この際どうでもいい事だね。それじゃあ、次の攻撃は避けられるかな!!」

「ふん、当てられるものなら当ててみなさい!!」

 

 その直後、ティアナとリィナは同時に動き出した――

 

「……あの、あたしは何をすれば?」

 

 ……ティアナの後ろにスバルが居ることをお互いに忘れながら――

説明
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。

二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。

それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。



魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。
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コメント
↓それは、狸こと部隊長でいいだろ。(東文若)
スバルは置物になっていればいいと思うよ。(刹那・F・セイエイ)
スバル〜可哀そ〜(東文若)
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