現代に生きる恋姫達 目指すは恋姫同窓会 星の中編
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俺は上機嫌で帰路についていた。

 

この日、サバゲー同好会の友人に誘われて大会に参加した。

結果は3位。参加人数が30人前後と多いのか少ないのか微妙だったが、

明らか軍人とか堅気じゃなさそうな奴がいた中でこの順位は上々だろう。

ちなみに、優勝はさっき言った軍人っぽい人。

 

賞品の銃(ガスライフル)もゲットしたことだし、

さぁ帰ろうと、近道の裏通りを通って、

もう少しで表通りに、と言うところでそれが起きた。

 

車が一台、とてつもない勢いで突っ込んできた。

 

カーブしようと減速していたのが幸いして、

急ブレーキ・急速バックで何とかぶつからずに済んだ。

避けた俺の横を、突っ込んできた車は素通りしていった。

 

ぶつからなかったことにほっとしつつ、

あんな危険な運転で事故になりかけたのに、

停まって謝りに来ることもないことに苛立ちを覚えて、

ナンバーを確認して通報しようと考えるが、

その思考は中断せざるを得なくなった。

 

ガシャン!と自分のすぐ近くで起こった大きな音。

振り返ると、そこには壁に激突した白バイと、

その近くに白バイの運転手らしき人がうつぶせで倒れていた。

 

流石に無視できず、車から降りてその人に声を掛けた。

 

「ちょっ、大丈夫ですか!?」

 

「あ、あぁ。受身は取れたからな。大した怪我はない」

 

そう言ってるが、受身と言ってもバイクから飛び降りて、

衝撃を逃すために着地しつつ転がると言ったものだろうから、

地面がアスファルトだと結構痛いだろう。

多分痛みによるもので、起き上がりながら少し身体を震わせてる。

 

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ゆっくりとだが、うつ伏せだった体勢から立ち上がった。

服の上からでもわかる胸の膨らみから女性だったことに驚いたが、

ヘルメットを取ったことで相手の顔を見てまた驚いた。かなりの美人だった。

 

偏見かもしれないが、女性が白バイに乗るのはかなり珍しいと思う。

そんでもって、荒事警察関係の仕事をこんな美人がしていることも。

 

ただ、ちょっと気になるのは、

その顔、どっかで見たことがある気がするんだが…

あっちも、メットを取ってから俺の顔を見て何故か驚いているようだし。

 

驚いていたのもすぐに直って、今度は一変して険しい表情になった。

 

「すまないが…私の前に暴走車が来なかっただろうか。

 私は今、その暴走車を追跡中でな」

 

「あぁ、ついさっき俺の横を通り過ぎていったけど」

 

「その後の足取りはわかりませぬか!?」

 

「いや、そのすぐ後に来た婦警さんに気を取られちまって…」

 

「っく、そうですか…」

 

どんな事件かはわからないけど、逃してはいけなかったのか、

かなり悔しそうな表情を浮かべる。

 

「まぁ、この通りを抜けてったって事は、

 逆送しない限りは、あっちに抜けた後は右折したと思うんですけど。

 たしか一方通行だったと思うんで」

 

「…もしかして、このあたりの地理に詳しいので?」

 

「何回かこの辺りを散策してるから、多少裏道がわかる程度は」

 

俺がそう答えると、今度はやる気に満ちた表情を浮かべた。戻ったと言うべきかな?

 

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「すまないが、犯人の追跡に協力してもらえないだろうか?」

 

「は?協力って」

 

「君の車を貸し…いや、君が運転して車を追跡して欲しい」

 

「いや、いきなりそんな事言われても…

 てか、その言い方だと婦警さんと俺で追跡するって事ですよね。

 他の人に任せるとかはダメなんですか?」

 

「そう言うわけには行かないのだ。

 何しろ相手は拳銃で武装していてな。

 私が乗っていたバイクもタイヤを撃ち抜かれてしまい、

 タイヤがパンクしてああなってしまったのだ。

 まぁ、バイクのことはともかく…

 銃を持つ危険人物を応援を待つ時間だけだろうと放って置くなどできん!

 と、言うわけで…

 近くに他の者がいない、目の前に君がいる。

 よって協力して欲しい」

 

一言説明を加えるごとに、俺を車に追いやる勢いで迫る婦警さんには、

なんと言うか…有無を言わせぬ迫力があった。

が、それでも踏ん切りがつけず、俺はささやかな抵抗をした。

 

「いや…さっきの車を追うとしたら、

 道路交通法とか違反しちまうんじゃ」

 

「大丈夫だ、私が許可する。問題ない」

 

自信満々で言い切られてしまった。

てか、今のってネタなのか?それともマジなのか?

 

「問題ないっつっても、ただの車で追いかけてたら俺が捕まるじゃん」

 

「世の中には覆面パトカーというのがあるだろう。

 あれは外見が乗用車の車にパトランプを付けただけだ。

 君の車でも良いのだ」

 

「…で、そのランプはどこに?

 パッと見、覆面用のランプは見当たらないけど」

 

「それも問題ない」

 

タイヤがパンクし、ぶつけて所々ひしゃげたバイクに近づく婦警さん。

後部の荷箱の中にでもランプがあるのか?と、思ってたが…

 

「ハァア!」バキン!

 

俺は開いた口がふさがらなかった…

なんと、婦警さんは突然回し蹴りを繰り出したかと思うと、

白バイについていたサイレンランプを蹴り取ってしまった。

 

ちょうど俺のほうに飛んできたランプを呆然と受け止めると、

婦警さんは少しドヤ顔で戻ってきた。

 

「これで良いだろう。それでは、行こうか」

 

言いながら、俺の手からランプを取って、

俺の車の上に取り付け、婦警さんは助手席に乗った。

 

これはもう止められないと諦めた俺は、

車に乗って運転を始めた。

ランプの赤を光らせ、サイレンの音を鳴り響かせながら…

 

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side.星子(星)

 

私の名前は常山星子。職業は刑事。

そして前世では趙雲子龍で真名は星であった。

 

私が前世のことを思い出したのは、

とある漫画のキャラクターと見たからだ。

 

そのキャラクターとは、全身黒タイツに蝶の仮面をつけた公爵。

その行動や言動、何よりもその仮面を見ているうちに私は思うようになった…

このような者に、蝶の仮面をつける資格はない!!

自分が蝶の仮面をつけていたなら、取っていた行動は!?

と、思い考えるようになっていた。

 

何故このような考えが、特に比較対象として自分が浮かぶのか?

その答えは簡単だ。かつて自分がそうであった記憶があるのだ。

いつ、何処で、どのような状況で…

そう考える内に、私は前世のことを思い出した。

 

かつて、私があの蝶の仮面を手(額)に着け、

正義を行っていたあの時を、あの時代を、あの世界を。

同時に思い出す三国の仲間たち。

そして主と慕っていた天の御遣いこと北郷一刀。

 

前世を思い出した私は、それからどうしようか考えた。

学校で三国志を習っていたので、

正史で語られる三国志とは異なった三国志の世界、

それが私たちが生きた前世であることには考え到った。

 

そうなると、私と同様あの世界から転生した娘もいるだろうが、

私以外にいるかいないかは正直未知数。

ならば、記憶を取り戻すきっかけとなる存在に会えた様に、

運命に身を任せて、何かしらの形で向こうから来るのを待つことにした。

 

その事を決める時期が、ちょうど将来について考える時期でもあり、

前世がそうであったように、この世界、

現世でも正義に生きようと思い、刑事を目指し、今に到る。

 

前世のように、騒ぎを聞きつけ西へ東へと駆けて、

騒ぎや事件の元、犯人を槍を振るって事件解決。

と言うわけには行かず(実行したらむしろ自分が捕まる)、

事件がそこまで多くは起こらない日本の中で、

交通違反者・引ったくり犯・窃盗犯・痴漢・その他諸々を捕らえ、

数々様々な試験をクリアして刑事になることが出来た。

 

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念願の刑事という正義の執行者になることは出来たが、

私は一つ不満?を持っていた。

それは、前世のような戦果を挙げる機会に巡り合えないこと…

 

武人としての前世を持つ私は、記憶だけでなく、

その武人としての性(さが)も少なからず引き継いでいた。

 

強大な敵と相対し、これを打ち破り、勝利し、

その功績を多くの者に認められ褒め称えられる。

そんな経験をしたいと思うのだが、現代日本に生きていると、

その様な機会には中々巡り合えない。

 

それだけ私の身の回りが平和であると言うことで、

それはそれで喜ばしいことなのだが、

それでもやはり前世から引き継がれた武人の性、

武人としての喜びも味わいたい。

これは贅沢なのだろうか…

 

そんなジレンマを抱えつつ、刑事として生きていたある日のこと。

 

後輩が急な用事により、たまたま時間が空いていた私に、

次の休暇などの都合するので巡回の仕事を代わってくれないかと頼まれた。

 

担当する事件もないし、特別用事があるわけでもない。

なにより、可愛い後輩の頼みと言うことで私はそれを了承した。

 

巡回の仕事は、担当する者が回る時間と場所しか見張れないが、

その中で起きる事件や事故には即座に対応、解決、対策を取れる重要な仕事。

それを自覚しつつ、後輩が回る予定だった巡回ルートを、

些細な事故・事件も逃すまいと気持ちを固めながら私は回った。

 

その時、それは起こった。

 

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巡回ルートの途中、赤信号で停まっていた私の目の前を1台の車が通り過ぎた。

メーターで確認するまでもなく、明らかにスピード違反であった。

すぐさまパトランプを光らせ、暴走車の追跡を始めるのと同時に、

本部の方にも連絡を入れた。

 

「こちら△△代理の常山刑事。現在スピード違反者を発見、追跡を開始。

 ナンバーは東京××−××」

 

『こちら本部、了解。ナンバーを確認………

 その車は、先ほど盗難届けが出された車であることを確認しました。

 そのまま追跡、可能ならば捕縛してください』

 

「常山、了解した」

 

通信を終えた私は、光だけでなくサイレンの音も発して白バイを走らせる。

 

 

「そこの盗難車!今すぐ車を停止し降車しろお!」

 

停車を指示するが、当然といえば当然で、

犯人は聞く耳持たず盗難車を走らせ続ける。

その後を私が追いかける。

 

車の前や後に出て停車を促す方が効果的かもしれなかったが、

暴走車は猛スピードのまま不規則に左右に動くので中々隙が出来ない。

その状態のまま粘っていると、私たちは大通りに出た。

それによって通れる道幅が広くなったことで、

フェイントをかけて横に並べるだろうところまで追いついた。

 

ちょうど横に並んだとき、窓が開いていたので顔を確認できると思ったが、

運転手の顔よりも、その男が手にするものに意識を集中した。せざるを得なかった。

 

男の手にあったもの。それは一丁の拳銃だった。

その銃口が私に向けられ、引鉄にかけた指が下がっていくのを見た私は、

即座に白バイのスピードを緩めた。

 

間一髪、発砲音が聞こえたかと思うと、

ヘルメットのバイザーガラスが割れ散った。

あと少しスピードを緩めるのが遅れていたら何処に当たっていたか…

 

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安心している暇はない。

犯人が銃を所持し、追っていた私が撃たれるたとなると、

応援が必要になる。しかし、それをただ待つだけではダメだ。

 

「こちら常山、暴走犯は銃を携帯、こちらに発砲。

 現在△△通りを西へ追跡中、応援を要請する。

 それから、私に発砲許可を要請する」

 

後輩の頼みで交代で仕事をするとは言え、

巡回の仕事である以上普段のスーツではいけない。

が、いつ何処で事件が起こるかはわからないので、

5発式リボルバーは常に携帯していた。発砲には上の許可が必要だが。

 

『応援要請受諾、至急向かわせます。

 発砲許可ですが、可能な限り発砲は控えるようにとの事です』

 

「了解した。追跡を続ける」

 

通信を終えた私は、緩めていたスピードを再びフルスロットルまで持っていく。

その時、必要以上に手にこめていた力、

こんな状況であるにも関わらず、

私は自身がどこか高揚しているのを感じていた。

警察関係の仕事についていたとしても、

中々自分の身近で起こり得ないだろう大きな事件、

明確な悪との対決、ここで行かずして誰が行く!?

不謹慎であるが、私は今この場にいることに高揚・興奮していた。

 

 

暴走車がカーブした直後で見失いそうになるが、

カーブした後を私もスピードを一切緩めずに曲がり切る。

視界の中に暴走車を見つけて、そこに向けて走る。

 

追いかけること数分、遠く前方からパトカーが来るのが見えた。

私から見えているのだから、私より前にいる暴走車にも当然見えている。

 

相手が走りづらいルートで振り切ろうと考えたのか、

暴走車は狭い路地裏へと突っ込んで行こうとしている。

突っ込もうとしている先に1台の車が見えて衝突する!?

と思ったが、その車は上手く回避することが出来た。

目の前で一般人に被害が出なかったことに安堵するが、

それが隙となり、一発の発砲音が響き、

バイクの操作が効かず、私は転倒してしまった。

 

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…油断した。

一般市民に被害を出さないために奮闘して、

私自身がこんなことになるとは…

 

「ちょっ、大丈夫ですか!?」

 

「あ、あぁ。受身は取れたからな。大した怪我はない」

 

恐らく、先ほど暴走車と衝突しそうになった車の運転手から声がかけられる。

悔やみ仰向けになって伏せていた身体と顔を上げながらそう言った。

普段鍛えていたことと、上手く受身を取れたので、

少々痛みはあったが問題なく身体は動く。

 

ゆっくりと身体を起こし、バイクが走れなくなったので意味を成さなくなったメットをとる。

そして声をかけてきた人物の顔を見て…私は驚愕した。

 

その男の顔は、前世で私が主殿と呼び従っていた北郷一刀と同じだった。

 

相手も私の顔を見て驚いているのは、

前世で出会ったころよりも多少成長しているが、

髪と瞳の色こそ違うが前世と同じ顔である自分を見て、

私が”星”であることに驚いているのか。

それとも、別の理由か…

 

いろいろと話したい所だが、今は時間が惜しい。

こうしている間にも先ほどの暴走車がどこで何をしているのか気がかりだ。

 

頭を切り替え、私は目の前にいる主殿(仮)に追走の協力を願った。

はじめは渋っていたが、私が強く押すことで主殿(仮)の運転で追走が再開される。

外見が主殿で本人かどうかはわからないが、

こういった所は主殿と同じだな。

初めこそ抵抗すれど、少々強引に迫られると結局折れてしまうところは。

まぁ、閨で迫った場合は返り討ちにされてしまっていたが…

 

今はそんなことを考えている場合ではないな。

待っていろ犯罪者、この常山の昇り龍改め常山星子が逃がさんからな!!

 

side.星子out

 

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車に乗り込んだ俺たちはさっきの暴走車の追走を始めた。

狭い路地裏の道だから、切り返すのに時間が掛かるので、

そのままバックで下がり、路地裏から出ると同時に向きを変えて車を走らせる。

 

その時、横からカチャカチャと金属音が聞こえて、

バックのために後に向けていた顔を戻しながらチラッと横を見ると、

そこには日常ではめったに、と言うより見る機会なんてない物、

外見からして5連式のリボルバーを婦警さんが手に持っていた。

 

「…あ〜、つかぬ事を聞きますが。まさか銃撃戦になったりなんて…しませんよね?」

 

「残念ながら、可能性は無くは無い。私自身発砲は許可されている」

 

「…そうなった場合は撃たれない様に運転しますからね。

 命あってのものだね、俺自身も婦警さんもこの車も撃たれるのはごめんですから」

 

「ああ、それで構わない。相手が相手だ。

 逆走だろうとスピード違反だろうと犯人逮捕の為だ。

 仮とは言え、今君の車は覆面パトカーと同じ扱い、

 私が許可するからどんどんやってくれ」

 

「…それでいいのか、日本警察」

 

とは言え言質は取れた。何だか余計な許可までもらってしまったが…

 

まぁ、俺自身銃を乱射しながら車で暴走するような奴を放っては置けない。

一般人としては非難しとくのが普通だけど、

そうしている間に誰か知り合いが轢かれたり撃たれたりなんてことにはしたくない。

そう考えながら、俺はアクセルを全開にして車を走らせる。

 

確かこの先は一方通行の道路があり、それが暫く続くはず。

その記憶は正しく、曲がった先にさっきの車を見つけた。

 

たまたまなのか、それとも俺たちが追ってきているのに気づいたからか、

暴走車は十字路を曲がっていった。

俺もその後をスピードを一切緩めずドリフトまでかまして追いかける。

それが功を奏したのか、暴走車まで車2〜3台分ほどしか離れてない距離までつめられた。

 

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暴走車の前に回りこんでブレーキをかければ流石に止まろうとするだろうと考えたんだが、

当然暴走車は前どころか横に並ばせようともせず右に左に動く。

婦警さんも止めるよう命令を大声でかけるけど完全無視。

銃も何発か撃ったけど止めさせられる決定打にはなってない。

 

運転の腕に関しては、大学の自動車運転技術同好会のダチと一緒に練習して、

ドリフトやスピンターンを狙って出来る俺のほうが上だって自身あるが、

相手は銃を持ってるってハンデがある。

俺自身撃たれたくないし、車が傷つくのだって御免だ。

映画みたいに追突や横当りしてってのも犯人逮捕のためにと許されるだろうが、

そんなことしたら100%へこむだけじゃすまないからやるつもりは無い。

そう思ってたのに…

 

暫く経って、助手席側から抜けられそうな時が来た。

すかさずスピードを上げて横に並んだんだが、

ここに来て助手席側にも人がいることがわかった。

それも運転手の仲間で銃を持った。

何故銃を持ってるかわかったかと言えば、

その銃口が俺に向けられていたからだ。

 

あわててスピードを緩めたおかげで、

銃弾が3回響いたが、放たれた弾丸は俺にあたることは無かった。

当たった所は…俺の車のフロントガラス。

 

3級自動車整備士の資格を取るためにと、調達された廃車を整備・カスタマイズして出来た、

俺と同好会のメンバーたちの渾身の1台。

自分たちはまだ機会があるからと譲り受け、その後ずっと乗ってきた俺の愛車。

そのフロントガラスに新しく出来てしまった3つの傷と穴、それに付属するひび割れ。

 

それを目の当たりにさせられた俺は、オレは…

 

「Oh My CAR―――――!!!」

 

そう叫ばずに入られなかった。

 

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side.星子(星)

 

主殿(仮)に運転を任せて一緒に追走することになったが、

一般人に危険なことをとも思ったが、私の選択は間違っていなかった。

 

彼の運転技術は私や同僚のそれと同等以上だった。

不規則な動きをする暴走車を一度として見失うことなく、

カーブは決まってドリフトで行い、フェイントで逆方向に曲がられたときもスピンターンで直ぐに視界内に捉える。

時折銃が撃たれるが、自分たち含めて周囲に被害を出すことなく回避している。

 

運転技術に感心しつつも、私は暴走車を止めようとして何発か撃ったが、

暴走車と彼の運転によって射線が定まらず決定打が与えられない。

だが、付かず離れず相手を見失わない限りチャンスは必ず来る。

そして、その時は来た。…と思っていた。

 

 

暴走車の助手席側から前に抜けそうな隙が出来て、

主殿(仮)はすかさず前に出ようとした。

だが、私も気づいていなかった、助手席側からの攻撃があった。

慌ててスピードを緩めたことで私たちに弾丸が当たることは無かったが、

完全に回避することは出来ずフロントガラスに当たってしまった。

 

被害を出してしまったことに謝ろうと横を向くと、

彼は傷ついたガラスを見て呆然としていた。

そして数秒後、

 

「Oh My CAR―――――!!!」

 

そう叫んだ。これが漫画などで、彼がハンドルを握っていなければ”ムンクの叫び”を現実で見ることになったのかもしれない。

こういう場合、私はどうフォローすればよいのか悩んでいると、

叫び終わった彼は、次の瞬間怒りの形相に変わった。

 

「ぁんのヤロゥ…もう許さん!!」

 

必要以上に力をこめてギアを操作しアクセルを踏む主殿(仮)。

あまりの気迫と怒気に、私は声をかけるのを躊躇した。

 

その後、少し離された暴走車にあっという間に追いつき、

そのまま入る隙があった運転席側に躍り出ようとする。

 

「ま、待て!このまま行くとあちらに撃たれることに…って、なんだこれは」

 

「俺の車に何してくれとんじゃ、わりゃーー!!」

 

横に並べばもれなく銃弾を食らう羽目になると止めようとした私の眼前に差し出された主殿(仮)の手。

その手にあるものを見て私は言葉を失った。

その手にあったのは一丁の銃。それも私が持っているような5連リボルバーのような小さなものではなく、

肘から手首までの長さがありそうな銃身のオートマチック式のゴツイ銃だった。

 

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暴走車の真横に並び、案の定銃を向けられたが、

それに対して主殿(仮)の方が先に引き金を引き、

ボスボスボス、ガシュガシュガシュと独特の空気の破裂音とスライド音が断続的に響いた。

 

暴走車の方を見ると、小さな丸い玉が何発も犯人に当たっていて、

顔を割らせないためにかけていただろうサングラスを割っていた。

痛みに耐えるためか顔を隠すためかはわからないが、

向けられていた銃が引っ込められ、両手で顔を覆っていた。

 

その隙を逃さず、私は窓から手を出し暴走車のタイヤを撃った。

タイヤの一つがパンクし空気を失ったことで、

暴走車はバランスを崩し強制的に曲がらされ、

そのまま近くの電柱に激突していった。

 

「良し!犯人を逮捕しに行く!」

 

急ブレーキによって車が止められ、

私はすぐさま車を降りて暴走車の方へと駆ける。

 

衝突のショックとエアバックに押しつぶされて動けなくなっている犯人たちに対して私は叫ぶ。

 

「動くな!暴走運転と銃の乱射、その他諸々の現行犯によりお前たちを逮捕する!!」

 

こうして私は…いや、私たちは追走劇に勝利し、逮捕することが出来た。

 

…後編に続く。

 

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〜おまけ(という名の没ネタ)part.1〜

 

暴走車を撃とうとするにあたって、婦警さんは窓から手や身体を乗り出すだけでなく、

時折運転席側からも撃とうと俺のほうに身を乗り出してくるときがある。

そのたびに俺は少々、いや…かなりやばいことになった。

俺も暴走車も絶えず動いてるので婦警さんは決定打が与えられずにいるんだが、

 

「くそっ、中らない!?」

 

「(いや、俺には当たってる!婦警さんの胸が!?)」

 

狭い車内、婦警さんが俺のほうに身を乗り出すたびに身体が、

特に胸が直撃していた。

それも、無意識のうちに安定を取ろうと俺に体重をかけたり、

全速で走っている所為で少々Gがかかり、

押されて形が変わるくらいに押し付けられてくるのだ。

 

「中れ、中れ!中れぇええ!!」

 

「(当たってる、当りまくってる!柔らかさとか弾力とかがわかるくらいに直撃してるぅう!?

  バレットじゃなくてバストが当たって、俺の理性にブースト掛かってバーストして、

  俺の下半身が裏コード・ザ・ビーストでバーストモードにぃぃいい!?)」

 

追走中、婦警さんは暴走車の銃撃犯と戦い、

俺は湧き上がるリビドーを抑えるために自分の心と身体と戦っていた…

 

〜おまけ part.2〜

 

暴走車を止めようと、前に出ることが出来た俺は、

そのまま車をドリフトスピンさせて横向きにしてブレーキをかけた。

 

車が衝突し、暴走車の方はエアバックが作動した。

それでも強引に押し通ろうとしているのか、

暴走車の勢いは多少ゆるくなったものの止まりはしなかった。

現時点での進行方向の先には橋があり、

角度的に下手をすれば落ちる角度だった。

 

「やば!?このままだと川に落ちる!!」

 

「そうはさせん!ここは私に任せろ!!」

 

こんな状況で、それも助手席側から何が出来るのかと思ったが、

婦警さんは助手席の扉を開けると…

 

「先輩直伝!足ブレーーーキ!!」

 

驚いたことに、車から身を乗り出し、

そのまま両足を地面につけた。

 

更に驚くことに、暴走車が突っ込んでくる勢いを徐々に殺し、

ついには橋から落ちる手前で止まってしまったのだ。

 

こうして、俺たちは犯人を逮捕することが出来た。

 

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〜あとがき〜

 

現代恋姫シリーズ 星の中編 いかがでしたでしょうか?

 

後編と期待していた方々、まずは…スンマセン。

 

暴走運転&銃乱射事件のことと、朱里+雛里でやっていなかった恋姫視点を書いてみたところ、

 

予想を超える長さになってしまったので前・中・後の3部構成に急遽変えました。

 

 

今回、恋姫のゲーム以外の何かがきっかけで前世を思い出すパターンを出してみました。

 

そのきっかけってのが某漫画のパピ○ンってのもなんですがwww

 

蝶つながりと言えばコレしか思いつきませんでした。

 

 

本作に出てくるカズトの車ですが、なんと大学の同好会のメンバーと共同のある意味自作です。

 

現実で出来るかはわかりません。ベスト・キッドって映画でジャッキー・チェーンがやってるのを見てこうしました。

 

 

カズトが使った銃は実銃では決してありません。ガスブローバックというガスガンです。

 

サバゲー大会の帰りということで、そのときに使っていたものをこのときに使ったんです。

 

ちなみに、銃のモデルはオート9です。ロボコップが使ってた銃の方がわかりやすいかも?

 

 

おまけ1に関しては、まぁ車の中で男が女に密着されたらなる場合もあるかなぁ…って感じで。

 

でも、犯人追走中にこんなこと考える余裕なんて普通は無いだろうということで没にしました。

 

これがカズトじゃなくて一刀だったらありえるかもって思うのは偏見ですかね?

 

 

おまけ2に関しては、前編のコメントで「逮捕しちゃうぞ」が出てきて浮かんだネタです。

 

でも、自分の車を傷つけたくないならこれはしないだろうということで没にしました

 

 

さて、次回(次の投稿って意味じゃないですことよ)後編では逮捕後のやり取りと、それらを話し終わった3人の話です。

 

年内に出せる自信は…ぶっちゃけナイ!wwwスンマセン…

 

とにかく完結にむけてがんばるので、今後ともよろしくお願いします。

 

それでは、この辺で…

説明
皆さん、お待たせしました。

星の後編…と見せかけ思わせておきながら中編です。

楽しんでいただけたら幸いです。

では、どうぞ…
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コメント
牛乳魔人さん 現実に存在するのであれば、配属していた時期が合ったかも? 誤字報告どもです。訂正しときます(MiTi)
足ブレーキを使えるとは、星は墨〇署にいたことがあるんですね!没ネタでしたが書いてもらえて嬉しかったです。あと誤字かな「緩めていたスピードを再び振るスルットルまで」→フルスロットル?(牛乳魔人)
不知火 観珪さん コメントと続きの期待ありがとうございます!勉強の気晴らし程度にでも読んでいただけたら幸いです(MiTi)
ルサナさん 人間切れると性格が変わるもの。その一例ということで(MiTi)
スターダストさん はい、なんちゃって大学生の本領発揮です(笑 おまけに関してはスイマセンといえばいいのかな?最近エヴァの劇場版を見たことと、パチンコでコレの当りが着たので思わず出しちゃいましたwww 足ブレーキをする先輩については…小説だからということで(MiTi)
初コメ失礼いたしまする。 ここまで一気に読ませていただきましたが、楽しすぎて受験勉強の時間ががが…… まぁ、それはさておき、続きを楽しみにしてます!(神余 雛)
拳銃に臆していたのになんてアグレッシブなんだw(ルサナ@母艦がぼっかーん!)
え〜と・・・何と言うか・・・率直にスゲwwwwwどんなドライビングテクニックwwwwてかその車お手製だったのかwwそれは怒る!!ww本物の銃に対してエアガンww おまけwwwエヴァネタ出すな!!www ってえええ!?足ブレーキってwwどんな先輩だよww(スターダスト)
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