IS x アギト 目覚める魂 12: 喧嘩 |
そして放課後、一夏と秋斗はシャルルにISを見せて欲しいと言われたので、アリーナに向かった。模擬戦をした所、二戦共シャルルの負けとなってしまう。
「あらら、これじゃ代表候補になった意味無いじゃん、僕・・・・」
「俺は兎も角、門牙さんは強いからな。」
「でも、あの銃が一々入れ替わるあの技。すげえな。」
「ラピッド・スイッチの事?あれ、僕の十八番なんだ。それに、僕のISラファール・リヴァイブ・カスタムIIはプリセット装備を幾つか外して拡張領域を倍近くにしてあるから、二十個以上は武装が入るかな?馴れるまでに時間は掛かるけど。」
「まあ、確かにいつどの場面でどの武器をどれだけの間使うかなんて零点何秒単位で判断出来る奴はそうはいないだろうしな。それに、幾ら俺でも武装がそんなにあったらどのスロットにどれを入れていたかなんて面倒で一々覚えていない気がする。」
「いやでも出来なくても充分強いよ、二人共。特に一夏の武装ってその剣しか無いんでしょ?それだけで勝たれちゃうと僕もへこむなあ・・・・」
「トレーニングの密度が違うんだよ、密度が。でもまあ、確かに射撃はやってみたいな。俺本物撃った事無いし。」
「まあ、男なら誰でもやってみたくなる物だよね、確かに。じゃ、僕のライフル貸してあげるから。使用許可を発行してと・・・・はい。」
「こんなもんか、構えは?映画の見よう見真似なんだが。」
「もう少し脇を締めて。うん、そう、そんな感じ。的幾つか出すから、マガジンからにしちゃっていいよ。」
渡されたライフル『ヴェント』を構え、スコープを除きながら現れる的の中心付近に殆どの銃弾が命中した。
「どう?感じとして。(凄い。ISを触って間も無いのにここまで出来るなんて。でも、やっぱり・・・・)」
「・・・・速いな。まあ、弾の面積自体は小さいから当たり前と言えばそうだが。」
「うん。だから、近接オンリーの一夏は射撃武器の特性を理解していればもっと強くなれると思う。特にタッグマッチとかさ。」
「あ、確かに。でもなあ、何と言うか・・・・近接武器じゃないと戦ってる気がしないんだよ。こう・・・・イマイチインパクトが無いと言うか。」
「あー、確かにな。」
「ったく、何なのよ、あいつ・・・・」
「全くですわ。」
「嘘・・・」
「あれ、ドイツの第三世代だよね・・・・?まだトライアル段階じゃ・・・?」
「織斑一夏・・・・貴様も専用機持ちか。丁度良い。私と戦え。」
「そろそろ来る頃だと思っていた。何故とは聞くだけ野暮だしな。喧嘩自体別にする事は構わないが、場所を変えさせてくれるなら、別に構わない。」
「ふん、良いだろう。」
「一夏、現在空いてるアリーナはここだけだぞ?」
「あ、そう言えば・・・・けどなあ・・・折角のお誘いを蹴るのもアレだし。」
ガゴン!
「ならば、戦わざるを得ない様にしてやろう。」
左肩のレールカノンが火を噴き、一夏に迫る。だが、それに向かって一夏は雪片を投げつけ、再びそれを念力で引き戻してキャッチした。真っ二つに断ち割られた砲弾が左右を通過して着弾、爆発を起こす。
「どうした?何を驚いている?ぬくぬくと育って来た男が、何故そこまでの力を持っているのだ、とでも言いた気な面じゃないか。」
雪片をラウラに向けて挑戦的に言い返す。
「貴様・・・・教官の汚点が、粋がるな!」
「ああ、アレか。あれは不可抗力としか言い様が無いな。」
「黙れぇええええええええええ!!!!」
「衝撃、プライム・インパクト。」
突っ込んで来る所を秋斗のインパクト・アーマーの放った一撃がラウラの腹にクリーンヒットした。
「カハッ・・・・!?」
「頭を冷やせ。クソナチスが。」
耳元でそう呟いて後ろに下がる。立ち上がると、ISを解除し、ラウラは逃げるかの様にその場を去った。
「まあ、何とかなったな。」
「ですね。」
「凄い・・・・」
「門牙さんだったら代表候補位ちょろい、ちょろい。」
「代表候補二人を相手にしたお前が言うか?」
「勝てそうだったのに止められるから萎えたよ、あれはさ・・・・」
そして部屋に戻ってゆっくりしていると、山田先生が入って来た。
「お引っ越しです!」
「主語を入れないと分かりません。俺が、ですか?もしかしなくても。」
「いえ、篠ノ之さんです。男子がもう一人いるので相部屋にした方が良いと言われまして。それに、良い歳の男女が同じ部屋と言うのはやはり・・・・ね。」
「そ、そんな!私は別に構いません!」
「それ、決定事項ですよね?」
箒の抗議を尻目にそう聞く一夏。
「はい、そうです。」
「直談判しても覆す余地は無い、と?」
「寮長の織斑先生が決めた事ですからね・・・・」
「分かりました。そう言う事なら仕方無い。」
「な、一夏、お前」
「文句があるなら寮長に言え。別にルームメイトが誰だろうと、俺は構わない。休息の邪魔さえしなければな。」
数時間後、荷物を運び出し終えた所でシャルルが自分の荷物を持って部屋に入って来た。
「よろしくね、一夏。」
「おう。」
だが、シャルルは誤ってテーブルに立てかけてある大きな包みを足で小突いてしまい、その中身が露わになった。秋斗が一夏に預けたフレイムセイバーだ。
「これ、何・・・?」
「見りゃ分かんだろうが。剣だよ、剣。」
「うわ、重っ・・!?」
持ち上げようとしたシャルルも思わず苦悶の表情を見せる。
「ああ。それ一応普通の日本刀より確実に重いらしい。計ろうと思った事も無いし、馴れてるからな。無理に持ち上げない方が良いぞ。それ重量だけでもテーブルを真っ二つに出来るから。鞘がないのが残念だよ、全く。」
一夏はそれを拾い上げて再び布に包むと、自分が寝床にしているベッドの窓際に置いた。
「後、もう一つ聞きたい事がある。お前、女だろ?」
「へ?な、何言ってるのかな?」
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十二話です。 | ||
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