チートでチートな三国志・そして恋姫†無双
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第24話 ”天の御遣い”死す

 

 

 

 

 

 

 

桃香たちが北海の方向に行くのを4人で見送ったあと、俺は

 

「さて……。行こうか。でも、まずは”変装”をすることにしよう。」

 

と言った。

 

「”変装”!?」

 

 

俺の突拍子もない言葉に驚いたのか、愛紗はそう聞いてきた。

 

 

「ああ。」

 

「目立たぬように……ですね。私はともかく、ご主人様は甄姫様、愛紗さんは目立ちすぎますから……。」

 

「そういうことさ。愛紗は髪を下ろして武器をこの牛の皮で覆ってくれ。商人の集団にでも見えるようにね。」

 

「……。わかりました。ご主人様と甄姫様は……?」

 

「この服に着替えるさ。甄、頭にある輪は消せるよね?」

 

「ああ。」

 

 

女?がそう言って手をかざすと輪は消えた。何度見ても思うけど、仙術って凄いよなあ……。

 

 

そして、3人の”変装”は終わった。愛紗は自分の((得物|えもの))を牛の皮で覆うことに違和感があるみたいだけど……。ギターケースみたいな感じだな。上手く隠れてる。

 

 

「さて……。今をもって”天の御遣い”は死んだ。俺は ”((北郷|きたごう)) ((一刀|かずと))” だ。」

 

「それで……いいのでしょうか……。」

 

 

俺の言葉に愛紗がそう応じた。どこか不安げだけど、それも仕方ないか。

 

 

「問題無いでしょう。桃香様が”劉”備として前面に出るためにも、そのほうが望ましいと思います。」

 

「ああ。そういうことだよ。」

 

 

さすが福莱。わかってるなあ……。それにしても、さっきから愛紗がずっと複雑そうな顔をしている。何かあったかな……?

 

 

「ところで、私から1つ聞いておきたいことがあるのですが……。ご主人様、よろしいですか?」

 

「愛紗、改まってどうしたの?」

 

「ご主人様は鈴々より星のことを信頼しているのですか?」

 

 

なるほど……。その話があったからこんな顔をしていたのか……。”軍を分けるときは桃香の部隊と星の部隊の2つに分けて、それ以上分けることはするな”って言ったからなあ……。

 

 

 

「……。”人”としては鈴々のほうを信頼している……と思う。もちろん、鈴々の武力は認めているよ。ただ……。軍を預かる”大将”となると、鈴々では厳しいのも事実だよ。広い視野を持ち、全体を見渡せるような人じゃなきゃ務まらない。ウチで務まるのは星と悠煌だろうけど、悠煌はまだ仲間になって日が浅いからね……。」

 

 

「……。私は……?」

 

「基本的には、いつも俺の側に居て貰う。だから今回の旅にも連れてきたし、袁紹のところにも連れて行ったんだ。愛紗は特別なんだよ。勿論、俺が一緒に行軍するときは愛紗が一番の将軍になるんだ。そこは間違っちゃ駄目だよ。」

 

 

もちろん、”人”として愛紗が好き……っていうのもあるけど、どこか危なっかしい面がある……ような気がするんだよな。俺の側に居て貰えば億が一にもそんな間違いは起こらないだろうから、それが一番いいだろう。

 

 

 

「……。あ、ありがとうございます。」

 

「それは薄々感じていましたが……。私からも二つほど質問をして宜しいですか?」

 

「ああ。構わないよ。」

 

 

福莱から質問か……。何を聞かれるかちょっと怖いな。俺の策略は全てお見通しみたいだし。

 

 

「1つ目は、何故”賄賂”などという露骨な真似をするように言ったのか? ということです。あの中で、特に星さんは納得していなかったようですが……。まあ、私は、そういうことをするのも時には必要だと思いますけれども。」

 

 

いきなりその話か……。”廬植”という極めて優秀な将軍が

 

――劉備と公孫?の師でもある人物だ。この世界にも居るみたいだけど……――

 

”賄賂を送らなかった”というだけで左遷された……という話があるくらい漢王朝が腐りきっているからなんだけど、そんな話を直接するわけにもいかないしな……。

 

 

「どうせ潰れる王朝であることはわかりきってるし、”利用する”ということの中には”金を贈るだけで地位を手に入れる……”なんてことがあってもいいだろうと思ったんだよ。

 

確かに星は納得していなかったようだけど、”乱世”終結のためにはやむを得ない……と思うんだよね。まあ、そういうことをしなくてもいい状況であることが望ましいのは言うまでもないけど……。」

 

 

「なるほど……。で、2つ目ですが、なぜ私まで連れてきたのですか? ご主人様よりも桃香様の補助をするほうが望ましいと思っていたのですが……。」

 

 

そこを聞いてくるか……。

 

「まあ、色々と理由はあるけど、福莱”だけ”は俺の狙いに気づいているみたいだから、それを喋られると困る……というのと……。ちょっと話してくれたけど、福莱にはお母さんが居るんだろ? 俺たちの安住の地に連れて行ったほうが”親孝行”になるんじゃないかな……とか、そんなところだよ。」

 

「なるほど……。ありがとうございます。」

 

演義だったか史実だったかは忘れたけれど、”親を人質にされて曹操軍に引き抜かれる”なんていう話があったからなあ……。そんなことは絶対に避けなければいけない。”芽”は先に摘み取っておけば安心だ。それと、もの凄く嫌な予感がするんだよな……。あの”風林火山”の旗を改めて見たときからだけど……。

 

 

「ご主人様、今”俺の狙い”と言ったのはいったい何ですか? ”福莱だけ”……というのは?」

 

 

愛紗がそう聞いてきた。朱里と藍里は”性善説”というような考え方だから、俺が裏で何を考えているか……までは見通していないだろう。椿と玉鬘は……入る時期が遅かったからなあ……。”?を袁紹に割譲する”ということ”だけ”では判断のしようがないだろう。”概略”を聞いたくらいでわかるような”戦略”を考えたつもりはない。今はあの”超能力者”

 

――百発百中の予言者とでもいうのだろうか――

 

を仲間にするのが一番重要だ。

 

 

「それは道中でゆっくりと話してあげるよ。まずは宿のある所

 

――曹操の治める((陳留|ちんりゅう))だっけ?――

 

までゆっくり進もう。落ち着いた場所がないとゆっくり話もできないよ。」

 

「わかりました。」

 

その後は道をただひたすら馬に乗って進んでいった。”桃香たちはどうしているだろう”なんていう”予言者”気取りの会話も楽しいもんだな……。馬を休ませたりする”休日”は福莱や愛紗、女?と稽古をしたり”料理”をして過ごしていた。女?は例外として、愛紗も無手だと俺や福莱と同等くらいなんだな……。というか、福莱の強さが半端ない。最初は”美少女”と稽古

 

――”技”の掛け合いという殴り合い――

 

をするのにはちょっと躊躇いがあったけれど、本気でやっても勝てないし、そうやって俺も強くならないと”不動先輩や早坂さんを超える”なんてできやしないんだから、そんなことを考えている余裕はない。

 

それと……。俺は家庭科でかなり料理が上手くなったけど、福莱も上手だった。愛紗は、最初こそあまり上手ではなかったけれど、今は俺より上手いくらいだ。魚を釣ったりするのも楽しいものだな……。

 

 

 

そして、俺の個人的な目的

 

――”あの”曹操が治める地を見る――

 

のために立ち寄ろうという陳留にたどり着いた。途中、”宿”がないから大変だったけど、幸いにして何事もなかった。3ヶ月はかかっただろうか。カレンダーがないからわからないけど……。

 

「あそこなら宿があるね。まずはゆっくり休もうか。」

 

 

 

後書き

 

 

大変申し訳ない話なのですが、次回の更新は1月下旬か2月くらいになると思います。読者の皆様が良いお年をお迎えくださることをお祈りしております。

説明
第3章 北郷たちの旅 新たなる仲間を求めて

ここから第3章になります。北郷たちの旅路を書いていきます。一刀・女?・愛紗(関羽)・福莱(徐庶)の4人です。

今話のタイトルが前話と同じなのは意図的なものです。紛らわしくてすみません……。
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