真・恋姫†無双〜不信の御遣い〜 第二十話 |
「なんやねん。ちょこっと遊んでただけやん。一刀は頭カタイなぁ」
「そうだ。あれは完全に遊びだった」
「お前らなぁ……」
離れた場所で一刀君はゲンナリしている。
僕が今にもやられそうな時に一刀君と恋ちゃんが来てくれて、戦闘はお開きとなった。
この二人は、人質になった女の子をそのご両親に届けたあと、
騒ぎを聞きつけて来てくれたんだとか。いや〜頭上がらないね、ホント。
ま、それにしても霞さんと華雄さんのあの言い訳はなぁ、疲れるよなぁ。
ご愁傷様です、一刀君。
すると、僕の側にいた恋ちゃんが僕に聞く。
「……どうして、高順はあの二人と、戦うことになったの……?」
「あ〜、それはだね」
恋ちゃんに今までのいきさつを簡単に説明する。
それを聞くと、恋ちゃんは驚いた様子で
「……じゃあ、高順はあの二人を相手に、互角に渡り合ったってことなの……?」
信じられないというように、僕に聞く恋ちゃん。
「あのね恋ちゃん。誤解しないで欲しいんだけど、僕があの二人を相手に出来たのは
本当に偶然と奇跡が重なっただけの事なんだよ。そうじゃなかったら、僕はここで、
君と話すことなんか出来ないだろうから」
「……でも……」
「華雄さんはまぁ、頭に血が上ってたのと、一回どんな速さで、どんな力で攻撃してくるのが
分かってたから、いなす事が出来んだよ。それでも、少しでも失敗すれば、
まず間違いなく、頭を叩き割られてたね」
僕は続ける。
「問題は霞さんだったんだよ。なにあの速さ。一瞬躱すのが遅かったら、今頃僕の首は、
この身体と繋がってないよ。本当によく生きてたよ」
僕は言う。
正直、死ぬことも視野に入れてたんだけどな。わざと斬られることも、力を抜く事も出来ないから、
全力で戦って死ななきゃならない。霞さんも華雄さんも十分可能性があったんだけどな。
まだ、だめなのか。
成程、ゼウスさんは『加護』だって言ってたけど、とんでもない。
これは『呪い』だ。しかも、とんでもなくタチが悪い。
「ハァ・・・・・・」
溜め息が、自然と口から吐き出される。
「……どう、したの……?」
「ううん、なんでも」
恋ちゃんが心配そうに聞いてくる。いい子だなと思う。
いい子だからといって、僕の苦しみが、理解できるとは思わないけど。
「お〜い、高順。恋」
一刀君が呼んでいる。その後ろには霞さんと華雄さん。
僕と恋ちゃんは、彼らのところに歩いて行った。
「すまなかったな、高順。霞と華雄がお前に迷惑をかけた。大丈夫か?」
すまなそうに、僕に謝る一刀君。
別に、君が謝る必要は無いのに。
「まぁ、なんとかね。頬の骨が折れたかもしれないけど」
「いや、それは大丈夫じゃないだろ……」
さらにゲッソリとする一刀君。面白いな、君は。
「まぁ、話は霞と華雄から聞いた。この事も報告しなきゃだから、俺たちと城に行こう。
そこでなら、治療もできるから」
う〜ん、ありがたい申し出だが。
「いや、別にこのくらい平気だよ」
「全然平気じゃなさそうだぞ。顔青いぞ」
「ああ、それはこの血のせいだよ」
首から血が滴り落ちている。いや、結構凄い量が出てる。激しく動いたからか。
「おい!?ちょっ、これやばいぞオイ!?」
「……高順っ……!?」
「アカン。すっかりその傷のこと、説明するの忘れとった」
「失念していたな」
「オイ!!!」
僕を除いた四人が、それぞれ驚いている。
やば、意識が。
ああ、結構出てるな。
これで、死ねるかな。
もう、いいのかな。
説明 | ||
第二十話です。 | ||
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コメント | ||
お?やっと死ねるか?加護ってもしかして・・・無理やり死のうとしたら体が勝手に動いたしまうとかそんなんか?(スターダスト) ゼウスの「加護」 その効果とは・・・?(デーモン赤ペン) |
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