魔法少女リリカルなのは聖伝 〜ヒーローズサーガ〜 ステージ5(後)
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過去の作品は此方です。

 

 

 

 

 

 

 

プロローグ:http://www.tinami.com/view/485896

ステージ1:http://www.tinami.com/view/488611

ステージ2:http://www.tinami.com/view/494108

ステージ3(前):http://www.tinami.com/view/502528

ステージ3(後):http://www.tinami.com/view/505890

ステージ4(前):http://www.tinami.com/view/510841

ステージ4(後):http://www.tinami.com/view/512490

ステージ5(前):http://www.tinami.com/view/514827

 

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(…何故?)

 

まあ、そんな事を考えてしまった総矢に罪は無いだろう。控えの選手の人数が足りないらしく、怪我をした選手と怪我をさせた転生者疑惑の有る選手を入れ替えた結果、一人だけ選手が足りなくなった訳だ。

そんな時に、偶然なのは達と話していた総矢に目をつけた監督であるなのはの父『高町 士郎』に頼まれて、こうして助っ人として参加したわけである。

なお、総矢のポジションは転生者疑惑の相手と同じフォワード。

 

『仕方ないな』

 

『まあ、諦めるしかないかな』

 

『ま、良い気晴らしになるんじゃないのか?』

 

上からダブルオー、オーズ、ゼロの順の言葉である。確かに時の庭園で幹部級になった転生者達の事…特に情報から推測すれば、実際に転生者はテンペラー星人とチーム・トリニティになった四人…ウヴァを含めても五人程度の人数でしかない。

だが、調査した転生者疑惑の行方不明者の人数はその程度ではなかった。特にミッドチルダ出身の方だけでも九人は居た。少なくとも、あと四体正体不明の幹部級の敵が存在している。

 

他にも、『時の庭園キューブ(命名)』に乗り込む為にはライドマシンの完成を急がなければならない。

少なくとも、主砲と最低限の第二の拠点としての機能だけは持たせる必要が有る。そうすれば、万が一何者かに拠点キューブを押さえられても総矢とヒーローズが活動する事に支障はない。

 

と、まあ直ぐに思いつくだけでも、考えるべき事は『大問題』と言うべき問題が存在している。確かにゼロの言うとおり良い気晴らしになるだろう。

 

点差は4対0で後半戦の中盤。…当然、翠屋FCの方が0なのだから、周囲は諦めムードが漂っている。…周りには悪いが気晴らしの為に気楽にプレーしても問題は無いだろう。寧ろ、散々足を引っ張るのがエースで試合時間の四分の三の間、四点に押さえた時点で頑張ったとも言えるが。

 

(…まあ、こんな状況で勝ち目が有ると思う方が不思議ですよねー…。それじゃ、気晴らしに…)

 

そんな事を考えながら渡されたボールを思いっきり、

 

(派手に行こうか!)

 

蹴る!

 

背中にオーズの姿が幻視されそうなキックで打たれたロングシュートが惜しくもゴールポストを叩く。反撃開始の狼煙を兼ねて、少しは周りにやる気を出して貰おうと思っての行動なのだから別に外しても問題は無いだろう…。

 

「さ、反撃開始ってね」

 

総矢の予想通りチームの士気は上がる。前のが出来なかったチームの支柱の役割を担うためにしてみたが、少しは上手く行った様子だ。

 

『「さあ、本当の戦い(試合)は此処からだ!」』

 

総矢とゼロの言葉が奇しくも重なる。そんな、『サーガ』でも誕生しそうな台詞が零れる。試合時間は全体の四分の一、それで五点の得点が勝利には必要だが、

 

(まあ、諦めムードよりは、諦めずに戦った方が気分は良いだろうからね)

 

負け戦よりはマシと思いながら、総矢も走り出す。

 

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(総矢くん、凄いの)

 

なのはは総矢の活躍を見ながらそんな感想を零す。生身でも変身するまで敵の相手を出来る程度の技術は学んでいる。

主に回避だけだが、それには少なくとも全体を見る広い視野も必要となる。総矢も変身前に襲われるのが一番の弱点と自覚しているのだから、それは必須な能力だろう。

そのスキルは今回試合でも主に活かされている。ダブルオーの姿を幻視させる動きで相手を交わして的確な部分でパスを決めて攻撃の主軸となる。

 

「決める!」

 

背後にゼロの姿を幻視させながら、決めたシュートが試合終了ギリギリでゴールへと放たれる。ゴールに突き刺さった直後に試合終了のホイッスルが鳴った。同時に湧き上がるのは、チームの歓声。劇的な逆転勝利と言う状況に全員が素直に喜んでいるのだ。

 

付け加えておくが、別に分裂した訳でもなければ、ボールが燃えた訳でもない。普通にシュートしただけだ。ヒーローズへの変身能力とヒーローズの全面協力の元、努力で身に着けた人よりも高い身体能力だけの普通の人間なのだし。……どう考えても普通とは言えないだろうが。

 

これによって、4対0から4対5と言う劇的な逆転勝利を収める事となった。なお、転生者疑惑の選手が悔しそうな顔をしているが、それは劇的な勝利に盛り上がっている結果、誰も気に止められてはいない。

 

その後、一番の功労者と言う事で誘われた祝勝会を兼ねた食事の誘いを丁重に断ると総矢は、

 

(…ありがとう、少しは前向きに考えられそうだ)

 

『気にするな』

 

(…少なくとも今は問題を一つずつ迎え撃つしかない)

 

『それしか手が無いって言うのも情けないけどね』

 

オーズの言葉に苦笑してしまう。少なくとも、キューブを構成した上でガーディアンまで配備された敵の本拠地となった時の庭園に乗り込むのは、ライドマシンが未完成の今のままでは不可能だ。

付け加えるなら、総矢もヒーロー達も科学者は一人も居ない為にライドマシンを完成させる為には拠点キューブの設備に任せるしかない。

 

「…当面は高町さんを守りつつ、敵の迎撃をしつつジュエルシードを守る事か」

 

『それしかないな』

 

小声でそんな言葉が零れる。

 

(…暫くメインで力を借りるのは、地上はオーズで、空中はダブルオー。ゼロには悪いけど、大型の相手への対策で切り札になってもらう)

 

『ったく、いい加減退屈で体が鈍りそうだぜ』

 

少なくとも地球に来てから敵はMS系や怪人系としか戦っていない。相性は別だが、巨大な相手と戦うには、どうしてもゼロの力が必須で有る以上、三分間と言う制限時間のあるゼロの力は軽々と使えない。

その為にゼロには悪いが必要な時以外はゼロには待機して貰っているわけだ。逆に空中の敵と効率的に戦えるのは空中戦の得意なダブルオー、地上の敵にはオーズと、戦闘時間に制限の無い二人には十分に活躍して貰っている。……もっとも、ダブルオーの場合はトランザムを使うと一時的に能力が低下する弱点が有るが。

 

そんな事を考えている時、突然の振動と衝撃音が響く。

 

「え゛」

 

それに驚いて、顔を上げて見上げてみると巨大な樹木…………と機械が合体した様な巨大な怪物と、街中に広がり始めている大樹の根と言う光景が広がっていた。その光景に総矢は思わず唖然と呟く。

 

「…なんで、“グレートモンスター”が?」

 

グレートモンスターとはウルトラマングレートの原作で登場した怪獣の事である。ウルトラマンシリーズの中でも、海外作品であるグレートの怪獣は同じく海外作品であるウルトラマンパワードの初代のリメイクと言うデザインの怪獣と違い、完全に海外で作られた為に他のウルトラマンシリーズと比べても異質なイメージを持っている。有名どころではゴーデス、コダラー、シラリー等が上げられるだろう。

 

街を埋め尽くさんとする根の中心部……この世界の本来の歴史ならば大樹だったそれは、どう言う訳か植物と機械の融合したグレートモンスター『電脳植物 バイオス』と似た巨大な怪物となっていた。どう考えても悪意と関係して居るとしか思えない。少なくとも、何らかの形で悪意の影響を受けたのだろう。

 

「っ!? こんな事してる場合じゃない、ダブルオー!」

 

『分かった』

 

「ゼロ、久しぶりに出番がありそうだ!」

 

『おう! 待ち侘びたぜ!』

 

疑問を打ち消す様に頭を振って、素早くダブルオーへと変身し、緑のGN粒子を撒き散らしながら飛翔する。

 

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???SIDE

 

「くそくそくそくそくそくそくそ!」

 

街中をそう叫びながら不機嫌も隠さずに歩いているのは、転生者疑惑の有った選手だった。いや、完全に彼は、

 

(…なのは達との接点が出来るようにサッカーチームに入ったって言うのに、オレの邪魔したあのザコ共に、後から出てきていい所もって行きやがったあのモブ野郎!)

 

この転生者くん、年齢も学校もなのは達と違い、彼女達との間に接点がなかったらしく、少しでも接点を持つ為に翠屋FCに入ったのだが、結果今日の試合では総矢の前座となってしまった。

元々……じゃなくて、転生後の高い運動能力を武器にエースストライカーの座まで勝ち取ったのだが、結果的に本日は完全に自分勝手なプレーでチームメイトの足を引っ張り、大ピンチに追い込んでしまった訳だ。そして、最終的には総矢の加入で奇跡的な逆転勝利へと繋がる名脇役となったのだが、

 

(オレはオリ主だぞ!!! なんであんなモブの…)

 

彼がそんな事を考えながら歩いていた所にバイオス(仮)の巨体の出現と共に街中に巨大な根が広がっていく。

 

(あれは! ジュエルシードの暴走態か!? よし、あのジュエルシードを手に入れて…)

 

そんな事を考えながらニヤケタ表情を浮かべている。……だが、哀れにも彼は気付かない、己へと近づいてくる黒い霧の様な物に。黒い霧に怪物の様な顔が浮かぶと、ゆっくりと彼の中へと溶け込んでいく。

 

…黒い霧の中に浮かんだ顔、それを総矢が見ていればこう言っただろう。……『ボガール』と……。

 

説明
異世界からの悪意によって滅びを迎える未来を回避すべく、三人のヒーロー達は一人の少年に力を託す。

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