新たなる世界の片隅に/魔法の代償編1 新しい世界の私:Introduction |
「そんなのもったいないよ、せっかくすてきな名前なんだから、ほむらちゃんもかっこよくなっちゃえばいいんだよ!」
「無理だよ……私、何にも出来ない……」
「間一髪、てところね」
「もう大丈夫だよ、ほむらちゃん!」
「彼女達は魔法少女。魔女を狩るもの達さ」
「戦いの定めを受け入れてまでかなえたい望みがあるなら、僕が力になってあげられるよ」
「鹿目さん!私も魔法少女になったんだよ!」
「わーーー、やったー、やったよほむらちゃん!」
「うぅぅぅあぁぁぁ、ソウルジェムがぁぁ」
「伝えなきゃ……みんなキュゥべえに騙されてる!」
「あのさぁ、キュゥべえが嘘ついて何の得があるわけ?」
「てめぇ!一体何なんだ!さやかに何しやがった!」
「さやかちゃんやめて!お願い思い出して!こんなことさやかちゃんだっていやだったはずだよ!」
「ごめん……美樹さん……」
「いやだ……もういやだよこんなの……」
「二人でがんばろう、一緒にワルプルギスの夜を倒そう!」
「……うん……」
「さっきのはウソ」
「まどか!」
「やっと……名前で呼んでくれたね……うれしい……な」
「まどか!奇跡を約束し、取り入ろうとするものが現れても決して言いなりになってはだめ」
「すべての魔女は私一人で片付ける!」
「仕方ないよ。彼女一人では荷が重すぎた」
「まどか!そいつの言葉に耳を貸しちゃだめ!」
「本当なの?私なんかでも本当に何か出来るの?」
「もちろんさ!」
「だめぇぇぇぇぇ!」
「もしそれが本当なら……今とは違う自分になろうだなんて絶対に思わない事ね。さもなくば、すべてを失う事になる」
「ほむらちゃん……ごめんね」
その時、病室のカーテンが開き、暁美ほむらは目を覚ました。
「……はぅっ……………………夢オチ?」
まだぼんやりとしている頭をはっきりさせるべく、ゆっくりと体を起こして、右手を頬に添える。
「そうだよね……私が魔法少女なんて……しかも、無口でクールな魔法少女なんて……。ライトノベルの読み過ぎだよ……」
何か長い夢を見ていたような気がする。
でも、夢なんて起きてしまえばすぐ忘れる、そう言うものだと思っていた。
人生の大半をこんな風な部屋で、私は夢を見て、窓の外を眺めて過ごした。
だから夢は見慣れている。
空を飛ぶ夢、
だれかと冒険する夢、
キスする夢。
そして、
魔法少女になる夢。
そのどれもが非現実的で、どれ一つとっても叶いそうになくて、
だから一様に現実的で……。
もう私は現実と空想の区別も付かないのではと、
そんな風に思っていた。
だから。
今日もまた同じように夜が明けて、真っ白い壁に何かを思い浮かべる、
そんな今までと同じ日々がやってくるんだと思っていた。
ここを出る事が決まっていたとしても、
それが事実なのかどうかも実感できずに。
ただカレンダーに付ける印がだんだん運命の日に近づいているのだけを見て。
何かが変わるのかな、
でもきっと変わらないんだろうな、
そんな風に思っていた。
あの日までは。
新たなる世界の片隅に/魔法の代償編1 新しい世界の私:Introduction
一次創作 Magica Quartet「魔法少女 まどか☆マギカ」
○子猫は踊る
暁美ほむらは新しい街に引っ越して来た。
大家さんに挨拶し、鍵を受け取って、部屋を開ける。
両親が海外から戻ってくるまでの二か月間、今はまだ片付けきっていない、このアパート一区画、その唯一の住人は彼女だ。
新しいアパートには、もうひととおりの家電は運び込まれていて、暮らしていくには充分だったけれど、彼女自身の部屋は対称的にまっさらで、ベッドぐらいしか家具がない。でも、それは今まで長い間暮らしていたあの病室を思い出させ、ほむらには懐かしく感じられさえした。本当に長い間、彼女は白い壁を眺め、病室で暮らしてきた。入院、退院、入院……。
彼女は小学校も院内学級で卒業した。だから、長く付き合った友だちもいない。アパートの他の部屋にいろいろまだ整理されずに積み上げられた引っ越しの荷物。そこには彼女自身の持ち物が確かにあったけれども、それは、本当に子供のころの家族との思い出の品以外は何もないのだ。
でも、
これからはこの部屋に、自分の好きなモノを何でも詰め込むことが出来る。本棚もぬいぐるみも、そして、自分の好きな洋服をいっぱい、いっぱいクローゼットに詰めて……
そう考えると、そこは夢の城のようにほむらは感じた。
そう、夢にまで見た普通の生活。
作り付けのウォークインクローゼットには、今はまだ、退院の時に看護師さんにプレゼントしてもらった、年齢のわりには少し幼いデザインの外出着一式だけが掛かっている。
「まずは、ここに制服を掛けたいな……」
新しい学校生活。いっぱい友だちを作って、一緒に買い物をしたり、お茶を飲みに行ったり。そんなあこがれの日が近づいてくるという高揚感で、ほむらは舞い上がっていた。
そう、今日、アパートに着くまでの間、列車の車窓から眺めた見滝原の街は、何か新しいことを始めるにはぴったりの、ピカピカ輝いている街に感じた。数年前にモデル都市に指定されて整備されているからなのか、本当にいろいろなところが目新しく、輝きを放っていた。ほむらはこの町が好きになれそうだと思った。
さて、今日の仕事は学校の制服類を取りに行くだけかな。
黒い、丈の短いブラウスの上に、落ち着いたブルーのモノトーンという色合いで、胸にかわいらしい共布の小さなリボンが控えめに一つだけついている、ハイウェストのジャンパースカート。その上にブラウンの千鳥模様の入ったコート。赤いセルフレームのめがねと両側を三つ編みした髪型。そんな姿で家を出たほむらは、メモと街頭地図を見比べながら目的地を探していた。
「しばらくは、一人で暮らすんだし、スーパーとかそういう場所もちゃんと覚えなきゃ。あ、それと、図書館とか、本屋さんとかも……いや、……しばらくは本を読むのはやめておこう。目標、((普|・))((通|・))((の|・))((女|・))((の|・))((子|・))なのに、またあんな現実味のない魔法少女とかの夢を見ちゃうよ。私だってもう子供じゃないのに……あ、でも生活用品のお店は早めに覚えた方が良いかなぁ……うーーーーん?」
ふと気がつくと道ばたに立ち止まり、メモを怖い顔で睨んでうんうん呻っている自分がいた。
「って、目移りしてる場合じゃなかった!まずはきちんと用事を済ませないと。……そうだなぁ、最初は……やっぱり制服かな?」
そんなことを考えながら、メモの住所を見て目的地を決め、私鉄の駅前広場を抜けて、ついさっき車窓から見た町並みに自分が入っていける喜びを感じていた。
「番地で見ると近そうなのに何で街の両端なの?そもそも西見滝原と東見滝原がなんで並んでないの?」
真新しい制服の入った紙袋を両手で抱え込んで、ほむらはベンチに座り込んでいた。コートを着ているのに、周りの陽気に反して少し寒気がしている。もしかしたら人酔いしたのかもしれない。
「やっぱり、お店の人が言ったとおり、バスに乗れば良かったなあ……歩いた方がそりゃ町並みは覚えられるけど、こんなに距離があるだなんて……番地の距離感覚が違うのかな……」
でも、本当は単に私が……。
口に出したくない本当の理由。そのことを思うと心は沈んでいった。
「……やっぱり私、もう普通に暮らせないのかなあ……普通の女の子だったらきっとこんなこと、どうってことないよね……」
街に着いたとき、そしてマンションの自分の部屋を見たときの、希望に満ちた高揚感は、すぐに暗い気持ちで上書きされていった。そうなのだ。ただ制服類を取りに行くだけで、こんなにも苦労する私。ずっと他人に迷惑をかけて生きてきた私が、そんなに急に変われるはずなんてないよね……。
大きくため息をついたほむらの足元では、いつの間にか黒い子猫がこちらをじっと見つめていた。
ほむらは自分が猫好きなのもあって、その猫に自然と優しい声で語りかけていた。
「あなたも、迷子?」
うにゃーん、と、その子は返事をした。
「そっか、私も迷子なんだ……いろいろ」
そんなほむらの気持ちを察したのか、子猫はほむらのとなりに飛び乗り、ほむらの太もものあたりに頬をすり寄せて甘えてくる。首輪はしていないが人に飼われているのかもしれない。
「君はなんて名前なの?……って聞いても答えるわけはないよね、当然。……あ、そうだ」
ほむらはなにかこの子にあげられる食べものはないかと思って、自分のポケットを探った。
そういえば貧血を起こしたときの用心に、ちょっとした糖分補給をするために持ち歩いているチョコチップクッキーがあったはず……あれはどこに入れたっけ……。
探していたクッキーは、ジャンパースカートのポケットに個別包装の状態で数枚入っていた。
ほむらはその一枚を取り出すと、一旦コートを整え直したあと、ベンチに座り直し、包装の上から軽く叩いて砕いた。充分細かくなった所で、包装を開け、中身を手のひらに載せ替えて子猫に差し出す。
「どう?食べるかな?」
子猫は少し不思議そうににおいをかいだあとは、躊躇せずにクッキーを食べた。猫の舌のざらざらした感覚が、ほむらが思っていた以上に伝わってきた。
「本当に人に馴れてるんだね、君は。どこかの飼い猫なのかな?」
ほむらはおそるおそる手を出して、頭をなでた。一瞬子猫は嫌がるそぶりを見せたが、すぐに流れに任せ始めた。
「よしよし……君を連れて帰りたいけど、うちはペット禁止アパートだから……」
もし本当にこの子と暮らせたらそれだけで寂しくないのだけど。そんなことを考えてほむらは子猫の胴体に手を移した。ところが、本物の猫に馴れていないほむらは、手を戻すとき、つい毛の生えている方向と逆になでてしまった。子猫は急に驚いて、車道に勢いよく飛び出した。
「あ!」
ほむらが止めようと思った時、子猫は既に車道の中央あたりまで逃げていた。そこに運悪く車が近づいてくる。子猫は元の勢いで駆け抜ければ助かったはずなのに、驚いたのか、その場に――車の進行方向正面に立ちすくんでしまった。
ほむらは思わず「危ない!」と叫ぶと子猫に駆け寄り、連れ戻そうとした。が、足がもつれて子猫の上に覆い被さるのが精一杯だった。
「ああ、私、最後に子猫の命だとしても、それを救えたなら、良い人生だったのかも……。だって、今までだったら絶対できない様な勇気をもらえて……。それだけでも幸せな人生だったよね……」
ほむらが身構え、衝撃に備えて目をつぶった時、自動車が近づいてくるのとは別の方向、真上に体が浮くのを感じた。そしてしばらく浮遊したあと、体を支えている大きな柔らかいものがゆっくりと降下していった。
ほむらは助かったという気持ちと共に気を失った。
ほむらは突然自分のほおが、ざらざらなものに撫でられている事に気がついた。
ゆっくりと目を開けたその先に、心配そうにのぞき込んでいる女子の顔が見えた。
ほむらは横に視線を移した。そこには黒い子猫が座っていた。ざらざらの正体は子猫の舌だった。
視線を戻した。のぞき込んでいる娘を改めて見て、問いかけた。
「……あなたが……助けてくれたんですか?」
彼女は、ほむらの背中に手を回して優しく起こしながら、答えた。
「そうね、そうなるのかな?」
彼女は、さっきからずっとほむらに寄り添っている黒猫を見て
「あなたのおうちの子?」
と聞いた。
「……いえ、先ほど知り合ったばかりです……」
「そう……、あなたに懐いているから飼い猫だと思ったのだけど……立てる?」
座り込んでいるほむらを彼女は支えながら一緒に立ち上がった。ほむらはそこで始めて自分を助けてくれた恩人の姿を見た。肩の空いた、丈が長めの粗い編み目のニットのトップス、そこから覗くゆったりしたデザインで深緑のセミロングワンピース。カールされた明るい色の髪、その根元には左右おそろいの、花の形の髪飾りが上品に添えられている。ほむらが最初に思ったよりも大人な感じの人だった。
「かわいいお洋服が汚れてしまったわね……」
少し沈んだ口調で彼女は言った。そう言われて、ほむらは自分の姿を確認してみた。しかし、最初にほむらが倒れ込んだ時についた、ちょっとしたほこり以外は特に目立った部分はなかった。
「……いえ、そんな……」
たいして汚れてはいないのに、そんなに心配をされてちょっと戸惑ったほむらは、顔を赤くして答えた。彼女はそんなほむらの様子を見ながら、少しクスッと笑いながら、質問をした。
「あなた、見滝原中への転入生?」
ほむらは、なぜそんなことが分かるのかと、とても驚いて聞き返した。
「え?そうです。なんでわかったんですか?」
「だって……」
彼女はそう言いながらベンチの方を振り向いた。つられて一緒にベンチの方を見たほむらは、そこに自分が放り投げた紙袋、制服の包みが入った紙袋がきれいに並んでいるのに気がついた。
「包みの模様はうちの校章なのよ。うちの制服はデザイナーブランドだから、そんなところまで凝っていて、すてきでしょ?」
そして、彼女はほむらの方に振り返り、子猫に代わってお礼を言った。
「自分の制服を気にもしないで、その子を守ってくれたのね……ありがとう」
「いえ」
なんだか現実感がないほむらは、ぼおっとした声で答えた。そして彼女の言葉を反芻し、その中に重要な単語を見つけた。制服?
「あ!」
ほむらは自分が何故外出していたのかを思い出した。
○優しい先輩
彼女に勧められて、二人は隣り合ってベンチに座り直した。子猫は、ほむらの無事を見届けて自分の縄張りのパトロールに戻ったらしく、既に姿を消していた。
「私は、巴マミ。三年生よ」
やっぱり先輩だったんだ。そう思ったほむらも自分の学年を答えるべきだと感じたが、まだ実感がなかったので、
「あ、暁美ほむらです。今度、二年生、になります」
と言う様な、なんだか不思議な答えになってしまった。でもマミはそのことは全然気にせず、
「やっぱり、後輩さんか。よろしくね、暁美さん」
と、手を伸ばして、握手を求めた。ほむらはその温かな手を握り替えしながら、名字で呼ばれたことをうれしいと思った。だって、下の名前は自分でもかわいくない、変な名前だと思うから……。
微笑んでほむらを見つめているマミはとても優しそうで、頼りになりそうに感じた。だから、初対面で失礼とは思うけれど、思い切って頼んでみることにした。
「巴先輩は、このあたりに詳しい、んですよね?」
「そうね、子供のころから住んでいるからね」
「……あの……」
「?」
「……あの、道を教えてもらえませんか?……あとは、かばんと靴を取りに行かないといけないんですけれども、私、土地勘がなくて、どう行けばいいのか分からなくなってしまって……」
「ふふ、そうね……」
マミは少し考える仕草をした。そして何かいいことを思いついた子供のような表情をして、
「どうせなら一緒に行きましょうか。見滝原はすてきなお店も多いから、そういうお店も一緒に見て回らない?」
と逆に提案した。ほむらにはそれがとても意外な答えに感じた。だって、通りがかりの人にそこまで頼んでいいものだろうか……。
「え、そんな……さすがにそこまでは」
「大丈夫大丈夫。これも何かの縁よ、今日は用事終わって帰るところだったし……マミさんに任せなさい!」
そう言ってマミはウィンクした。
ほむらはうれしさでほほを赤らめながら小さな声で「お願いします」とつぶいた。
「それじゃあ、まずは……暁美さんは携帯持っている?」
「はい、一応」
「メアドと番号、交換しましょうか。はぐれたら大変だし」
「あ……は、ハイ!」
結局、かばん屋さんと靴屋さん以外に、ショッピングモールやその中の喫茶店、ちょっと奥まったところにある甘味屋、そして学校の位置まで。いろいろ案内してもらった。日曜日と言うこともあり、街中がまるで遊園地の中のアトラクションの様だった。
やがて、二人はほむらのアパートの前までやって来た。もう、夕焼けがきれいな時間になっていた。
「あ、ここがうちのアパートです」
「あら、すてきな建物ね……でももうこんな時間か……途中いろいろ連れ回しすぎちゃったかな?」
マミが申し訳なさそうに言ったので、ほむらは頭をぶんぶん振りながら答えた。
「いいえ!巴先輩と一緒に街を見て回れて、すごく楽しかったです!」
マミは、ほむらが疲れてくる前に、随所で休憩を入れてくれたから、最初に自分で制服を取りに行ったときより体も心も楽に回れた。それだけでもほむらは感謝でいっぱいだった。
「本当は今日のお礼にうちに寄っていって欲しいんですけど、まだ中が片付いてなくて……」
今日一日、巴先輩と一緒にいた時間は、多分今までの人生の中で一番楽しかった時間。でもそれももう終わるのかと思うと、ほむらは寂しくなった。せめて部屋が片付いていたら、コーヒーでも飲んでもらって、もう少し一緒にお話でも、って誘えるのに……。でも、そんなほむらの気持ちをちゃんと知っているように、マミはこともなげに言った。
「いいのよ暁美さん。お部屋、すてきに出来上がったら呼んで、ね」
ほむらは、その言葉に驚いた。そしてじわじわとうれしくなってきた。また巴先輩に会えるんだ!でも、それが実感できなくて思わず聞き返してしまった。
「え?また会ってもいいんですか?」
マミは微笑みながら当然でしょ?という口調で、
「こんなにかわいい後輩を放っておけるわけないわ。そうね、もし何か困ったことがあったら三年C組にいらっしゃい。いつでもなんでも相談に乗るからね」
と言うと、ウィンクをした。今日、何度も見た巴先輩のウィンク。ちょっと大人っぽいのに茶目っ気のあるウィンク。
「ありがとうございます!ありがとうございます!とっても心強いです!」
「連絡はさっき交換した電話番号か、メールでね」
そうか、アドレス交換したんだっけ!そんな事、初めてだから忘れてた……。
「はい、ありがとうございます!」
「じゃあ、またね、暁美さん。大荷物だけど入り口までいかなくて大丈夫?」
「はい!あとはエレベーターで上がれますから!」
ほむらは大きくお辞儀をして、マミに持ってもらっていた分の荷物を受け取ると、建物に入っていった。
「そうそう」
ほむらがエレベーターに乗った頃、マミはちょっと大きな声で呼び止めるように言った。
ほむらは振り向いた。
「その服、イノセントワールドだよね?暁美さん、とても似合っているわよ」
ほむらは、ぱぁっと明るい笑顔を見せるとエレベーターのドアが閉まるまで何度もお辞儀をしていた。
にこやかに微笑んでいたマミは、ほむらの姿が見えなくなるまでその場で見送っていた。そして、そのままそこにとどまると、微笑みを消して、誰かに相談するような口調で言った。
「……あなたはどう思う?」
周囲からは相変わらず街の雑踏しか聞こえなかったが、マミはあたかも意見をもらったようにつぶやいた。
「そうね……私も同意見だわ」
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見滝原市へ転入してきた暁美ほむらは、不思議な雰囲気を持つ少女、巴マミと出会う。鹿目まどかによる世界改変後の世界で、魔法少女達の友情と希望を描いたシリーズ第一巻。 【コミックマーケット83 1日目にて頒布予定作品より連作一作目冒頭部分をを公開します】続きは頒布物での公開のみになります。ご了承ください。 頒布物は二編各五冊ずつ、計一〇冊になります。 |
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