超次元ゲイムネプテューヌmk2BURST |
「……さて、何から話すか……」
時は過ぎて翌日。シンヤ一行はプラネテューヌを発ち、ラステイション行きの快速電車に搭乗中である。しかし、ラステイションに付くまでに後三時間掛かると言う事なので、この機会にアラガミの事などを説明しようと思いついたのである。
「なら、まずはアラガミについてだな。質問があったら何でも聞いてくれ。答えられる範囲でなら答えるから、最後まで聞いて置けよ」
考えた末、初めに話す事にしたのはそれであった。
「はい。分かりました」そうネプギアが言い、準備が完了したと判断し、説明を始めた。
「……アラガミ、と言うのは『オラクル細胞』と言う単細胞生物が何万、何十万と集まった群体なんだ。あれくらい巨大に見えるけど、実際は小さい細胞が固まって出来ている」其処まで言うと、ネプギアが早速質問してきた。
「『オラクル細胞」って何ですか?」
「オラクル細胞と言うのは2050年に発見された『考えて、喰らう』そして『喰らった物の情報を理解、学習し、自分の物とすることが出来る』単細胞生物に近い物の事だ。それは一つ一つの細胞毎に生命活動が完結していて、遺伝子としてDNAを保持しておらず、俺たちDNAと炭素をベースとする生物とは根本的に構造が違っていて、捕食に特化した特異な器官を細胞壁状に所持している。…まぁ、簡単に纏めると、未知の生物と言う訳だ。分かったか?」確認を取ると、首を縦に振った。
「話を戻すか。そのアラガミを倒す方法だけど、『コア』と呼ばれるオラクル細胞を統括する細胞を取り出せば倒せるのだが、そこで問題が発生した」
「問題?」
「そう。その問題とは、アラガミに普通の攻撃が全く通用しなかったんだ」
その言葉にアイエフが反応する。
「え!? それって…」恐らく、昨日の事を思い出しているのだろう。
「そう。昨日のアイエフと同じだ。その理由だけど、『オラクル細胞同士の結合は、同じオラクル細胞でしか断ち切る事は出来ない』からだ。つまり、オラクル細胞を必要としない兵器を全て無効とされた。だけど当時の人達はそんな事は分からなかったんだろう、アラガミを撃退しようとして軍隊を出動させた」そこで一旦言葉を切ると、コンパが恐る恐る尋ねてきた。
「そ、それで、どうなったんです?」
一度息を吸うと、それに答える。
「結果は言わずもがな。たとえ鉛弾を何発撃ち込もうと、大砲を何発撃とうと、ミサイルを何発撃とうがアラガミには通用せず、軍隊は何も出来ずに壊滅。それも一国ではなく殆どの国で、だ」その言葉にネプギア達は戦慄する。
「そんな……」ネプギアが悲しそうに呟く。それを気に掛けながらも話を続ける。
「それによって各国の防衛力は大幅に削られる事になり、人々にアラガミの脅威が襲い掛かった。そして、アラガミが出現して一年後、一つの大陸が滅んだ」その言葉に全員が仰天する。
「た、大陸が!?」
「?でしょ!?」
「信じられないです!」
等驚いているが、淡々と事実を突きつけていく。
「残念だが、それが事実なんだよ。で、当然だがその大陸が滅んだ後も、全世界にアラガミは居る訳で、アラガミの脅威は続いた。一日十万人近くが犠牲となり、このままでは人類滅亡までただ見ているだけになるはずだった…」そこで一旦言葉を切る。
「が、人間ってのは窮地に立たされるとどうしても其処から脱出したくなるらしく、アラガミに対抗する術を考案したんだ」
「対抗する術?」
「そう、その対抗策とは、『オラクル細胞とアラガミのコアを用いた武器を使う』事だ」
その言葉にネプギアとコンパは首を傾げていたが、アイエフだけは納得したようだ。
「なるほど、アラガミにはオラクル細胞を使った攻撃しか通じないんなら、オラクル細胞を使った攻撃を当てれば良いだけの話って訳ね。でも、何でアラガミのコアまで使う必要があるの?」
「オラクル細胞だけでは体を維持するのが困難らしいんだ。だから、必ずアラガミにはコアが存在する。人間で言う脳みたいな物だ。脳は体をコントロールするから、脳が無かったら生物は何も出来ないだろう?」
その言葉にあぁ、と納得したようだ。そこで話を戻した。
「さて、その武器と言うのが、『神機』と呼ばれる唯一アラガミに対抗できる武器だ」
「神機ってシンヤさんの使ってる武器の事ですか?」
ネプギアが聞いてきたが首を捻らせていたが、直に答えを出した。
「正確に言えばその神機の名前は『ピストル型神機』と呼ばれる最初期に作られた神機で、今俺たちが使っている神機とは違った物だ。何処が違うかと言うとまず形から違っている。使っているコアが小動物サイズの物だったからピストルサイズの物が限界だったんだ。
また、発射できるオラクル細胞の数も少なく、性能は極めて低かった。だけど、それを原型としてオウガテイルや中型、大型アラガミから取り出されたコアを用いて、現在、使われている神機…『旧型神機』が開発されたんだ」
「旧型? じゃあ新型はどうなのよ?」アイエフが聞いてきたが直に返した。
「それは少ししたら説明するから今は待っていてくれ。で、その旧型神機だけど………
実は、『アーティフィシャルCNF』と呼ばれる人為的に調整されたコアを有するアラガミそのものなんだ」少しの沈黙。そして
「「「ええええええええええええええええええええええ!?」」」絶叫。シンヤは耳を塞いでいたのでそこまで音は耳に入っていなかった。
「ア、アラガミって……大丈夫なんですか?」
「今も言った通り、人為的に調整されているから少しは安全になっているさ。で、ピストル型神機と違うところは『近距離型』と『遠距離型』の二種類になったことだ。
遠距離型はその名の通り銃身パーツと呼ばれる物からの銃撃が可能というところはピストル型と同じだが、発射できるオラクル細胞の数が大幅に増えていて、よりダメージを与え易くなったが、ここでも問題が発生する。オラクル細胞を回収する機能を持たないと言う問題だ。銃は弾が無かったら撃てないように、神機もオラクル細胞が無かったら発射できないんだ。だから神機の自己修復を待つ間、自分は何も出来ないと言う事になる。更に神機の自己修復にも限界量が存在するから補充用のオラクル細胞を携行するのが一般的だが、その補充にも時間がかかる為、戦闘中の補充はほぼ不可能だ」
「じゃ、じゃあ、どうするんですか?」それに当然のように答え始める。
「そこで、近距離型の出番となる。近距離型は刀身パーツと呼ばれる物でオラクル細胞の臨時回収が可能となっているが、それを放出する事は出来ないんだ。でも、それを遠距離型への補充に当てる事が出来るから、戦闘の際には両方が組み合わせられるんだ。何か分からない事はあるか?」聞くと、アイエフがさっきの質問をしてきた。
「さっきも聞いたけど、新型神機って何?」それは、丁度シンヤが説明しようとしていた内容であった。
「あぁ、今から話すさ。新型神機と言うのは近年開発された物で、近距離型と遠距離型を組み合わせたハイブリッド型の神機だ。近距離攻撃と遠距離攻撃の二つの機能を切り替えて使用できる神機の事で、様々な局面で臨機応変に活動することが可能になった。
そして、これらの神機を使い、アラガミと戦う者の事を『ゴッドイーター』そう呼ばれるようになった」それにネプギアが反応する。
「ゴッドイーターを仕事にしているって、そういう事だったんですね……」
どうやら初めて会った時の事を思い出しているようだ。
「まぁ、そういう事だ。さて、今も話した新型神機だが、またも問題が発生した」
その言葉にアイエフが少し呆れ顔となる。
「また問題? 一体いくつ問題があるのよ?」それに対し苦笑しながら答える。
「まぁ、こればかりはしょうがないさ。さて、その問題と言うのは、『適合率』の低さだ」
「適合率?」
「そう。俺達ゴッドイーターは体内に『P53偏食因子』と言う神機のオラクル細胞を投与している。で、神機を操るためにはオラクル細胞を人体に深く埋め込み神機と神経を接続していなければならない。更に本人の遺伝子体質が該当神機に対して『適合』していなければならない。それで適合率というものが出てくるんだ。もし適合率が低い状態で神機に触れた場合不適合とみなされ、神機に捕食されて肉片と化す。だが、現在はコンピューターにより適合者の選抜があるから、不適合は稀にしかないけどな。…おっと、話が逸れたな。で、新型神機とは対照的に旧型神機は適合率が高く一般的にゴッドイーターが使っている神機は旧型神機だ」
「でも、シンヤさんが使っている神機は新型ですよね?」
「あぁ。今も言ったとおり新型は適合率は低い。だけどただ低いだけだから居る事はいるんだよ。現に俺が新型を使っているからね。他にも新型神機使いが居るけど…まぁ、それは別の機会に話すよ。さて、次で最後くらいかな。何か他に質問はあるか?」
確認すると誰も質問してこなかったので次に進むことにした。
「じゃあ最後にもう一度アラガミの事についてだ。神機を手にした人類はアラガミに対して反撃を開始した。だけど、アラガミの数は一向に減らず、むしろ増えてばかりだった。その理由の前に、最初の方で話した事を覚えているか?」
「話した事?」
「ほら、アラガミを倒す方法の事だよ。覚えてるか?」
「はい。確か、コアを摘出すれば倒せるんですよね」
「うん。でも、それだけでは終わらなかったんだ。コアを摘出した後、アラガミを構成していたオラクル細胞は霧散してしまい、その後の行方が分からないままだったんだ。だけど、ある時、その後のことが分かってしまったんだ。それは、『また新たなアラガミを構成していた』という事だ」
「そ、それって…」
「そう。アラガミを倒しても、また新たなアラガミを生み出し続けるという事だ。
かといってアラガミをそのままにしておく訳にもいかないから、アラガミを倒す。するとまた新たなアラガミが生まれる…というようにループしていくんだ。
神機を手にしても人類には決定打が無い。いつのまにか人々は極東に伝わる八百万の神に例えられ『アラガミ』と呼ばれるようになった。これが、アラガミの由縁だ。こんな所だね。何か分からない事は?」聞くと、何も聞いてこなかった。
「……そんなに怖い敵と、シンヤさんは戦っているんですね…」
ネプギアが悲しそうに呟く。
「ま、それがゴッドイーターの仕事だからね。それに、ゴッドイーターはアラガミと戦う代わりに、生活水準は高く設定されているから、結構いい暮らしが出来るんだ。だけどそれを良く思わない連中も居るんだ。『富の独占』と言ってね」
「そ、そんな!」
「多少の妬み恨みはあるだろうね。それでもその人達は守らなければいけない人類だからね。仕方がないさ。……それより、これを何とかしないとな」
そう言って床に置いてある巨大な黒のケースに視線を移した。その中にシンヤの神機が入っているのだ。何故そんな事をするのかというと、神機をそのまま持っていくのは危険すぎるから、何かに入れろと言われてしまったので、このケースの中に入れることにしたのだ。
「あそこに何か解決策があれば良いんだがな……」
そう呟きながら、もう直到着するラステイションの街を眺めるのであった。
説明 | ||
今回は用語説明回(?)となります。 会話文が多く、無茶苦茶かもしれませんが宜しかったら見てください。 番外編 ラステイションの道中 |
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藾弑様>コメント有難う御座います。確かにそうですね。ですが、自分より優れた人を妬んでしまうのが人間だと思うので、そういった人も出てしまうのだと思います。でも、そういった人はごく一部に過ぎないはずです。(レオ) ゴッドイーター…奥が深いですね。命を賭けて仕事をしていて生活水準が高いのは納得できるはずなのに、逆恨みするなんてなんてタチが悪い!(駆蘭) |
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