赤い糸と褐色の少年 |
説明 | ||
ある国では、この世界のどこかに赤い糸の国があるという伝説がありました。 千年ごとの2月14日、赤い糸の国で一匹の妖精が生まれます。人型でも人形のような見た目をしていて、生まれた妖精は、すぐに別の国に送られ、そこで手助けの必要な男女7組を結びつける使命を負います。使命を終えるまで赤い糸の国には帰れません。 今年の2月14日がちょうど前の赤い糸の妖精が生まれてから1000年目、69番目の妖精が生まれました。 その子は使命を終えるため、手助けが必要な男女を探し始めますが、なかなか見つかりません。 日が暮れてしまい、糸は休める場所を探し始めました。 そして近くの家に入り込み様子をうかがうと、一人の褐色肌の少年が部屋で絵本を読んでいるのを見つけました。 少年は赤い糸に気づきますが、無視して絵本を読みふけっています。 赤い糸は少年に話しかけます。 糸「ねぇ、なにしてるの?」 しかし少年は答えてくれません。 糸は少年の気を引くために部屋に散乱した絵本を組み立て、お城を作りました。 さすがに少年は気になってきて、糸に話しかけます。 少年「これ、よく作ったな…ところで、お前は何だ?」 糸が答えようとしたとき、絵本のお城はバランスを崩し落ちてきて、糸が絵本の中に埋まってしまいました。 糸は頑張って顔だけ出しましたが、絵本の山から抜け出せません。 助けを求めるも、その少年は意地悪で、ただ腹を抱えて笑うだけで助けようとしませんでした。 だけど糸が泣きそうだったので、少年は急いで絵本をどけてあげました。 なんとか抜け出せて力が抜けたのか、糸も笑い出しました。 しばらく二人が笑いあった後、糸は少年に笑いかけて言いました。 糸「ありがと、なんだお前、いいやつだな!!」 糸の無邪気な笑顔を見た少年は、そのとき自分の心臓の鼓動が速くなるのを感じます。 糸「お前名前は?」 少年「ラウト…お前は?」 糸「私は赤い糸69号!」 少年「赤い…糸?」 少年は赤い糸に恋をしてしまいました、というお話です。このお話もいつか漫画にしようと考えています。 |
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