IS〈インフィニット・ストラトス〉〜G-soul〜 |
「フー♪ フフーフーフー♪」
ここに、大量の干し草が載った馬車を引く馬の手綱を鼻歌交じりに取るひげを蓄えた老人がいる。どこまでも続くかのように長い道の脇には草原が広がり、暖かい日差しが差していた。
「…少し休憩させるか」
しばらく進んだところで小川のほとりに着いた。馬を休ませるために馬車を止める。
「フーフフーフフ―フー♪」
鼻歌の続きを歌いながら馬を頭を撫で、馬車から離して川の水を飲ませる。
「フー……ん?」
老人は鼻歌を止めた。馬も気づいたように頭を上げる。
「なんだ…?」
「ぁ〜……………」
なにか聞こえた気がしたからだ。
「空耳か?」
「あぁ〜…………!」
そう思ったが、その声がだんだんと近づいていることに気づいた。
「んん?」
年の割には落ちていない視力が自慢の目を凝らしてみる。
「あの白いの…」
「あぁぁぁ〜………!!」
よく分からないが、白い物体が高速でこちらに飛んできているように見えた。
「あああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ドサファアアァッ!!
謎の飛来物は馬車の荷台の干し草の山に激突! 周囲に干し草が散り、馬も驚いてその場で飛び上がり嘶く。
「!? !?!?」
荷台から発光があった。老人はわけもわからないままとりあえず荷台に落下してきたものを確認に向かう。
「……………」
化け物の類ではないかという思考が横ぎり、恐る恐る荷台を覗き込むと・・・
「う…う〜ん……」
人の形をしていた。少年である。目をぐるぐると回して気絶していた。
故に老人はつぶやいた。
「……誰?」
「いやぁー助かりました! あそこにこの馬車がなかったら俺死んでました!」
ガタゴトと揺れる馬車の荷台に乗せてもらい、命の恩人のお爺さんにお礼を言う。
「礼には及ばんよ。それより君は誰だ? 空から降ってくるなんて、一体なにがあった?」
手綱を引くお爺さんがごもっともな質問を投げかけてきた。まあ、そりゃそうだよな。
「うーん…言っても多分信じてくれないかと」
「言ってごらん。別に怒ったりせんよ」
穏やかな表情でそんなこと言われたら、言うしかないよね。
「実はですね、日本から来たんですよ」
「どうやって? 飛行機かい?」
頭をぽりぽりと掻いて答える。
「や…さっきのです」
「え…」
ほらぁ、凍りついたじゃんかー。
「ですから、日本からあの勢いで発射されて、この馬車に着地…もとい落下した次第なんです」
なにが申し訳ないのかわからないけど、なんか申し訳ない気持ちになった。
「ほ…そうかそうか! ハハハ! 面白いな君は!」
お爺さんは豪快に笑った。どうやら信じてないみたいだな。それはそれで構わないけど。
(それにしても、危なかったなぁ…)
さっきの落下の直前、俺はスラスターを最大限に噴かして減速していたんだけど、それでもものすごい勢いでの落下になった。ちょっと気絶したし…
(チヨリちゃん、今度会ったら文句の一つでも言ってやろう……)
「ジョージだ」
そう思っていたらお爺さんは身体をこっちに向けて右手を出してきた。これは握手だな。
「あ、桐野瑛斗です」
俺も右手をだして握手を交わす。結構強い力で握られたぜ。
「ちなみにですけど、ジョージさん」
「ん?」
「ここは…どこでしょう?」
またジョージさんの表情が凍りついた。うぅ、なんども申し訳ない…
「い、いやですね! 決して! 決してわからないわけじゃないんです! ただ確認にと」
あわあわと取り繕っているとジョージさんはまた笑った。
「ハッハッハッハッ!! なに言ってんだ! フランスだよ! フランス!」
「え!? ホントですか!?」
その答えに俺は心のなかでガッツポーズを決める。
「ほ、本当に着いたんだ…よかったぁ〜!」
思いっきり干し草に倒れ込む。背中を干し草が柔らかく受け止めた。
「フランスに来たかったんですよ〜!! よっしゃあ〜!」
チヨリちゃんが確率30パーセントとか言ってたから、ものっそい不安だった!
「不思議な子だな、君は。坊ちゃんもそれくらいの頃があったよ」
ジョージさんは手綱を引きながら言った。目はどこか懐かしむように遠い目をしている。
「『坊ちゃん』? 誰ですそれ?」
「俺が働かせてもらっているご主人の息子さんだよ」
「へぇ? ジョージさん、お手伝いさんなんだ」
「そんな大層なモンじゃないがな。当たらずとも遠からずだ。三十年以上前から働いているよ」
「すごいですね。なんていう家に? 俺、知ってたりします?」
「もしかしたらな。そこそこ有名だから、聞いたことあるんじゃないか?」
そうなると俄然興味が湧く。
「どこです? どこです?」
ちょっと催促気味に言うとジョージさんは困ったように笑い、答えた。
「デュノア家だよ」
信じられなかった。心臓が止まったかと思った。
「ほら、デュノア社って聞いたこと……どうした?」
ジョージさんが俺に声をかけている。そのことに気づいたのは数秒後だった。
「…ジョージさん」
「な、なんだ?」
「この馬車……どこに向かってますか?」
「屋敷だ。ご主人が住んでる屋敷。ほら、見えるだろ?」
指差された方を見る。確かに立派な屋敷が見えた。
「そ、そうだ。君、どこに行くつもりだったんだ?」
「あそこ」
俺はジョージさんが指差した屋敷を指差す。
「話を聞きたい人と、会いたい人と、ぶん殴りたい人がいるんだ」
「…そういうことだったんだな」
俺はジョージさんにシャルのことを話した。今は屋敷の中を案内されている。
「使用人の俺が口をはさめる問題じゃないな。後はご主人に聞くといい」
ジョージさんは大きな扉の前に立って、そしてノックした。
『なんだ?』
扉の向こうから声が聞こえた。
「ご主人、ジョージです。ご主人に会いたいという人がいらしてまして。いかがしますか?」
ジョージさんの言葉の後、数秒の沈黙があってから返事が聞こえた。
『…通せ。君の後ろにいるのだろう?』
ジョージさんが俺の顔を見て頷いた。どうやら入っていいらしい。扉が開かれて、綺麗な内装の部屋が見える。
「さ、入って」
「ありがとうございます」
部屋に入るように促したジョージさんにお礼を言ってから部屋に入る。窓の前に立って外を見ている男がいた。後ろ姿だが、確かに見覚えがあった。
「ジョージ、君は下がっていい。仕事に戻れ」
「はい…」
ジョージさんは頭を下げて下がっていった。
「……さて、来ると思っていたよ。以前は名を名乗りもしなかったね。ディエル・デュノアだ」
前会った時と同じように、白髪が混じった髪だった。けど、なぜか白髪が増えてる気がした。
「知ってる。資料で読んでるからな」
「そうか。だがその資料の社長のところは、もう違う人間になっているだろ」
「………………」
「そんな怖い顔をするな…と言う方が無理か。何をしに来たかは分かっているよ」
「じゃあ話は速い。シャルに会わせ――――――」
「残念だが、あの子もアデルも、この屋敷にはいない」
「はぁ!? ふざけんな! 何言ってんだよ!」
言うまでもないが俺はこの男に良い印象を持ってない。口調も強くなる。
「言葉のとおりだ。この屋敷には私と数人の使用人だけだ」
「おいおい…! 無駄足かよっ!!」
たまらず、俺はドカッとソファに座りこむ。マナーがどうこうとか知ったこっちゃねえ。
「大体なんでアンタはここにいるんだよ。なんでわざわざ別々に暮らす?」
「君のような若者には、わからないような事情があるんだよ」
「ハッ! ビームガン突きつけられてビビり倒していたヤツが、良く言うぜ」
「……かもしれないな」
ディエルは以前会った時よりも元気がなかった。というか、衰えているように見えるぞ。
「…アンタ、大丈夫か?」
心配する義理はないが、なんだか折れてしまいそうなその姿に不安を感じた。しかし、ディエルは俺の問いに答えようとしない。
「この屋敷は、元はあの子が暮らしていた屋敷なんだ」
「ここが…ああ、いつか言ってたな。『別邸にいた』って」
それがここか。別邸でこれなら、本邸はどうなってんだよ。
「…フッ、アデルの考えそうなことだ。アイツは私を憎んでいるからな」
ディエルは自嘲気味に笑った。
「アイツの仕業なのか?」
「そうだ。デュノア社社長の権力を手に入れたアデルは私をここに追いやった」
「実の息子から大分嫌われてるみたいだな、アンタ」
「…自業自得と言えば、それまでだよ」
ディエルは俺の向かいのソファに座った。
「シャルロットはおそらくアデルと私の妻とともに本邸にいるだろう」
「なるほど。じゃあそっちに行こう」
シャルもアデルもいないならここに用はないからな。
「ここから車を飛ばして三時間はかかるぞ」
ディエルが呼び止めるように言ってくる。
「なめんな。ISを使えば…」
そう言えば移動の時圧力をを無くすためにG−soulのシールドエネルギーを使ったから、もう今日いっぱいは展開できないんだっけ。
「ま、まあまだセフィロトがあるから……」
そう思ってエネルギーを確認してみる。
「う…」
思わず顔が引きつった。
(残存エネルギー、じゅ、12……)
12て…12て! ロクな展開もできねえじゃねえか! いつのまにそんなポンコツになった! これじゃあ全快にはほぼ半日かかるぞ!
「…どうした?」
「え…い、いや〜、あはは……」
どうすっかなぁ…こんなデカい態度とっちまってる手前、『移動手段がありません』なんてしょっぱいこと言うに言えない…
すると、
「…行く手段がないなら、今日は泊まっていくといい。明日私とともに行こう」
「え! マジで!?」
ありがたい提案キタ!
「ああ。明日著名人が集まる大きなパーティがある。そこにはアデルもシャルロットを連れて来るらしい。単身乗り込んできた君だ。どうせ考えなしに来たんだろう?」
く、くぅ…! なんでもお見通しな口調が腹立つ!
けど、
「ありがたく、お言葉に甘えさせてもらいます」
とりあえず宿の確保は大事だわな。
ディエルのご厚意でこのデュノア家別邸に泊まることになった俺は用意された部屋のベッドの上で仰向けに寝転んでいた。
「……………」
ちょっとデュノア家の家庭状況を俺なりに整理してみよう。
シャルは学園に来る前はこの屋敷で一人で暮らしてて、今は父親のディエルが暮らしてる。シャルはディエルとその愛人の子で、アデルはディエルとディエルの奥さんの子供で、アデルはディエルのことを嫌ってて、シャルはアデルを嫌ってて……
「………………」
(…………………)
ダメだ。もうわけがわからない。どんだけ複雑事情抱えてんだよデュノア家は。昼ドラか。
「…でも、苦労してるんだろうな」
いつも笑顔で優しかったシャルが、そんな辛いことを抱えてんだよな・・・。
「……ああ〜、会いてぇ〜」
なぜか無性にシャルに会いたくなった。頑張ってるんだなって言ってやりてぇ。というかあの日のことを謝りてぇ。
「はぁ〜…シャルゥ〜……」
ふと、ドアがノックされた。
「桐野君、いいかい?」
ドアから出てきたのはジョージさんだった。
・・・
・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・
「ふっ!」
カコンッと小気味良い音を立てながら薪が割れる。後ろにはそこそこの薪の山ができあがっていた。
「いまのでラストか」
斧を置いて一息つく。チヨリちゃんのとこといいここといい、なんか農業ばっかやってんな、俺。
「やぁ、ありがとう。助かったよ」
ジョージさんがタオルを投げてきてくれた。
「いえいえ。さっきのお返しなら、安いもんですよ」
「ハッハッハ! やっぱり若いのは羨ましいな」
そのままジョージさんは置いてあったベンチに腰かけた。
「アデル坊ちゃんも、君くらいの頃はよく手伝ってくれたよ」
俺はふと気になった。
「アデルって、そんないいヤツだったんですか?」
シャルを威圧していたあの姿から、そんな良い風景を想像できない。
「ああ。優しい性格の子だった。俺も最初は本邸のほうで働いていたんだが、馬の世話や薪割りを一緒にやったよ」
「全然その印象ねえや。あんな冷たい目ぇしたやつがなぁ」
「そうなんだ。坊ちゃんは変わっちまった。四年くらい前にな」
ジョージさんは重たく息を吐いた。
「四年前、この別邸にほぼ毎日のよう足を運ぶようになったんだ。そのころは顔をあまり見なくなってな、久しぶりに見たあの目は…背筋が凍る思いがしたよ。人はあんな冷たい目ができるんだな」
「…………………」
「坊ちゃんはご主人と奥様を愛してらっしゃった。奥様を愛していると思っていたご主人が愛人を持っていたことがショックなんだろう。おまけにその愛人と子供を持ったとなれば………っと、すまんすまん。そんな怖い顔をしないでくれよ」
「え、あ、いや」
そんな怖い顔してたのかな。けど、なんだか無性に腹が立った。ジョージさんにではなく、ディエルに。
「ごめんなさい。別にあなたに怒ったわけじゃなくて…」
「いいさ。俺は使用人。家の事情に首を突っ込むのはご法度さ。手伝ってくれて助かった。もう行っていいよ」
軽く手を上げて笑うジョージさんに俺は会釈してから屋敷の方へと戻った。
「…どうだった? 口に合えば良かったが」
「あ、ああ。おいしかった。ごちそうさまです」
夜、夕食をご馳走になってから食後に飲み物をもらってディエルと話すことになった。本当は飯を食べてるときに聞こうと思ってたんだけどディエルが料理が来る前に『食後に話そう』と先手を打ってきたんだ。
「さて…どこから話そうか」
ディエルはワイングラスを置いてから俺の目を真っ直ぐ見てきた。色々聞きたいことはあったが、まずはこれから聞くことにした。
「…シャル……シャルロットとアデルの関係から」
「いきなり話しづらいことから聞くな…具体的には?」
「シャルロットはどうしてあんなにアデルに怯えるんだ?」
「それか……」
「パニックになって気絶までしたんだ。尋常じゃなかったね・・・。何がそこまでシャルを怯えさせる」
ディエルは鎮痛な面持ちで話し始めた。
「……アデルがあの子に男の仕草を仕込んだのは知っているかい?」
「ああ。アデルが自分で言ってた」
「それさ。その仕込み方…いや、教育法と言えばいいか。それが原因だ」
「どういうことだよ?」
「アデルは、私と妻を好いていた。故に愛人との間に私が授かったあの子を妬んでいたんだ」
「…それで?」
「あの頃の私は社の経営に行き詰っていて、知ってのとおり、シャルロットを『ISを動かせる男』ということで広告塔にしようと考えた。……今思えば、愚かしい考えだったよ」
ディエルの言葉にイラッと来た。
「そんなもんやる前からわかれよ。それでアイツがどれだけ―――――」
俺の言葉をディエルは手で制してくる。
「しかし、それよりも愚かだったのがシャルロットの教育をアデルに任せたことだった」
「…俺のわかるように言ってくれないか?」
ディエルは椅子から立ち上がって、俺のところへ近づいてきた。
「アデルは…狂っていた。四年前、私が愛人を持っていたことを知ってから…」
「……………」
「そして今は、私をここに追いやり、社の実権を握っている」
いきなりディエルは俺の首にかかっているラファール・リバイヴ・カスタムUに触れた。
「な、なんだよ」
「そのIS…あの子が持っていないと思ったら、君が持っていたのか」
「まあな。アイツが学園に置いてったんだ。こんな大事なものを……」
ディエルはラファールから手を離すと近くの椅子に座った。
「…あの子を、助けてやってほしい」
「あ? なんだよいきなり」
言われなくてもそのつもりだけど、唐突すぎんだろ。
「アデルは…裏の社会に手を染めようとしている」
「裏の社会…? どういうことだ?」
「デュノア社は第三世代型を開発に成功したとはいえ、まだまだ経営面では危ない。アデルはその打開策として、裏取引をしようとしているんだ」
なんだか難しい話になってきたぞ、オイ。
「その相手は?」
俺の問いかけにディエルは首を横に振った。
「具体的なものはない。高額な金を払う組織、人間、あらゆるものが対象だ」
「そんな…そんなの条約で罰せられるぞ! せっかくイグニッション・プランに組み入れられたのにそれを棒に振る気か!」
「私も止めた!!」
俺が怒鳴るとディエルも怒鳴り返してきた。けど、それはすぐに弱々しい声になる。
「…だが、そのおかげで私はこのザマだ。このままではあの子の身も危険に晒される」
「………………」
おかしい…どうも引っかかる。
「待てよ。泊めさせてもらってる身で言うのもなんだけど、アンタは俺の中ではシャルロットを男として学園に送り込むような最低の人間ってことになってる。それがどうしてシャルロットを助けようとするんだ」
ディエルは答えることはせずに椅子から立ち上がった。
「私は…間違っていたんだよ……。」
小声だったけど、確かにそう聞こえた。ディエルはそのまま扉に手をかけて出て行こうとする。
「明日の昼頃、ここを出発する。君の服も用意させよう」
「あ、おい待てよ。まだ話は――――――」
言い切る前にディエルは扉の向こうへ消えた。
「なんなんだよ…ったく」
デュノア家の人って、みんなああなのかよ。
だいぶ夜も更けたんだけど、俺はどうも寝つけずにいた。
(ディエル…シャルの父親………なんか思ってたのと違うな)
一年前に会った時は俺は怒ってたからそんな余裕なかったけど、よくよく話してみればシャルロットのことを思ってやがる。
(父親か…わからねぇ存在だな)
「……ん?」
行き止まりの前に来たと思ったら、扉の前だった。
「…開いてる」
扉がわずかに開いていて、月明かりが覗いている。
「…………………」
俺が扉に少し力を入れると扉はキィ…と音を立てて開いた。
「誰かの…部屋?」
部屋にはベッドや机、本棚が綺麗に置かれていた。明らかに人が使っていそうな部屋なのに長いこと使われていないみたいに埃がたまっている。
「…」
月の光に照らされている本棚のなかから一冊を取り出す。表紙には手書きのフランス語が書かれていた。
「『私の愛する娘、シャルロット』……シャルロット!?」
まさかと思ってページをめくる。写真のほとんどが小さな女の子とその母親と思える女性とのツーショット写真だった。
「これ…シャルのお母さんか?」
穏やかな笑みを浮かべるその人は、どこかシャルに似ていた。
「…ってことは、ここってシャルの部屋?」
周りを見るが、あんまり確証を得られない。けど、十中八九そうだろう。
「あれ?」
最後のページになにか挟まっていた。どうやら手紙のようだ。
「……なんて読むんだ?」
とても綺麗な字なんだけど、簡単にしかわからない俺にはよく読めない。
(………………)
おいおい俺。それはダメだって。いくら気になるからって、勝手に人の手紙読んじゃあ・・・・・・・。
・・・
・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・
「…ふむふむ」
割り当てられた自分の部屋に戻ってきた俺はベッドに横になりながら携帯の電子辞書でフランス語を調べている。
お気づきだろうか。そうさ。お察しの通りさ。
……すいません。自分が抑えられませんでした。手紙、拝借しちゃいました。てへぺろです。
「これで…翻訳完了、と」
メモ用紙に書いた日本語の文章をもう一度読む。
「……そういうことだったのか」
この手紙をディエルが読んだのだとすれば、あの態度の変わりっぷりにも納得がいく。
「シャルは…これを知ってるのか?」
…ダメだ。考えてわかるもんじゃねえよ、これは。直接聞いてみないとだな。
「…とりあえず、寝るか」
翻訳作業でいい感じに眠くなった俺は、布団に包まった。
一「インフィニット・ストラトス〜G−soul〜ラジオ!」
箒「略して」
一&箒「「ラジオISG!」」
一「読者のみなさん、こんばんわー!」
箒「……………」
一「って、どうした箒。黙ってたら放送事故になるぞ?」
箒「わ、わかっている!」(い、一夏と二人きり…まさか連続で出ることになるとは思わなかったが…)
一「それにしても、二人でこういうことするのって黛先輩のお姉さんに取材受けたとき以来だよな」
箒「そ、そうだな」(そんなこともあったな)
一「アレな、衣装に着替えて写真撮ったり」
箒「う、うむ」(あの時の一夏は……り、凛々しかった。私を、だ、だだ抱き寄せたりして…///)
一「? おーい? 箒ー?」
箒「……………」
一「箒、おいってば」
箒「ひゃあっ!? な、なんでもない! なんでもないぞ! 決して妙なことは想像していない!」
一「お、おう? よくわかんないけど…とりあえず質問行こうぜ」
箒「わ、わかった。そうしてくれ」
一「? 顔が紅いぞ?」
箒「う、うううるさい! 早く読めっ!」
一「わ、わかってるよ。えー、茶漬け漬茶さんからの質問。俺宛てだな。もし、三泊四日のペアの温泉旅行に連れて行くとしたら誰を連れて行く? え? 千冬姉は除いて?」
箒「ま、また珍妙な質問が来たな」
一「うーん…」
箒「な、なぜ真面目に考え込むのだ!」
一「や、だって質問にはちゃんと答えないといけないし」
箒「そっ、それはそうだが……」
一「温泉旅行ってところがまた難しいな。…あ」
箒「? どうした?」
一「この前マドカが、山田先生が肩凝りに効く温泉行きたがってたって話してたな」
箒「そ、それがなんだ?」
一「なんかな、その…む、胸が大きいと肩が凝りやすいんだって。それで山田先生がぼやいてたって」
箒「へ、へぇ…そう」
一「…ん? アレ? なんか俺、変なこと言ってる風になってる?」
箒「……………」
一「え、ちょ、なぁ? なんか言ってくれないか?」
箒「…わ、私もたまに……ごにょごにょ…」
一「え?」
箒「なんでもない! ダメだっ! この質問は変な空気になる! 次の質問!」
一「い、いいのか、コレ…仕方ない。次の質問。カイザムさんから箒に質問。篠之野柳韻さんは箒にとってどのような存在ですか? って、この質問は…」
箒「…っ。……父の話か」
一「ドえらい質問だな。今は…重要人物保護プログラムで行方不明なんだよな」
箒「ああ。まったくの音信不通だ」
一「…答えられるか?」
箒「問題ない。父の話と言えど『どのような存在だったか』という話だ。答えられる。そうだな、私ていた。その立ち振る舞い、剣の腕。すべてにおいて私の理想だった」
一「わかる。篠之野道場でお前、お前の親父さんを熱心に見てたもんな」
箒「少しでもあの人に近づこうと、鍛練をしている。いくら父が行方不明だといっても、私の憧れであることに変わりはない」
一「…そっか。よし! 今日はこれまで! エンディング!」
流れ始める本家ISのエンディング
一「なんか、難しい質問だったな、今回は」
箒「すまない。私のせいで重くなってしまった・・・・・」
一「そんなことないさ。気にすんな。最後くらいは明るく行こう! それでは!」
箒「み、みなさん!」
一&箒「「さようならー!」」
説明 | ||
フランス到着! 軟着陸なんてなかった。 | ||
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コメント | ||
セシリアに質問です。現在3年生の先輩である”サラ・ウェルキン”はセシリアに取ってどんな存在なのでしょうか? ライバル、又は頼りになる先輩とか(カイザム) | ||
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